126 / 210
第126話 さてと、新たな出会いの予感がしますね。
しおりを挟む
前回のあらすじ:久しぶりに作るので、レシピ忘れた。
テシテシ、テシテシ、ポンポン、ツンツン。さあ、今日も始まりました。さて、今回はコカトリスさんも参加ということですね。うん、いつもの光景にほっとしますな。ここ最近は、食事たかられたり、移動中本当に何も起こらなかったりと、面倒事や退屈といった精神的に厳しいことが連続して起こっておりましたからねえ。
マーブル、ジェミニ、ライム、コカトリスと順番にモフプヨを楽しんでいるところ、何かボールみたいなものが飛んできたのでキャッチしたところ、ボールが雨粒みたいな形に変化した。はい、ゼータですね。すっかり忘れてましたよ。ただ、この子は硬いのでプヨプヨが楽しめないので、代わりにドリブルしましたよ。案外喜んでくれていたので良しとしましょうかね。
いつものように、コカトリスが産みたての卵を渡してくれたので、お礼に追加でモフっておいた。その後はコカトリスさん退場です。あ、ついでにゼータもコカトリスと一緒に出て行きました。ゼータは流石に一緒には連れて行けないけど、領民の子供達と楽しく遊んでいるそうなのでよかったです。
さて、顔を洗ったりしてサッパリしてから、朝食の準備をこれから行うわけですが、それと同時に、漬けておいたスライス済みのオーガ肉の出来具合を確かめておかないとね。押し麦の在庫が心許なくなってきたので、まずはそれの追加である。一応まだ残りはあるけど、不意になくなったりすることもありそうなので、余裕はあるに越したことはないので、しっかりと準備しておく。
最近は押し麦も日に日に美味くなっているのは気のせいだろうか。そういえば、最近さらに神々へのお供え物が増えているらしい。まさか、その影響もあるのか? 一体この領域はどっちへ進もうとしているのだろうか、、、。一応私が領主ではあるけど、細かいところはノータッチだから、、、。
まあ、押し麦の件はおいといて、オーガ肉の状態を確認する。うん、良い感じに漬かっているかな。では、これをジャーキーにする作業をしていかないとね。ちなみに今回は10頭分のオーガ肉を使用した。試しに1頭分やってみたけど、あのタレでどの位までいけるか試したら10頭分だったので、10頭分作成したのである。とはいえ、10頭分でもこれかなりの量あるな。午前中はこれで時間を使ってしまうかな。
とりあえず、しっかりと漬かっていることが確認出来たらそれでいいです。作業前に朝食を頂くとしますかね。いろいろと同時進行で行ってしまったため、朝食の時間は少し遅くなってしまったが、想定の範囲内だから大丈夫、ということにしておこう。
朝食もしっかりと食べて、後片付けもしっかりと行い、マーブル達の感触を少し楽しんだら、今日のメインである乾燥作業である。流石にこの量だと、かなりの数の鉄網を用意する必要があるけど、その辺は解決済みである。鉄の網に関しては、ゴブリンの職人を始めとして、領内の職人にすでに頼んでおいてあり、コツコツと少しずつ数を増やしており、今も少しずつ増えている。鉄網の使い途については、別にジャーキーを作るときだけに使うわけではなく、いろいろな場面で使えるので空間収納にもそれなりの数は入っている。
空間収納から鉄網を取りだし、壺から漬けた肉を1枚ずつ取りだして、網に敷いていく。何枚かその作業をしていると、アンジェリカさん達が来た。アンジェリカさん達はそれを見て手伝うと言いだしたので、お言葉に甘えることにした。すでに手を洗って準備も万端とのことだった。
戦姫の3人に手伝ってもらったおかげで、作業は順調に進み、用意した肉全部を焼き場と個人的に呼んでいる保管庫へと運び込む。焼き場には煙突、というか、匂いを部屋から出す通気孔があるので、そこを焼き場にしているためだ。最初に私が肉の水分を水術でできるだけなくしていく。
ジャーキーに最適と思われるくらいまで水分を飛ばしてからは、マーブルの出番である。マーブルに弱めの火魔法と風魔法でじっくりと焼きながら、その煙は領内に飛ばないように上空に出す感じに誘導するよう調節してもらい、あとは完成を待つばかりである。とはいえ、すぐに出来るものでもないので、今日一日の行程を終えた後にようやく試食会というわけである。
