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第107話 さてと、到着しましたが、お土産渡せてません、、、。

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前回のあらすじ:1日では着かないから野営した。




 テシテシ、テシテシ、ポンポン、ツンツン、、、。いつもの朝起こしですよ、って、何か追加されてるし!? はい、いましたよ。コカトリスさんが、、、。ってか、何でお前いるの? という反応しかできませんでした、ハイ。


「何で君がいるの?」


「コッコケー!!」


「ええとですね、、、。昨日の夕方にはウルヴさんが町に到着したらしいんですよ、それで、このコカトリスさんが、朝起こしに参加したくてですね、夜通し飛んできたそうです、、、。」


「マヂかい、、、。」


 いや、普通に起こしてもらうだけですよ、マーブル達に。何でここまでわざわざ来る必要があるんですかねえ。いや、ここに来てまでそうしてくれるのは嬉しいんですよ? でもね、それ以上にわざわざこんなところに来るか? って話ですよ、、、。


 とはいえ、来てしまったものは仕方がないです。それにいつも通り新鮮な卵を用意してくれましたので、嬉しいのは間違いないですが、それ以上に何で? と、驚きやら呆れやらが、ね。


 折角来てくれたので、朝モフに参加してもらった。いや、フロストの町に住んでいるコカトリス達のモフモフもかなりのものなんですよね、しかも、ピュア種ということで、全身が白いんだよね。とはいえ、しっかりと石化能力も持っているそうだ。見たことないけどね。


 ついでだから、モフ櫛が必要か聞いてみましょうかね。ということで、聞いてみると、やはり羽毛のため、そこまで必要ではないらしい。ただ、鳥らしく光るものが好きらしいから、何か良いものがあったらそれを土産にしますか、って今更だけど、タンヌ王国で手に入れたものではなく、うちの領地内にあるダンジョンのものなんだけどね、、、。って、それみんなへの土産にもいえるか、、、。


 テントの中といえど、やることは変わらない。服を着替え、朝モフを堪能し、水術で顔を洗ってサッパリしてから、テントから出て、氷の罠を解こうとしたが、残念ながら掛かっているものはいなかった。後で聞いたら、暇つぶしにマーブル達が発見しては仕留めていたらしい。あまり眠らないそうだけど、無理はしないでね。君達あっての私だからね。ちなみに、ここに来たコカトリスは私達へは全く害意がないので、罠が発動しないようだ。


 私達だけではなく、アインやラヒラス、戦姫の3人もテントから出てきたようだ。互いに挨拶を交わす。時間がこうして揃っているのは、ラヒラスが目覚まし機能をテントに施していたかららしい。私のテントにはそれは無いのですが、、、。え? マーブル達がいるじゃないかって? ええ、そうでしたそうでした。私にはいつもマーブル達が起こしてくれるから必要ないということで。逆に言われましたよ、領主なんだから、基本はお付きの者が起こしに来るものだとね。じゃあ、アンジェリカさんは? と聞くと、今は冒険者だからって。まあ、セイラさんとルカさんの本来の役割はそのお付きの者の仕事でしたね、忘れてましたよ。


 さて、朝食だけど、わざわざコカトリスが卵を届けてくれたので、これを使わない手はない。一応ストックも用意してあるけど、折角こうして持ってきてくれたのだから、この持ってきてくれたものを使って調理しますかね。朝食は贅沢にコカトリスの卵を一人につき一つずつとしましょうか。あ、もちろんコカトリスは自分の卵は食べませんので除外です。この卵で巨大目玉焼きのハムエッグです。肉はエンペラーの肉よりも通常種の方が合いそうかな。エッグのないコカトリスにはその分、お肉を増量、ということで。主食は麦飯です。汁はもちろん味噌汁で。ええ、以前いた世界での私の朝食ですが何か?


 ハムエッグにはパンだろ? と思うかもしれないけど、これはこれで美味いのだ。というか、美味いパンが手に入らないから仕方がない。本来はお米のご飯がよろしいけど、押し麦の麦飯にも慣れてきて、今は正直稲の優先順位は低めである。もちろん、見つかれば狂喜すること間違いなしだと思うけど。それよりもイースト菌となるものが見つかっていない。ブドウですらまだだし、それ以外では生憎わからないので、どうしようもないのが現状だ。


 一応完成して、みんなに食べてもらったが、意外にもこのメニューは初めてだったらしく、かなり好評だったのは嬉しい誤算である。コカトリスも喜んでいた。味噌汁は飲みにくそうであったけど、味は気に入ってくれたようだ。


 朝食も終わって片付けも完了したので、これよりフロストの町へと出発である。私以外の全員が木騎馬へと跨がる。マーブルとジェミニは定位置に、ライムも腰袋に飛び込んで準備完了。コカトリスはどうするかと思っていたら、私の頭の上に乗りやがった、、、。いや、君デカいから重いって。そう素直に告げると、羽を何度かばたつかせたので、バランスが少し悪くなったか、と思ったらいきなり頭にかかっていた重さが消え、爪でつかまっている感触だけ残った。「コケーッ!」とか得意げに鳴いていたが、癖になっても今後は乗せないからね。禿げたくないし、、、。


 帰りの道中では特に何事もなく無事にフロストの町へ到着した。フロストの町へつながる道と街道との合流点に着くと、流石にコカトリスも頭から降りて、そこからは自分の力で飛行していた。できるなら最初からこうすればいいじゃん、、、。


 町へ到着すると、フェラー族長とカムドさんを先頭に、領民がほぼ勢揃いしていた。もちろんレオ達ウサギ族はもちろん、他のコカトリス達も一緒だった。その他には冒険者ギルドのギルド長も出迎えてくれた。いつの間にか、カムイちゃんも出迎え側にいた。先にここに戻ったウルヴはというと、皇帝陛下へ謁見するための先触れの使者として帝都に向かったそうだ。クレオ君とパトラちゃんはというと、寝てた。何でも今日はいつもより早く起きてしまい、ウサギ達やコカトリス達と遊んでいたそうで。


「ご主人、お帰りなさいませ。アンジェリーナ王女殿下、並びにセイラ様、ルカ様もお帰りなさいませ。」


「フェラー族長にカムドさん、それにみんなも出迎えありがとう、って、何でアンジェリカさん達も「おかえり」なの?」


「・・・ご主人、おわかりになっていないのですか、、、。」


 フェラー族長だけでなく、周りにいた者達も呆れたような表情だった。何でだ、、、。


 みんなの出迎えを受けてから、領主館へと戻った、のはいいけど、館には部屋がいくつか増えていた。何とアンジェリカさん達の部屋だそうだ。


「何故、アンジェリカさん達の部屋がここに?」


「アンジェリーナ様達戦姫の3人は、すでにフロスト領の住民と同じといえます。更にアンジェリーナ様達はご主人と一緒に行動することも多いでしょうし、どうせなら同じ館に部屋を作ってしまった方が良いと、そういう判断です。ちなみに、反対0の賛成多数で可決されておりますので。」


「何でそうなるのかわからないけど、まあ、いいや。それはそうとして、カムイちゃんや、向こうへ行ってくれたベリーラビットから報告は受けたよ。」


「それは何よりですが、どうしましょうか?」


「トレインを引き起こした連中は、勇者と言っていたね。でも、うちらには関係のない話だから、普通に犯罪者として扱うよ。その前にやらないといけないことがあるから、犯罪者はそのまま閉じ込めておいて。脱走しないようにマーブルも何か仕掛けておいて。」


「ミャア!!」


 マーブルは嬉しそうに鳴きながら敬礼する。ああ、やはり可愛すぎてたまらん!


「そうですか。それと、犯罪者達についてですが、サムタン公国の教会側から、「勇者を不当な理由で拘束するのはおかしい」と抗議の文が届いております。領主は不在であるからこちらでは判断できない、と伝えてありますが、いかがしましょう。」


「教会? ひょっとしたら、勇者を召喚したのはそいつらかな。で、その教会名は一体何?」


「ハングラー教会らしいです。ハングラー神という唯一神を信仰している教会のようです。」


「ハングラー神? 聞いたことないなあ、それで、その信者の規模はどのくらいなの?」


「かなりの規模ですな。ハングラー教については、ハングラー教国という国家自体が存在しますし。」


「なるほどね。まあ、どうでもいいか。どちらにせよ、犯罪者は裁くべきだから、後回しで。私がここにいる時にまた抗議の使者が来たら、対応するから。」


「外交問題になりませんかね?」


「外交問題なんて知ったことじゃないしね。恐らく陛下もそう思っているよ。、、、多分。それに外交っていっても、ここはトリトン帝国だよ? 基本的に3馬、じゃなかった、3大臣達が個人的に関わっているだけで、国としてはほとんど交流はないしね。ってか、うちの国って、基本どことも友好関係って存在してないでしょ。これからタンヌ王国とは多少友好関係が生まれてくるかもしれないけど、交流したくなるほどのものがうちの国にはないからねえ。」


「そうですわね。正直申しますと、フロスト領やトリニトの町でしたら、食べ物という点では交流する価値はありますけど、その他についてはこちらが欲しいようなものも存在しませんわね。」


「ほら、アンジェリカさんもこう言っているし、その怪しげな宗教に関してもぶっちゃけどうでもいいしね。」


「どうでもいい、ですか、、、。まあ、ご主人がそう仰るなら。」


「まあまあ、フェラー殿。ある程度こういった返事は予想できたでしょう。まあ、アイスさんらしいといえばアイスさんらしいと言えますかね。ところで、アイスさん、他にやらないといけないこととは?」


「まずは、これです。」


 そう言って、私は空間収納から、黒鉱石、ミスリル鉱石、エイシャントオークを取り出す。


「こ、これは、また貴重なものを、、、。これをどうします?」


「これを櫛に加工して欲しいんだ。こういうやつね。」


 櫛といっても、わからなそうだったので、見本で作っておいたマーブルとジェミニ用のモフ櫛を取り出す。


「これが櫛ですか? で、これはどうやって使うのですか?」


「これはですね、我が領のペットたちの毛を綺麗に整える道具です。こうやって使うんですよ。」


 そう言って、マーブルとジェミニにそれぞれ櫛を使って毛繕いをする。マーブルもジェミニもそれぞれ気持ちよさそうにしている。


「なるほど! これらを使って、ウサギ達の手入れをすることにより、さらにウサギ達が可愛く綺麗になるということですな!!」


「そういうことです。ただ、毛にも個人差がありますから、ウサギ達それぞれに合ったものをつくってもらいたいと思いまして。現に、マーブルとジェミニでは、このように櫛の感覚などが違ってきますからね。最初は練習としてマーブル用とジェミニ用をいくつか作って下さい。それを基準に他のウサギ達も調整して合ったものをつくってもらえたら、と。」


「なるほど、そういった加工は我らゴブリン族にお任せを。ただ、黒鉱石やミスリル鉱石ならなんとかできますが、このエイシャントオークに関しては我らでは荷が重いですな、、、。」


「え? ゴブリン族でもエイシャントオークは加工できないのか、、、。逆にミスリルの方が無理だと思ってたよ、、、。」


「ミスリルなら、どうにかなりますが、エイシャントオークを扱うには魔力が足りません。」


「なるほどね。じゃあ、黒鉱石とミスリルで頼みますね。余ったら加工用の道具を作るのに使ってもいいから。」


「ありがとうございます。ところでご主人、これらを一体どこで手に入れたので?」


「ああ、これらはね、うちで新たに見つかったダンジョンで手に入れたんだよ?」


「「ダンジョンですか!?」」


「そうです、恵みのダンジョンとは違ったダンジョンですね。」


「なるほど、新たにダンジョンが見つかったと。それでそのダンジョンは一体どんな感じで? アイスさんはすでにマーブル殿達と潜っているということですね。」


「そういうことです。そこで手に入ったお宝がありまして、それを領民達への土産として用意しました。」


「それはありがたいのですが、そうなると、そのダンジョンに潜る旨味が領民達にはなくなってしまうのではないですか?」


「それについては心配ないです。詳細については後で話しますが、お土産として用意しているのは、今の装備より少しだけ性能がいいやつで、更に高性能な武器防具なども手に入ります。何しろ武器防具を扱える鍛冶師が我が町にはいませんからねえ。」


「まあ、それは致し方ないですな。後で話すということは、冒険者ギルドへと話をもっていくということでよろしいですかな?」


「そういうことです。というわけで、フェラー族長、これよりその話をしますので、ギルド長を呼んできてもらえませんか。」


「承知しました。ライラ、今から冒険者ギルドへ赴き、ギルド長をここに呼んできてくれ。内容は新たなダンジョンについての話と言えば来てくれるだろう。」


「承知しました。直ちに。」


 フェラー族長のそばに控えていた狼族の女性が走り去っていく。あの子、ライラって名前だったんだ。


 そんなことを思いながら、ここにいるメンバー、マーブル達はもちろん、アイン、ラヒラス、戦姫の3人にフェラー族長、カムドさんとカムイちゃん達と、雑談をしながらギルド長が来るのを待った。

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