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序章
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「う、うう、んんん」
男の苦しげな押し殺した声が口から漏れる。
「うう、は、はぁ、はぁ」
そうかと思えば次の瞬間、熱く悩ましげな声に変わる。
「ま、まだか…も、もう…」
顔の上半分を仮面で隠した男は、枕から頭を上げて、せつなげに自分の膝の上に腰を下ろしている女に問いかけた。
ベールを被っているため顔の見えない女は、屹立した男の陰茎をその手に掴み、上下に扱きながら、枕元に顔を向けたのがわかった。
そこには砂時計があり、さらさらと砂が落ちて時を刻んでいる。
「まだです。あと少し、耐えてください」
半分虚ろな目で、男もそれを見る。
もっと時が経っていたように思えたが、さらさらと落ちていく砂は、ようやく半分を超えたところだ。
その事実に男はぎゅっと唇をきつく結んで、枕に頭を戻した。
「くそ…」
女の手が気持ち良すぎて、先程から何度もイキそうになっている。
男がイキそうになるのを察すると、指の腹でぐっと鈴口を抑え込まれる。それが、耐えろという合図だった。
そのたびに、男は睾丸から肛門の間にある部分の筋肉に力を込める。
しかし次の瞬間、体を衝撃が走り抜けて腹にぐっと力が入った。
「!!!」
呼吸が一瞬止まり、声にならない声が漏れる。
「気持ちいいところ、触ってしまいましたか」
ベールを被った女は男の足の上に座り、彼の陰茎を扱いていた手を一旦止める。
男のそれは血管が浮き出て、極限まで張り詰め、天井に向かって勃ち上がっている。
女の細く小さな手が、その裏の敏感な部分に当たり、そこから腹を登って頭の方に、ビリビリとした快感が男の体を走り抜けたのだった。
「また大きくなりましたね」
女の声は冷静で淡々としているが、その声には感心したような色を含んでいる。少し低い囁き声が、男の情欲を掻き立てる。
初めて彼女の声を聞いたときから、その落ち着いた様子が好ましいと思っていた。
初めて会った時からずっとベールを被っていて、顔はまだ一度も見たことはないが、きっとその顔も自分の好みに違いないと根拠のない確信を抱いていた。
見えないからこそ、想像を掻き立てられる。
素顔を見たこともない相手に、自分の陰茎を握らせて扱かせているというこの状況が、男をさらに興奮させていた。
そして腿に当たる女の柔らかな体も、それを助長する。
「先端からこんなに汁が溢れて…ほら聞こえますか?」
グチュグチュと鈴口から溢れさせた汁で、女の手は既にぐっしょりと濡れていた。
その手でさらに激しくしごかれ、男は喉を見せて顔をのけぞらせた。
「や、やめろ、ああ」
女が膝の上に乗せた柔らかい尻を僅かに動かす。
男は今にもイキそうになるのを、ぐっと堪えた。
卑猥な言葉を口にするあの口で、今熱り立っているものを咥えられたら、どんなに気持ちいいだろう。
そんな妄想が頭を過る。
「そうです。さすがですね。筋肉の使い方をよくわかっていらっしゃる」
ぐっと体に力を込め、全身の筋肉を硬直させていることを、女は素直に褒め称えた。
男の苦しげな押し殺した声が口から漏れる。
「うう、は、はぁ、はぁ」
そうかと思えば次の瞬間、熱く悩ましげな声に変わる。
「ま、まだか…も、もう…」
顔の上半分を仮面で隠した男は、枕から頭を上げて、せつなげに自分の膝の上に腰を下ろしている女に問いかけた。
ベールを被っているため顔の見えない女は、屹立した男の陰茎をその手に掴み、上下に扱きながら、枕元に顔を向けたのがわかった。
そこには砂時計があり、さらさらと砂が落ちて時を刻んでいる。
「まだです。あと少し、耐えてください」
半分虚ろな目で、男もそれを見る。
もっと時が経っていたように思えたが、さらさらと落ちていく砂は、ようやく半分を超えたところだ。
その事実に男はぎゅっと唇をきつく結んで、枕に頭を戻した。
「くそ…」
女の手が気持ち良すぎて、先程から何度もイキそうになっている。
男がイキそうになるのを察すると、指の腹でぐっと鈴口を抑え込まれる。それが、耐えろという合図だった。
そのたびに、男は睾丸から肛門の間にある部分の筋肉に力を込める。
しかし次の瞬間、体を衝撃が走り抜けて腹にぐっと力が入った。
「!!!」
呼吸が一瞬止まり、声にならない声が漏れる。
「気持ちいいところ、触ってしまいましたか」
ベールを被った女は男の足の上に座り、彼の陰茎を扱いていた手を一旦止める。
男のそれは血管が浮き出て、極限まで張り詰め、天井に向かって勃ち上がっている。
女の細く小さな手が、その裏の敏感な部分に当たり、そこから腹を登って頭の方に、ビリビリとした快感が男の体を走り抜けたのだった。
「また大きくなりましたね」
女の声は冷静で淡々としているが、その声には感心したような色を含んでいる。少し低い囁き声が、男の情欲を掻き立てる。
初めて彼女の声を聞いたときから、その落ち着いた様子が好ましいと思っていた。
初めて会った時からずっとベールを被っていて、顔はまだ一度も見たことはないが、きっとその顔も自分の好みに違いないと根拠のない確信を抱いていた。
見えないからこそ、想像を掻き立てられる。
素顔を見たこともない相手に、自分の陰茎を握らせて扱かせているというこの状況が、男をさらに興奮させていた。
そして腿に当たる女の柔らかな体も、それを助長する。
「先端からこんなに汁が溢れて…ほら聞こえますか?」
グチュグチュと鈴口から溢れさせた汁で、女の手は既にぐっしょりと濡れていた。
その手でさらに激しくしごかれ、男は喉を見せて顔をのけぞらせた。
「や、やめろ、ああ」
女が膝の上に乗せた柔らかい尻を僅かに動かす。
男は今にもイキそうになるのを、ぐっと堪えた。
卑猥な言葉を口にするあの口で、今熱り立っているものを咥えられたら、どんなに気持ちいいだろう。
そんな妄想が頭を過る。
「そうです。さすがですね。筋肉の使い方をよくわかっていらっしゃる」
ぐっと体に力を込め、全身の筋肉を硬直させていることを、女は素直に褒め称えた。
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