上 下
58 / 85

第56話 ほう、お呼び出しですか、うわぁ、面倒くせえな。

しおりを挟む
 テシテシ、テシテシ、ポンポン、いつもの朝起こしで私の一日は始まる。この心地よい起こしのおかげで今日も頑張る気力が出てくるというものだ。顔を洗って1階に降りて朝食を頂いてから部屋に戻って4人でまったり過ごしながら今日は何をしようかと考えていると、ドアをノックする音が聞こえた。


「アイスさん、いますか?」


「いますよ、どうぞ。」


「では、失礼しますね。っと、何ですかこの部屋?」


 メラちゃんが部屋に入ると驚いた顔をしている。何で驚いているのだろうか? 別に部屋は特に改造しているわけではないのだけど、一体どうしたんだろうか?


「? 普通に利用しているだけですが、何か問題がありますか?」


「いえ、あまりの綺麗さに驚いているんです。普通は連日宿泊されるとある程度汚れますが、アイスさん達が利用している部屋は汚れていないというか、むしろ綺麗になっているので驚いたんですよ。」


「ああ、そういうことですか。それはここにいるライムが綺麗にしてくれているんですよ。」


「えっ? ライムちゃんがですか? なるほど、そういえば、スライムって汚れなども食べてくれるから一部の貴族はスライムを飼っていると聞いたことがありますが、そういうことですか。」


「はい、何か私が寝ているときに綺麗にしてくれているみたいで。こちらは全く気付きませんでしたよ。」


「それは、羨ましいですね。私もライムちゃんみたいな可愛いスライムを飼いたいです。」


「うんうん、気持ちはよくわかります。けど、ライムはあげませんよ。大事な家族ですからね。」


「ぴーーーー!!」


 私がそう言うと、ライムは嬉しそうにその場でピョンピョン跳ね出した。うん、可愛いな。


「ところで、何か私に用があるのでは?」


「あっ、そうでした! 戦姫の方達がアイスさんに用があるそうです。」


「おお、そうですか。こちらに案内してもらうのは大丈夫ですか?」


「はい、大丈夫です。しかし、アイスさんも隅に置けませんね。」


「いや、そういう話ではないですよ。それよりも早く案内してください。時間をかければかけるほど、このホーク亭がやばいことになりますよ。」


「は、はい、わかりました!!」


 メラちゃんは急いで部屋を出た。ドタドタと凄い音で階段を降りていく。しかし、戦姫の3人がこの部屋に来たことが知られると何かとまずいな。こちらの意図していないところで恨みを買ってしまうな。とはいえ今更どうにかなることではないか。それよりも折角来てくれたのだから、お茶の用意くらいはしておきましょうかね。しかし、考えてみたらこの世界に来てから茶というものを飲んだことがないな。今ある採集物でお茶に出来るものはないかな、、、、。お、これを使ってみますか。名前は知らないけど、オレンジとパイナップルを足して3で割った感じの味がする木の実があったな。それを絞り出してお湯で薄めてみますか。足して2ではなく3で間違いないからね。残りの1は何かわからないけどそんな感じの味かな。


 絞り汁1のお湯3で結構いい塩梅になったので、これにしようか、と準備完了となったときにようやくノック音がした。やはり何かあったな、これ。


「ア、アイスさん、お、お待たせしました。」


 メラちゃんの声が途切れ途切れだ。大変でしたね。


「メラちゃん、お疲れ様です。入ってもらってください。」


「失礼します。」


 私がドアを開けようと思ったら、マーブルが開けに行ってくれた。猫っぽく飛びながらドアを開ける。ちなみにドアは開き戸みたいな感じだ。しかし器用だよね。


 ドアが開くと、疲労困憊のメラちゃんと、そのメラちゃんを心配そうに見つめる戦姫の3人がいた。


「おはようございます、アンジェリカさん、セイラさん、ルカさん。本来は2人部屋なので狭いですがどうぞ、お入りください。」


「ごきげんよう、アイスさん、マーブルちゃん、ジェミニちゃん、ライムちゃん。失礼いたしますわ。」


「アイスさん、おはよう。マーブルちゃん達もおはよう。」


「ウサちゃん達、おはよう。」


「メラちゃん、お疲れ様でした。やっぱり大変だったでしょう?」


「はい、アイスさんが『大変なことになる』と言っていた意味がわかりましたよ。それではこれで失礼しますね。」


「メラちゃん、ありがとうございました。」


 メラちゃんが部屋から出ると、戦姫達を席に案内する。2人部屋ではあるが、一応何とか4人座れるテーブルがあるので何とかなった。狭いけど。戦姫の3人が席に着いたところで、用意していた飲み物を出した。


「お茶でも用意しようかと思いましたが、あいにくとそういったものは持っていませんでしたので、代わりといっては何ですが、こちらをどうぞ。」


「まあ、ありがとうございます、早速頂きますわね。」


 さて、気に入って頂けるだろうか。念のため味見はしてあるので大丈夫だとは思うが。


「!! アイスさん、この飲み物は一体どこで?」


「これは、移動中に見つけた木の実の絞り汁をお湯で3倍に薄めたやつです。」


「初めての味で驚きましたが、このほのかな甘みがすばらしいですわ。」


「即興で用意したものなので、お気に召してくれるか心配だったのですが、喜んで頂けて何よりです。セイラさんとルカさんはどうでしたか? 正直な感想を頂けると嬉しいのですが。」


「私はこの味好きかな。甘すぎないところが飲みやすくて美味しいと思う。」


「私は、もっと甘い方が好みだけど、これはこれでいい。」


「そう言って頂けると嬉しいですね。」


 うん、3人の表情から察するとお世辞ではないようだ。ちなみにマーブル達はどうかというと、可もなく不可もなくといったところかな。即興だからこれで今は我慢してね。


「アイスさん達はこの部屋で普段は過ごされているのですね。」


「そうですね。ちなみにホーク亭はどれもこういった部屋だそうです。タンバラの街もほぼここと同じ感じの部屋です。ベッドもテーブルも調度品もほぼ同じですよ。さらに言うと、ホーク亭は一族経営だそうで、それぞれのご主人は兄弟だそうですよ。しかも、この宿の看板娘であるメラちゃんとタンバラの街での看板娘のメルちゃんはほぼ同じ顔です。正直私では区別がつきません。それこそ鑑定スキルがないと無理じゃないでしょうかね。」


「このタンヌ王国は一族で経営なさっている店が多いのです。アイスさんは驚かれたかもしれませんが、この国ではそういったことは意外にあるのですよ。ほら、冒険者ギルドでもギルド長のアイシャさんとアルベルトさんは性別以外はほぼ同じではありませんか。とはいっても、それは一般市民の話であって、貴族の方達はそういったことはありませんのよ。」


「確かに、言われてみるとその通りですね。しかし、貴族もそういった似た感じの外見だと面白かったのですがね。」


「外見だけ似た感じだったらいいのですが、貴族は逆に外見ではなく、考え方がみんな似たり寄ったりですの。まったく迷惑ですわね。」


「そ、そうなんですか? 私には無関係な世界なのでその辺のことはさっぱりわかりませんが。」


「ええ、このタンヌ王国は分類的には小国となります。街もここ王都とタンバラの街を含めても街といえる数は6つ程度しかなく、その周辺に集落がいくつかあるだけですの。そのくせ貴族の数だけは他国に引けを取らない数がありますの。そのせいで貴族同士の足の引っ張り合いがもの凄くて、、、。」


「なるほど。そういった背景があるのですね。ところで、今日わざわざここにお見えになったのは?」


 今日来た理由を尋ねると、ふと思い出したかのような感じでアンジェリカさんは答えた。


「そうでしたわ。今日はアイスさんにお願いがありまして、、、。」


「その表情から察しますと、あまり良い内容とは言えない感じですねぇ。」


「はい、お父様がアイスさんに興味を持ちまして、それでお会いしたいと言ってきたのですわ。」


「やっぱり。手紙で呼び出そうと考えたけど、断られた挙げ句この国を去ってしまう可能性があるから、アンジェリカさんに話してもらうことで断れなくしてきたと。」


「お察しの通りですわ。」


「しかし、何でまた、そこまでしてこんな冴えないオッサンに会いたいと思うのかねぇ。」


 不思議に思っていると、アンジェリカさんではなくセイラさんがそれに答えた。


「あのねぇ、アイスさん、あなたは自分がどれだけ凄い存在かわかってるのですか?」


「え? 別に凄くないでしょう。」


「いいですか? まず、私達戦姫と一緒にパーティを組んでクエストをする唯一の人なんですよ? 私達と一緒にパーティを組もうと誘ってくる人達は大勢いますが、王女殿下が全て断っておりました。それを盗賊討伐のみならずワイルドボアや今回のミノタウロス討伐で一緒にパ-ティを組むこと自体が異例中の異例なんです。王令であっても王女殿下は今まで一度も首を縦に振ったことはなかったんですよ。」


「そ、そうなんですか?」


「そうです。それを自覚してくださいね!!」


「は、はい。」


「それと、今回の護衛依頼。」


 今度はルカさんが一言いうと、それに付け足すようにセイラさんが畳み掛けてくる。


「そう、護衛依頼です。王女殿下は本人は嫌がっておりますが、王族です。移動となると近衛兵が護衛として必ず着いてきます。普段は冒険者として行動するからといって断っておりますが、今回は強制送還みたいなものでしたから、近衛兵はほぼ決定事項だったのです。それを断ってまでアイスさんに護衛任務を依頼するほどなんですからね。国王陛下が興味を持つのは当たり前です!!」


 普段見たことのない2人の勢いに押されてしまう。


「で、ではいつでしょうか?」


「明後日、一緒に昼食を摂りたいとのことですわ。」


「呼ばれるのは私だけですか? マーブル達は置いていかないとなりませんかね。」


「マーブルちゃん達と一緒にとのことだそうですわ。マーブルちゃん達についてはお父様ではなくお母様が特に興味をお持ちですの。」


「マーブル達も一緒ならお受けしますか。ましてアンジェリカさん直々の頼みとあっては断れませんしね。」


「あら、いくらわたくしの頼みとはいえ、マーブルちゃん達と一緒でなかったらお断りなさったでしょう?」


「ありゃ、バレてましたか。マーブル達は登録上は従魔となっておりますが、私はマーブルとジェミニとライムとのパーティだと思っていますので。」


「確かに、マーブルちゃん達あってのアイスさんでしたわね。」


「そういうことです。」


 その言葉にマーブル達は嬉しそうに周りを走り回った。狭いから無理しないでね。でも、可愛い。


「はぁ、オニキスが私達のメンバーになって改めて、アイスさんの気持ちがわかりましたわ。」


「でしょう? カワイイは正義です!!」


「うんうん、カワイイは正義。」


 ルカさんが即座に反応した。


「ところで、王都に戻ったときに身ぎれいになっていたことについては違和感をもたれませんでした?」


「ええ、城内で入浴したときにメイドに聞かれましたわ。でも、流石にねぐらのことは話せませんし、第一信じてもらえないでしょうから正直困りましたの。でもオニキスがそれを解決してくれましたわ。」


「あ、なるほど。オニキスに綺麗にしてもらったということにしたのですか?」


「ええ、実際にそうでしたわ。オニキスは凄いんですのよ、お願いすると、わたくしの全身を覆うように広がってシュワシュワさせてくるんですの。そのシュワシュワが気持ちいいのですわ。」


「ほう、全身を包むようにですか。それで息はできるんですか?」


「ええ、問題なくできましたわ。」


「なるほど、ところでライム、ライムもそういったことできるの?」


「うん、できるよー。でも、あるじはお風呂に入っているし、特に何も言われなかったからしなかっただけー。」


「そうなんだ、今度お願いしても良いかな?」


「うん、やるよー。むしろお願いして欲しいなー。」


「ということは、オニキスがそういうことができるということは、ライムが分裂するときにそういった能力をつけたのかな?」


「うん、おねーちゃん達がお風呂に凄く興味を持ってるみたいだったから綺麗になる技つけたー。」


「ということは、オニキスがもの凄く硬いのって、ライムが意識して付けたの?」


「うん、そうだよー。ぼくが2体になったら別れた方をおねーちゃん達にあげる約束だったからね。おねーちゃん達には守ってくれる仲間がいなそうだったから、守ることを一番にした方が役に立つと思ったの-。」


「そうなんだ、ライムありがとうね。そこまで考えてくれたんだ。」


 ライムの優しさに少し涙ぐむ。マーブルとジェミニもよくやった!! と言わんばかりにライムにスリスリしてきた。オニキスもそれを知ってライムにスリスリしてきた。これもいい絵だ。癒やされる。


「ライムちゃん、ありがとう。わたくし達のことを考えて用意してくれたんですのね。」


「ライムちゃんありがとう、オニキスはもの凄く活躍しているよ。」


「うん、オニキスのおかげで安心して魔法が撃てる。」


 うんうん、私は良い仲間に恵まれているな。いつも一緒にいてくれるマーブル達はもちろん、この縁を作ってくれたアマさんに感謝してアマデウス神殿にお祈りと戦利品を献上するとしますか。こうやって素直に感謝などしてくれる戦姫の3人も気持ちの良い人達だ。これから先も良い関係を築いていけたらいいなと思う。


 話を戻して、明後日の予定に関して話を詰めていく。城の使いのものをホーク亭に出してくれるそうだ。格好は冒険者の装備で問題ないそうだ。ある程度方向が定まったところで戦姫の3人は部屋を出た。


 さて、これからアマデウス神殿に向かいますか。
しおりを挟む
感想 27

あなたにおすすめの小説

外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~

海道一人
ファンタジー
俺は地球という異世界に転移し、六年後に元の世界へと戻ってきた。 地球は魔法が使えないかわりに科学という知識が発展していた。 俺が元の世界に戻ってきた時に身につけた特殊スキルはよりにもよって一番不人気の土属性だった。 だけど悔しくはない。 何故なら地球にいた六年間の間に身につけた知識がある。 そしてあらゆる物質を操れる土属性こそが最強だと知っているからだ。 ひょんなことから小さな村を襲ってきた山賊を土属性の力と地球の知識で討伐した俺はフィルド王国の調査隊長をしているアマーリアという女騎士と知り合うことになった。 アマーリアの協力もあってフィルド王国の首都ゴルドで暮らせるようになった俺は王国の陰で蠢く陰謀に巻き込まれていく。 フィルド王国を守るための俺の戦いが始まろうとしていた。 ※この小説は小説家になろうとカクヨムにも投稿しています

社畜おっさんは巻き込まれて異世界!? とにかく生きねばなりません!

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
私の名前はユアサ マモル 14連勤を終えて家に帰ろうと思ったら少女とぶつかってしまった とても人柄のいい奥さんに謝っていると一瞬で周りの景色が変わり 奥さんも少女もいなくなっていた 若者の間で、はやっている話を聞いていた私はすぐに気持ちを切り替えて生きていくことにしました いや~自炊をしていてよかったです

集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!

七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」 その天使の言葉は善意からなのか? 異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか? そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。 ただし、その扱いが難しいものだった。 転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。 基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。 ○○○「これは私とのラブストーリーなの!」 主人公「いや、それは違うな」

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

異世界転生した時に心を失くした私は貧民生まれです

ぐるぐる
ファンタジー
前世日本人の私は剣と魔法の世界に転生した。 転生した時に感情を欠落したのか、生まれた時から心が全く動かない。 前世の記憶を頼りに善悪等を判断。 貧民街の狭くて汚くて臭い家……家とはいえないほったて小屋に、生まれた時から住んでいる。 2人の兄と、私と、弟と母。 母親はいつも心ここにあらず、父親は所在不明。 ある日母親が死んで父親のへそくりを発見したことで、兄弟4人引っ越しを決意する。 前世の記憶と知識、魔法を駆使して少しずつでも確実にお金を貯めていく。

追放された引きこもり聖女は女神様の加護で快適な旅を満喫中

四馬㋟
ファンタジー
幸福をもたらす聖女として民に崇められ、何不自由のない暮らしを送るアネーシャ。19歳になった年、本物の聖女が現れたという理由で神殿を追い出されてしまう。しかし月の女神の姿を見、声を聞くことができるアネーシャは、正真正銘本物の聖女で――孤児院育ちゆえに頼るあてもなく、途方に暮れるアネーシャに、女神は告げる。『大丈夫大丈夫、あたしがついてるから』「……軽っ」かくして、女二人のぶらり旅……もとい巡礼の旅が始まる。

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

処理中です...