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第126話 さてと、新たな出会いの予感がしますね。

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前回のあらすじ:久しぶりに作るので、レシピ忘れた。



 テシテシ、テシテシ、ポンポン、ツンツン。さあ、今日も始まりました。さて、今回はコカトリスさんも参加ということですね。うん、いつもの光景にほっとしますな。ここ最近は、食事たかられたり、移動中本当に何も起こらなかったりと、面倒事や退屈といった精神的に厳しいことが連続して起こっておりましたからねえ。


 マーブル、ジェミニ、ライム、コカトリスと順番にモフプヨを楽しんでいるところ、何かボールみたいなものが飛んできたのでキャッチしたところ、ボールが雨粒みたいな形に変化した。はい、ゼータですね。すっかり忘れてましたよ。ただ、この子は硬いのでプヨプヨが楽しめないので、代わりにドリブルしましたよ。案外喜んでくれていたので良しとしましょうかね。


 いつものように、コカトリスが産みたての卵を渡してくれたので、お礼に追加でモフっておいた。その後はコカトリスさん退場です。あ、ついでにゼータもコカトリスと一緒に出て行きました。ゼータは流石に一緒には連れて行けないけど、領民の子供達と楽しく遊んでいるそうなのでよかったです。


 さて、顔を洗ったりしてサッパリしてから、朝食の準備をこれから行うわけですが、それと同時に、漬けておいたスライス済みのオーガ肉の出来具合を確かめておかないとね。押し麦の在庫が心許なくなってきたので、まずはそれの追加である。一応まだ残りはあるけど、不意になくなったりすることもありそうなので、余裕はあるに越したことはないので、しっかりと準備しておく。


 最近は押し麦も日に日に美味くなっているのは気のせいだろうか。そういえば、最近さらに神々へのお供え物が増えているらしい。まさか、その影響もあるのか? 一体この領域はどっちへ進もうとしているのだろうか、、、。一応私が領主ではあるけど、細かいところはノータッチだから、、、。


 まあ、押し麦の件はおいといて、オーガ肉の状態を確認する。うん、良い感じに漬かっているかな。では、これをジャーキーにする作業をしていかないとね。ちなみに今回は10頭分のオーガ肉を使用した。試しに1頭分やってみたけど、あのタレでどの位までいけるか試したら10頭分だったので、10頭分作成したのである。とはいえ、10頭分でもこれかなりの量あるな。午前中はこれで時間を使ってしまうかな。


 とりあえず、しっかりと漬かっていることが確認出来たらそれでいいです。作業前に朝食を頂くとしますかね。いろいろと同時進行で行ってしまったため、朝食の時間は少し遅くなってしまったが、想定の範囲内だから大丈夫、ということにしておこう。


 朝食もしっかりと食べて、後片付けもしっかりと行い、マーブル達の感触を少し楽しんだら、今日のメインである乾燥作業である。流石にこの量だと、かなりの数の鉄網を用意する必要があるけど、その辺は解決済みである。鉄の網に関しては、ゴブリンの職人を始めとして、領内の職人にすでに頼んでおいてあり、コツコツと少しずつ数を増やしており、今も少しずつ増えている。鉄網の使い途については、別にジャーキーを作るときだけに使うわけではなく、いろいろな場面で使えるので空間収納にもそれなりの数は入っている。


 空間収納から鉄網を取りだし、壺から漬けた肉を1枚ずつ取りだして、網に敷いていく。何枚かその作業をしていると、アンジェリカさん達が来た。アンジェリカさん達はそれを見て手伝うと言いだしたので、お言葉に甘えることにした。すでに手を洗って準備も万端とのことだった。


 戦姫の3人に手伝ってもらったおかげで、作業は順調に進み、用意した肉全部を焼き場と個人的に呼んでいる保管庫へと運び込む。焼き場には煙突、というか、匂いを部屋から出す通気孔があるので、そこを焼き場にしているためだ。最初に私が肉の水分を水術でできるだけなくしていく。


 ジャーキーに最適と思われるくらいまで水分を飛ばしてからは、マーブルの出番である。マーブルに弱めの火魔法と風魔法でじっくりと焼きながら、その煙は領内に飛ばないように上空に出す感じに誘導するよう調節してもらい、あとは完成を待つばかりである。とはいえ、すぐに出来るものでもないので、今日一日の行程を終えた後にようやく試食会というわけである。


 ジャーキーの準備は完了したので、ようやく今日の行程をこなしに行く。流石にこのままではよろしくないので、手洗いや着替えなどを済ませてからの出発なので、改めて準備してもらう。


