107 / 210
第107話 さてと、到着しましたが、お土産渡せてません、、、。
しおりを挟む
前回のあらすじ:1日では着かないから野営した。
テシテシ、テシテシ、ポンポン、ツンツン、、、。いつもの朝起こしですよ、って、何か追加されてるし!? はい、いましたよ。コカトリスさんが、、、。ってか、何でお前いるの? という反応しかできませんでした、ハイ。
「何で君がいるの?」
「コッコケー!!」
「ええとですね、、、。昨日の夕方にはウルヴさんが町に到着したらしいんですよ、それで、このコカトリスさんが、朝起こしに参加したくてですね、夜通し飛んできたそうです、、、。」
「マヂかい、、、。」
いや、普通に起こしてもらうだけですよ、マーブル達に。何でここまでわざわざ来る必要があるんですかねえ。いや、ここに来てまでそうしてくれるのは嬉しいんですよ? でもね、それ以上にわざわざこんなところに来るか? って話ですよ、、、。
とはいえ、来てしまったものは仕方がないです。それにいつも通り新鮮な卵を用意してくれましたので、嬉しいのは間違いないですが、それ以上に何で? と、驚きやら呆れやらが、ね。
折角来てくれたので、朝モフに参加してもらった。いや、フロストの町に住んでいるコカトリス達のモフモフもかなりのものなんですよね、しかも、ピュア種ということで、全身が白いんだよね。とはいえ、しっかりと石化能力も持っているそうだ。見たことないけどね。
ついでだから、モフ櫛が必要か聞いてみましょうかね。ということで、聞いてみると、やはり羽毛のため、そこまで必要ではないらしい。ただ、鳥らしく光るものが好きらしいから、何か良いものがあったらそれを土産にしますか、って今更だけど、タンヌ王国で手に入れたものではなく、うちの領地内にあるダンジョンのものなんだけどね、、、。って、それみんなへの土産にもいえるか、、、。
テントの中といえど、やることは変わらない。服を着替え、朝モフを堪能し、水術で顔を洗ってサッパリしてから、テントから出て、氷の罠を解こうとしたが、残念ながら掛かっているものはいなかった。後で聞いたら、暇つぶしにマーブル達が発見しては仕留めていたらしい。あまり眠らないそうだけど、無理はしないでね。君達あっての私だからね。ちなみに、ここに来たコカトリスは私達へは全く害意がないので、罠が発動しないようだ。
私達だけではなく、アインやラヒラス、戦姫の3人もテントから出てきたようだ。互いに挨拶を交わす。時間がこうして揃っているのは、ラヒラスが目覚まし機能をテントに施していたかららしい。私のテントにはそれは無いのですが、、、。え? マーブル達がいるじゃないかって? ええ、そうでしたそうでした。私にはいつもマーブル達が起こしてくれるから必要ないということで。逆に言われましたよ、領主なんだから、基本はお付きの者が起こしに来るものだとね。じゃあ、アンジェリカさんは? と聞くと、今は冒険者だからって。まあ、セイラさんとルカさんの本来の役割はそのお付きの者の仕事でしたね、忘れてましたよ。
さて、朝食だけど、わざわざコカトリスが卵を届けてくれたので、これを使わない手はない。一応ストックも用意してあるけど、折角こうして持ってきてくれたのだから、この持ってきてくれたものを使って調理しますかね。朝食は贅沢にコカトリスの卵を一人につき一つずつとしましょうか。あ、もちろんコカトリスは自分の卵は食べませんので除外です。この卵で巨大目玉焼きのハムエッグです。肉はエンペラーの肉よりも通常種の方が合いそうかな。エッグのないコカトリスにはその分、お肉を増量、ということで。主食は麦飯です。汁はもちろん味噌汁で。ええ、以前いた世界での私の朝食ですが何か?
ハムエッグにはパンだろ? と思うかもしれないけど、これはこれで美味いのだ。というか、美味いパンが手に入らないから仕方がない。本来はお米のご飯がよろしいけど、押し麦の麦飯にも慣れてきて、今は正直稲の優先順位は低めである。もちろん、見つかれば狂喜すること間違いなしだと思うけど。それよりもイースト菌となるものが見つかっていない。ブドウですらまだだし、それ以外では生憎わからないので、どうしようもないのが現状だ。
一応完成して、みんなに食べてもらったが、意外にもこのメニューは初めてだったらしく、かなり好評だったのは嬉しい誤算である。コカトリスも喜んでいた。味噌汁は飲みにくそうであったけど、味は気に入ってくれたようだ。
朝食も終わって片付けも完了したので、これよりフロストの町へと出発である。私以外の全員が木騎馬へと跨がる。マーブルとジェミニは定位置に、ライムも腰袋に飛び込んで準備完了。コカトリスはどうするかと思っていたら、私の頭の上に乗りやがった、、、。いや、君デカいから重いって。そう素直に告げると、羽を何度かばたつかせたので、バランスが少し悪くなったか、と思ったらいきなり頭にかかっていた重さが消え、爪でつかまっている感触だけ残った。「コケーッ!」とか得意げに鳴いていたが、癖になっても今後は乗せないからね。禿げたくないし、、、。
帰りの道中では特に何事もなく無事にフロストの町へ到着した。フロストの町へつながる道と街道との合流点に着くと、流石にコカトリスも頭から降りて、そこからは自分の力で飛行していた。できるなら最初からこうすればいいじゃん、、、。
町へ到着すると、フェラー族長とカムドさんを先頭に、領民がほぼ勢揃いしていた。もちろんレオ達ウサギ族はもちろん、他のコカトリス達も一緒だった。その他には冒険者ギルドのギルド長も出迎えてくれた。いつの間にか、カムイちゃんも出迎え側にいた。先にここに戻ったウルヴはというと、皇帝陛下へ謁見するための先触れの使者として帝都に向かったそうだ。クレオ君とパトラちゃんはというと、寝てた。何でも今日はいつもより早く起きてしまい、ウサギ達やコカトリス達と遊んでいたそうで。
「ご主人、お帰りなさいませ。アンジェリーナ王女殿下、並びにセイラ様、ルカ様もお帰りなさいませ。」
「フェラー族長にカムドさん、それにみんなも出迎えありがとう、って、何でアンジェリカさん達も「おかえり」なの?」
「・・・ご主人、おわかりになっていないのですか、、、。」
フェラー族長だけでなく、周りにいた者達も呆れたような表情だった。何でだ、、、。
みんなの出迎えを受けてから、領主館へと戻った、のはいいけど、館には部屋がいくつか増えていた。何とアンジェリカさん達の部屋だそうだ。
「何故、アンジェリカさん達の部屋がここに?」
「アンジェリーナ様達戦姫の3人は、すでにフロスト領の住民と同じといえます。更にアンジェリーナ様達はご主人と一緒に行動することも多いでしょうし、どうせなら同じ館に部屋を作ってしまった方が良いと、そういう判断です。ちなみに、反対0の賛成多数で可決されておりますので。」
「何でそうなるのかわからないけど、まあ、いいや。それはそうとして、カムイちゃんや、向こうへ行ってくれたベリーラビットから報告は受けたよ。」
「それは何よりですが、どうしましょうか?」
「トレインを引き起こした連中は、勇者と言っていたね。でも、うちらには関係のない話だから、普通に犯罪者として扱うよ。その前にやらないといけないことがあるから、犯罪者はそのまま閉じ込めておいて。脱走しないようにマーブルも何か仕掛けておいて。」
「ミャア!!」
マーブルは嬉しそうに鳴きながら敬礼する。ああ、やはり可愛すぎてたまらん!
「そうですか。それと、犯罪者達についてですが、サムタン公国の教会側から、「勇者を不当な理由で拘束するのはおかしい」と抗議の文が届いております。領主は不在であるからこちらでは判断できない、と伝えてありますが、いかがしましょう。」
「教会? ひょっとしたら、勇者を召喚したのはそいつらかな。で、その教会名は一体何?」
「ハングラー教会らしいです。ハングラー神という唯一神を信仰している教会のようです。」
「ハングラー神? 聞いたことないなあ、それで、その信者の規模はどのくらいなの?」
「かなりの規模ですな。ハングラー教については、ハングラー教国という国家自体が存在しますし。」
「なるほどね。まあ、どうでもいいか。どちらにせよ、犯罪者は裁くべきだから、後回しで。私がここにいる時にまた抗議の使者が来たら、対応するから。」
「外交問題になりませんかね?」
「外交問題なんて知ったことじゃないしね。恐らく陛下もそう思っているよ。、、、多分。それに外交っていっても、ここはトリトン帝国だよ? 基本的に3馬、じゃなかった、3大臣達が個人的に関わっているだけで、国としてはほとんど交流はないしね。ってか、うちの国って、基本どことも友好関係って存在してないでしょ。これからタンヌ王国とは多少友好関係が生まれてくるかもしれないけど、交流したくなるほどのものがうちの国にはないからねえ。」
「そうですわね。正直申しますと、フロスト領やトリニトの町でしたら、食べ物という点では交流する価値はありますけど、その他についてはこちらが欲しいようなものも存在しませんわね。」
「ほら、アンジェリカさんもこう言っているし、その怪しげな宗教に関してもぶっちゃけどうでもいいしね。」
「どうでもいい、ですか、、、。まあ、ご主人がそう仰るなら。」
「まあまあ、フェラー殿。ある程度こういった返事は予想できたでしょう。まあ、アイスさんらしいといえばアイスさんらしいと言えますかね。ところで、アイスさん、他にやらないといけないこととは?」
「まずは、これです。」
そう言って、私は空間収納から、黒鉱石、ミスリル鉱石、エイシャントオークを取り出す。
「こ、これは、また貴重なものを、、、。これをどうします?」
「これを櫛に加工して欲しいんだ。こういうやつね。」
櫛といっても、わからなそうだったので、見本で作っておいたマーブルとジェミニ用のモフ櫛を取り出す。
「これが櫛ですか? で、これはどうやって使うのですか?」
「これはですね、我が領のペットたちの毛を綺麗に整える道具です。こうやって使うんですよ。」
そう言って、マーブルとジェミニにそれぞれ櫛を使って毛繕いをする。マーブルもジェミニもそれぞれ気持ちよさそうにしている。
「なるほど! これらを使って、ウサギ達の手入れをすることにより、さらにウサギ達が可愛く綺麗になるということですな!!」
「そういうことです。ただ、毛にも個人差がありますから、ウサギ達それぞれに合ったものをつくってもらいたいと思いまして。現に、マーブルとジェミニでは、このように櫛の感覚などが違ってきますからね。最初は練習としてマーブル用とジェミニ用をいくつか作って下さい。それを基準に他のウサギ達も調整して合ったものをつくってもらえたら、と。」
「なるほど、そういった加工は我らゴブリン族にお任せを。ただ、黒鉱石やミスリル鉱石ならなんとかできますが、このエイシャントオークに関しては我らでは荷が重いですな、、、。」
「え? ゴブリン族でもエイシャントオークは加工できないのか、、、。逆にミスリルの方が無理だと思ってたよ、、、。」
「ミスリルなら、どうにかなりますが、エイシャントオークを扱うには魔力が足りません。」
「なるほどね。じゃあ、黒鉱石とミスリルで頼みますね。余ったら加工用の道具を作るのに使ってもいいから。」
「ありがとうございます。ところでご主人、これらを一体どこで手に入れたので?」
「ああ、これらはね、うちで新たに見つかったダンジョンで手に入れたんだよ?」
「「ダンジョンですか!?」」
「そうです、恵みのダンジョンとは違ったダンジョンですね。」
「なるほど、新たにダンジョンが見つかったと。それでそのダンジョンは一体どんな感じで? アイスさんはすでにマーブル殿達と潜っているということですね。」
「そういうことです。そこで手に入ったお宝がありまして、それを領民達への土産として用意しました。」
「それはありがたいのですが、そうなると、そのダンジョンに潜る旨味が領民達にはなくなってしまうのではないですか?」
「それについては心配ないです。詳細については後で話しますが、お土産として用意しているのは、今の装備より少しだけ性能がいいやつで、更に高性能な武器防具なども手に入ります。何しろ武器防具を扱える鍛冶師が我が町にはいませんからねえ。」
「まあ、それは致し方ないですな。後で話すということは、冒険者ギルドへと話をもっていくということでよろしいですかな?」
「そういうことです。というわけで、フェラー族長、これよりその話をしますので、ギルド長を呼んできてもらえませんか。」
「承知しました。ライラ、今から冒険者ギルドへ赴き、ギルド長をここに呼んできてくれ。内容は新たなダンジョンについての話と言えば来てくれるだろう。」
「承知しました。直ちに。」
フェラー族長のそばに控えていた狼族の女性が走り去っていく。あの子、ライラって名前だったんだ。
そんなことを思いながら、ここにいるメンバー、マーブル達はもちろん、アイン、ラヒラス、戦姫の3人にフェラー族長、カムドさんとカムイちゃん達と、雑談をしながらギルド長が来るのを待った。
テシテシ、テシテシ、ポンポン、ツンツン、、、。いつもの朝起こしですよ、って、何か追加されてるし!? はい、いましたよ。コカトリスさんが、、、。ってか、何でお前いるの? という反応しかできませんでした、ハイ。
「何で君がいるの?」
「コッコケー!!」
「ええとですね、、、。昨日の夕方にはウルヴさんが町に到着したらしいんですよ、それで、このコカトリスさんが、朝起こしに参加したくてですね、夜通し飛んできたそうです、、、。」
「マヂかい、、、。」
いや、普通に起こしてもらうだけですよ、マーブル達に。何でここまでわざわざ来る必要があるんですかねえ。いや、ここに来てまでそうしてくれるのは嬉しいんですよ? でもね、それ以上にわざわざこんなところに来るか? って話ですよ、、、。
とはいえ、来てしまったものは仕方がないです。それにいつも通り新鮮な卵を用意してくれましたので、嬉しいのは間違いないですが、それ以上に何で? と、驚きやら呆れやらが、ね。
折角来てくれたので、朝モフに参加してもらった。いや、フロストの町に住んでいるコカトリス達のモフモフもかなりのものなんですよね、しかも、ピュア種ということで、全身が白いんだよね。とはいえ、しっかりと石化能力も持っているそうだ。見たことないけどね。
ついでだから、モフ櫛が必要か聞いてみましょうかね。ということで、聞いてみると、やはり羽毛のため、そこまで必要ではないらしい。ただ、鳥らしく光るものが好きらしいから、何か良いものがあったらそれを土産にしますか、って今更だけど、タンヌ王国で手に入れたものではなく、うちの領地内にあるダンジョンのものなんだけどね、、、。って、それみんなへの土産にもいえるか、、、。
テントの中といえど、やることは変わらない。服を着替え、朝モフを堪能し、水術で顔を洗ってサッパリしてから、テントから出て、氷の罠を解こうとしたが、残念ながら掛かっているものはいなかった。後で聞いたら、暇つぶしにマーブル達が発見しては仕留めていたらしい。あまり眠らないそうだけど、無理はしないでね。君達あっての私だからね。ちなみに、ここに来たコカトリスは私達へは全く害意がないので、罠が発動しないようだ。
私達だけではなく、アインやラヒラス、戦姫の3人もテントから出てきたようだ。互いに挨拶を交わす。時間がこうして揃っているのは、ラヒラスが目覚まし機能をテントに施していたかららしい。私のテントにはそれは無いのですが、、、。え? マーブル達がいるじゃないかって? ええ、そうでしたそうでした。私にはいつもマーブル達が起こしてくれるから必要ないということで。逆に言われましたよ、領主なんだから、基本はお付きの者が起こしに来るものだとね。じゃあ、アンジェリカさんは? と聞くと、今は冒険者だからって。まあ、セイラさんとルカさんの本来の役割はそのお付きの者の仕事でしたね、忘れてましたよ。
さて、朝食だけど、わざわざコカトリスが卵を届けてくれたので、これを使わない手はない。一応ストックも用意してあるけど、折角こうして持ってきてくれたのだから、この持ってきてくれたものを使って調理しますかね。朝食は贅沢にコカトリスの卵を一人につき一つずつとしましょうか。あ、もちろんコカトリスは自分の卵は食べませんので除外です。この卵で巨大目玉焼きのハムエッグです。肉はエンペラーの肉よりも通常種の方が合いそうかな。エッグのないコカトリスにはその分、お肉を増量、ということで。主食は麦飯です。汁はもちろん味噌汁で。ええ、以前いた世界での私の朝食ですが何か?
ハムエッグにはパンだろ? と思うかもしれないけど、これはこれで美味いのだ。というか、美味いパンが手に入らないから仕方がない。本来はお米のご飯がよろしいけど、押し麦の麦飯にも慣れてきて、今は正直稲の優先順位は低めである。もちろん、見つかれば狂喜すること間違いなしだと思うけど。それよりもイースト菌となるものが見つかっていない。ブドウですらまだだし、それ以外では生憎わからないので、どうしようもないのが現状だ。
一応完成して、みんなに食べてもらったが、意外にもこのメニューは初めてだったらしく、かなり好評だったのは嬉しい誤算である。コカトリスも喜んでいた。味噌汁は飲みにくそうであったけど、味は気に入ってくれたようだ。
朝食も終わって片付けも完了したので、これよりフロストの町へと出発である。私以外の全員が木騎馬へと跨がる。マーブルとジェミニは定位置に、ライムも腰袋に飛び込んで準備完了。コカトリスはどうするかと思っていたら、私の頭の上に乗りやがった、、、。いや、君デカいから重いって。そう素直に告げると、羽を何度かばたつかせたので、バランスが少し悪くなったか、と思ったらいきなり頭にかかっていた重さが消え、爪でつかまっている感触だけ残った。「コケーッ!」とか得意げに鳴いていたが、癖になっても今後は乗せないからね。禿げたくないし、、、。
帰りの道中では特に何事もなく無事にフロストの町へ到着した。フロストの町へつながる道と街道との合流点に着くと、流石にコカトリスも頭から降りて、そこからは自分の力で飛行していた。できるなら最初からこうすればいいじゃん、、、。
町へ到着すると、フェラー族長とカムドさんを先頭に、領民がほぼ勢揃いしていた。もちろんレオ達ウサギ族はもちろん、他のコカトリス達も一緒だった。その他には冒険者ギルドのギルド長も出迎えてくれた。いつの間にか、カムイちゃんも出迎え側にいた。先にここに戻ったウルヴはというと、皇帝陛下へ謁見するための先触れの使者として帝都に向かったそうだ。クレオ君とパトラちゃんはというと、寝てた。何でも今日はいつもより早く起きてしまい、ウサギ達やコカトリス達と遊んでいたそうで。
「ご主人、お帰りなさいませ。アンジェリーナ王女殿下、並びにセイラ様、ルカ様もお帰りなさいませ。」
「フェラー族長にカムドさん、それにみんなも出迎えありがとう、って、何でアンジェリカさん達も「おかえり」なの?」
「・・・ご主人、おわかりになっていないのですか、、、。」
フェラー族長だけでなく、周りにいた者達も呆れたような表情だった。何でだ、、、。
みんなの出迎えを受けてから、領主館へと戻った、のはいいけど、館には部屋がいくつか増えていた。何とアンジェリカさん達の部屋だそうだ。
「何故、アンジェリカさん達の部屋がここに?」
「アンジェリーナ様達戦姫の3人は、すでにフロスト領の住民と同じといえます。更にアンジェリーナ様達はご主人と一緒に行動することも多いでしょうし、どうせなら同じ館に部屋を作ってしまった方が良いと、そういう判断です。ちなみに、反対0の賛成多数で可決されておりますので。」
「何でそうなるのかわからないけど、まあ、いいや。それはそうとして、カムイちゃんや、向こうへ行ってくれたベリーラビットから報告は受けたよ。」
「それは何よりですが、どうしましょうか?」
「トレインを引き起こした連中は、勇者と言っていたね。でも、うちらには関係のない話だから、普通に犯罪者として扱うよ。その前にやらないといけないことがあるから、犯罪者はそのまま閉じ込めておいて。脱走しないようにマーブルも何か仕掛けておいて。」
「ミャア!!」
マーブルは嬉しそうに鳴きながら敬礼する。ああ、やはり可愛すぎてたまらん!
「そうですか。それと、犯罪者達についてですが、サムタン公国の教会側から、「勇者を不当な理由で拘束するのはおかしい」と抗議の文が届いております。領主は不在であるからこちらでは判断できない、と伝えてありますが、いかがしましょう。」
「教会? ひょっとしたら、勇者を召喚したのはそいつらかな。で、その教会名は一体何?」
「ハングラー教会らしいです。ハングラー神という唯一神を信仰している教会のようです。」
「ハングラー神? 聞いたことないなあ、それで、その信者の規模はどのくらいなの?」
「かなりの規模ですな。ハングラー教については、ハングラー教国という国家自体が存在しますし。」
「なるほどね。まあ、どうでもいいか。どちらにせよ、犯罪者は裁くべきだから、後回しで。私がここにいる時にまた抗議の使者が来たら、対応するから。」
「外交問題になりませんかね?」
「外交問題なんて知ったことじゃないしね。恐らく陛下もそう思っているよ。、、、多分。それに外交っていっても、ここはトリトン帝国だよ? 基本的に3馬、じゃなかった、3大臣達が個人的に関わっているだけで、国としてはほとんど交流はないしね。ってか、うちの国って、基本どことも友好関係って存在してないでしょ。これからタンヌ王国とは多少友好関係が生まれてくるかもしれないけど、交流したくなるほどのものがうちの国にはないからねえ。」
「そうですわね。正直申しますと、フロスト領やトリニトの町でしたら、食べ物という点では交流する価値はありますけど、その他についてはこちらが欲しいようなものも存在しませんわね。」
「ほら、アンジェリカさんもこう言っているし、その怪しげな宗教に関してもぶっちゃけどうでもいいしね。」
「どうでもいい、ですか、、、。まあ、ご主人がそう仰るなら。」
「まあまあ、フェラー殿。ある程度こういった返事は予想できたでしょう。まあ、アイスさんらしいといえばアイスさんらしいと言えますかね。ところで、アイスさん、他にやらないといけないこととは?」
「まずは、これです。」
そう言って、私は空間収納から、黒鉱石、ミスリル鉱石、エイシャントオークを取り出す。
「こ、これは、また貴重なものを、、、。これをどうします?」
「これを櫛に加工して欲しいんだ。こういうやつね。」
櫛といっても、わからなそうだったので、見本で作っておいたマーブルとジェミニ用のモフ櫛を取り出す。
「これが櫛ですか? で、これはどうやって使うのですか?」
「これはですね、我が領のペットたちの毛を綺麗に整える道具です。こうやって使うんですよ。」
そう言って、マーブルとジェミニにそれぞれ櫛を使って毛繕いをする。マーブルもジェミニもそれぞれ気持ちよさそうにしている。
「なるほど! これらを使って、ウサギ達の手入れをすることにより、さらにウサギ達が可愛く綺麗になるということですな!!」
「そういうことです。ただ、毛にも個人差がありますから、ウサギ達それぞれに合ったものをつくってもらいたいと思いまして。現に、マーブルとジェミニでは、このように櫛の感覚などが違ってきますからね。最初は練習としてマーブル用とジェミニ用をいくつか作って下さい。それを基準に他のウサギ達も調整して合ったものをつくってもらえたら、と。」
「なるほど、そういった加工は我らゴブリン族にお任せを。ただ、黒鉱石やミスリル鉱石ならなんとかできますが、このエイシャントオークに関しては我らでは荷が重いですな、、、。」
「え? ゴブリン族でもエイシャントオークは加工できないのか、、、。逆にミスリルの方が無理だと思ってたよ、、、。」
「ミスリルなら、どうにかなりますが、エイシャントオークを扱うには魔力が足りません。」
「なるほどね。じゃあ、黒鉱石とミスリルで頼みますね。余ったら加工用の道具を作るのに使ってもいいから。」
「ありがとうございます。ところでご主人、これらを一体どこで手に入れたので?」
「ああ、これらはね、うちで新たに見つかったダンジョンで手に入れたんだよ?」
「「ダンジョンですか!?」」
「そうです、恵みのダンジョンとは違ったダンジョンですね。」
「なるほど、新たにダンジョンが見つかったと。それでそのダンジョンは一体どんな感じで? アイスさんはすでにマーブル殿達と潜っているということですね。」
「そういうことです。そこで手に入ったお宝がありまして、それを領民達への土産として用意しました。」
「それはありがたいのですが、そうなると、そのダンジョンに潜る旨味が領民達にはなくなってしまうのではないですか?」
「それについては心配ないです。詳細については後で話しますが、お土産として用意しているのは、今の装備より少しだけ性能がいいやつで、更に高性能な武器防具なども手に入ります。何しろ武器防具を扱える鍛冶師が我が町にはいませんからねえ。」
「まあ、それは致し方ないですな。後で話すということは、冒険者ギルドへと話をもっていくということでよろしいですかな?」
「そういうことです。というわけで、フェラー族長、これよりその話をしますので、ギルド長を呼んできてもらえませんか。」
「承知しました。ライラ、今から冒険者ギルドへ赴き、ギルド長をここに呼んできてくれ。内容は新たなダンジョンについての話と言えば来てくれるだろう。」
「承知しました。直ちに。」
フェラー族長のそばに控えていた狼族の女性が走り去っていく。あの子、ライラって名前だったんだ。
そんなことを思いながら、ここにいるメンバー、マーブル達はもちろん、アイン、ラヒラス、戦姫の3人にフェラー族長、カムドさんとカムイちゃん達と、雑談をしながらギルド長が来るのを待った。
0
お気に入りに追加
1,121
あなたにおすすめの小説
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
〖完結〗私が死ねばいいのですね。
藍川みいな
恋愛
侯爵令嬢に生まれた、クレア・コール。
両親が亡くなり、叔父の養子になった。叔父のカーターは、クレアを使用人のように使い、気に入らないと殴りつける。
それでも懸命に生きていたが、ある日濡れ衣を着せられ連行される。
冤罪で地下牢に入れられたクレアを、この国を影で牛耳るデリード公爵が訪ねて来て愛人になれと言って来た。
クレアは愛するホルス王子をずっと待っていた。彼以外のものになる気はない。愛人にはならないと断ったが、デリード公爵は諦めるつもりはなかった。処刑される前日にまた来ると言い残し、デリード公爵は去って行く。
そのことを知ったカーターは、クレアに毒を渡し、死んでくれと頼んで来た。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全21話で完結になります。
旦那様、どうやら御子がお出来になられたようですのね ~アラフォー妻はヤンデレ夫から逃げられない⁉
Hinaki
ファンタジー
「初めまして、私あなたの旦那様の子供を身籠りました」
華奢で可憐な若い女性が共もつけずに一人で訪れた。
彼女の名はサブリーナ。
エアルドレッド帝国四公の一角でもある由緒正しいプレイステッド公爵夫人ヴィヴィアンは余りの事に瞠目してしまうのと同時に彼女の心の奥底で何時かは……と覚悟をしていたのだ。
そうヴィヴィアンの愛する夫は艶やかな漆黒の髪に皇族だけが持つ緋色の瞳をした帝国内でも上位に入るイケメンである。
然もである。
公爵は28歳で青年と大人の色香を併せ持つ何とも微妙なお年頃。
一方妻のヴィヴィアンは取り立てて美人でもなく寧ろ家庭的でぽっちゃりさんな12歳年上の姉さん女房。
趣味は社交ではなく高位貴族にはあるまじき的なお料理だったりする。
そして十人が十人共に声を大にして言うだろう。
「まだまだ若き公爵に相応しいのは結婚をして早五年ともなるのに子も授からぬ年増な妻よりも、若くて可憐で華奢な、何より公爵の子を身籠っているサブリーナこそが相応しい」と。
ある夜遅くに帰ってきた夫の――――と言うよりも最近の夫婦だからこそわかる彼を纏う空気の変化と首筋にある赤の刻印に気づいた妻は、暫くして決意の上行動を起こすのだった。
拗らせ妻と+ヤンデレストーカー気質の夫とのあるお話です。
虐げられた令嬢、ペネロペの場合
キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。
幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。
父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。
まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。
可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。
1話完結のショートショートです。
虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい……
という願望から生まれたお話です。
ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。
R15は念のため。
婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな
カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界
魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた
「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね?
それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」
小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く
塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう
一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが……
◇◇◇
親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります
(『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です)
◇◇◇
ようやく一区切りへの目処がついてきました
拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
転生したら赤ん坊だった 奴隷だったお母さんと何とか幸せになっていきます
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
転生したら奴隷の赤ん坊だった
お母さんと離れ離れになりそうだったけど、何とか強くなって帰ってくることができました。
全力でお母さんと幸せを手に入れます
ーーー
カムイイムカです
今製作中の話ではないのですが前に作った話を投稿いたします
少しいいことがありましたので投稿したくなってしまいました^^
最後まで行かないシリーズですのでご了承ください
23話でおしまいになります
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる