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第178話 さてと、護衛依頼が指名で来たようです。
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前回のあらすじ:我が領にもスパイが来るようになりましたね。
・・・それは唐突に起こった。何の前触れもなく、戦姫がマーブル達と楽しく朝食を摂っているときに押しかけてきたのだ。いや、そんな勢いで押し掛けてこなくても、、、。いつもどおり普通に入ってくればいいじゃん、別に新作を作っているわけじゃないんだから、とか思っていたら違ったようだ。
「アイスさん! いきなりですが、Cランク冒険者としてのアイスさん達を指名依頼致しますわ!!」
「・・・いきなり何ですか? 一緒に朝食を食べたいならいつもどおり普通に来ればよかったのでは?」
「いえ! 今申した通り、アイスさん達に護衛任務を引き受けて頂きたいと思いますの!」
「まあ、指名依頼なら引き受けますよ。他ならぬ戦姫の依頼ですからね。でも、護衛任務とは初耳なのですがね。」
「まあ、それは良いではないですか、、、。とりあえずお引き受けくださりありがとうございます。」
よかった。落ち着いてくれたか。久しぶりの護衛任務だな、って、今の状態に転生してから護衛任務ってしたことあったっけ? タンヌ王国へと行ったのは援軍としてだったしな。まあ、いいか。とりあえず詳細を聞いてみないことには、ねぇ。
「ところで、護衛任務とのことですが、日帰りなので?」
「いえ、行き先なのですが、ルクレチ王国ですの。」
「ルクレチ王国? 初めて聞きますが、一体何処にあるので?」
「・・・アイスさん、曲がりなりにも侯爵なのですから、一応ある程度の国は把握しておくべきだとワタクシ思いますの、、、。」
「正直興味ないですしね。トリトン陛下もタンヌ王国以外とは別に友好関係を結ぶ気ないですしね。」
「まあ、帝国と王国については、ワタクシとアイスさんの関係が強いですからね。アイスさんがいなければ関係は自然と消滅するかもしれませんし。内容もそうなっているみたいですわ。だからといって、いい加減な対応はしていないでしょうけれども。」
「あれ、どう見てもいい加減じゃないでしょ。端から見ていると、蜜月関係以外の何者でもないでしょ。」
「・・・ですわね。まあ、それは置いておきまして、その、ルクレチ王国ですが、タンヌ王国の隣国ですわ。タンヌ王国は、トリトン帝国とサムタン公国と、今申し上げたルクレチ王国とも国境を接しておりますの。他には、「ああ、もういいです。覚えきれないですし、興味ないですし。」、、、。」
他にもいくつかありそうだったけど、聞くのも面倒だから打ち切らせてもらった。興味があったら、アインやラヒラス、あるいはガブリエルから聞けばいいでしょ。彼らが言ってこないということは、私が興味を持つものがない、あるいは、まだ発見されてないということだからね。
「とりあえず、日帰りでは行けない場所、というのはわかりましたけど、私は構いませんが、フロストの町はどうしましょうかね? 流石に長期間空けるわけにもいきませんしね。」
「それについては手配済みですわ。トリトン陛下はもちろんのこと、リトン宰相にも話は通してあります。言うまでもなく、フェラーさんとカムドさん達にも話してありますわ。それに、アイスさん達、行きはともかくとして、帰りはマーブルちゃんの転送魔法で町に戻りますわよね?」
「確かにそうですね。ちなみにここからどのくらいの距離なのですか?」
「ゼクス達の話によると、馬車で2ヶ月くらいの距離だと聞いておりますわ。」
「道中は面倒な場所とかあるんですかね?」
「いえ、街道に沿って進むだけで到着するらしいですわ。」
「街道ですか、、、。馬車が必要ですねぇ、、、。」
アイスの言った馬車という言葉にマーブル達の目が光ったが、アイスはそれに気付くことはなかった。
「そういえば、ルクレチ王国には何用で?」
「そう、それです! ルクレチ王国で武術大会が行われるらしく招待状が届いたみたいで、タンヌ王国から代表としてワタクシ達に、お父様から行ってこいと言われまして、、、。」
「なるほど。しかし、何でアンジェリカさん達なんでしょうかね?」
「さぁ? その辺についてはワタクシ達もわかりませんわ。ただ、そのルクレチ王国で行われる武術大会ですが、何でも前回行われたのが20年前と伺っておりますわ。」
「20年前? 何で20年前なんだ!?」
「なんでも、ルクレチ王国では、その武術大会は特別なものらしく、優勝者には姫と婚約する権利が与えられるのだとか。要は王の跡継ぎを決める大会だと聞いたことがありますわ。」
「はゐ? 武術大会の優勝者が次の王ですか? うわぁ、政治経済を碌に学んでいなそうな人間が次の王ですかい、、、。私も人のことは言えないけど、まだ私は一領主だからマシだけど、そんなのが国を治める立場になるって、その国大丈夫なのか?」
「一応、大臣や文官もいるみたいだけど、どうやら世襲制らしいね。」
「セイラさん細かい説明ありがとう。もうちょい詳細な内容が欲しいかな、、、。」
「セイラ、申し訳ないけど、アインさんとラヒラスさん、それにガブリエルさんを呼んできてほしいのですわ。それと、途中で見かけたら、フェラーさんかカムドさんにも声をかけて。」
「承知しました!」
セイラさんがすぐに部屋から出る。それほど間を置かずして、カムドさんとアインとラヒラス、それとガブリエルが入ってきた。代表してカムドさんが聞いて来た。
「アイスさん、急な呼び出しですが、ひょっとしたら、アンジェリーナ様達の件で?」
「うん、そう。ちょっと行き先のルクレチ王国について教えて欲しいと思ってね。」
「ルクレチ王国か、、、。ゴメン、俺はわからないな。」
「申し訳ありませんが、私達諜報部隊も、ルクレチ王国には派遣をしておらず、場所と武術大会があるくらいしか存じておりません。」
ラヒラスとガブリエルはわからないようだ。まあ、そりゃあ国境を接してないからねぇ。
「俺も少し聞きかじり程度でしか知らないが、本当に何もない所らしい。ただ、自然豊かではあるから、食べ物は結構豊富らしく、この町ができるまでの帝国よりは豊かだそうだ。あと、国自体は建国当初から代々世襲制となっているようで、停滞しきっているみたいだ。」
「私の方では、彼の国には特殊な魔物が多いと聞いております。ただ、領民達は自然の恵みのみで生活しているようなので、それらの魔物が食せるかどうかはわかっておりません。それはアイスさん達が直接確かめるのがよろしいかと、、、。」
「なるほど。苦労をしなくても生活が成り立っているんだね。ということは、領民達は自分で魔物討伐はしていない、ということでもあるのかな?」
「どうやらそうらしいです。ただ、兵士達も代々世襲制となっておりますので、魔物ともそこそこ戦ってはいるらしく、軍はそれなりの強さみたいですな。」
「なるほど、ありがとう。十分参考になったよ。あ、ラヒラス、戻るついでにギルド長を呼んできて。」
私がそう言うと、4人は部屋を出て行った。そしてその後ギルド長が来た。
「フロスト侯爵、お呼びと伺いましたが。」
「ギルド長、いきなり悪いね。ギルド長に聞きたいんだけど、ルクレチ王国の冒険者ギルドについて何か知っていることはあるかな?」
「侯爵、申し訳ないのですが、かの国には冒険者ギルドは存在しておりません。下手をすると宿屋も存在していないかもしれません。」
「まじか? じゃあ、武術大会では参加者は、どこで寝泊まりするんだろうなぁ、、、。」
「参加者はルクレチ王国の国民限定となっているようで、観客も民衆と招待者とその関係者に限られるらしく、招待者とその関係者は王城で寝泊まりできるようです。」
「なるほど、つまりは王城に寝泊まりしなくてもいい、ということだな。野宿するということで、屋外の適当な場所で転送ポイントを確保できるな。それはそうと、魔物の素材とかどうしてるんだろうな、、、。」
「それについてはこちらも把握しておりません。それで、侯爵にお願いが、、、。」
「皆まで言わなくてもわかってるよ。いいものが手に入ったら卸せ、ということだよね?」
「お察し頂きありがとうございます。私達で把握していることは以上です。」
ギルド長にお礼を言うと、ギルド長は部屋を出た。忙しいところゴメンね。
さてと、これからルクレチ王国に行く準備をしますか、、、。って、ルクレチ王国ってどっかで聞いたような国名だな、、、。ん? まさか、、、。いや、今考えても仕方がないか。まずは準備だ準備。あ、そういえば、いつ出発するんだ?
