ここは花咲く『日本史BL検定対策講座』

陣リン

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第二話 あなたのぜんぶ

《検定対策講座》新選組(5)

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 新選組隊士は何名かで組んで見回りをします。
 不穏分子が潜んでいるかもしれない家屋に入る際、一番始めに乗り込む隊士は最も危険な役どころでした。
 新選組ではこれを「死番」とよび、交代で務めることになっていました。

 想像してください。
 「死番」の極限の緊張感のなかでの戦闘、そしてそこから無事に生きて帰った夜のことを。
 隣りで眠る同僚の体温が気になるのも無理はありません。

 ほかの隊士らが寝ているところ、声を殺して致す背徳感が、ふたりの思いにさらに火をつけることでしょう。

 また、夜中にふと目覚めた隊士が、隣りで致している2人に気付いたとしましょう。
 たまらず自慰にふける。
 あるいは翌朝、バラされたくなければ今夜は自分の相手をしろと脅すかもしれません。

 何せ5万通りです。
 展開は読めません。

 このことから、新選組の大部屋に関するBL検定では記述式、あるいは小論文での出題が予想されます。

 では、次は個室について述べましょう。

 プライバシーに配慮された一人部屋は幹部の特権でした。
 この個室という空間を最大限に活用したのは、BL学的見地から述べれば局長の近藤だったのではないかというのが近年主流の学説です。

 新選組が大きくなり、次第に忙しくなった近藤は「小姓」として若い隊士をそばに置くようになります。

 一般的に、近藤らの出身地である東国では男色はあまり見られないというのが通説です。
 しかし近藤の「小姓」という役職、あまりに意味深な名称ではないかと疑問を抱かざるをえません。

 日本史において男色とは珍しいものではありません。
 武士の世では「衆道」として花開きました。
 「小姓」というと、戦国期に大名などがそばに置いた若衆というイメージがあるのではないでしょうか。
 殿の身の周りの世話から護衛、取り次ぎなど、仕事は多岐に渡ります。

 相当頭の切れる人物でないと務まらないといえるでしょう。
 見込みはあるものの家柄がいまひとつという若者を、殿の「お手付き」として取り立てて能力を発揮させて出世コースにあげることも、この小姓制度の目的でした。

 なかには小姓との恋愛にのめりこんで刃傷沙汰を起こした大名もいましたが、ごく例外です。
 処世術のひとつとしての男色とみるべきでしょう。

 しかし、幕末に結成された戦闘集団である新選組はこの限りではありません。
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