ジャーキーの準備は完了したので、ようやく今日の行程をこなしに行く。流石にこのままではよろしくないので、手洗いや着替えなどを済ませてからの出発なので、改めて準備してもらう。
準備が整ったので、マーブルの転送魔法で昨日の転送ポイントへと移動した。気配探知である程度周囲を確認してみたけど、やはり何もいなかった。山道はそれなりに移動しづらかったので、こんな中で奇襲を受けてしまうといろいろと面倒だ、ということで、気配探知をかけたまま進んでいくが、これによって何もいない理由がわかってしまった。というのも、気配探知にかかる存在が出てきたときに、思わず「キターーー」と絵文字も添えて喜んでしまったのも束の間、ある程度の距離まではそのまま近づいてくる感じだったけど、それ以上近づいてしまうと、その存在は逃げるように離れていってしまうのだ。新たに別の存在を探知しても同じ結果だった。そう、いないのではなく、こちらの気配に気付くと逃げてしまうのだ。恐らくマーブルやジェミニの存在が大きいのだろう。
いない原因がわかったので、その後は奇襲を受けても大丈夫な程度の範囲で探知をかけて道中を進むことにした。途中、休憩を兼ねて昼食を摂りつつ、ノンビリと過ごしていると、数体、こちらに近づいてくる気配を探知した。近づき方が何やらこちらを襲う感じではなかったけど、一応3人には伝えておくか。
「こちらに数体近づいてくる気配を感じました。ただ、近づき方がこちらを襲う感じではないので、そのままの状態で待つことにしましょう。」
「私の方でも気配を探知したけど、そこまではわからなかった、、、。やっぱりアイスさん、おかしい。」
「えぇ、、、。別におかしくないですよ。こんなのは慣れです、慣れ。」
「これでも、アイスさん達よりかは冒険者稼業長いって自負してるんだけどなぁ、、、。」
「それは環境の違いでしょうね。私もマーブルと出会えなければずっと一人だった訳ですし。運良くねぐらが見つかって、マーブルと出会えたおかげで、こうして生きてますけど、それがなければどうなっていたやら考えたくもない状況でしたしねぇ、、、。」
「なるほど。確かにあのねぐら自体は生活しやすいけど、その周辺の地域って実際にどこなのかわからないような場所だよね、あそこら辺って、、、。」
「そうなんですよね。ちなみに、マーブルもジェミニもライムも、フロストの町から転送魔法無しであの場所に行けって言われても行けないそうですよ。」
「えっ? マーブルちゃん達が行けないの? そりゃ、私達にはムリだよね、、、。」
「そういうことです。おっと、そろそろこっちに到着しそうですね。とはいえ、警戒は最低限で十分でしょう。それよりも何でこちらに近づいてきたのか気になるところですね。」
やって来たのは、3人。1人は私と同じくらいの身長で、もう1人はその1人よりも頭1つ分小さく、最後の1人は最初の1人より頭1つ分大きかった。身長順に並んでくれるとよかった、とか思ったのは内緒だ。どの人も髭もじゃで筋肉質であるのが特徴だ。先頭にいる私と同じくらいの身長の人が話しかけてきた。
「こんなところに人が来たから、一体何かと思って来てみたけど、食事だったか。邪魔して済まんな。」
「ああ、食事は終わったところなので気にしなくてもいいです。で、わざわざこちらに来たのは何故で?」
「ん? ここで食事といい、我らを見ても普通にしているといい、お主達こそ何故ここに? 我らを探しに来たのじゃないのか?」
「へ? 貴方達を探しに? 何で? 何か訳ありですか?」
「う、うむ、、、。」
「いや、話したくなければ特に何も言わなくてもいいですが。」
「そ、そうか。まあ、お主達には話してもよかろう。ワシはロックという名だ。ノームという種族だ。で、こっちの小っこいのはガンド、ドワーフ族だ。デカいのはボーラといい、ジャイアント族だ。」
な、何、だ、と? ノームにドワーフにジャイアントだと?