 準備が整ったので、マーブルの転送魔法で昨日の転送ポイントへと移動した。気配探知である程度周囲を確認してみたけど、やはり何もいなかった。山道はそれなりに移動しづらかったので、こんな中で奇襲を受けてしまうといろいろと面倒だ、ということで、気配探知をかけたまま進んでいくが、これによって何もいない理由がわかってしまった。というのも、気配探知にかかる存在が出てきたときに、思わず「キターーー」と絵文字も添えて喜んでしまったのも束の間、ある程度の距離まではそのまま近づいてくる感じだったけど、それ以上近づいてしまうと、その存在は逃げるように離れていってしまうのだ。新たに別の存在を探知しても同じ結果だった。そう、いないのではなく、こちらの気配に気付くと逃げてしまうのだ。恐らくマーブルやジェミニの存在が大きいのだろう。


 いない原因がわかったので、その後は奇襲を受けても大丈夫な程度の範囲で探知をかけて道中を進むことにした。途中、休憩を兼ねて昼食を摂りつつ、ノンビリと過ごしていると、数体、こちらに近づいてくる気配を探知した。近づき方が何やらこちらを襲う感じではなかったけど、一応3人には伝えておくか。


「こちらに数体近づいてくる気配を感じました。ただ、近づき方がこちらを襲う感じではないので、そのままの状態で待つことにしましょう。」


「私の方でも気配を探知したけど、そこまではわからなかった、、、。やっぱりアイスさん、おかしい。」


「えぇ、、、。別におかしくないですよ。こんなのは慣れです、慣れ。」


「これでも、アイスさん達よりかは冒険者稼業長いって自負してるんだけどなぁ、、、。」


「それは環境の違いでしょうね。私もマーブルと出会えなければずっと一人だった訳ですし。運良くねぐらが見つかって、マーブルと出会えたおかげで、こうして生きてますけど、それがなければどうなっていたやら考えたくもない状況でしたしねぇ、、、。」


「なるほど。確かにあのねぐら自体は生活しやすいけど、その周辺の地域って実際にどこなのかわからないような場所だよね、あそこら辺って、、、。」


「そうなんですよね。ちなみに、マーブルもジェミニもライムも、フロストの町から転送魔法無しであの場所に行けって言われても行けないそうですよ。」


「えっ? マーブルちゃん達が行けないの? そりゃ、私達にはムリだよね、、、。」


「そういうことです。おっと、そろそろこっちに到着しそうですね。とはいえ、警戒は最低限で十分でしょう。それよりも何でこちらに近づいてきたのか気になるところですね。」


 やって来たのは、3人。1人は私と同じくらいの身長で、もう1人はその1人よりも頭1つ分小さく、最後の1人は最初の1人より頭1つ分大きかった。身長順に並んでくれるとよかった、とか思ったのは内緒だ。どの人も髭もじゃで筋肉質であるのが特徴だ。先頭にいる私と同じくらいの身長の人が話しかけてきた。


「こんなところに人が来たから、一体何かと思って来てみたけど、食事だったか。邪魔して済まんな。」


「ああ、食事は終わったところなので気にしなくてもいいです。で、わざわざこちらに来たのは何故で?」


「ん? ここで食事といい、我らを見ても普通にしているといい、お主達こそ何故ここに? 我らを探しに来たのじゃないのか?」


「へ? 貴方達を探しに? 何で? 何か訳ありですか?」


「う、うむ、、、。」


「いや、話したくなければ特に何も言わなくてもいいですが。」


「そ、そうか。まあ、お主達には話してもよかろう。ワシはロックという名だ。ノームという種族だ。で、こっちの小っこいのはガンド、ドワーフ族だ。デカいのはボーラといい、ジャイアント族だ。」


 な、何、だ、と? ノームにドワーフにジャイアントだと?


「わざわざ紹介して頂き感謝します。ではこちらも、私はアイス・フロスト、人族です。こちらにいるのは、右から順番にマーブル、ジェミニ、ライムといいます。」


「む? お、お主。お主が連れているのは、見た感じ普通の猫とウサギとスライムだが、こやつらは普通の猫とウサギとスライムじゃなかろう。とんでもないものを連れておるな。」


