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第4話 さてと、私の住む場所はどうなっているかな。
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冒険者ギルドで素材を売り、一部だけ報酬を手に入れてある程度懐は暖まった。一部だけもらったのはギルドに金自体がなかったからだ。ここまでお金がないと、まともな冒険者などほとんどいないだろう。その一方で商業ギルドは羽振りがよさそうだが、これはよろしくない。少しずつどうにかしていく必要があるが、果たしてどこまでできるのやら。
我が住まいへと移動しているが、近づくにつれて情報が入ってきた。何々? 普段私が住んでいる場所は屋敷の離れらしい。何と言うことだ、、、最高じゃないか!! 一応専属のメイドはいるらしいが、1日に数回しか来ないそうだ。しかも後妻の手の者らしい。ということは、何かしらの行動を逐一報告しているのだろうな、無駄なことを。正直ここの跡継ぎになるつもりは毛頭ない、貧しいにも関わらず何も手を打とうとしていない連中と一緒に過ごすのなんてゴメンだ。伯爵も含めてここの領主の家族の名前は覚える必要がないな。一応設定上は私も家族となっているが、離れて暮らしている以上、関わる必要もないしな。
そんなことを考えつつ、領主の屋敷に到着した。一応ここが住まいか。門番が私を見て挨拶をしてくる。
「アイス様、おかえりなさいませ。」
明らかに見下している。まあ、どうでもいいことだからそのままにしておきますか。
「ご苦労。」
仲良くする気はないが、一応声だけはかけておく。とはいえこれ以上話す気はないからそのまま門を通り屋敷内へと入っていく。そのまままっすぐ進めば屋敷に入るが、私の住まいは先程も話したとおり離れとなっている。途中で左折し細い道をそのまま進んでいくとそこに到着した。離れというより最低限雨風が防げる程度の造りとなっている。部屋は1つしかないが幸いにも調理場はある。正直邪魔者はほとんど来ないだろうから、ねぐらに転移していろいろ済ませるのもアリだとは思うが、ここは狩りで手に入れた美味しい肉をこれみよがしに調理して食べることにしよう。というのも、私だけ食事がでていないらしい。後妻は伯爵に私が自分で用意するから必要ないということにして伝えたらしい。
離れという名の小屋に入った私達だが、さいしょに行ったことといえば掃除だ。といっても、ライムが飛び出して、
「さっそくボクの出番だ-、きれいにするぞー!!」
と張り切ってあちこちを吸収し始めた。30分もかからなかった。いや、逆に狭いくせに30分も掛かるくらい汚かったということでもあるな。
「あるじー、終わった-!!」
と言って、私に飛びついてきたので、思いっきりおにぎりの刑を執行してやると嬉しそうにするライム。
調度品はかなりぼろく普段の扱いが手に取るようにわかったが、それでもかなり綺麗になったのでそこそこ利用出来る状態には戻っている。旅装を解こうにも転生したてで荷物も何もあったものじゃない。とりあえずテーブルにすわって一息つく。一応我が家ではあるので、少しずつ手直しなり新しいものを購入したりして整えていきますか。もちろん風呂などはなかったので、ねぐらの出番だ。邪魔者はあまり来ないし、何より離れなのでそういったことは好き勝手できるのでありがたかった。
一息ついたところで、みんなと話をする。
「さて、ここが今回の家となる場所です。ライムが綺麗にしてくれたとはいえ、かなりぼろい状態であるのは間違いないよね。タンバラの街と比べるとかなりヤバイ状態だから、少しずつ手を加えて住みやすくしていこうと思うけど、どうかな?」
「ニャア!」
「わたしはみんなと一緒に過ごせればどこでも大丈夫です!」
「あるじたちと一緒ならどこでもいいよ! ボクが綺麗にするー!!」
いや、そう言ってくれるのは嬉しいけど、住みやすくしていこうという言葉については全く反応していないのね。まあ、いいか。
「で、明日からなんだけど、早速狩りに行くのもいいけど、折角だからこの町をもっとしっかり知っておく必要があると思う。ここまで貧しいと住民達がかわいそうだ。幸いにも今日狩ってきた獲物だけでも数日間は食事に困らないからいろいろと調べたいと思うけど、どうかな?」
「ニャー!」
「町の散策ですか? 行きましょう!」
「あるじと一緒ならどこでもー!」
というわけで、明日から数日間は町の散策に決定。少しでも町の住民にとって良い結果になるように頑張るとしますか。一応領主の息子ですしね。
マーブル達との話も終わり、夕食前に一緒に遊んでいたとき、一人の女性がこちらにやってきた。恐らく私専属のメイドというやつだろう。
「アイス様、おかえりなさいませ。奥方様の指示通り、アイス様はご自身で食事を用意していただきますので。それと、何か変わったことはございましたか?」
「任務ご苦労様。食事についてはわかった。ところで、何か変わったことってお前は何も気付かないのか?」
「申し訳ありませんが、私はこれでも忙しい身、アイス様にずっと付き添っているわけではありませんので、わかりようがありません。って、アイス様、部屋が綺麗になっている気がするのですが、気のせいですか?」
「別に気のせいでいいんじゃない? あと、お前、忙しい身と言ったよな? 対して大きな屋敷でもないし、住民達のために何かしているわけでもないし、何が忙しいのかわからないが、そんなに忙しいなら金輪際ここに来なくてもいいから。」
「な、何を仰るのですか? こちらにお伺いするのも仕事です! それを来るなとは?」
「ん? 言葉通りだぞ。忙しいなら別にここに来るだけ余計に忙しくなるだけだろう? ここに来なくても済む分、忙しくなくなるだろう? よかったじゃないか。後、いつも嫌そうにここに来ているのだから、来なくて良いとわかったのならもう少し嬉しそうにしたらどうだ?」
「私の仕事は、アイス様の身の回りの世話でございます。私がいなければ誰がアイス様のお世話をするのですか?」
「ほう、私の身の回りの世話と? お前に身の回りの世話をされたことってないのだけど? それとも、ここの領地では何もせず放っておくのが身の回りの世話をするということなのか? あと、部屋が綺麗になっていると言ったが、本来はお前の仕事なのではないか? 最低限の事すらできていない奴が、偉そうに忙しいだの、身の回りの世話だの言うなよ。恥ずかしすぎるぞ。と言うわけだから、これからは来なくてもいい、というか来るな。伯爵夫人に、私がお前はもう来なくていいと言われたと言えば、その通りにしてくれると思うぞ。」
何故かメイドが震えていた。もう話すこともないので食事の支度をすることにした。幸いなことに鍋など必要なものは揃っていたので、あとは材料を調理するだけだった。今日はオーク肉のステーキともつ鍋だ。出て行こうとしないメイドを無視して空間収納からオーク肉とモツを取り出し調理を始める。メイドが何か言ってきているが無視して調理していく。マーブル達が皿などをテーブルに用意してくれる。何て気の利く猫達だ、お父さんは嬉しい。もちろん私達4人分のみでメイドの分は用意していないし、するつもりもない。
いろいろと準備が整い、さあ食べようというときだったが、まだメイドがいた。
「ア、アイス様、私の分は?」
「お前は屋敷に戻れば食事があるだろう? 私達は自分の分は自分で用意しないといけないから自分で用意しているだけだ。お前達も夕食の時間だろう? さっさと戻って夕食にすればいい。」
「このことは奥方様に報告させていただきますから!!」
「ああ、勝手に報告なり何なりすればいいじゃないか。しかし、自分の分の食事は自分で用意しろと言っておきながら何を報告するのかわからないなあ。まあ、いいや。」
何故か知らないけどメイドは大きな音を立てながら扉を閉めて出て行った。おいおい、ぼろ家なんだから少しは考えろって。
邪魔者もいなくなった我が家では、マーブル達と楽しく食事をしていたところ、また誰か来た。しかも何人かで来ている。あのメイドも一緒だった。入ってきた途端、教育のできていない頭の悪そうなガキ、いや、身なりだけは良さそうな子息か、が偉そうにこちらに何か言ってきた。なるほど、こいつが後妻が産んだ次男というやつか。確かアッシュという名前だったか。
「何で落ちこぼれの兄上が肉を食べているのだ!!」
「何を持って落ちこぼれとしているのかわからんが、自分で用意した食事だ。それが肉だっただけじゃないか。何かおかしいか?」
「おかしいに決まっている!! 私達ですらあまり肉は口にできないのに、何で落ちこぼれのくせに当たり前のように肉を食べているのだ!」
「お前達が肉をあまり口にできないのは、こっちは知ったこっちゃない。この肉は私達が狩りで得た獲物だからこうして食べている。お前達も食べたければ自分で狩ってくればいいだけの話ではないのか?」
「う、うるさい!! 僕は次期当主としていろいろやることがあって忙しいのだ!! 兄上のように好き勝手している時間なんてないんだ!!」
「なるほど、次期当主としていろいろやっている、ね。その割には住民達の生活が貧しいのは一体どういうことだ?」
「落ちこぼれのくせに知った口を開くな!! いいか、兄上、ボク達フレイム伯爵家は火の魔法こそが全てなのだ!! 火の魔法の素質のない落ちこぼれの兄上と違ってその修行で忙しいのだ!」
なるほど、火魔術が使えないから散々落ちこぼれと私に言ってきたんだな、なるほど、なるほど。まあ、私は火魔術どころか魔法全般使えないけどね、魔力0だし(泣)。それにしても、こいつら頭おかしいとしかいえないなあ。魔術の修行は大事だけど、住民放ったらかしにしてまですることか? その前に住民の生活を向上させようと努力するのが領主じゃないのか? いかん、涙出てきた。
何か色々と言いがかりをつけてはこちらの文句しか言ってないな。それにしてもよくもまあ、ここまで人を悪く言えるもんだね。結局何が言いたいのだろうか、ここまで来るとわからない。そもそも、何でここに文句を言いに来たのだ? とりあえずメイドを無視して夕食を食べたことに端を発しているから、それで食事中にやってきたと、あ、なるほど! 要するにこいつら肉が欲しいんだ!! ああ、そういうことか! でも、やらん!! やる義理はないからね。
「素直にオークの肉が美味しそうだったから、僕に恵んで下さい、と言えばいいんじゃないか?」
「なっ!」
図星を指されたのか、バカ、いや、アッシュは言葉を失う。
「そんなに肉が食べたければ、自分で狩ってくればよかろう、そのための火魔術じゃないのか? それとも魔物も倒せないほどショボいのか? お前の魔法は。本当に修行しているのか? まあ、いいや。私はお前の母親に言われたように自分の食事は自分で用意しているだけだ。それの文句をつけてたかりに来ているお前、いや、お前達は一体何なんだ?」
ここまで馬鹿にされたのも初めてだったのだろう、アッシュとその取り巻き達とメイドは顔を真っ赤にしていたが、これ以上何も言わずに出て行った。ようやく邪魔者が消えたから夕食の続きだ。しかし、バカ達が来たおかげで少し冷めてしまった。
「マーブル、ジェミニ、ライム、ごめんね。折角の夕食が冷めてしまって。」
「ミャウ。」と、マーブルが気にするなと言わんばかりに私の肩を叩く。ジェミニもライムも全く気にしていないとばかりに嬉しそうに夕食を食べ出す。
夕食も食べ終わり、片付けを済ませた後、ねぐらに戻って風呂と洗濯をしようと思ったが、ねぐらに行っている間にバカ達が来てしまうとよろしくないので、水術のリハビリも兼ねて氷の罠を仕掛けることにした。領域内に入ってくると問答無用で首から下まで凍らせるように仕込む。100人分くらいの量でいいかな。
罠を仕掛けた後、マーブルの転送魔法でねぐらに転移した。もちろん離れ小屋(たった今命名)の転送ポイント設置も忘れずに行った。
ねぐらは入ってすぐに広い空間となっており、床部分には水たまりと大きな穴1つと小さな穴が1つずつある。水たまりといったが、実際には湧き水が沸いている場所であり、この水には魔力が少し含まれており普通の水より美味しいのだ。大きな穴は風呂として使っている。また、大きな穴には深い部分と浅い部分があり、浅い部分はマーブルとジェミニが湯にしっかり浸かれる。小さい穴は洗濯するときに使っている。風呂も洗濯場も使用する水は湧き水だ。広い空間の先には3つの通路があり、左側は水術で凍らせてあり肉などを貯蔵している。
真ん中の穴は現在ヒヒイロカネやアダマンタイトという金属が大量に入っていて、これが今回ねぐらを封印すると神々が言っていた原因だ。今はこの通路が封印されている。
右側の穴は客室として使用しているが、今後もそれで使われるかはわからないけどね。
ねぐらの外はそこそこの木々が生い茂っている。また、スガープラントという植物も生えている。前世はこの植物を引っこ抜いていたときにジェミニに出会った思い出の植物だ。この植物は甜菜、すなわち砂糖大根が巨大化した感じの形をしており、根っこの白い部分には砂糖がたくさん取れるが、そればかりではなく、茎の部分を搾ると塩が取れる。葉の部分は乾燥させて細かくすると胡椒に似た味となる。つまり、これ一つで砂糖と塩胡椒が手に入るというチート植物だ。しかも、結構早く育つ上にある程度の範囲まで生育域を広げるが、ある程度の広さになると広がらなくなるという、出来過ぎた植物だ。折角だから何本か持って帰るとしますか。
風呂と洗濯とスガープラントの採取を終えたので、離れ小屋に戻って寝ることにした。折角なのでしっかりとお休みの挨拶をして寝ますかね。
「では、おやすみ、マーブル、ジェミニ、ライム。」
「ミャア。」
「アイスさん、お休みです。」
「あるじー、おやすみー。」
さて、明日はどこから行きましょうかね。
我が住まいへと移動しているが、近づくにつれて情報が入ってきた。何々? 普段私が住んでいる場所は屋敷の離れらしい。何と言うことだ、、、最高じゃないか!! 一応専属のメイドはいるらしいが、1日に数回しか来ないそうだ。しかも後妻の手の者らしい。ということは、何かしらの行動を逐一報告しているのだろうな、無駄なことを。正直ここの跡継ぎになるつもりは毛頭ない、貧しいにも関わらず何も手を打とうとしていない連中と一緒に過ごすのなんてゴメンだ。伯爵も含めてここの領主の家族の名前は覚える必要がないな。一応設定上は私も家族となっているが、離れて暮らしている以上、関わる必要もないしな。
そんなことを考えつつ、領主の屋敷に到着した。一応ここが住まいか。門番が私を見て挨拶をしてくる。
「アイス様、おかえりなさいませ。」
明らかに見下している。まあ、どうでもいいことだからそのままにしておきますか。
「ご苦労。」
仲良くする気はないが、一応声だけはかけておく。とはいえこれ以上話す気はないからそのまま門を通り屋敷内へと入っていく。そのまままっすぐ進めば屋敷に入るが、私の住まいは先程も話したとおり離れとなっている。途中で左折し細い道をそのまま進んでいくとそこに到着した。離れというより最低限雨風が防げる程度の造りとなっている。部屋は1つしかないが幸いにも調理場はある。正直邪魔者はほとんど来ないだろうから、ねぐらに転移していろいろ済ませるのもアリだとは思うが、ここは狩りで手に入れた美味しい肉をこれみよがしに調理して食べることにしよう。というのも、私だけ食事がでていないらしい。後妻は伯爵に私が自分で用意するから必要ないということにして伝えたらしい。
離れという名の小屋に入った私達だが、さいしょに行ったことといえば掃除だ。といっても、ライムが飛び出して、
「さっそくボクの出番だ-、きれいにするぞー!!」
と張り切ってあちこちを吸収し始めた。30分もかからなかった。いや、逆に狭いくせに30分も掛かるくらい汚かったということでもあるな。
「あるじー、終わった-!!」
と言って、私に飛びついてきたので、思いっきりおにぎりの刑を執行してやると嬉しそうにするライム。
調度品はかなりぼろく普段の扱いが手に取るようにわかったが、それでもかなり綺麗になったのでそこそこ利用出来る状態には戻っている。旅装を解こうにも転生したてで荷物も何もあったものじゃない。とりあえずテーブルにすわって一息つく。一応我が家ではあるので、少しずつ手直しなり新しいものを購入したりして整えていきますか。もちろん風呂などはなかったので、ねぐらの出番だ。邪魔者はあまり来ないし、何より離れなのでそういったことは好き勝手できるのでありがたかった。
一息ついたところで、みんなと話をする。
「さて、ここが今回の家となる場所です。ライムが綺麗にしてくれたとはいえ、かなりぼろい状態であるのは間違いないよね。タンバラの街と比べるとかなりヤバイ状態だから、少しずつ手を加えて住みやすくしていこうと思うけど、どうかな?」
「ニャア!」
「わたしはみんなと一緒に過ごせればどこでも大丈夫です!」
「あるじたちと一緒ならどこでもいいよ! ボクが綺麗にするー!!」
いや、そう言ってくれるのは嬉しいけど、住みやすくしていこうという言葉については全く反応していないのね。まあ、いいか。
「で、明日からなんだけど、早速狩りに行くのもいいけど、折角だからこの町をもっとしっかり知っておく必要があると思う。ここまで貧しいと住民達がかわいそうだ。幸いにも今日狩ってきた獲物だけでも数日間は食事に困らないからいろいろと調べたいと思うけど、どうかな?」
「ニャー!」
「町の散策ですか? 行きましょう!」
「あるじと一緒ならどこでもー!」
というわけで、明日から数日間は町の散策に決定。少しでも町の住民にとって良い結果になるように頑張るとしますか。一応領主の息子ですしね。
マーブル達との話も終わり、夕食前に一緒に遊んでいたとき、一人の女性がこちらにやってきた。恐らく私専属のメイドというやつだろう。
「アイス様、おかえりなさいませ。奥方様の指示通り、アイス様はご自身で食事を用意していただきますので。それと、何か変わったことはございましたか?」
「任務ご苦労様。食事についてはわかった。ところで、何か変わったことってお前は何も気付かないのか?」
「申し訳ありませんが、私はこれでも忙しい身、アイス様にずっと付き添っているわけではありませんので、わかりようがありません。って、アイス様、部屋が綺麗になっている気がするのですが、気のせいですか?」
「別に気のせいでいいんじゃない? あと、お前、忙しい身と言ったよな? 対して大きな屋敷でもないし、住民達のために何かしているわけでもないし、何が忙しいのかわからないが、そんなに忙しいなら金輪際ここに来なくてもいいから。」
「な、何を仰るのですか? こちらにお伺いするのも仕事です! それを来るなとは?」
「ん? 言葉通りだぞ。忙しいなら別にここに来るだけ余計に忙しくなるだけだろう? ここに来なくても済む分、忙しくなくなるだろう? よかったじゃないか。後、いつも嫌そうにここに来ているのだから、来なくて良いとわかったのならもう少し嬉しそうにしたらどうだ?」
「私の仕事は、アイス様の身の回りの世話でございます。私がいなければ誰がアイス様のお世話をするのですか?」
「ほう、私の身の回りの世話と? お前に身の回りの世話をされたことってないのだけど? それとも、ここの領地では何もせず放っておくのが身の回りの世話をするということなのか? あと、部屋が綺麗になっていると言ったが、本来はお前の仕事なのではないか? 最低限の事すらできていない奴が、偉そうに忙しいだの、身の回りの世話だの言うなよ。恥ずかしすぎるぞ。と言うわけだから、これからは来なくてもいい、というか来るな。伯爵夫人に、私がお前はもう来なくていいと言われたと言えば、その通りにしてくれると思うぞ。」
何故かメイドが震えていた。もう話すこともないので食事の支度をすることにした。幸いなことに鍋など必要なものは揃っていたので、あとは材料を調理するだけだった。今日はオーク肉のステーキともつ鍋だ。出て行こうとしないメイドを無視して空間収納からオーク肉とモツを取り出し調理を始める。メイドが何か言ってきているが無視して調理していく。マーブル達が皿などをテーブルに用意してくれる。何て気の利く猫達だ、お父さんは嬉しい。もちろん私達4人分のみでメイドの分は用意していないし、するつもりもない。
いろいろと準備が整い、さあ食べようというときだったが、まだメイドがいた。
「ア、アイス様、私の分は?」
「お前は屋敷に戻れば食事があるだろう? 私達は自分の分は自分で用意しないといけないから自分で用意しているだけだ。お前達も夕食の時間だろう? さっさと戻って夕食にすればいい。」
「このことは奥方様に報告させていただきますから!!」
「ああ、勝手に報告なり何なりすればいいじゃないか。しかし、自分の分の食事は自分で用意しろと言っておきながら何を報告するのかわからないなあ。まあ、いいや。」
何故か知らないけどメイドは大きな音を立てながら扉を閉めて出て行った。おいおい、ぼろ家なんだから少しは考えろって。
邪魔者もいなくなった我が家では、マーブル達と楽しく食事をしていたところ、また誰か来た。しかも何人かで来ている。あのメイドも一緒だった。入ってきた途端、教育のできていない頭の悪そうなガキ、いや、身なりだけは良さそうな子息か、が偉そうにこちらに何か言ってきた。なるほど、こいつが後妻が産んだ次男というやつか。確かアッシュという名前だったか。
「何で落ちこぼれの兄上が肉を食べているのだ!!」
「何を持って落ちこぼれとしているのかわからんが、自分で用意した食事だ。それが肉だっただけじゃないか。何かおかしいか?」
「おかしいに決まっている!! 私達ですらあまり肉は口にできないのに、何で落ちこぼれのくせに当たり前のように肉を食べているのだ!」
「お前達が肉をあまり口にできないのは、こっちは知ったこっちゃない。この肉は私達が狩りで得た獲物だからこうして食べている。お前達も食べたければ自分で狩ってくればいいだけの話ではないのか?」
「う、うるさい!! 僕は次期当主としていろいろやることがあって忙しいのだ!! 兄上のように好き勝手している時間なんてないんだ!!」
「なるほど、次期当主としていろいろやっている、ね。その割には住民達の生活が貧しいのは一体どういうことだ?」
「落ちこぼれのくせに知った口を開くな!! いいか、兄上、ボク達フレイム伯爵家は火の魔法こそが全てなのだ!! 火の魔法の素質のない落ちこぼれの兄上と違ってその修行で忙しいのだ!」
なるほど、火魔術が使えないから散々落ちこぼれと私に言ってきたんだな、なるほど、なるほど。まあ、私は火魔術どころか魔法全般使えないけどね、魔力0だし(泣)。それにしても、こいつら頭おかしいとしかいえないなあ。魔術の修行は大事だけど、住民放ったらかしにしてまですることか? その前に住民の生活を向上させようと努力するのが領主じゃないのか? いかん、涙出てきた。
何か色々と言いがかりをつけてはこちらの文句しか言ってないな。それにしてもよくもまあ、ここまで人を悪く言えるもんだね。結局何が言いたいのだろうか、ここまで来るとわからない。そもそも、何でここに文句を言いに来たのだ? とりあえずメイドを無視して夕食を食べたことに端を発しているから、それで食事中にやってきたと、あ、なるほど! 要するにこいつら肉が欲しいんだ!! ああ、そういうことか! でも、やらん!! やる義理はないからね。
「素直にオークの肉が美味しそうだったから、僕に恵んで下さい、と言えばいいんじゃないか?」
「なっ!」
図星を指されたのか、バカ、いや、アッシュは言葉を失う。
「そんなに肉が食べたければ、自分で狩ってくればよかろう、そのための火魔術じゃないのか? それとも魔物も倒せないほどショボいのか? お前の魔法は。本当に修行しているのか? まあ、いいや。私はお前の母親に言われたように自分の食事は自分で用意しているだけだ。それの文句をつけてたかりに来ているお前、いや、お前達は一体何なんだ?」
ここまで馬鹿にされたのも初めてだったのだろう、アッシュとその取り巻き達とメイドは顔を真っ赤にしていたが、これ以上何も言わずに出て行った。ようやく邪魔者が消えたから夕食の続きだ。しかし、バカ達が来たおかげで少し冷めてしまった。
「マーブル、ジェミニ、ライム、ごめんね。折角の夕食が冷めてしまって。」
「ミャウ。」と、マーブルが気にするなと言わんばかりに私の肩を叩く。ジェミニもライムも全く気にしていないとばかりに嬉しそうに夕食を食べ出す。
夕食も食べ終わり、片付けを済ませた後、ねぐらに戻って風呂と洗濯をしようと思ったが、ねぐらに行っている間にバカ達が来てしまうとよろしくないので、水術のリハビリも兼ねて氷の罠を仕掛けることにした。領域内に入ってくると問答無用で首から下まで凍らせるように仕込む。100人分くらいの量でいいかな。
罠を仕掛けた後、マーブルの転送魔法でねぐらに転移した。もちろん離れ小屋(たった今命名)の転送ポイント設置も忘れずに行った。
ねぐらは入ってすぐに広い空間となっており、床部分には水たまりと大きな穴1つと小さな穴が1つずつある。水たまりといったが、実際には湧き水が沸いている場所であり、この水には魔力が少し含まれており普通の水より美味しいのだ。大きな穴は風呂として使っている。また、大きな穴には深い部分と浅い部分があり、浅い部分はマーブルとジェミニが湯にしっかり浸かれる。小さい穴は洗濯するときに使っている。風呂も洗濯場も使用する水は湧き水だ。広い空間の先には3つの通路があり、左側は水術で凍らせてあり肉などを貯蔵している。
真ん中の穴は現在ヒヒイロカネやアダマンタイトという金属が大量に入っていて、これが今回ねぐらを封印すると神々が言っていた原因だ。今はこの通路が封印されている。
右側の穴は客室として使用しているが、今後もそれで使われるかはわからないけどね。
ねぐらの外はそこそこの木々が生い茂っている。また、スガープラントという植物も生えている。前世はこの植物を引っこ抜いていたときにジェミニに出会った思い出の植物だ。この植物は甜菜、すなわち砂糖大根が巨大化した感じの形をしており、根っこの白い部分には砂糖がたくさん取れるが、そればかりではなく、茎の部分を搾ると塩が取れる。葉の部分は乾燥させて細かくすると胡椒に似た味となる。つまり、これ一つで砂糖と塩胡椒が手に入るというチート植物だ。しかも、結構早く育つ上にある程度の範囲まで生育域を広げるが、ある程度の広さになると広がらなくなるという、出来過ぎた植物だ。折角だから何本か持って帰るとしますか。
風呂と洗濯とスガープラントの採取を終えたので、離れ小屋に戻って寝ることにした。折角なのでしっかりとお休みの挨拶をして寝ますかね。
「では、おやすみ、マーブル、ジェミニ、ライム。」
「ミャア。」
「アイスさん、お休みです。」
「あるじー、おやすみー。」
さて、明日はどこから行きましょうかね。
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※いつか恋愛もさせたいけど、主人公が「え? 熟女萌え? というか、ババ專!?」とか考えちゃうので進まない様な気もします。
※こちらは、小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
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