「ところで、アンジェリカさん達、ここを出発するのはいつですか?」
「大会は2ヶ月後となりますので、できれば明日か明後日あたりを考えておりますわ。」
「了解。じゃあ、それに合わせて準備をしますか。」
「ええ、ではワタクシ達はこれにて。」
戦姫の3人も部屋から出た。朝食は済ませたんだな、、、。すっかり朝食のことを忘れてしまった状態でみんなを呼んでしまったので、折角用意した朝食が冷めてしまった。まあ、冷めても問題ないけど、マーブル達には悪いことをしちゃったな。即座にマーブル達に謝ると、慌てた様子で「気にしてないよ」という態度になった。あ、あれは何か企んでいる様子だな。それについて考えるのは後にしよう。
朝食が済んで、マーブル達とモフモフタイムを楽しんだ後、出発の準備を始める。といっても、ある程度進んだら、ここに戻る予定なので、幾ばくかのお小遣いや食料を用意するだけの簡単なものだ。一番時間が掛かるのは馬車かな。私とマーブル達だけであれば、馬車は必要ないけど、今回は戦姫の護衛としての移動なので、戦姫達には馬車は必要である。ということで、職人達に預けてある馬車の整備を依頼するべく、職人達の元へと行くことにした。
職人達の所へ行くと、職人達は話を既に聞いていたらしく、準備もしっかりと整えていた。問題が起こったのはその後だった。馬車を引くメンバーについて少し揉めてしまったからだ。というのも、私の考えでは馬を数頭使って移動しようと考えていた。一応、フロストの町にも馬は存在する。アウグスト以外でね。そのアウグストはウルヴの乗馬であり、アウグストの速度に合わせられるのは1頭もいない。その前にアウグストは連れて行くという選択肢はそもそも存在しない。
では、何故もめたのか? 答えは簡単である。マーブル達が手綱を加えて引く気満々だったからである。それだけでなく、ウサギ達も自分が引くと言って譲らない。更には恵みのダンジョンに常駐しているはずの豆柴達も参戦してきたのだ。豆柴達は合体すれば引き手として問題ない存在になるのだけど、逆にそうしてもらうとタンヌ王国内で大騒ぎとなってしまう。
マーブル達やウサギ達もそうだけど、豆柴達に引いてもらうのも正直気が引けるのだ。いや、力や速度については問題ない、問題ないのだけど、乗っている身としては、非常に申し訳ない気持ちで一杯になるのである。
話し合いはかなり長引いた。長引いたというか、準備に一番時間が掛かったのが、馬車を引くメンバーの選出である。気持ちは非常に嬉しい反面、本当にいいのか? という気持ちで一杯でもある。かなり紛糾してはいるけど、暴力沙汰にならないのは非常に誇らしいことだ。その一面だけでも、我が領自慢のペット達であることは間違いない。
話し合いは長く続いたけど、結局交代で引くことに決まったようだ。ということでメンバー追加ですよ、追加。まあ、私はテイマーとして登録しているらしいから、数的には問題なさそうだけど、何か心が痛いです、、、。
でも、話し合いが終わった後、メンバー全員が私に飛びついてモフモフという賄賂のようなものを与えてきたので断れなくなったのも、見守ってしまった大きな原因であるのは言うまでもないことだった。
-------------------------
トリトン陛下「おう、宰相、フロスト侯爵が護衛でここをしばらく離れるようだぞ。」
リトン宰相「ええ、その話は伺っております。」
トリトン陛下「ということは、だ。例の計画を実行できる、ということでもあるな。」
リトン宰相「いえ、残念ながらそれは無理かと。」
トリトン陛下「何でだ!? 侯爵がしばらくいなくなるんだぞ!?」
リトン宰相「お忘れですか? 侯爵には誰がお伴についているのかを?」
トリトン陛下「マーブルか、、、。そりゃ、無理だよな、、、。」
リトン宰相「ええ、事実上不可能ですよ。別の手を考えないと。」
懲りない2人であった、、、。
・・・それは唐突に起こった。何の前触れもなく、戦姫がマーブル達と楽しく朝食を摂っているときに押しかけてきたのだ。いや、そんな勢いで押し掛けてこなくても、、、。いつもどおり普通に入ってくればいいじゃん、別に新作を作っているわけじゃないんだから、とか思っていたら違ったようだ。
「アイスさん! いきなりですが、Cランク冒険者としてのアイスさん達を指名依頼致しますわ!!」
「・・・いきなり何ですか? 一緒に朝食を食べたいならいつもどおり普通に来ればよかったのでは?」
「いえ! 今申した通り、アイスさん達に護衛任務を引き受けて頂きたいと思いますの!」
「まあ、指名依頼なら引き受けますよ。他ならぬ戦姫の依頼ですからね。でも、護衛任務とは初耳なのですがね。」
「まあ、それは良いではないですか、、、。とりあえずお引き受けくださりありがとうございます。」
よかった。落ち着いてくれたか。久しぶりの護衛任務だな、って、今の状態に転生してから護衛任務ってしたことあったっけ? タンヌ王国へと行ったのは援軍としてだったしな。まあ、いいか。とりあえず詳細を聞いてみないことには、ねぇ。
「ところで、護衛任務とのことですが、日帰りなので?」
「いえ、行き先なのですが、ルクレチ王国ですの。」
「ルクレチ王国? 初めて聞きますが、一体何処にあるので?」
「・・・アイスさん、曲がりなりにも侯爵なのですから、一応ある程度の国は把握しておくべきだとワタクシ思いますの、、、。」
「正直興味ないですしね。トリトン陛下もタンヌ王国以外とは別に友好関係を結ぶ気ないですしね。」
「まあ、帝国と王国については、ワタクシとアイスさんの関係が強いですからね。アイスさんがいなければ関係は自然と消滅するかもしれませんし。内容もそうなっているみたいですわ。だからといって、いい加減な対応はしていないでしょうけれども。」
「あれ、どう見てもいい加減じゃないでしょ。端から見ていると、蜜月関係以外の何者でもないでしょ。」
「・・・ですわね。まあ、それは置いておきまして、その、ルクレチ王国ですが、タンヌ王国の隣国ですわ。タンヌ王国は、トリトン帝国とサムタン公国と、今申し上げたルクレチ王国とも国境を接しておりますの。他には、「ああ、もういいです。覚えきれないですし、興味ないですし。」、、、。」
他にもいくつかありそうだったけど、聞くのも面倒だから打ち切らせてもらった。興味があったら、アインやラヒラス、あるいはガブリエルから聞けばいいでしょ。彼らが言ってこないということは、私が興味を持つものがない、あるいは、まだ発見されてないということだからね。
「とりあえず、日帰りでは行けない場所、というのはわかりましたけど、私は構いませんが、フロストの町はどうしましょうかね? 流石に長期間空けるわけにもいきませんしね。」
「それについては手配済みですわ。トリトン陛下はもちろんのこと、リトン宰相にも話は通してあります。言うまでもなく、フェラーさんとカムドさん達にも話してありますわ。それに、アイスさん達、行きはともかくとして、帰りはマーブルちゃんの転送魔法で町に戻りますわよね?」
「確かにそうですね。ちなみにここからどのくらいの距離なのですか?」
「ゼクス達の話によると、馬車で2ヶ月くらいの距離だと聞いておりますわ。」
「道中は面倒な場所とかあるんですかね?」
「いえ、街道に沿って進むだけで到着するらしいですわ。」
「街道ですか、、、。馬車が必要ですねぇ、、、。」
アイスの言った馬車という言葉にマーブル達の目が光ったが、アイスはそれに気付くことはなかった。
「そういえば、ルクレチ王国には何用で?」
「そう、それです! ルクレチ王国で武術大会が行われるらしく招待状が届いたみたいで、タンヌ王国から代表としてワタクシ達に、お父様から行ってこいと言われまして、、、。」
「なるほど。しかし、何でアンジェリカさん達なんでしょうかね?」
「さぁ? その辺についてはワタクシ達もわかりませんわ。ただ、そのルクレチ王国で行われる武術大会ですが、何でも前回行われたのが20年前と伺っておりますわ。」
「20年前? 何で20年前なんだ!?」
「なんでも、ルクレチ王国では、その武術大会は特別なものらしく、優勝者には姫と婚約する権利が与えられるのだとか。要は王の跡継ぎを決める大会だと聞いたことがありますわ。」
「はゐ? 武術大会の優勝者が次の王ですか? うわぁ、政治経済を碌に学んでいなそうな人間が次の王ですかい、、、。私も人のことは言えないけど、まだ私は一領主だからマシだけど、そんなのが国を治める立場になるって、その国大丈夫なのか?」
「一応、大臣や文官もいるみたいだけど、どうやら世襲制らしいね。」
「セイラさん細かい説明ありがとう。もうちょい詳細な内容が欲しいかな、、、。」
「セイラ、申し訳ないけど、アインさんとラヒラスさん、それにガブリエルさんを呼んできてほしいのですわ。それと、途中で見かけたら、フェラーさんかカムドさんにも声をかけて。」
「承知しました!」
セイラさんがすぐに部屋から出る。それほど間を置かずして、カムドさんとアインとラヒラス、それとガブリエルが入ってきた。代表してカムドさんが聞いて来た。
「アイスさん、急な呼び出しですが、ひょっとしたら、アンジェリーナ様達の件で?」
「うん、そう。ちょっと行き先のルクレチ王国について教えて欲しいと思ってね。」
「ルクレチ王国か、、、。ゴメン、俺はわからないな。」
「申し訳ありませんが、私達諜報部隊も、ルクレチ王国には派遣をしておらず、場所と武術大会があるくらいしか存じておりません。」
ラヒラスとガブリエルはわからないようだ。まあ、そりゃあ国境を接してないからねぇ。
「俺も少し聞きかじり程度でしか知らないが、本当に何もない所らしい。ただ、自然豊かではあるから、食べ物は結構豊富らしく、この町ができるまでの帝国よりは豊かだそうだ。あと、国自体は建国当初から代々世襲制となっているようで、停滞しきっているみたいだ。」
「私の方では、彼の国には特殊な魔物が多いと聞いております。ただ、領民達は自然の恵みのみで生活しているようなので、それらの魔物が食せるかどうかはわかっておりません。それはアイスさん達が直接確かめるのがよろしいかと、、、。」
「なるほど。苦労をしなくても生活が成り立っているんだね。ということは、領民達は自分で魔物討伐はしていない、ということでもあるのかな?」
「どうやらそうらしいです。ただ、兵士達も代々世襲制となっておりますので、魔物ともそこそこ戦ってはいるらしく、軍はそれなりの強さみたいですな。」
「なるほど、ありがとう。十分参考になったよ。あ、ラヒラス、戻るついでにギルド長を呼んできて。」
私がそう言うと、4人は部屋を出て行った。そしてその後ギルド長が来た。
「フロスト侯爵、お呼びと伺いましたが。」
「ギルド長、いきなり悪いね。ギルド長に聞きたいんだけど、ルクレチ王国の冒険者ギルドについて何か知っていることはあるかな?」
「侯爵、申し訳ないのですが、かの国には冒険者ギルドは存在しておりません。下手をすると宿屋も存在していないかもしれません。」
「まじか? じゃあ、武術大会では参加者は、どこで寝泊まりするんだろうなぁ、、、。」
「参加者はルクレチ王国の国民限定となっているようで、観客も民衆と招待者とその関係者に限られるらしく、招待者とその関係者は王城で寝泊まりできるようです。」
「なるほど、つまりは王城に寝泊まりしなくてもいい、ということだな。野宿するということで、屋外の適当な場所で転送ポイントを確保できるな。それはそうと、魔物の素材とかどうしてるんだろうな、、、。」
「それについてはこちらも把握しておりません。それで、侯爵にお願いが、、、。」
「皆まで言わなくてもわかってるよ。いいものが手に入ったら卸せ、ということだよね?」
「お察し頂きありがとうございます。私達で把握していることは以上です。」
ギルド長にお礼を言うと、ギルド長は部屋を出た。忙しいところゴメンね。
さてと、これからルクレチ王国に行く準備をしますか、、、。って、ルクレチ王国ってどっかで聞いたような国名だな、、、。ん? まさか、、、。いや、今考えても仕方がないか。まずは準備だ準備。あ、そういえば、いつ出発するんだ?
