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第42話 ほう、みんなで狩りですか、何でこうなる?

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 テシテシ、テシテシ、ポンポン、いつもながらの朝の起こしだ。やはり、これがないと1日が始まらない。今日は、ライムは顔ではなく胸辺りを跳ねていた。昨日別に言ったわけではないんだけど、わかってくれてたのかな? まあ、明日以降わかるでしょう。


「おはよう、マーブル、ジェミニ、ライム。」


「ミャア!」


「アイスさん、おはようです!」


「あるじー、おはよう!」


 うんうん、3人とも元気だ。今日はいつもの宿ではなく久しぶりにムラでの朝を迎えている、ということは朝食は自分で作らなければならないということだ。材料何かあったかな? 空間収納で何かあるかを探す。うん、何とかなりそうだな。あとで採集しにいかなければ。さっくり作って朝食を食べる。うん、美味くはできたかな。マーブル達もとりあえず納得はしている。ほっとした。


 さて、今日はどうしようかと考えているところに、エルヴィンさんが訪ねてきた。


「アイスさん、いるかな?」


「あ、エルヴィンさん、おはようございます。どうしました?」


「おお、アイスさん、おはよう。折角帰ってきたんだから、一緒に狩りに出かけようと思ったのだが、どうかな?」


 狩りに行くと言う言葉で、マーブル達が反応した。


「ミャッ!」


「狩り? 行くです!!」


「ボク、みんなと一緒に行きたい!」


 マーブルとジェミニは敬礼で、。ライムは○橋名人バリの垂直跳びで反応する。こんな反応されては断れない。まあ、元から断るつもりもなかったけど。


「ご一緒させて下さい。3人もこんなに行きたがっていますし。」


「おお、そうか、では我々は入り口で待っているから準備ができたら来てくれ。」


「はい、ありがとうございます、では、すぐ支度して向かいますね。」


 エルヴィンさんが去った後、私達は準備を済ませる、といっても昼食の準備を空間収納に入れていくだけなので、それほど大したものは必要ない。一応ウサギ装備で固めていきますか。お揃い装備をお披露目かな。


「おお、早かったな、では早速出発するか。」


 私達が入り口に到着すると、エルヴィンさんだけでなくエーリッヒさんやハインツさんどころかカムイちゃんも一緒にいた。ゴブリン村の主力が揃っていた。みんなに挨拶をして出発をする。


 普段なら、3人の部隊長が一緒に狩りに行くことはなかったはずなので、マンシュ、じゃなかったエーリッヒさんに聞いてみる。


「今日は何を狩る予定なんですか? 部隊長どころかカムイちゃんも一緒ということは結構な大物なんですか?」


「ああ、折角アイスさん達がいるから、普段は狩るのが大変な大物を狩ろうと思ってね。」


「皆さん普通の強さじゃないんですから、大抵のものは狩れるはずでは?」


「いや、その通りなんだが、今日狩る獲物はちょいと強敵でね。今は大丈夫なのだが、いずれこのムラを襲ってきそうなヤバイやつらしい。我らだけでも倒せないことは無いが、ムラに大きな被害が出てしまうから、アイスさん達のいるうちに討伐しておいた方がいいとマーシィ教官が教えてくれてな。それと、後でいいから久しぶりに戦闘したいと教官が言ってたぞ。特に新しい仲間の強さを見てみたいとうずうずしてたな、もちろん私達も同じ考えだぞ。」


 マーシィさん、そんなこともわかるのか? 伊達にチートじみた強さを持っていても目立たなかっただけはある。マーシィさんもそう言っているのなら、久しぶりに手合わせしてみますか。それはそうと、ここのゴブリン達でも厳しい敵って一体? 彼らの強さを持ってしても被害が大きくなりそうな相手といったら、先日会ったフォレスト種のオークとオーガ、あるいはジェミニ達ヴォーパルバニーくらいしか思い浮かばないが、彼らは基本自分たちからは攻めたりしないから違うと思うし、彼らの縄張りはこんな近くにはないはず。情報が少なすぎる今は考えていても仕方が無いだろう。


 カムイちゃん達斥候組が先に出発をしてから、ハインツさんたちの近接組、エルヴィンさん達の射撃組、本体率いるエーリッヒさん達と部隊に別れて進んでいく。といっても、一隊5人くらいの集団なので、斥候組以外は隊列みたいなもので事実上ひとかたまりみたいなものだ。私達は殿ということで最後尾だった。


 ゴブリン達の装備をよく見ると、オークリーダーやオークキングの皮を加工した鎧に替わっていた。装備を新たにしたのは私達だけじゃなかった。ゴブリンのムラにいる職人は少ないが、かなり器用なのでいろいろなものが作れる。タンバラの街を驚かせているソリと呼んでいる荷台はここで作ってもらったものだ。装備が替わったことに気づいたのを察したハインツさんが話してきた。


「おう、アイスさん、気付いたかい? 先日のオーク達の襲撃で手に入れたオークの素材を使って装備を一新した。最初は気持ち悪かったが、ここの職人達が加工してくれたおかげで防具として使えるようになった。気持ち悪いとはいえ、あれだけの硬さを持った皮だから、これに換えて以来怪我をするもんが激減した。なまじの武器では傷1つつかない。そういえば、アイスさん達も装備がお揃いだな。ウサギの毛皮か? しかもこれは普通の一角ウサギじゃないな。とはいえ、防御は大したことはないんだろう?」


「ええ、防御は無いに等しいですね、これは見栄えだけです。ただ、みんなでお揃いにしたかったので。ライムには今のところそういったものは無いのですが、一応考えはあります。」


 そんな感じで話しながら進んでいくと、先行していたカムイちゃんが戻ってきた。


「エーリッヒ、ここから先に進んだところにドラゴンがいたよ。ドラゴンは森を破壊しながらこっちに向かって来ている。とりあえず確認できたのでは3体。他のことはこれに書いておいたから。」


「ドラゴンですか? 確かにマーシィ教官が言っていたような危ない存在ですな。カムイ様、できればもう少し詳しい情報が欲しいのですが、ありますでしょうか? ドラゴンも種類が豊富ですから。あとは、この書いたものですか。こ、これは、、、。」


「そうだね、黒いドラゴンだったね。飢えている感じでは無く、ただ暴れに来ている感じだったよ。大きさは10体くらいでムラがいっぱいになる位の大きさだったね。わかる範囲ではそんなところだね。書いてあることは後でどうにかできそうだから、まずは3体のドラゴンをどうにかしないと。」


「承知しました。報告お疲れ様でした。斥候組は村に戻って長に報告したら休んで下さい。」


「ありがとう、そう言っておくよ。私は残るけどね、アイスさん達の戦い方見たいし。」


「本来ならダメだと言うところですが、アイスさん達が一緒だと不思議と大丈夫な気がしますので、了承しました。しかし、カムイ様の武器では傷一つ与えられないでしょうから、攻撃は禁止します、いいですね?」


「それはわかっているよ。あくまで見学と偵察に徹するよ。キミの指揮通りに動くからいつでも言って。」


「わかりました。お手数ですが、ハインツとエルヴィンとアイスさんを呼んできて下さい。」


 カムイちゃんにエーリッヒさんの所に向かうよう言われた。ここの指揮官はエーリッヒさんが執っているので、その指示に従ってハインツさんと一緒にエーリッヒさんの所に向かった。


「エーリッヒ、何かわかったか?」


「みんな、揃ったな。カムイ様からの報告によると、敵はブラックドラゴン3体だ。飢餓状態ではなく蹂躙目的らしい。蹂躙目的なら話は通じないから迎え撃たないとムラに影響が出てくる。」


「ブ、ブラックドラゴンだと? こいつはやばいのが来たな。敵が大物ということで、武器は一番いいやつを用意してきたが。」


「こちらも鏃は一番いいやつを用意した。といっても通じるかどうかはわからないけどな。」


 ブラックドラゴンということで、ゴブリンの部隊長達は緊張の色が見えたが、マーブル達はそうではなかった。


「ミャア-!!」


「ブラックドラゴンです? 久しぶりに全力で戦えるです!! 肉が美味しいです!!」


「ボク、戦えないけど、お肉綺麗にするよー!!」


 マーブルとジェミニは緊張するどころかむしろやる気である。それを見たエーリッヒさんたちは呆れた顔をしながら、その実はホッとしている様子だった。


「マーブル達はドラゴンが相手でも平気なのか。流石だな。ジェミニもか。ヴォーパルバニーは伊達ではないな。ということは、アイスさんも大丈夫そうだな。よし、これで作戦を立てられるかな。」


「エーリッヒ、何とかなりそうか?」


「ああ、アイスさん達が来てくれているときで良かった。俺たちだけでも1体ならどうにでもなるからな。」


 エーリッヒさんの話でハインツさんたちは頷いてくれてるが、ひょっとして、これって私達が来ているからドラゴンが来ているのでは? ひょっとして、私、巻き込まれ体質? 仮にそんな体質だったら、アマさん恨むよ? いくらマーブル達と一緒に旅ができるといっても、これはないだろう。今度会ったらその辺問い詰めていかないとな。まあ、それよりも襲ってくるのならバンカーで粉砕するのみ。粉砕できるのかな?


「よし、では作戦を伝える。済まないが、アイスさん達は2体を倒してくれ。細かいところは任せる。」


「わかりました。2体はそちらに気が向かないようにして倒します。」


「助かる。倒した2体は好きにしてくれて構わない。では、残りの1体をわれわれが倒すのだが、いつものように攻撃してもあの堅い鱗には傷一つつかないだろう。そこで、我々本体が魔法を中心に動きを止める。止めたところを射撃組で一点集中して攻撃。傷口が開いたところで近接組が攻撃してくれ。作戦というか倒すにはこれしか思い浮かばないが、大丈夫か?」


「お前が、それしかないと言うのであればそれに従う。仮に失敗しても恨まんよ。」


「済まんな。恐らくこいつを倒して素材が手に入れば、装備に置いて不安が一気に解消する。頑張ろう。」


 作戦が決まったところで、配置に就く。配置と言っても、ゴブリン組と私達で分散して戦うだけだが。それぞれ別れて進んだときに、カムイちゃんが来た。


「アイスさん、ゴメンね。エーリッヒ以外には伝えていなかったんだけど、実はブラックドラゴンの3体の後ろでさらにヤバイドラゴンがいたんだ。あの3体を率いていたと思う。私達だけでも3体倒せばあの1体は退きそうな感じだったから敢えて言わなかったんだけど、今後を考えたらやっぱり倒しておいた方がいいと思うの。」


「わかった。見てみないとわからないけど、何とかなると思うよ。2体とボスのドラゴンは任せて。」


「ありがとう。では、お願いします。」


 そう言ってカムイちゃんはゴブリン達の進む方向に向かっていった。気配探知で3体の存在を確認したが、さらに進むと探知範囲にもう1体の存在が確認された。うん、デカい存在だな。最初に探知した3体もデカかったが、もう1体はそれらの2倍はあるな。よし、今までのおさらいを兼ねて張り切っていきましょうか。まずは2体からかな。


 3体の気配は私達の存在を確認すると、2体はこちらに、1体はゴブリン達の方へと向かって来た。よし、無駄な手間が省けた。では、狩りの時間だ。
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