「我が猫達を褒めてくれるのは嬉しいけど、この猫達はどれも私のかわいい自慢の子、それだけですよ。」


 そういうと、マーブル達は嬉しそうに私にダイブしてきた。


「む、むう、、、。あれほどのランクの魔物がああも懐くとは、、、。」


 何か言ってるけど、別にテイムしたとかじゃないからねえ。まあ、何であれ、マーブル達は大切な我が子達であることに変わりはない。


「驚いているところ申し訳ありませんが、折角ですからワタクシ達も自己紹介させて頂きますわ。」


「お、おう、そうじゃな。是非お願いする。」


「ワタクシの名はアンジェリカ、こちらにいるのがセイラ、こちらはルカと申しますわ。ワタクシ達もアイスさんと同様に人族ですの。それで、このスライムがオニキスという名ですわ。」


「ま、待て、アンジェリカ、セイラ、ルカじゃと!? ま、まさか、お主達は戦姫!?」


「ええ、確かにワタクシ達3人は戦姫という名で冒険者をしておりますわ。」


「アイスだったか? お主達はなぜここに来たのだ? しかも戦姫を連れて。」


「ん? 公都にこちらにいるアンジェリカさん達が用があるから、そっちに向かっているだけですが。」


「公都か、、、。確かにこちらを通る方が近道ではあるが、道は険しい上に、魔物も厄介なものが多いのだが、魔物達にてこずったりとかは、してないか、、、。」


「魔物? この国に来てから全く遭ってないかな。魔物どころか、サムイの町まで人にすら会ってない状況ですしねえ。そういえば、魔物の気配こそしているけど、こちらに気付くと逃げ出すんだよね、、、。」


「そ、そうか、、、。では、我らをどうこうしようとか考えてこちらに来たわけではないんだな?」


「どうこうしようにも、貴方達とは初対面だし、何より、ノームとドワーフとジャイアントでしたっけ? いずれもお初にお目にかかる種族ですけど。何か公国側からの嫌がらせが?」


「そうなんだ。もう、この際だから全て話してしまうと、我らはいわゆる獣人と呼ばれる存在だ。しかも我らは鍛冶やら採掘やら加工が得意だからな。見つかると連れ去られてしまう。連れ去られてしまうと、その先では奴隷以下の扱いしか受けないんだ。だから、こうして危険ではあるが、厄介な魔物の生息するこの場所で何とか生き延びている状況だな。」


「そんな話を私達にしても大丈夫なので?」


「今までちょっかいをかけてきた連中ならともかく、お主達ほどの者達に知られてしまってはどうにもできないからな。」


「なるほど。そうすると、満足に食事も取れていない状況ですかね?」


「うむ、そうだな。正直なところ、ギリギリな生活を余儀なくされているんだ。」


「公国のせいで、胸くそ悪くなる話になるかもしれないけど、よかったら、我が領土に来ますか? 鍛冶や採掘や加工ができる職人が欲しかったんですよね。あ、念を押しておくけど、奴隷の扱いなんか絶対にしないから。もし、信じられないっていうのなら、別に来なくてもかまわないから。あと、貴方達の存在について絶対に言わないこともここで約束する。」


「アイスさんのところでしたら、安心でしょうね。何せアイスさんの領地には、狼族、猫族、犬族などの獣人はもとより、ウサギ族やコカトリス達、はたまたゴブリン達もいますからね。」


「な、何だと!? 獣人ばかりではなく、魔物も住んでいるだと!?」


「ええ、みんな元気に仲良く暮らしてますよ。自慢の領民達ですよ。」


「・・・それは本当なのか?」


「そんなことで嘘を言っても仕方ないでしょうに。まあ、今までが今までだから警戒する気持ちもわかるけどね。先程も言った通り、職人は来て欲しいから、私の領土に来てくれるなら大歓迎するよ。」


「ふむ、嘘を言っているようには感じないな、、、。ただ、これは重要なことだから、みんなと話し合わないとならない。済まんが、我らの集落まで一緒に来てくれるか?」


「ああ、構わないよ。折角だから、食事も用意するからみんなで食べるといい。」


「ありがたい。では、付いてきてくれ。」


 私達は出発の準備を整えて、彼らの後をついていくことにした。


「アイスさん、ノームにドワーフ、それにジャイアント族ですよね? 彼らが領民になってくれるとフロスト領はますます発展しますわね。」


「そうですね。彼らには是非来て欲しいのですが、正直半々といったところでしょうかね。」


「ですわね。是非とも良い返事が欲しいものですわ。」


 そんなことを話ながら、少し道を外れてしばらく歩くと、そこは洞窟の入り口だった。

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トリトン陛下「何か新作が完成しそうな予感がするぜ。」

リトン宰相「ですな。ここは我らも張り切っていきますか。」

トリトン陛下「そうだな。侯爵のためにも奴らには身の程を教えてやらねえとな。」

リトン宰相「ええ、誰に喧嘩を売ったのか教えて差し上げましょう。」
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