17 / 115
第二話 あなたのぜんぶ
《検定対策講座》新選組(5)
しおりを挟む
新選組隊士は何名かで組んで見回りをします。
不穏分子が潜んでいるかもしれない家屋に入る際、一番始めに乗り込む隊士は最も危険な役どころでした。
新選組ではこれを「死番」とよび、交代で務めることになっていました。
想像してください。
「死番」の極限の緊張感のなかでの戦闘、そしてそこから無事に生きて帰った夜のことを。
隣りで眠る同僚の体温が気になるのも無理はありません。
ほかの隊士らが寝ているところ、声を殺して致す背徳感が、ふたりの思いにさらに火をつけることでしょう。
また、夜中にふと目覚めた隊士が、隣りで致している2人に気付いたとしましょう。
たまらず自慰にふける。
あるいは翌朝、バラされたくなければ今夜は自分の相手をしろと脅すかもしれません。
何せ5万通りです。
展開は読めません。
このことから、新選組の大部屋に関するBL検定では記述式、あるいは小論文での出題が予想されます。
では、次は個室について述べましょう。
プライバシーに配慮された一人部屋は幹部の特権でした。
この個室という空間を最大限に活用したのは、BL学的見地から述べれば局長の近藤だったのではないかというのが近年主流の学説です。
新選組が大きくなり、次第に忙しくなった近藤は「小姓」として若い隊士をそばに置くようになります。
一般的に、近藤らの出身地である東国では男色はあまり見られないというのが通説です。
しかし近藤の「小姓」という役職、あまりに意味深な名称ではないかと疑問を抱かざるをえません。
日本史において男色とは珍しいものではありません。
武士の世では「衆道」として花開きました。
「小姓」というと、戦国期に大名などがそばに置いた若衆というイメージがあるのではないでしょうか。
殿の身の周りの世話から護衛、取り次ぎなど、仕事は多岐に渡ります。
相当頭の切れる人物でないと務まらないといえるでしょう。
見込みはあるものの家柄がいまひとつという若者を、殿の「お手付き」として取り立てて能力を発揮させて出世コースにあげることも、この小姓制度の目的でした。
なかには小姓との恋愛にのめりこんで刃傷沙汰を起こした大名もいましたが、ごく例外です。
処世術のひとつとしての男色とみるべきでしょう。
しかし、幕末に結成された戦闘集団である新選組はこの限りではありません。
不穏分子が潜んでいるかもしれない家屋に入る際、一番始めに乗り込む隊士は最も危険な役どころでした。
新選組ではこれを「死番」とよび、交代で務めることになっていました。
想像してください。
「死番」の極限の緊張感のなかでの戦闘、そしてそこから無事に生きて帰った夜のことを。
隣りで眠る同僚の体温が気になるのも無理はありません。
ほかの隊士らが寝ているところ、声を殺して致す背徳感が、ふたりの思いにさらに火をつけることでしょう。
また、夜中にふと目覚めた隊士が、隣りで致している2人に気付いたとしましょう。
たまらず自慰にふける。
あるいは翌朝、バラされたくなければ今夜は自分の相手をしろと脅すかもしれません。
何せ5万通りです。
展開は読めません。
このことから、新選組の大部屋に関するBL検定では記述式、あるいは小論文での出題が予想されます。
では、次は個室について述べましょう。
プライバシーに配慮された一人部屋は幹部の特権でした。
この個室という空間を最大限に活用したのは、BL学的見地から述べれば局長の近藤だったのではないかというのが近年主流の学説です。
新選組が大きくなり、次第に忙しくなった近藤は「小姓」として若い隊士をそばに置くようになります。
一般的に、近藤らの出身地である東国では男色はあまり見られないというのが通説です。
しかし近藤の「小姓」という役職、あまりに意味深な名称ではないかと疑問を抱かざるをえません。
日本史において男色とは珍しいものではありません。
武士の世では「衆道」として花開きました。
「小姓」というと、戦国期に大名などがそばに置いた若衆というイメージがあるのではないでしょうか。
殿の身の周りの世話から護衛、取り次ぎなど、仕事は多岐に渡ります。
相当頭の切れる人物でないと務まらないといえるでしょう。
見込みはあるものの家柄がいまひとつという若者を、殿の「お手付き」として取り立てて能力を発揮させて出世コースにあげることも、この小姓制度の目的でした。
なかには小姓との恋愛にのめりこんで刃傷沙汰を起こした大名もいましたが、ごく例外です。
処世術のひとつとしての男色とみるべきでしょう。
しかし、幕末に結成された戦闘集団である新選組はこの限りではありません。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。


指導係は捕食者でした
でみず
BL
新入社員の氷鷹(ひだか)は、強面で寡黙な先輩・獅堂(しどう)のもとで研修を受けることになり、毎日緊張しながら業務をこなしていた。厳しい指導に怯えながらも、彼の的確なアドバイスに助けられ、少しずつ成長を実感していく。しかしある日、退社後に突然食事に誘われ、予想もしなかった告白を受ける。動揺しながらも彼との時間を重ねるうちに、氷鷹は獅堂の不器用な優しさに触れ、次第に恐怖とは異なる感情を抱くようになる。やがて二人の関係は、秘密のキスと触れ合いを交わすものへと変化していく。冷徹な猛獣のような男に捕らえられ、臆病な草食動物のように縮こまっていた氷鷹は、やがてその腕の中で溶かされるのだった――。
うちの鬼上司が僕だけに甘い理由(わけ)
みづき(藤吉めぐみ)
BL
匠が勤める建築デザイン事務所には、洗練された見た目と完璧な仕事で社員誰もが憧れる一流デザイナーの克彦がいる。しかしとにかく仕事に厳しい姿に、陰で『鬼上司』と呼ばれていた。
そんな克彦が家に帰ると甘く変わることを知っているのは、同棲している恋人の匠だけだった。
けれどこの関係の始まりはお互いに惹かれ合って始めたものではない。
始めは甘やかされることが嬉しかったが、次第に自分の気持ちも克彦の気持ちも分からなくなり、この関係に不安を感じるようになる匠だが――
【完結】嘘はBLの始まり
紫紺
BL
現在売り出し中の若手俳優、三條伊織。
突然のオファーは、話題のBL小説『最初で最後のボーイズラブ』の主演!しかもW主演の相手役は彼がずっと憧れていたイケメン俳優の越前享祐だった!
衝撃のBLドラマと現実が同時進行!
俳優同士、秘密のBLストーリーが始まった♡
※番外編を追加しました!(1/3)
4話追加しますのでよろしくお願いします。
消えない思い
樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。
高校3年生 矢野浩二 α
高校3年生 佐々木裕也 α
高校1年生 赤城要 Ω
赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。
自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。
そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。
でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。
彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。
そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。

好きなあいつの嫉妬がすごい
カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。
ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。
教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。
「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」
ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる