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第94話 さてと、暇なのでダンジョンにでも行きますか。

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前回のあらすじ:スレイプニルという種類の馬を仲間にしてアウグストスという名前をつけた。



 さて、アウグストと名付けたスレイプニルのたてがみを見て、モフモフ度を上げるための櫛が欲しくなったけど、しばらくはここの国境の砦で過ごさなければならない。というのも、フロストの町へは最低でもあと5日は戻ってくるなと言われているので、戻れない。だったら、タンバラの街へ祝賀会に参加したらどうか、という意見もあるだろうが、それは面ど、、いや、私が行ってしまうと何かと厄介なことが起こりそうなので、そこは自重して代わりにウルヴ達に行ってもらうので、それも無しである。


 また、タンバラの街へと行くに当たって、アウグストをどうしようかという話が出てきたが、流石にスレイプニルを連れてきては大騒ぎになりそうなので、今回は木騎馬で向かうことにした。ぶっちゃけ、通常移動だけなら特に問題はない。戦闘時にウルヴの騎乗に耐えられなくなってきているだけなのだ。アンジェリカさん達は自前の馬があるので、その馬たちにペースを合わせる意味でもアウグストを連れて行く必要はない。


 ということで、アウグストは私達と一緒にまったりということになったのだが、このまったりも1日2日なら問題はない、本心では少し退屈で困るけど、何とかガマンできる範疇である。しかし、3日以上となると流石に耐えられない。いや、それくらい耐えろよ、と思うかも知れないけど、無理なものは無理なのだ。


 そんなわけで、タンバラの街へと向かうアンジェリカさん達一行を見送った後、マーブル達と作戦会議をすることにした。ちなみに、ベリーラビットはフロストの町へと戻っていきました。強くなったところを見せられたのか、その表情は嬉しそうだった。今回の会議については、アウグストも参加だ、といっても、言葉が通じないから、ジェミニやライムが通訳となるわけだけど。砦の守備兵はすでに慣れたのか、私達がこうして集まって話をしていても基本放置状態である。いや、それなりに信用されているとは思うんだけどね。実際ここをどうにかしようとか全く思っていないし。


 一応、案は3つ出た。1つ目は、周辺の狩り採集だ。2つ目は先日見つけたダンジョンの探索で、3つ目は第2ねぐらの改良である。


 とりあえず、1つ目の周辺の狩り採集については却下となった。ここはフロスト領ではないので、好き勝手に動き回るのもどうか、という理由からである。いや、他の場所へと行くのも好き勝手に動き回っているようなものだけど、動き回る場所がフロスト領内かそうでないかの違いは非常に大きい。


 2つ目の案である先日見つけたダンジョンの探索だが、実はそっちに行かずに恵みのダンジョンへという考えももちろんあったけど、今探したいのはモフ用の櫛に必要な素材だ。具体的には高級素材の鉱石、平たく言うとミスリル以上の質や価値をもったものが欲しい。豆柴達やハニービー、猿達など会いたい気持ちもあるが、まずは鉱石である。


 3つ目の案については、どうしようか具体的な考えがまとまっていないこともあり、結局は先日見つけたダンジョンへと行くことにした。特にアウグストがこのメンバーで戦いたがっていたことも大きい。昨日はウルヴが騎乗した状態での戦闘だったが、私は少なくとも騎乗した状態では戦えないので、アウグストは単独での戦闘となるが、当人?はやる気だ。


 ということで、ダンジョンの探索が決定したので、その準備をする、といっても、食事の準備だけだけどね。その食事の準備をしているとき、守備兵がそれを見て話しかけてきた。


「フロスト伯爵、お出かけでございますか?」


「うん、まだこちらに来そうな魔物が出てこないか確認してこようと思ってね。」


「それは、こちらとしても助かりますが、くれぐれもご無理はなさらないで下さいね。」


「ありがとう。君達も任務頑張ってね。後で差し入れ用意しておくから。」


「こちらこそ、いつもありがとうございます!!」


 そんな話をした後、準備が完了したので、ここを出発する前に、厨房へと向かって材料を提供した。今回はグレイトコッコのお肉にした。トリさんの肉はクセが少なくて調理もしやすいだろう、という考えからだ。余ったら干し肉にするのもいいかもね。まだ試したことないけど。


 厨房にいる食事当番にえらく感謝されて少しびっくりしつつ、砦を後にする。全員で見送ろうとしてくれたので、全力で拒否した。公式な場ならともかく、今はそういった状況じゃないから普段通りで頼むと言った感じで話したら、何とか納得してくれた。


 砦から出て、ある程度の距離を進んだ後、気配探知をかけてみるが、平常通りに戻ったようで、魔物の数もまばらだったので、守備兵でも問題なく対応できるだろう。安心して目的の場所であるダンジョンへと転送魔法で移動してもらう。


 ダンジョン入り口に到着したが、ここで一つ懸念事項が生じた。そう、アウグストの大きさでこのダンジョンに入れるかどうかだ、、、と思っていた時期が私にもありました。アウグスト、普通に入れましたよ。懸念事項も無事解決したので、早速ダンジョン探索するとしましょうかね。


 念のため前回までに作成した地図を出してみると、やはり全く変わっていた。とはいえたったの3回目だから、今回もしっかりとマッピングをして進むことにする。今回の探索だが、何故かわからないけど、魔物が全く出てこない。洞窟内では私の探知はそれほど遠くまで探知できないから、と思っていたけど、マーブルの探知でも魔物の反応がないようだ。道中では鉄鉱石や銅鉱石などが所々に見つかるけど、今回は地図にメモはするけれど、採掘は見送っていた。


 流石に採掘せずにマッピングだけしていると進行が早かった。2回目の探索でほぼ半日費やした範囲を今回は昼食前には超えていた。とはいえ、それでもまだ探索範囲が残っているのには驚いた。全く接敵せずに作成したマップの範囲だけが広がっていき、多少消化不良な感じだったので、気分転換も兼ねて昼食を摂ることにした。


 今日の昼食は、グレイトコッコの肉とコカトリスの卵を使った親子丼だ。フロスト領にいるときは毎日、新鮮な卵を差し入れてくれていたので、ある程度、いや、かなりの量かな、ストックがあるのでバリバリ使わせてもらっている。もちろん、出発する前に作っておいて、空間収納にしまっておいたやつだ。マーブル達はもちろんのこと、アウグストも喜んで食べていた。


 昼食も食べ終わり、少し休憩してから探索の続きを行ったが、今回は全く接敵せずに終わってしまったが、下の階層へ行く階段は見つかったのが不幸中の幸いだった。本来ならマーブルに転送ポイントを設置してもらうところだが、このダンジョンは潜るたびに中身が変化してしまうので、下手をすると「石の中にいる」というものをリアルで体験する羽目になってしまうのだ。そんな間抜けな死に方はゴメンということで、大人しく戻ることにした。戻るときには遠慮なく転送魔法で砦への近くへと戻り、何食わぬ顔して砦へと戻った。


 砦へと戻り、アウグストを厩舎に預けて、自分の当てられた部屋へと戻ってからマーブル達とモフモフしてから夕食を頂き、ねぐらへと転送して、風呂と洗濯を済ませてからまた砦の部屋へと戻って、またモフモフしてから今日は終了した。


 次の日になったが、ウルヴ達はまだ戻らない、というか、ようやくタンバラの街へと到着した頃だろう。予想だけど、向こうで1日か2日滞在してこちらに戻ってくるはず。アンジェリカさん達は戻らずに向こうにとどまると思う。ということは、あと2、3日は暇なのである。ということで、本日もダンジョン探索と参りましょうかね。


 昨日と同じように、昼食の準備をしてから砦を出て、少し離れた場所に移動してから転送魔法で移動してもらう。さて、洞窟の入り口に到着したけど、今日は魔物が現れてくれるといいな。


 期待半分不安半分といった感じで、今日も洞窟内に足を踏み入れる。


 今日の構成はというと、進路がかなり広く大きく作られており、アウグストに跨がっていても余裕で通れるくらいだ。ということは、魔物も大きいということで間違いないと思う、というか、そうであって欲しい。


 通路を進んでいくと、大きな部屋が見つかった。そこには巨大な物体、いや、ゴーレムだね、これは。ゴーレムが数体待ち構えており、その先には進路が2手に別れていた。一本道じゃなかったのね、、、。まあ、いいや、昨日みたいに何も接敵せずに終わるよりはマシだ。


 部屋に近づくにつれて、ゴーレムの種類が見えてきた。木で構成されているこのゴーレムはウッドゴーレムで間違いないだろう。数は4体、か。私とマーブルとジェミニがそれぞれ1体ずつ、ライムは今回アウグストの護衛についてもらいますか。恐らくライムでも倒すのは簡単だろうけど、一応念のため、ね。


 流石にウッドゴーレムでは役不足であり、マーブルやジェミニはもちろんのこと、私も核となる部分を近距離射撃で一撃状態だった。アウグストは、というと、これもアッサリだった。アウグストは魔法もある程度使えるようで、火魔法を使いながらヒットアンドアウェイを繰り返してゴーレムを倒していた。アウグストもなかなかやるね。ウルヴとの合体攻撃が少し楽しみになってきたね。


 ウッドゴーレムをあっさりと倒して、魔石が残ったので、それを回収する。ウッドゴーレムの魔石なので、魔力自体はそれほど多くはないけど、これでもフロスト領で出回っているコンロや風呂用の温水装置で使う分には十分だし、冒険者ギルドに卸しても、そこそこの値段で買い取っているそうだ。私達にはそれほど必要なものではないので、領民達へのお土産としても問題ないだろう。


 2手に別れていた進路をそれぞれ通っていく。もちろん基本は虱潰しである。というのも、貴重な金属の鉱石はもちろんほしいけど、こちらは冒険者ギルドへと報告して解放するつもりだから、できるだけ有益な情報を手に入れておきたい。何より暇つぶしという部分が大きいのでいろいろと回りながら地図を作成しているのだ。


 こんな状態でも、しっかりと鉱石の採掘ポイントは存在した。まあ、今のところ鉄鉱石や銅鉱石がメインなので、今日も採掘は控えている状態である。


 こうして進んでいくが、出てくる魔物はほとんどがウッドゴーレムで、倒しては魔石を回収と繰り返しているが、たまに木の素材が手に入ることがあった。トレントの木材だったり、ダークオークの木材だったりと魔樹系のものだ。フロスト領ではこれらはいくらでも手に入るので、有り難みはほとんどないけど、他領からの冒険者などにとっては、高く売れる素材だろう。ここで手に入った素材なら、冒険者ギルドにも卸して良いだろう。一応、フロスト領で獲れた魔樹の素材は、フロスト領内のみでの使用を認めている。フロスト領内限定でないと、素材の値崩れを起こして経済的に大混乱をする可能性もあるからだ。


 ゴーレムはたまにストーンゴーレムが出てきたりもした。ストーンゴーレム程度でも、私達にとっては敵にすらならない。アウグストはというと、後ろ足で攻撃しながらのヒットアンドアウェイでしっかりと倒していた。ウルヴの騎乗による高速での突進による石突きでの攻撃なんか、こういう硬い敵にはピッタリなんじゃないかと思ったりした。


 ストーンゴーレムは魔石の他に、いろんな種類の石を落としている。ほとんどはそこらにある石だったりと、あまり有り難みがないものがほとんどだったけど、ごくたまに大理石とか凄いものを落としたりする、とはいえ、大きさが大きさのため、あまり役には立ちません、、、。


 こうして、時間が来るまで探索を続けたが、今日は階段を見つけることはできなかった。地図を確認していると、どうやら階段は同じ場所に固定しているようで、その階段までのルートが日々変わったりする仕様かもしれない。まだ階段には1度しかたどり着いていないので確証はないけど、そんな感じがした。


 次の日も同じように洞窟探索をしたが、今回の魔物は比較的アッサリと倒せる種類が多かったので、ゴーレムばかりのときよりも、良い感じの速度で進むことが出来た。今回で2度目となる下の層への下り階段を見つけたので、地図を確認してみると、どうやらこのダンジョンは入り口と降り口は固定されているようだ。ということで、少しリスクはあるかもしれないけど、マーブルに降り口に転送ポイントを設置してもらい、砦に戻った。


 これで、ようやく次の階層へと行けるね。ミスリルクラスかそれ以上の貴重な鉱石が見つかるといいんだけど、はてさてどうなることやら。

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