「わざわざ紹介して頂き感謝します。ではこちらも、私はアイス・フロスト、人族です。こちらにいるのは、右から順番にマーブル、ジェミニ、ライムといいます。」
「む? お、お主。お主が連れているのは、見た感じ普通の猫とウサギとスライムだが、こやつらは普通の猫とウサギとスライムじゃなかろう。とんでもないものを連れておるな。」
「我が猫達を褒めてくれるのは嬉しいけど、この猫達はどれも私のかわいい自慢の子、それだけですよ。」
そういうと、マーブル達は嬉しそうに私にダイブしてきた。
「む、むう、、、。あれほどのランクの魔物がああも懐くとは、、、。」
何か言ってるけど、別にテイムしたとかじゃないからねえ。まあ、何であれ、マーブル達は大切な我が子達であることに変わりはない。
「驚いているところ申し訳ありませんが、折角ですからワタクシ達も自己紹介させて頂きますわ。」
「お、おう、そうじゃな。是非お願いする。」
「ワタクシの名はアンジェリカ、こちらにいるのがセイラ、こちらはルカと申しますわ。ワタクシ達もアイスさんと同様に人族ですの。それで、このスライムがオニキスという名ですわ。」
「ま、待て、アンジェリカ、セイラ、ルカじゃと!? ま、まさか、お主達は戦姫!?」
「ええ、確かにワタクシ達3人は戦姫という名で冒険者をしておりますわ。」
「アイスだったか? お主達はなぜここに来たのだ? しかも戦姫を連れて。」
「ん? 公都にこちらにいるアンジェリカさん達が用があるから、そっちに向かっているだけですが。」
「公都か、、、。確かにこちらを通る方が近道ではあるが、道は険しい上に、魔物も厄介なものが多いのだが、魔物達にてこずったりとかは、してないか、、、。」
「魔物? この国に来てから全く遭ってないかな。魔物どころか、サムイの町まで人にすら会ってない状況ですしねえ。そういえば、魔物の気配こそしているけど、こちらに気付くと逃げ出すんだよね、、、。」
「そ、そうか、、、。では、我らをどうこうしようとか考えてこちらに来たわけではないんだな?」
「どうこうしようにも、貴方達とは初対面だし、何より、ノームとドワーフとジャイアントでしたっけ? いずれもお初にお目にかかる種族ですけど。何か公国側からの嫌がらせが?」
「そうなんだ。もう、この際だから全て話してしまうと、我らはいわゆる獣人と呼ばれる存在だ。しかも我らは鍛冶やら採掘やら加工が得意だからな。見つかると連れ去られてしまう。連れ去られてしまうと、その先では奴隷以下の扱いしか受けないんだ。だから、こうして危険ではあるが、厄介な魔物の生息するこの場所で何とか生き延びている状況だな。」
「そんな話を私達にしても大丈夫なので?」
「今までちょっかいをかけてきた連中ならともかく、お主達ほどの者達に知られてしまってはどうにもできないからな。」
「なるほど。そうすると、満足に食事も取れていない状況ですかね?」
「うむ、そうだな。正直なところ、ギリギリな生活を余儀なくされているんだ。」
「公国のせいで、胸くそ悪くなる話になるかもしれないけど、よかったら、我が領土に来ますか? 鍛冶や採掘や加工ができる職人が欲しかったんですよね。あ、念を押しておくけど、奴隷の扱いなんか絶対にしないから。もし、信じられないっていうのなら、別に来なくてもかまわないから。あと、貴方達の存在について絶対に言わないこともここで約束する。」
「アイスさんのところでしたら、安心でしょうね。何せアイスさんの領地には、狼族、猫族、犬族などの獣人はもとより、ウサギ族やコカトリス達、はたまたゴブリン達もいますからね。」
「な、何だと!? 獣人ばかりではなく、魔物も住んでいるだと!?」
「ええ、みんな元気に仲良く暮らしてますよ。自慢の領民達ですよ。」
「・・・それは本当なのか?」
「そんなことで嘘を言っても仕方ないでしょうに。まあ、今までが今までだから警戒する気持ちもわかるけどね。先程も言った通り、職人は来て欲しいから、私の領土に来てくれるなら大歓迎するよ。」
