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第31話 さてと、汚物は消毒しておきませんと。

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 新たな領民達も健康を手に入れ、仕事にも慣れてきた頃、ついに奴らがやってきました。普通の家庭でも食料があると発生するアレのことです。平たく言いますと「G」と呼ばれるその生き物は人類の最強最悪の敵ともいえる存在です。私個人的にはこいつと蚊については怨敵といえる存在でして、発見次第即抹殺ともいえる存在です。


 幸いなことに実際にはこの世界では遭遇したことはありません。では、実際「G」と呼びたくなるような存在とは何か? ということですが、具体的に言いますと盗賊達です。彼らと「G」については様々な共通点が存在します、例えば、殺してもいくらでも沸いてくること、食べ物のあるところに発生すること、これが一番の点なのですが、それは極めて汚い存在ということです。これだけでも「G」と彼らは十分に同じような存在といえるでしょう。というのが私の認識です。


 さてと、説明はこの辺にしておこう。実際にはマーブルから報告があった。西の方角から数は20ほど。どこからかぎつけてきたのやら、、、。まあ、潰すけどね。とはいえ、今現在フロストの町は開発中であり、もちろん柵などの簡易的なものは作ってはあるが、防御的には心許ない。それ以前に元々ここ領都フロストは防御用の城壁はしばらく作らないつもりで、戦いはここを離れたところで野戦を行うつもりだった。そう、正直言うと、実際に合戦が起こったらマーブル達と一緒に暴れ回るつもりだった。ウルヴ、アインはもちろん、今はラヒラスも出払っており、実際に戦闘できるのは私とマーブルとジェミニの3人だけ。領民達は仕事はできるようになっていても戦える状態ではないし、戦わせるつもりもない。ただ、20人程度だと物足りないというのが正直なところだ。


 面倒だからさっさと片付けますかね、と思い、マーブル達と話す。


「愚かにも盗賊がこちらに来ております。どんな事情であれ、盗賊という存在は私にとって害虫以下の存在でしかありませんので、君達も遠慮することなる殲滅してください。話しはこちらは聞くつもりはありません。とにかくフロスト領で盗賊という存在が出てくること自体ありえないようにするには殲滅こそふさわしいと思っています。盗賊となったからには女子供関係ありません。後日我が領を支えてくれるかもしれない人物がいようがいまいが関係ありません。私にとって大事なのはまずは何よりも君達と一緒に過ごしていくことであり、他は2の次なのです。そのところを踏まえて2度とこういうことが起こらないように徹底的に倒します。」


「ニャア!」


「了解です!」


「あるじー、ボクはどうすればいいの?」


「ライムには戦後処理をお願いしたいのですが、処理を行うに当たって、どうしても嫌だと思ったら遠慮なく言ってください。」


「うん、わかったー!」


「では、マーブル隊員、盗賊達を殲滅しますので、場所の案内を頼みます。」


「ミャー!」


 マーブルを先頭に移動する。さすが未開発の地域だけあって視界がもの凄く広い。以前の世界では私の視力は両目でも一番上が見えないくらい近眼であったが、この世界に転移してからは逆に近くが見えづらくなっているくらい視力は良くなっていた。気配探知をすることなく相手の動きが見えた。とはいえ、向こうも同じだろうな、こちらは私1人と猫とウサギという編成だから、余計に張り切っているのだろうな。では今のうちに作戦を伝えますかね。


「今回の作戦ですが、私とマーブル隊員は飛び道具のみの使用という制限を設けたいと思います。こうしないと相手にならないでしょうから。」


「ニャア!!」


「アイスさん、ワタシには制限をつけないですか?」


「ジェミニは飛び道具何か使えたっけ?」


「土魔術で石つぶてを作ってぶつけるくらいならできるです。」


「なるほど、そうすればジェミニも制限付きで戦闘できるね。そういえば飛び道具っていっても、マーブルは魔法だしね。」


「ニャーン。」


「アイスさん、マーブル殿は今回魔法ではあるけど、新たに何かひらめいたからそれを試すそうです。」


「お、マーブルは新兵器を試すの? それは楽しみだね。ジェミニやライムもそうやって参考になるものがあったらドンドン取り入れていくといいよ。」


「了解です!」


「ボクも色々見て勉強する-!!」


「うん、楽しみにしているよ。」


 盗賊達との距離がそこそこ近づいてきたので、アルスリを両手に持っておく。マーブル達は準備が整っているらしく、見た目はいつも通りだが実はいつでも攻撃できるように準備は整っていた。


「おお、こんなところにガキがいやがるぜ。」


「おい、ガキ、生意気にも従魔を連れて歩いてんじゃねえよ、俺たちによこしな。」


 盗賊らしい、定番の口調だ。盗賊達は幸いにもむさい連中のみで構成されており女子供はいない感じだった。もちろん、いても殲滅するつもりだったけど。やりたいかやりたくないかで言ったらやりたくはなかったが、こいつらなら問題ないな。


「オッサン達、うるせえ上に臭え。どんな生活すればそんなに汚い存在になれるのか。とにかく、臭くてたまらないから離れてくれないかな。」


「て、てめぇ、舐めた口ききやがって、、、。気が変わった、ガキだから命だけは助けてやろうと思ったがこいつも殺して向こうで略奪だ。」


 うーん、やっぱり臭いな。これ以上話しをするのは時間の無駄だね。


「マーブル、ジェミニ、殲滅開始だ!!」


「ニャア!!」


「キュウ!!」


 盗賊達も一斉に獲物を構えてこちらに向かって来たが、私に言わせれば的が近づいてきてくれている、程度の認識でしかない。遠慮なく撃たせてもらいましょうかね。ということで、アルスリに水術で作った氷の塊をセットしてぶん投げる。今回は近づいてきた者達めがけてぶつけるだけの訓練みたいなものだったから遠慮することなくぶつけていく。ドリルはもちろんとがった形も必要ない。普通に氷の塊で十分だ。汚い花火は見たくないので、出血しないように注意しながらぶつけていく。


「ちっ、こしゃくな真似を。近づいてしまえばこっちのもんよ、数で押し切れ!!」


 と、最初こそ威勢がよかった盗賊達だが、腹や足にぶつけられて倒れるものが続出していた。


 一方マーブル達の様子はどうかというと、私の後方で大人しく座っていて端から見ていると何もしていないように見えたが、実は魔力でヒョウタンみたいなものを作って盗賊達の後方で砲撃していた。まさか、マーブルはラヒラスの魔導具であるフレキシブルアローを真似て作ったのか、、、。これって、どう見てもビッ○とか○ァンネルとかだよな。恐らくマーブルも汚い花火は見たくないらしく貫通させることなくダメージを与えているんだろうな。ジェミニも盗賊達の後方に回り込んでは土魔法で作った塊を盗賊達にぶつけていた。ライムは定位置の腰袋に入った状態で「わー、すごいー!」とか声を上げていた。って、その状態でも見えるのね。


 気がつくと、盗賊達は全員ボロボロの状態だった。装備を剥ぎ取ろうかと思ったが、あまりの汚さや、全く手入れをしていなかったらしく、再利用は厳しそうなものばかりだった。念のためライムに聞いてみる。


「ライム、これ剥ぎ取ったらキレイにできる?」


「うーん、こんなに汚いのは嫌だけど、あるじがやって欲しいならガマンする、、、。」


 ライムも嫌がるくらい汚いので、これを頼むのはかわいそうだからやめておくか。


「ライムがそこまで嫌がるのも珍しいね。じゃあ、やらなくてもいいよ。」


「うん、わかったー!!」


 さてと、盗賊が本当の意味でゴミになってしまったけど、これら、どうしようかな、、、。森に放り込んでおきたいけど、出来れば触りたくないし、うーん、、、。と困っていたらマーブルが立候補してくれた。何かやり方がわかったのだろう。


 マーブルは盗賊達を魔力で持ち上げると、森の方へと向かって行った。捨ててきてくれるんだね。マーブルが戻ってきて「ニャー!」と得意げに鳴いて飛びついてきたので、しっかりキャッチしてお礼の意味も込めてモフモフした。そうしていると、ジェミニもこちらに飛びついてきたので、こちらもキャッチしてモフモフした。


 しばらくモフモフを堪能してからフロストに戻ろうと思ったが、手持ち無沙汰な感じがしたため、そのまま狩りに移行した。狩りでは先程の縛りを取り入れたまま行った。とはいえ、別に縛りは必要なかったのだが、マーブルもジェミニも今回の狩りに限っては縛りにこだわったようで、いつもほどの収穫はなかったが、それはそれでまた楽しかったのでよしとしますかね。


 狩りを終えて、フロストの町に戻った私達は時間的な意味もあり、そのまま夕食の準備にとりかかった。夕食は基本的に私がみんなの分も作っていたが、料理のスキルを持った住民が何人かいて、体力がつき始めたときから、余裕のあるときは手伝ってくれていた。今回も手伝ってくれたので結構楽だった。味付けはまだまだ私達と比べると物足りない部分はあるが、そのうち任せても問題ないくらいの腕にはなるでしょう。


 ちなみにウルヴ、アイン、ラヒラスの3人と一部の領民は、トリニトへと大工達を迎えに行っているのでここにはいない。3人だけなら木騎馬であっという間だが、今回は領民も一緒なので徒歩での移動だからすぐにはこちらには戻ってこられない。木騎馬は2頭引いて歩いている。トリニトで馬車を手に入れてからこちらに戻ってくる予定だ。


 ラヒラスが、風呂と洗濯と排出物処理の魔導具を作ってくれたおかげで、領民の衛生状態もかなり良くなっていた。とはいえ、石けんはまだこちらにはなく、材料も手に入っていないのでいずれは作って各家庭に行き渡るようにしていきたい。


 洗えないとはいえ、お風呂の人気はすさまじかった。ほぼ全員が風呂を気に入り、普段の仕事に対するやる気も上がっていったのは嬉しい誤算である。


 領民達も飢えることなく食事を楽しみに出来るくらい余裕ができるようになっていた。まだまだやることは山積みではあるが、どこにも負けない都市を造っていこうと気合も新たにした。
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