上 下
153 / 369
第15話「記念日を一緒に過ごしたい派・気にしない派」

記念日を一緒に過ごしたい派・気にしない派(3)

しおりを挟む
 そういう幾ヶ瀬だって、普段なら出勤は10時。
 徒歩数分という通勤時間を考えれば、朝食と洗濯の時間を加味しても8時半起床で十分である。

 「それに今日は、休みとか言ってたんじゃねぇのか」

 6時前に起きてこれだけの料理を作ったというのか?
 気持ち悪いヤツだという思いを表すように、有夏の目がじっとりと細められる。

「冷蔵庫が直ってそんなにうれしいのかよ」

 存外早めに修理に来てくれたおかげで、冷凍庫奥に入れていた食材は無事だったと幾ヶ瀬が喜んでいたのはつい昨日のことだ。

 「違うよ。そりゃ5年保証で修理費タダは当然として、出張費もいらないって聞いて本当にホッとしたんだけど。今の時期、お金を払うと払わないは180度違うからね……でも違うよ!」

 そこで幾ヶ瀬は言葉を切った。
 グイと有夏に顔を近づける。

 「有夏、今日は何の日?」

 「………………」

 おそらく世の男が困る質問ベスト5に入るであろう台詞を、しゃあしゃあと口にして、幾ヶ瀬はにこにこしている。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

催眠アプリ(???)

あずき
BL
俺の性癖を詰め込んだバカみたいな小説です() 暖かい目で見てね☆(((殴殴殴

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々

yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。

由紀と真一

廣瀬純一
大衆娯楽
夫婦の体が入れ替わる話

柔道部

むちむちボディ
BL
とある高校の柔道部で起こる秘め事について書いてみます。

処理中です...