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第69話 ほう、まだ続きますか。

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 クラーケンを倒して先に進んでいくが、みんなの足取りは重い。私も同じだ。


「しかし、これは困りましたわね、いつになったら終わりになるのか想像も付きませんわ。」


「ですね、最悪、あと5戦しても終わらなかったら切り上げるのも手ですかね。」


「ええ、正直申しまして、頑張ってボスまでたどり着きたかったのですが、わたくしも些か面倒になってきましたので、アイスさんの意見に賛成いたしますわ。」


「王女殿下がそうおっしゃるのであれば、私に異存はありません。本音を申しますと同意見です。」


「私も、その意見に賛成。」


 みんな、同じ考えだったことに少し笑えた。戦姫の3人も同じだったようで一緒に笑いながら進んでいった。いつもより長めの通路を進んでいくと、部屋を発見した。何か妖しいオーラが漂っていた。鑑定すると『サキュバスクイーン』と『サキュバス』と出ていた。集団戦かよ。確かサキュバスは男を惑わす魔物だったような気がしたな。これ、私やばくない?


「えーとですね、この先にいるのは『サキュバスクイーン』が率いる『サキュバス』達です。恐らく普通に戦っても余裕で倒せると思いますが、私がどうなるかわかりません。」


「あら、サキュバスですの。インキュバスがいない状態でのわたくし達の敵ではありませんわね。ただ、そうですね。アイスさんがどうなるかわかりませんわね。ただ、これでアイスさんの好みの女の方がわかりますわね、ふふっ。」


「王女殿下、それもありますが、ひょっとしたらアイスさんはあっちの気があるかもしれませんよ。」


「いやいや、それだけは本当に勘弁して下さい。我慢せずおとなしく向こうの術中にかかって暴れるかもしれませんよ。」


「いやいや、アイスさんが敵になったら私らではどうにもならなくなりますよ!!」


「誘惑って、知力のステに左右されるんですよね?」


「ええ、そうですわ。ただ、サキュバス系は魔族の中でも知力は高い方だと聞いております。数値ですと22か23あたりだったような。あとは、サキュバスよりもレベルが高ければどうにかなると思いますわ。」


「なるほど、では、どうにかなりそうですね。ふーむ、少し試したいことがありますので、ここは私に任せてもらえませんかね。」


「わかりましたわ、ここはアイスさんにお任せしますわ。ただ、万が一に備えて対策は必要だと思いますが、その点はどうなさいますの?」


「そうですね。私がサキュバスを全部倒して魔石化したら入ってもらうのはどうですか?」


「承知しましたわ。では、頼みますわね。」


 というわけで、私だけサキュバスの群れがいる部屋に入っていった。


「あら、人間がここに来るなんてずいぶん久しぶりね。かなり退屈していたところなの。」


「そうでしたか。やはりここにたどり着く人ってそんなにいないのですね。」


「そうなのよ、だから久しぶりに体が疼いて仕方がないの。お相手願えるかしら。」


「いえ、お断りさせて頂きます。残念ながらあなた方の期待には添えられそうもないので。」


「あら、残念、と言いたいところだけど、もう、ここに来てしまったら、あなたは私の言うことを聞くほかはないの。」


「ほう、そうですか。では、改めてお断りさせて頂きますよ。口上はそれだけでよろしいですか?」


「え? 私の術が効いてない? 嘘よ、そんな、、、。」


「あと10歳ほど若ければ、恐らくあなたの術に掛かっていたでしょうね。しかし、残念ながらあなたに対して私はこれっぽっちも興味がないのです。」


「嘘よ! 私より美しい存在がいるはずないでしょう!」


「ところがですね、このダンジョンで私と一緒に行動している方達は何れもあなたより魅力的でしてね。あなたごときでは、心が動かないんですよ。それ以上に猫とウサギという素晴らしいモフモフがいる私にそういった誘惑は不可能ですね。あきらめて下さい。」


「ふん、それだったら力尽くでも私に従ってもらうわよ。」


 そう言うと、配下のサキュバスが攻撃を仕掛けてきた。うーん、動きが遅いですね。もう少し様子を見させてもらいましょうか。


「それにしても、私の心が動かないとはいえ、みなさんどなたもお綺麗ですね。ダンジョンなんかに籠もっていないで、地上で普通に暮らしていれば男どもは黙っていないでしょうに、非常に勿体ない。」


「今更怖じ気づいたの? もう遅いわよ。ちなみに私達はダンジョンで生まれたから地上には出られないのよ、残念ね。」


「そうでしたか、では、仕方がないですね、仕留めさせてもらいますか。バーニィ起動!」


「ふんっ、それがあなたの武器なの? そんなウサギの角で私達を倒せるのかしら?」


「論より証拠です。では、行きますか、バーニィバンカー!!」


 直接攻撃を仕掛けてきていたサキュバス達にバンカーを喰らわせていく。今回は流石に顔は狙わずに胴体を攻めていった。時々魔法を放つものがいたので、バンカーショットで魔法を撃ち落としていく。直接攻撃が届かないところで様子を見ていたサキュバスにはバンカーショットで仕留めていき、やがてサキュバスクイーンだけとなった。


「そ、そんな、魔族でも高位に当たる私達がこうもあっさりと、、、。」


「残念ですが、今起こっていることが事実なのです。」


「術も効かない上に、攻撃も当たらないなんて、、、。本来なら降伏してあなたの配下にしてもらいたいけど、残念ながらダンジョンで生まれてきた性質上それはかなわないの、申し訳ないけど、楽にとどめを刺してくれるとありがたいわ。」


「こちらとしても残念ですよ。ですから、楽にして差し上げますので、魔族の誇りをもってこちらに攻めかけて下さい。」


「ありがとう、最後に名前を聞かせて。」


「私はアイスと申します。では、尋常に勝負。」


「アイスというのね、ありがとう、ではいくわ!!」


 サキュバスクイーンは全力でこちらに向かって来た。苦しませずに倒す方法はと、バンカーで直接行くと結構痛そうだな、そうだ、これで行きますか。


 サキュバスクイーンの攻撃がこちらに届かないうちに水術で完全に凍らせた。氷の塊となったサキュバスクイーンはそのままこちらに突っ込んでくる。


「バーニィバンカー!!」


 気合一閃とともに氷の塊をバンカーで粉砕した。これで苦しまずに倒せたはずだ。


 サキュバス達を全部倒して多数の魔石が転がっていた。それを集めているときに通路で待機していたアンジェリカさん達がこちらに合流する。


「アイスさん、お疲れ様でした。実にお見事な戦い方です。私達ではあそこまであっさりと倒せませんでしたわよ。」


「いや、本当はもっとあっさりと倒すつもりだったのですが、話を聞いてしまったら何かこうなってしまったんですよね。」


「そうでしたか。魅了の術はどうでしたか?」


「魅了の術ですか? 何か知りませんがかかりませんでしたね。ひょっとしたら、これ以上興味のあるものがいる場合にはかからないかもしれませんね。」


「なるほど、アイスさんの興味って非常に気になりますが、先にこの魔石を回収して先に進みながらそれを伺うとしましょうか。」


「いや、隠すほどのことではありませんよ。マーブル達と一緒に過ごすのが楽しくて恋愛なんか2の次ですからね。」


「なるほど、納得がいったといいますか、少し残念なような気もしますが、わたくしがどうこう言うものでもありませんわね。」


「そういうことです、魔石も集め終わりましたし、先に進むとしましょうか。」


 そう言って私達は先に進む。そこそこ長い直線を通って、部屋が見えてきた。今回は集団戦らしく敵の姿がハッキリと映っていた。鑑定するまでもなくアンデッドの集団だった。


「あら、アンデッドの集団ですか。困りましたわね、アンデッドはなかなか倒せなくて厄介なものが多くて非常に面倒ですの。」


「なるほど、では、今回はアンデッド撲滅作戦といきましょうかね。」


「アイスさん、今回は作戦で攻略するの? 何かいい手があるんだね。」


「そうですね。実は先程のサキュバス戦でやりたかった作戦なのですが、アンデッド戦でも使えそうなので今回はそれで行こうかと思います。」


「承知しましたわ、では、アイス隊長作戦をお願いしますわ。」


「では、今回の作戦です。先程は私が一人で倒してしまったため、今回は私以外のみんなであの群れを殲滅してもらいたいと思います。今回は単純です。私があのフロア全体を凍らせますので、みんなは思い思いに攻撃するだけです。ただ、普通に攻撃しても倒しきれない場合がありますので、今回は凍らせた敵には弱点といいますか、一撃で倒せるポイントを用意しておきますので、全隊員はそこを狙って攻撃して下さい。ちなみに、今回はライム隊員とオニキス隊員にも参加してもらいたいと思います。」


「「「了解!!」」」


 それぞれが敬礼の意志でもって応えてくれた。


「では、久しぶりに大暴れして下さい、では作戦開始!!」


 私がまず部屋に入ってアンデッド軍団を1体も残さず凍らせる。それを確認した全隊員は一斉に突っ込んでいき、それぞれ思い思いに攻撃した。セイラさんは弓矢で、ルカさんは土魔法で石を飛ばして、アンジェリカさんは石突きの部分で、我が猫達とオニキスは体当たりで次々に氷の塊を攻撃していた。


 それほど時を置かずに、多数いたアンデッド軍団は魔石に変化していた。


「みなさん、お疲れ様でした。ではこれにてアンデッド撲滅作戦は終了です。魔石の回収をお忘れなく。」


 魔石を回収し終わると、みんなすっきりした表情になっていた。


「久しぶりに何も考えずに動き回れましたわ。」


「私も久しぶりに無心に矢を放ちまくりました。」


「うん、すっきりした。」


 戦姫の3人は嬉しそうにしていたが、それ以上に嬉しそうにしていたのは我が猫達だった。ライムとオニキスのスライムコンビはその場で高○名人モードになっていたし、マーブルやジェミニもその周りを楽しそうに走っていた。あの子達もかなりすっきりしたのね。うん、非常に可愛らしい。これを毎日眺めているんだから恋愛なんかしていられない。


 時間的にそろそろ昼飯の時間に近くなってきていたので、食事をと思ったが、アンデッドのいた場所で食事を摂るのは流石に精神的にきついものがあるし、食事中に再出現したら大変だ、ということで、部屋を出て少し進んだところで昼食を摂ることにした。やはり、動き回った後のご飯は美味い。


 食事の後でアンデッド軍団の魔石を確認していた。スケルトンやゾンビなどの一般的なやつの魔石は流石に小さかったのである程度の大きさまで合わせてからしまった。ワイトなどの大物もいたが、驚いたのはスカルドラゴンやリッチなどの魔石があったことだ。スカルドラゴンを仕留めたのはアンジェリカさん達だったらしく、アンジェリカさん達戦姫の3人の称号に「ドラゴンスレイヤー」がついていた。


 魔石の整理やその他もろもろ準備してから私達は次の部屋に向かって進んでいった。
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