「ところで、アンジェリカさん達、ここを出発するのはいつですか?」
「大会は2ヶ月後となりますので、できれば明日か明後日あたりを考えておりますわ。」
「了解。じゃあ、それに合わせて準備をしますか。」
「ええ、ではワタクシ達はこれにて。」
戦姫の3人も部屋から出た。朝食は済ませたんだな、、、。すっかり朝食のことを忘れてしまった状態でみんなを呼んでしまったので、折角用意した朝食が冷めてしまった。まあ、冷めても問題ないけど、マーブル達には悪いことをしちゃったな。即座にマーブル達に謝ると、慌てた様子で「気にしてないよ」という態度になった。あ、あれは何か企んでいる様子だな。それについて考えるのは後にしよう。
朝食が済んで、マーブル達とモフモフタイムを楽しんだ後、出発の準備を始める。といっても、ある程度進んだら、ここに戻る予定なので、幾ばくかのお小遣いや食料を用意するだけの簡単なものだ。一番時間が掛かるのは馬車かな。私とマーブル達だけであれば、馬車は必要ないけど、今回は戦姫の護衛としての移動なので、戦姫達には馬車は必要である。ということで、職人達に預けてある馬車の整備を依頼するべく、職人達の元へと行くことにした。
職人達の所へ行くと、職人達は話を既に聞いていたらしく、準備もしっかりと整えていた。問題が起こったのはその後だった。馬車を引くメンバーについて少し揉めてしまったからだ。というのも、私の考えでは馬を数頭使って移動しようと考えていた。一応、フロストの町にも馬は存在する。アウグスト以外でね。そのアウグストはウルヴの乗馬であり、アウグストの速度に合わせられるのは1頭もいない。その前にアウグストは連れて行くという選択肢はそもそも存在しない。
では、何故もめたのか? 答えは簡単である。マーブル達が手綱を加えて引く気満々だったからである。それだけでなく、ウサギ達も自分が引くと言って譲らない。更には恵みのダンジョンに常駐しているはずの豆柴達も参戦してきたのだ。豆柴達は合体すれば引き手として問題ない存在になるのだけど、逆にそうしてもらうとタンヌ王国内で大騒ぎとなってしまう。
マーブル達やウサギ達もそうだけど、豆柴達に引いてもらうのも正直気が引けるのだ。いや、力や速度については問題ない、問題ないのだけど、乗っている身としては、非常に申し訳ない気持ちで一杯になるのである。
話し合いはかなり長引いた。長引いたというか、準備に一番時間が掛かったのが、馬車を引くメンバーの選出である。気持ちは非常に嬉しい反面、本当にいいのか? という気持ちで一杯でもある。かなり紛糾してはいるけど、暴力沙汰にならないのは非常に誇らしいことだ。その一面だけでも、我が領自慢のペット達であることは間違いない。
話し合いは長く続いたけど、結局交代で引くことに決まったようだ。ということでメンバー追加ですよ、追加。まあ、私はテイマーとして登録しているらしいから、数的には問題なさそうだけど、何か心が痛いです、、、。
でも、話し合いが終わった後、メンバー全員が私に飛びついてモフモフという賄賂のようなものを与えてきたので断れなくなったのも、見守ってしまった大きな原因であるのは言うまでもないことだった。
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トリトン陛下「おう、宰相、フロスト侯爵が護衛でここをしばらく離れるようだぞ。」
リトン宰相「ええ、その話は伺っております。」
トリトン陛下「ということは、だ。例の計画を実行できる、ということでもあるな。」
リトン宰相「いえ、残念ながらそれは無理かと。」
トリトン陛下「何でだ!? 侯爵がしばらくいなくなるんだぞ!?」
リトン宰相「お忘れですか? 侯爵には誰がお伴についているのかを?」
トリトン陛下「マーブルか、、、。そりゃ、無理だよな、、、。」
リトン宰相「ええ、事実上不可能ですよ。別の手を考えないと。」
懲りない2人であった、、、。
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