「ふむ、嘘を言っているようには感じないな、、、。ただ、これは重要なことだから、みんなと話し合わないとならない。済まんが、我らの集落まで一緒に来てくれるか?」
「ああ、構わないよ。折角だから、食事も用意するからみんなで食べるといい。」
「ありがたい。では、付いてきてくれ。」
私達は出発の準備を整えて、彼らの後をついていくことにした。
「アイスさん、ノームにドワーフ、それにジャイアント族ですよね? 彼らが領民になってくれるとフロスト領はますます発展しますわね。」
「そうですね。彼らには是非来て欲しいのですが、正直半々といったところでしょうかね。」
「ですわね。是非とも良い返事が欲しいものですわ。」
そんなことを話ながら、少し道を外れてしばらく歩くと、そこは洞窟の入り口だった。
------------------------------------
トリトン陛下「何か新作が完成しそうな予感がするぜ。」
リトン宰相「ですな。ここは我らも張り切っていきますか。」
トリトン陛下「そうだな。侯爵のためにも奴らには身の程を教えてやらねえとな。」
リトン宰相「ええ、誰に喧嘩を売ったのか教えて差し上げましょう。」
テシテシ、テシテシ、ポンポン、ツンツン。さあ、今日も始まりました。さて、今回はコカトリスさんも参加ということですね。うん、いつもの光景にほっとしますな。ここ最近は、食事たかられたり、移動中本当に何も起こらなかったりと、面倒事や退屈といった精神的に厳しいことが連続して起こっておりましたからねえ。
マーブル、ジェミニ、ライム、コカトリスと順番にモフプヨを楽しんでいるところ、何かボールみたいなものが飛んできたのでキャッチしたところ、ボールが雨粒みたいな形に変化した。はい、ゼータですね。すっかり忘れてましたよ。ただ、この子は硬いのでプヨプヨが楽しめないので、代わりにドリブルしましたよ。案外喜んでくれていたので良しとしましょうかね。
いつものように、コカトリスが産みたての卵を渡してくれたので、お礼に追加でモフっておいた。その後はコカトリスさん退場です。あ、ついでにゼータもコカトリスと一緒に出て行きました。ゼータは流石に一緒には連れて行けないけど、領民の子供達と楽しく遊んでいるそうなのでよかったです。
さて、顔を洗ったりしてサッパリしてから、朝食の準備をこれから行うわけですが、それと同時に、漬けておいたスライス済みのオーガ肉の出来具合を確かめておかないとね。押し麦の在庫が心許なくなってきたので、まずはそれの追加である。一応まだ残りはあるけど、不意になくなったりすることもありそうなので、余裕はあるに越したことはないので、しっかりと準備しておく。
最近は押し麦も日に日に美味くなっているのは気のせいだろうか。そういえば、最近さらに神々へのお供え物が増えているらしい。まさか、その影響もあるのか? 一体この領域はどっちへ進もうとしているのだろうか、、、。一応私が領主ではあるけど、細かいところはノータッチだから、、、。
まあ、押し麦の件はおいといて、オーガ肉の状態を確認する。うん、良い感じに漬かっているかな。では、これをジャーキーにする作業をしていかないとね。ちなみに今回は10頭分のオーガ肉を使用した。試しに1頭分やってみたけど、あのタレでどの位までいけるか試したら10頭分だったので、10頭分作成したのである。とはいえ、10頭分でもこれかなりの量あるな。午前中はこれで時間を使ってしまうかな。
とりあえず、しっかりと漬かっていることが確認出来たらそれでいいです。作業前に朝食を頂くとしますかね。いろいろと同時進行で行ってしまったため、朝食の時間は少し遅くなってしまったが、想定の範囲内だから大丈夫、ということにしておこう。
朝食もしっかりと食べて、後片付けもしっかりと行い、マーブル達の感触を少し楽しんだら、今日のメインである乾燥作業である。流石にこの量だと、かなりの数の鉄網を用意する必要があるけど、その辺は解決済みである。鉄の網に関しては、ゴブリンの職人を始めとして、領内の職人にすでに頼んでおいてあり、コツコツと少しずつ数を増やしており、今も少しずつ増えている。鉄網の使い途については、別にジャーキーを作るときだけに使うわけではなく、いろいろな場面で使えるので空間収納にもそれなりの数は入っている。
空間収納から鉄網を取りだし、壺から漬けた肉を1枚ずつ取りだして、網に敷いていく。何枚かその作業をしていると、アンジェリカさん達が来た。アンジェリカさん達はそれを見て手伝うと言いだしたので、お言葉に甘えることにした。すでに手を洗って準備も万端とのことだった。
戦姫の3人に手伝ってもらったおかげで、作業は順調に進み、用意した肉全部を焼き場と個人的に呼んでいる保管庫へと運び込む。焼き場には煙突、というか、匂いを部屋から出す通気孔があるので、そこを焼き場にしているためだ。最初に私が肉の水分を水術でできるだけなくしていく。
ジャーキーに最適と思われるくらいまで水分を飛ばしてからは、マーブルの出番である。マーブルに弱めの火魔法と風魔法でじっくりと焼きながら、その煙は領内に飛ばないように上空に出す感じに誘導するよう調節してもらい、あとは完成を待つばかりである。とはいえ、すぐに出来るものでもないので、今日一日の行程を終えた後にようやく試食会というわけである。
ジャーキーの準備は完了したので、ようやく今日の行程をこなしに行く。流石にこのままではよろしくないので、手洗いや着替えなどを済ませてからの出発なので、改めて準備してもらう。
準備が整ったので、マーブルの転送魔法で昨日の転送ポイントへと移動した。気配探知である程度周囲を確認してみたけど、やはり何もいなかった。山道はそれなりに移動しづらかったので、こんな中で奇襲を受けてしまうといろいろと面倒だ、ということで、気配探知をかけたまま進んでいくが、これによって何もいない理由がわかってしまった。というのも、気配探知にかかる存在が出てきたときに、思わず「キターーー」と絵文字も添えて喜んでしまったのも束の間、ある程度の距離まではそのまま近づいてくる感じだったけど、それ以上近づいてしまうと、その存在は逃げるように離れていってしまうのだ。新たに別の存在を探知しても同じ結果だった。そう、いないのではなく、こちらの気配に気付くと逃げてしまうのだ。恐らくマーブルやジェミニの存在が大きいのだろう。
いない原因がわかったので、その後は奇襲を受けても大丈夫な程度の範囲で探知をかけて道中を進むことにした。途中、休憩を兼ねて昼食を摂りつつ、ノンビリと過ごしていると、数体、こちらに近づいてくる気配を探知した。近づき方が何やらこちらを襲う感じではなかったけど、一応3人には伝えておくか。
「こちらに数体近づいてくる気配を感じました。ただ、近づき方がこちらを襲う感じではないので、そのままの状態で待つことにしましょう。」
「私の方でも気配を探知したけど、そこまではわからなかった、、、。やっぱりアイスさん、おかしい。」
「えぇ、、、。別におかしくないですよ。こんなのは慣れです、慣れ。」
「これでも、アイスさん達よりかは冒険者稼業長いって自負してるんだけどなぁ、、、。」
「それは環境の違いでしょうね。私もマーブルと出会えなければずっと一人だった訳ですし。運良くねぐらが見つかって、マーブルと出会えたおかげで、こうして生きてますけど、それがなければどうなっていたやら考えたくもない状況でしたしねぇ、、、。」
「なるほど。確かにあのねぐら自体は生活しやすいけど、その周辺の地域って実際にどこなのかわからないような場所だよね、あそこら辺って、、、。」
「そうなんですよね。ちなみに、マーブルもジェミニもライムも、フロストの町から転送魔法無しであの場所に行けって言われても行けないそうですよ。」
「えっ? マーブルちゃん達が行けないの? そりゃ、私達にはムリだよね、、、。」
「そういうことです。おっと、そろそろこっちに到着しそうですね。とはいえ、警戒は最低限で十分でしょう。それよりも何でこちらに近づいてきたのか気になるところですね。」
やって来たのは、3人。1人は私と同じくらいの身長で、もう1人はその1人よりも頭1つ分小さく、最後の1人は最初の1人より頭1つ分大きかった。身長順に並んでくれるとよかった、とか思ったのは内緒だ。どの人も髭もじゃで筋肉質であるのが特徴だ。先頭にいる私と同じくらいの身長の人が話しかけてきた。
「こんなところに人が来たから、一体何かと思って来てみたけど、食事だったか。邪魔して済まんな。」
「ああ、食事は終わったところなので気にしなくてもいいです。で、わざわざこちらに来たのは何故で?」
「ん? ここで食事といい、我らを見ても普通にしているといい、お主達こそ何故ここに? 我らを探しに来たのじゃないのか?」
「へ? 貴方達を探しに? 何で? 何か訳ありですか?」
「う、うむ、、、。」
「いや、話したくなければ特に何も言わなくてもいいですが。」
「そ、そうか。まあ、お主達には話してもよかろう。ワシはロックという名だ。ノームという種族だ。で、こっちの小っこいのはガンド、ドワーフ族だ。デカいのはボーラといい、ジャイアント族だ。」
な、何、だ、と? ノームにドワーフにジャイアントだと?
「わざわざ紹介して頂き感謝します。ではこちらも、私はアイス・フロスト、人族です。こちらにいるのは、右から順番にマーブル、ジェミニ、ライムといいます。」
「む? お、お主。お主が連れているのは、見た感じ普通の猫とウサギとスライムだが、こやつらは普通の猫とウサギとスライムじゃなかろう。とんでもないものを連れておるな。」
「我が猫達を褒めてくれるのは嬉しいけど、この猫達はどれも私のかわいい自慢の子、それだけですよ。」
そういうと、マーブル達は嬉しそうに私にダイブしてきた。
「む、むう、、、。あれほどのランクの魔物がああも懐くとは、、、。」
何か言ってるけど、別にテイムしたとかじゃないからねえ。まあ、何であれ、マーブル達は大切な我が子達であることに変わりはない。
「驚いているところ申し訳ありませんが、折角ですからワタクシ達も自己紹介させて頂きますわ。」
「お、おう、そうじゃな。是非お願いする。」
「ワタクシの名はアンジェリカ、こちらにいるのがセイラ、こちらはルカと申しますわ。ワタクシ達もアイスさんと同様に人族ですの。それで、このスライムがオニキスという名ですわ。」
「ま、待て、アンジェリカ、セイラ、ルカじゃと!? ま、まさか、お主達は戦姫!?」
「ええ、確かにワタクシ達3人は戦姫という名で冒険者をしておりますわ。」
「アイスだったか? お主達はなぜここに来たのだ? しかも戦姫を連れて。」
「ん? 公都にこちらにいるアンジェリカさん達が用があるから、そっちに向かっているだけですが。」
「公都か、、、。確かにこちらを通る方が近道ではあるが、道は険しい上に、魔物も厄介なものが多いのだが、魔物達にてこずったりとかは、してないか、、、。」
「魔物? この国に来てから全く遭ってないかな。魔物どころか、サムイの町まで人にすら会ってない状況ですしねえ。そういえば、魔物の気配こそしているけど、こちらに気付くと逃げ出すんだよね、、、。」
「そ、そうか、、、。では、我らをどうこうしようとか考えてこちらに来たわけではないんだな?」
「どうこうしようにも、貴方達とは初対面だし、何より、ノームとドワーフとジャイアントでしたっけ? いずれもお初にお目にかかる種族ですけど。何か公国側からの嫌がらせが?」
「そうなんだ。もう、この際だから全て話してしまうと、我らはいわゆる獣人と呼ばれる存在だ。しかも我らは鍛冶やら採掘やら加工が得意だからな。見つかると連れ去られてしまう。連れ去られてしまうと、その先では奴隷以下の扱いしか受けないんだ。だから、こうして危険ではあるが、厄介な魔物の生息するこの場所で何とか生き延びている状況だな。」
「そんな話を私達にしても大丈夫なので?」
「今までちょっかいをかけてきた連中ならともかく、お主達ほどの者達に知られてしまってはどうにもできないからな。」
「なるほど。そうすると、満足に食事も取れていない状況ですかね?」
「うむ、そうだな。正直なところ、ギリギリな生活を余儀なくされているんだ。」
「公国のせいで、胸くそ悪くなる話になるかもしれないけど、よかったら、我が領土に来ますか? 鍛冶や採掘や加工ができる職人が欲しかったんですよね。あ、念を押しておくけど、奴隷の扱いなんか絶対にしないから。もし、信じられないっていうのなら、別に来なくてもかまわないから。あと、貴方達の存在について絶対に言わないこともここで約束する。」
「アイスさんのところでしたら、安心でしょうね。何せアイスさんの領地には、狼族、猫族、犬族などの獣人はもとより、ウサギ族やコカトリス達、はたまたゴブリン達もいますからね。」
「な、何だと!? 獣人ばかりではなく、魔物も住んでいるだと!?」
「ええ、みんな元気に仲良く暮らしてますよ。自慢の領民達ですよ。」
「・・・それは本当なのか?」
「そんなことで嘘を言っても仕方ないでしょうに。まあ、今までが今までだから警戒する気持ちもわかるけどね。先程も言った通り、職人は来て欲しいから、私の領土に来てくれるなら大歓迎するよ。」
「ふむ、嘘を言っているようには感じないな、、、。ただ、これは重要なことだから、みんなと話し合わないとならない。済まんが、我らの集落まで一緒に来てくれるか?」
「ああ、構わないよ。折角だから、食事も用意するからみんなで食べるといい。」
「ありがたい。では、付いてきてくれ。」
私達は出発の準備を整えて、彼らの後をついていくことにした。
「アイスさん、ノームにドワーフ、それにジャイアント族ですよね? 彼らが領民になってくれるとフロスト領はますます発展しますわね。」
「そうですね。彼らには是非来て欲しいのですが、正直半々といったところでしょうかね。」
「ですわね。是非とも良い返事が欲しいものですわ。」
そんなことを話ながら、少し道を外れてしばらく歩くと、そこは洞窟の入り口だった。
------------------------------------
トリトン陛下「何か新作が完成しそうな予感がするぜ。」
リトン宰相「ですな。ここは我らも張り切っていきますか。」
トリトン陛下「そうだな。侯爵のためにも奴らには身の程を教えてやらねえとな。」
リトン宰相「ええ、誰に喧嘩を売ったのか教えて差し上げましょう。」
0
お気に入りに追加
1,121
あなたにおすすめの小説
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
〖完結〗私が死ねばいいのですね。
藍川みいな
恋愛
侯爵令嬢に生まれた、クレア・コール。
両親が亡くなり、叔父の養子になった。叔父のカーターは、クレアを使用人のように使い、気に入らないと殴りつける。
それでも懸命に生きていたが、ある日濡れ衣を着せられ連行される。
冤罪で地下牢に入れられたクレアを、この国を影で牛耳るデリード公爵が訪ねて来て愛人になれと言って来た。
クレアは愛するホルス王子をずっと待っていた。彼以外のものになる気はない。愛人にはならないと断ったが、デリード公爵は諦めるつもりはなかった。処刑される前日にまた来ると言い残し、デリード公爵は去って行く。
そのことを知ったカーターは、クレアに毒を渡し、死んでくれと頼んで来た。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全21話で完結になります。
旦那様、どうやら御子がお出来になられたようですのね ~アラフォー妻はヤンデレ夫から逃げられない⁉
Hinaki
ファンタジー
「初めまして、私あなたの旦那様の子供を身籠りました」
華奢で可憐な若い女性が共もつけずに一人で訪れた。
彼女の名はサブリーナ。
エアルドレッド帝国四公の一角でもある由緒正しいプレイステッド公爵夫人ヴィヴィアンは余りの事に瞠目してしまうのと同時に彼女の心の奥底で何時かは……と覚悟をしていたのだ。
そうヴィヴィアンの愛する夫は艶やかな漆黒の髪に皇族だけが持つ緋色の瞳をした帝国内でも上位に入るイケメンである。
然もである。
公爵は28歳で青年と大人の色香を併せ持つ何とも微妙なお年頃。
一方妻のヴィヴィアンは取り立てて美人でもなく寧ろ家庭的でぽっちゃりさんな12歳年上の姉さん女房。
趣味は社交ではなく高位貴族にはあるまじき的なお料理だったりする。
そして十人が十人共に声を大にして言うだろう。
「まだまだ若き公爵に相応しいのは結婚をして早五年ともなるのに子も授からぬ年増な妻よりも、若くて可憐で華奢な、何より公爵の子を身籠っているサブリーナこそが相応しい」と。
ある夜遅くに帰ってきた夫の――――と言うよりも最近の夫婦だからこそわかる彼を纏う空気の変化と首筋にある赤の刻印に気づいた妻は、暫くして決意の上行動を起こすのだった。
拗らせ妻と+ヤンデレストーカー気質の夫とのあるお話です。
虐げられた令嬢、ペネロペの場合
キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。
幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。
父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。
まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。
可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。
1話完結のショートショートです。
虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい……
という願望から生まれたお話です。
ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。
R15は念のため。
婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな
カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界
魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた
「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね?
それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」
小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く
塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう
一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが……
◇◇◇
親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります
(『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です)
◇◇◇
ようやく一区切りへの目処がついてきました
拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
婚約者に犯されて身籠り、妹に陥れられて婚約破棄後に国外追放されました。“神人”であるお腹の子が復讐しますが、いいですね?
サイコちゃん
ファンタジー
公爵令嬢アリアは不義の子を身籠った事を切欠に、ヴント国を追放される。しかも、それが冤罪だったと判明した後も、加害者である第一王子イェールと妹ウィリアは不誠実な謝罪を繰り返し、果てはアリアを罵倒する。その行為が、ヴント国を破滅に導くとも知らずに――
※昨年、別アカウントにて削除した『お腹の子「後になってから謝っても遅いよ?」』を手直しして再投稿したものです。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる