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第96話 さてと、こりずに今日も探索です。
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前回のあらすじ:今日も暇なので、以下略。
黒鉱石という初めて見る鉱石をある程度手に入れて砦へと戻り、夕食を頂いてから部屋でモフモフまったりとしていると、カムイちゃんが来た。って、任務なんだろうけど、今までどこにいたんだろうか? まあ、それはそうと報告を聞かないとね。
「カムイちゃん、お疲れ様。早速で済まないけど、報告よろ。」
「じゃあ、最初の報告ね。タンバラの街へ行った3人だけど、もう少し長引くそうだから、その連絡ね。」
「なるほど、ウルヴ達はもう少しタンバラの街にいる、ということだね。了解したよ。ということは、ホーク亭の料理の味が気に入ったのかな?」
「いや、アイスさん、彼らは一応使者として行ってるんだから、ホーク亭に泊まったりしないって。そうじゃなくて、あの街にいる主だった人達と交流するんだってさ。」
「そういうことか。モウキさんは元より、オルステッドさんとかランバラルさんとか、かなりの人物だから、是非交流するといいさ。って、カムイちゃん、最初ということは、他にもあるの?」
「うん、あるよ。アイスさんは、フロスト領から来たベリーラビットから報告受けたよね? 私的にもう少し詳しい内容が知りたかったから、フロストの町へと戻って状況を確認しに行ってたんだ。あ、ここに来たベリーラビットは無事に戻っていたから。」
「それを聞いて安心したよ。実はひそかに心配してたんだよね。とはいえ、私は戻れない状況だし。」
「フロスト領の心配はしてないんだね。」
「町については、これっぽっちも心配してないよ。主力は残っているからね。ドラゴンの集団が襲ってくるならともかく、ワイバーン程度ならどれだけ来ても対応できるでしょ。」
「確かにそうなんだけどさ、普通はワイバーンの集団だけでも大騒ぎなんだけどね、、、。最近はその程度当たり前のように倒せるようになってるのが不思議でしょうがないんだけど。」
「それは、みんなの頑張りの成果だね。そういうわけで、心配することはないんだよね。で、詳細はどうなっているのかな?」
「ああ、そうだったね。父上とフェラーさんが一緒にいたから、2人に話を聞いたんだけど、どこかの馬鹿がモンスタートレインをやらかしたみたいで、フロストの町だけでなく、トリニトの町にも多くの魔物が来たらしいんだよね。」
「モンスタートレインで報告が来るほどの数が来るって、どこから来たんだ?」
モンスタートレインとは、知っている方も多いと思うけど、一応念のため。魔物にちょっかいをかけて、倒せずに逃げた場合に魔物が諦めずに追いかけ続けて、結果、魔物をこちらに引き連れてくる状態になることを指す、と思う。
「それがさ、勇者とか呼ばれている召喚された連中がしでかしたみたいよ。まあ、森の魔物程度ならこちらとしては大したことなかったらしいけどさ、トリニトの町へと来ちゃったものは違うじゃん? トリニトの町の方でも冒険者や領兵から連絡が来てたようだから、一応対処できてたけど、数が数じゃん? こっちからもある程度援軍出して何とか間に合った感じかな。」
「しかし、はた迷惑な存在だよな、で、彼らはどこの馬鹿が召喚したんだろうか。」
「それがさ、公国らしいよ。」
「公国かよ。それで、勇者のメンバーは何人だった?」
「6人だね。今はうちの領にあるアマデウス教会の隔離部屋に閉じ込めているんだって。」
「ああ、面白そうだからって作ったあの部屋か。まさか、こんな形で役に立つとは思わなかったけどね。それにしても、何で公国から来たってわかったの?」
「それがさ、あいつら馬鹿だから、必死で逃げてきたにも関わらず、その逃げるハメになった魔物をレオさんが瞬殺したらしいんだけど、そのレオさんに喧嘩を売ったらしいよ。それでうちの領民に捕らえられたときに「俺たちはサムタン公国から来た勇者だぞ!」とか言ってたらしいよ。それで、面倒だからアマデウス教会の隔離部屋へと放り込んだみたい。」
「確かにそれは馬鹿だよな。自分たちが敵わずに逃げてきた魔物を瞬殺した存在に喧嘩売ってるんだもんな。しかし、勇者か、、、。私も一歩間違えたらああいう存在になっていたと思うと何か、ね。」
「ああ、そうか。アイスさんも召喚された者だったね。」
「まあ、私の場合は死んでから、この世界に来たから厳密には転生者かな。似たようなものかも知れないけどね。」
「それで父上から、この処置が正しかったかどうか聞いておいてって言われたんだけど、どうだったかな?」
「私が留守のときは2人に任せる、と言って任せたんだから、特に私から言うことはないかな。私だったらすぐさま処刑したと思うけど、むしろそっちの処置の方が正しいと思う。どちらにしろ、これも帝都へ行って陛下に報告しないとならないな。」
「とりあえず、報告は以上かな。それでアイスさんは今何をしてるの?」
「私達は今は特にやることがないから、フロスト領で新たに見つかった洞窟の探索をしているかな。」
「洞窟? 私もしばらくは特に仕事がないから、行きたいんですけど、、、。」
「了解。じゃあ、明日から一緒に行くとしますかね。」
「ただ、私だと戦闘で役に立ちそうにないかなあ、、、。」
「戦闘で役に立つ? いや、普段からそれは考えてないよ。」
「え? アイスさん、どういうこと?」
「私がマーブル達と一緒に行っているのは、戦闘力とかじゃなくて、単に私が一緒にいたいだけだから。」
「はい? そっちが主な理由なの?」
「そうだよ。マーブルもジェミニも私のモフモフ要員としての同行が主目的で、たまたま倒せる相手だから戦っているだけで、メインはモフモフだから。ライムはプニプニ要員が主だけど、洗浄要員としての割合は結構大きいけどね。」
「ミャア!」
「その通りです!」
「ボクはどっちにしろ、あるじが一緒だから問題なし!」
「まあ、そういうことだから、カムイちゃんは自分のできそうなことをすればいいんだよ。私達は斥候の技能がないから、そういった方面とかでもいいし。」
「うん、頑張ります!!」
カムイちゃんからの報告を聞いて、ウルヴ達がまだ数日向こうにいるらしいから、その分、洞窟探索を続けるとしますかね。
そして、次の日、私が起きて少ししてからカムイちゃんがやってきた。いや、早いから。朝食はどうするのか聞くと、守備兵さんにこっちで食べることを伝えておいたそうだ。守備兵さん、ご苦労様です。いいものが手に入ったら、後で差し入れます。手に入ればだけどね、、、。
カムイちゃんの言った通り、朝食は私達の分+カムイちゃんの分が運ばれてきた。普段はどうしていたのかと聞くと、アンジェリカさん達と食事を摂っていたそうだ。なるほど、それだと今は一人で食べないとならないか。以前いた世界の私であれば、基本、というか約30年近くぼっちだったから平気だったけど、今はマーブル達と一緒だから、やはり一人はいやかな。同じ部屋で寝るのはスペース的に無理があるから仕方ないとしても、食事くらいは一緒に摂るのもいいかもしれない。基本は群れで生活するのが当たり前のゴブリン族なんだから、余計に一人はつらいだろう。
朝食が終わって、休憩がてら、お土産として龍肉のウインナーを作ってみることにして、その下ごしらえを少々した、といっても、ブタさんや羊さんの腸をウインナー用に加工している段階程度のものだけどね。ダンジョン行くし、そっちの方に時間を取りたいからね。その間、カムイちゃんはダンジョンに潜る準備をしに部屋に戻っていた。支度を終えてこちらに来たのでダンジョンに出発だ。
いつも通り、転送魔法で転送ポイントまで移動する。砦→ダンジョン入り口、入ったら地下2階の転送ポイントといった具合に転送する。というのも、気持ちが切り替わるからという理由だけなんだけどね。実はいきなり砦から地下2階の下り階段までは一気に転送できるけど、そういった理由で入り口に一旦転送魔法で運んでもらっている。いつもそうだから、それがクセみたいなものだ。マーブルもそんな感じらしい。前に聞いたことがあったのを思い出した。
ダンジョンの地下3階に降りると、迷宮は石レンガのようなもので構成されていた。しかもこれって、通路が思いっきり直線になっており、地下2階までと比べるとかなり暗く、せいぜい3歩先くらいしか見えないくらいだ。ということで、ライムに光魔法で照らしてもらい明かりを確保する。
地下3階はいきなり2手に別れており、南と西へとそれぞれ通路があった。気配探知をかけてみるが、やはり範囲はそれほど広くは無理だった。マーブルに聞いても同じような状況っぽい。とりあえず不意打ちにだけ注意するとしますかね。
進路であるが、とりあえず南を進んでみる。少し進むと左手にドアがあり、その先は行き止まりとなっていた。ドアが気になったので、鑑定してみる。
------------------------------------
『とある魔法のドア』・・・この扉は不思議なことに、いくら手で押しても開かないぞい。というのも、足で蹴らないと開かないようになっているようじゃな。足がない場合はどうするかって? 体当たりでよさそうじゃな。ちなみに、この扉はどれだけ強く蹴っても壊れることがないようじゃな。また、この扉自体には罠はないようじゃぞ。あと、ぼやけた種類の扉も存在するみたいじゃな。光で照らしてやれば見つかるようじゃ。
------------------------------------
・・・何で、扉にこんな訳のわからないものが付与されているんだ? そういえば、取っ手が一切ついていないな、この扉。この通路に、この扉、どこかで見たことがあるような無いような、何か引っかかるな。私の予想が正しければ、この先には魔物がいるな。さて、どんな魔物やら。
「みんな、どうやら、この扉は蹴るか、体当たりでしか開かないらしい。で、私の予想が正しければ、この先に魔物がいます。とりあえず戦闘準備をしましょうか。」
みんなが敬礼で応える。うん、カムイちゃんも案外様になってるな。もちろんマーブル達は可愛くてたまらない。っと、私も弓を出して矢をつがえて準備完了。では、行きますよっと。
扉を足で蹴ると、予想通り魔物がいた。オークだ! しかも5体もいた! オークであれば、1人につき1体ずつ倒せばいい。オーク達を倒すと、死体が消えて、肉と腸と皮が残されていた。これは嬉しい!! 私はもちろんのこと、みんなも大喜びである。
オーク肉などが手に入って、喜んでいたので最初は気付かなかったけど、宝箱が残されていた。
「宝箱? じゃあ、私の出番だね! まずは罠があるか調べるよ。」
そう言って、カムイちゃんが罠が無いか調べているが、その顔色はよくない。どうしたのだろうか。
「カムイちゃん、どうした? 罠とかわかりづらいの、これ?」
「えーっとね、罠があるのはわかるんだけど、どの種類かまではわからないんだ。普通ならその罠の特徴とかがあるんだけど、この箱に関しては全くそれが無くって困ってる。」
「じゃあ、ちょっと鑑定してみるから、それで種類がわかったら解除できるかな?」
「うん! 種類がわかったら大丈夫だよ!!」
「よし、じゃあ、鑑定してみますか。どれどれ、っと。」
宝箱について鑑定してみる。アマさん、罠探知できたらよろ。
-------------------------------------
『スタンナー』・・・うかつに開けると、開けた者が麻痺するようじゃな。この麻痺は強力でな、麻痺耐性があろうがなかろうが、必ず麻痺してしまうようじゃな。ちなみにワシらも例外なく麻痺してしまうようじゃな。まあ、発動させなければいいだけのことじゃな。まあ、麻痺自体はそれほど強くないから、罠解除の練習には丁度良いかもしれんな。お主もレッツトライじゃ。
-------------------------------------
何か聞いたことのある種類の罠だな、、、。まあ、それはいいとして、何が「お主もレッツトライじゃ」だよ!! 基本的な罠解除すら学んだことねーよ、、、。ただ、確かに練習にはうってつけかもしれないけど、私にもやらせようとするなよ、、、。
「鑑定結果だと、スタンナーという麻痺させる罠みたいだね。うかつに開けてしまうと、開けた人が麻痺するみたい。麻痺耐性を持っていても必ず麻痺するみたい。」
「了解! 麻痺の罠ね、それなら私でも大丈夫かな。」
そう言って、カムイちゃんが宝箱をいじり出すと、それほど時間はかからずに宝箱は開いた。
「うん、罠の種類さえわかれば、私でもどうにかできそうね。アイスさん、私、ここで罠解除の練習をしたいんだけど、いいかな?」
「ほう、罠解除の練習ね。いいことだね。急いで攻略する気は全く無いから、のんびりやっていこうか。」
マーブル達も賛成してくれたので、魔物を探しつつ、罠解除の練習もかねて探索することにした。
黒鉱石という初めて見る鉱石をある程度手に入れて砦へと戻り、夕食を頂いてから部屋でモフモフまったりとしていると、カムイちゃんが来た。って、任務なんだろうけど、今までどこにいたんだろうか? まあ、それはそうと報告を聞かないとね。
「カムイちゃん、お疲れ様。早速で済まないけど、報告よろ。」
「じゃあ、最初の報告ね。タンバラの街へ行った3人だけど、もう少し長引くそうだから、その連絡ね。」
「なるほど、ウルヴ達はもう少しタンバラの街にいる、ということだね。了解したよ。ということは、ホーク亭の料理の味が気に入ったのかな?」
「いや、アイスさん、彼らは一応使者として行ってるんだから、ホーク亭に泊まったりしないって。そうじゃなくて、あの街にいる主だった人達と交流するんだってさ。」
「そういうことか。モウキさんは元より、オルステッドさんとかランバラルさんとか、かなりの人物だから、是非交流するといいさ。って、カムイちゃん、最初ということは、他にもあるの?」
「うん、あるよ。アイスさんは、フロスト領から来たベリーラビットから報告受けたよね? 私的にもう少し詳しい内容が知りたかったから、フロストの町へと戻って状況を確認しに行ってたんだ。あ、ここに来たベリーラビットは無事に戻っていたから。」
「それを聞いて安心したよ。実はひそかに心配してたんだよね。とはいえ、私は戻れない状況だし。」
「フロスト領の心配はしてないんだね。」
「町については、これっぽっちも心配してないよ。主力は残っているからね。ドラゴンの集団が襲ってくるならともかく、ワイバーン程度ならどれだけ来ても対応できるでしょ。」
「確かにそうなんだけどさ、普通はワイバーンの集団だけでも大騒ぎなんだけどね、、、。最近はその程度当たり前のように倒せるようになってるのが不思議でしょうがないんだけど。」
「それは、みんなの頑張りの成果だね。そういうわけで、心配することはないんだよね。で、詳細はどうなっているのかな?」
「ああ、そうだったね。父上とフェラーさんが一緒にいたから、2人に話を聞いたんだけど、どこかの馬鹿がモンスタートレインをやらかしたみたいで、フロストの町だけでなく、トリニトの町にも多くの魔物が来たらしいんだよね。」
「モンスタートレインで報告が来るほどの数が来るって、どこから来たんだ?」
モンスタートレインとは、知っている方も多いと思うけど、一応念のため。魔物にちょっかいをかけて、倒せずに逃げた場合に魔物が諦めずに追いかけ続けて、結果、魔物をこちらに引き連れてくる状態になることを指す、と思う。
「それがさ、勇者とか呼ばれている召喚された連中がしでかしたみたいよ。まあ、森の魔物程度ならこちらとしては大したことなかったらしいけどさ、トリニトの町へと来ちゃったものは違うじゃん? トリニトの町の方でも冒険者や領兵から連絡が来てたようだから、一応対処できてたけど、数が数じゃん? こっちからもある程度援軍出して何とか間に合った感じかな。」
「しかし、はた迷惑な存在だよな、で、彼らはどこの馬鹿が召喚したんだろうか。」
「それがさ、公国らしいよ。」
「公国かよ。それで、勇者のメンバーは何人だった?」
「6人だね。今はうちの領にあるアマデウス教会の隔離部屋に閉じ込めているんだって。」
「ああ、面白そうだからって作ったあの部屋か。まさか、こんな形で役に立つとは思わなかったけどね。それにしても、何で公国から来たってわかったの?」
「それがさ、あいつら馬鹿だから、必死で逃げてきたにも関わらず、その逃げるハメになった魔物をレオさんが瞬殺したらしいんだけど、そのレオさんに喧嘩を売ったらしいよ。それでうちの領民に捕らえられたときに「俺たちはサムタン公国から来た勇者だぞ!」とか言ってたらしいよ。それで、面倒だからアマデウス教会の隔離部屋へと放り込んだみたい。」
「確かにそれは馬鹿だよな。自分たちが敵わずに逃げてきた魔物を瞬殺した存在に喧嘩売ってるんだもんな。しかし、勇者か、、、。私も一歩間違えたらああいう存在になっていたと思うと何か、ね。」
「ああ、そうか。アイスさんも召喚された者だったね。」
「まあ、私の場合は死んでから、この世界に来たから厳密には転生者かな。似たようなものかも知れないけどね。」
「それで父上から、この処置が正しかったかどうか聞いておいてって言われたんだけど、どうだったかな?」
「私が留守のときは2人に任せる、と言って任せたんだから、特に私から言うことはないかな。私だったらすぐさま処刑したと思うけど、むしろそっちの処置の方が正しいと思う。どちらにしろ、これも帝都へ行って陛下に報告しないとならないな。」
「とりあえず、報告は以上かな。それでアイスさんは今何をしてるの?」
「私達は今は特にやることがないから、フロスト領で新たに見つかった洞窟の探索をしているかな。」
「洞窟? 私もしばらくは特に仕事がないから、行きたいんですけど、、、。」
「了解。じゃあ、明日から一緒に行くとしますかね。」
「ただ、私だと戦闘で役に立ちそうにないかなあ、、、。」
「戦闘で役に立つ? いや、普段からそれは考えてないよ。」
「え? アイスさん、どういうこと?」
「私がマーブル達と一緒に行っているのは、戦闘力とかじゃなくて、単に私が一緒にいたいだけだから。」
「はい? そっちが主な理由なの?」
「そうだよ。マーブルもジェミニも私のモフモフ要員としての同行が主目的で、たまたま倒せる相手だから戦っているだけで、メインはモフモフだから。ライムはプニプニ要員が主だけど、洗浄要員としての割合は結構大きいけどね。」
「ミャア!」
「その通りです!」
「ボクはどっちにしろ、あるじが一緒だから問題なし!」
「まあ、そういうことだから、カムイちゃんは自分のできそうなことをすればいいんだよ。私達は斥候の技能がないから、そういった方面とかでもいいし。」
「うん、頑張ります!!」
カムイちゃんからの報告を聞いて、ウルヴ達がまだ数日向こうにいるらしいから、その分、洞窟探索を続けるとしますかね。
そして、次の日、私が起きて少ししてからカムイちゃんがやってきた。いや、早いから。朝食はどうするのか聞くと、守備兵さんにこっちで食べることを伝えておいたそうだ。守備兵さん、ご苦労様です。いいものが手に入ったら、後で差し入れます。手に入ればだけどね、、、。
カムイちゃんの言った通り、朝食は私達の分+カムイちゃんの分が運ばれてきた。普段はどうしていたのかと聞くと、アンジェリカさん達と食事を摂っていたそうだ。なるほど、それだと今は一人で食べないとならないか。以前いた世界の私であれば、基本、というか約30年近くぼっちだったから平気だったけど、今はマーブル達と一緒だから、やはり一人はいやかな。同じ部屋で寝るのはスペース的に無理があるから仕方ないとしても、食事くらいは一緒に摂るのもいいかもしれない。基本は群れで生活するのが当たり前のゴブリン族なんだから、余計に一人はつらいだろう。
朝食が終わって、休憩がてら、お土産として龍肉のウインナーを作ってみることにして、その下ごしらえを少々した、といっても、ブタさんや羊さんの腸をウインナー用に加工している段階程度のものだけどね。ダンジョン行くし、そっちの方に時間を取りたいからね。その間、カムイちゃんはダンジョンに潜る準備をしに部屋に戻っていた。支度を終えてこちらに来たのでダンジョンに出発だ。
いつも通り、転送魔法で転送ポイントまで移動する。砦→ダンジョン入り口、入ったら地下2階の転送ポイントといった具合に転送する。というのも、気持ちが切り替わるからという理由だけなんだけどね。実はいきなり砦から地下2階の下り階段までは一気に転送できるけど、そういった理由で入り口に一旦転送魔法で運んでもらっている。いつもそうだから、それがクセみたいなものだ。マーブルもそんな感じらしい。前に聞いたことがあったのを思い出した。
ダンジョンの地下3階に降りると、迷宮は石レンガのようなもので構成されていた。しかもこれって、通路が思いっきり直線になっており、地下2階までと比べるとかなり暗く、せいぜい3歩先くらいしか見えないくらいだ。ということで、ライムに光魔法で照らしてもらい明かりを確保する。
地下3階はいきなり2手に別れており、南と西へとそれぞれ通路があった。気配探知をかけてみるが、やはり範囲はそれほど広くは無理だった。マーブルに聞いても同じような状況っぽい。とりあえず不意打ちにだけ注意するとしますかね。
進路であるが、とりあえず南を進んでみる。少し進むと左手にドアがあり、その先は行き止まりとなっていた。ドアが気になったので、鑑定してみる。
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『とある魔法のドア』・・・この扉は不思議なことに、いくら手で押しても開かないぞい。というのも、足で蹴らないと開かないようになっているようじゃな。足がない場合はどうするかって? 体当たりでよさそうじゃな。ちなみに、この扉はどれだけ強く蹴っても壊れることがないようじゃな。また、この扉自体には罠はないようじゃぞ。あと、ぼやけた種類の扉も存在するみたいじゃな。光で照らしてやれば見つかるようじゃ。
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・・・何で、扉にこんな訳のわからないものが付与されているんだ? そういえば、取っ手が一切ついていないな、この扉。この通路に、この扉、どこかで見たことがあるような無いような、何か引っかかるな。私の予想が正しければ、この先には魔物がいるな。さて、どんな魔物やら。
「みんな、どうやら、この扉は蹴るか、体当たりでしか開かないらしい。で、私の予想が正しければ、この先に魔物がいます。とりあえず戦闘準備をしましょうか。」
みんなが敬礼で応える。うん、カムイちゃんも案外様になってるな。もちろんマーブル達は可愛くてたまらない。っと、私も弓を出して矢をつがえて準備完了。では、行きますよっと。
扉を足で蹴ると、予想通り魔物がいた。オークだ! しかも5体もいた! オークであれば、1人につき1体ずつ倒せばいい。オーク達を倒すと、死体が消えて、肉と腸と皮が残されていた。これは嬉しい!! 私はもちろんのこと、みんなも大喜びである。
オーク肉などが手に入って、喜んでいたので最初は気付かなかったけど、宝箱が残されていた。
「宝箱? じゃあ、私の出番だね! まずは罠があるか調べるよ。」
そう言って、カムイちゃんが罠が無いか調べているが、その顔色はよくない。どうしたのだろうか。
「カムイちゃん、どうした? 罠とかわかりづらいの、これ?」
「えーっとね、罠があるのはわかるんだけど、どの種類かまではわからないんだ。普通ならその罠の特徴とかがあるんだけど、この箱に関しては全くそれが無くって困ってる。」
「じゃあ、ちょっと鑑定してみるから、それで種類がわかったら解除できるかな?」
「うん! 種類がわかったら大丈夫だよ!!」
「よし、じゃあ、鑑定してみますか。どれどれ、っと。」
宝箱について鑑定してみる。アマさん、罠探知できたらよろ。
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『スタンナー』・・・うかつに開けると、開けた者が麻痺するようじゃな。この麻痺は強力でな、麻痺耐性があろうがなかろうが、必ず麻痺してしまうようじゃな。ちなみにワシらも例外なく麻痺してしまうようじゃな。まあ、発動させなければいいだけのことじゃな。まあ、麻痺自体はそれほど強くないから、罠解除の練習には丁度良いかもしれんな。お主もレッツトライじゃ。
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何か聞いたことのある種類の罠だな、、、。まあ、それはいいとして、何が「お主もレッツトライじゃ」だよ!! 基本的な罠解除すら学んだことねーよ、、、。ただ、確かに練習にはうってつけかもしれないけど、私にもやらせようとするなよ、、、。
「鑑定結果だと、スタンナーという麻痺させる罠みたいだね。うかつに開けてしまうと、開けた人が麻痺するみたい。麻痺耐性を持っていても必ず麻痺するみたい。」
「了解! 麻痺の罠ね、それなら私でも大丈夫かな。」
そう言って、カムイちゃんが宝箱をいじり出すと、それほど時間はかからずに宝箱は開いた。
「うん、罠の種類さえわかれば、私でもどうにかできそうね。アイスさん、私、ここで罠解除の練習をしたいんだけど、いいかな?」
「ほう、罠解除の練習ね。いいことだね。急いで攻略する気は全く無いから、のんびりやっていこうか。」
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