37 / 48
幕間〜ロクサーヌ
13
しおりを挟む
腰の高さまでの大きさの火の灯されていない暖炉を凝視する。
あの先にレオポルドがいる。
「さっき、お前がここにいることをロクサーヌがわざわざ言ったのは、奴に聞かせるためさ」
「レ、レオポルド!」
彼の無事を確かめたくて叫んだ。
「おっと、声をかけても無駄だ。奴は口を塞がれて話せないし、鎖で拘束されているから…」
ジャラジャラ、ガンガンと言う音がした。
ジャラジャラというのは多分彼を拘束している鎖の音。ガンガンというのは壁に何かを打ち付けたのかもしれない。
「地団駄を踏むやつの姿が目に浮かぶわ」
伯爵はそれだけですでに興奮しているのか、さっきより息があがっている。
「おもしろいことを教えてやろう」
「や!」
伯爵が耳の側で囁いた。暖炉に意識が向いていて油断した。吐く息が耳にかかり寒気が走った。
「あいつのところに今ごろロクサーヌが向かっている」
「え…ひゃあ!」
距離を取ろうとする私の顎を掴んだ伯爵が耳を舐めた。
「ロクサーヌは私より趣味が悪い。拘束した男が一人で達くのを見て楽しむんだ」
伯爵の言っていることが理解できない。
彼女は一体レオポルドに何をすると言うの。
「大抵の男は目の前にロクサーヌの裸体を見せつけられただけで勃つ。それから道具をつかってとことんイジメ抜くそうだ。私も一度見たが…まあ、私の趣味ではなかった。安心しろ。私はそんなものはなくてもこの手と口とあそこで天国に達かせてやる」
そう言って私の脇腹に硬くなった下半身を押し付けてきた。
悪趣味としか言いようがない。
「レオポルド、さあ、お楽しみの時間よ」
くぐもったロクサーヌさんの声が聞こえ、同時にジャラジャラと鎖を揺り動かす音がする。
「どうやらロクサーヌが着いたようだ」
「狂ってる…」
「ん?」
私は利き手である右手に短剣を握りしめた。
「そう…快楽は…人を狂わせる」
暖炉から更に鎖が激しく擦れる音と、うめき声が聞こえてきた。
「始まったようだ。さあ、我々も楽しもう」
伯爵がもう一度私の肩に手を触れた瞬間、彼に体当たりした。軽く膝立ちになっていた彼はバランスを崩して寝台に倒れ込んだ。
「動かないで」
私は鞘から短剣を抜いて彼の首筋に剣先を押しつけた。
「おま…こんなもの…いつの間に持って…ぎゅえ!」
伯爵の顔が一気に青ざめ踏み潰された蛙のような声を上げた。
仰向けになった伯爵の下半身を私が膝をつかって押しつぶしたからだ。
「い、いた…イ…ムム」
起き上がろうとして剣先が顎下に突き刺さった。突かれた痛みとあそこを押し潰された痛みで伯爵が絶叫しかけたのを手で塞いだ。
「地下室はどこ?教えないと大事なところを潰すから」
剣先が軽く刺さった所から血が滲みでて、伯爵の喉を伝っていく。
人の急所は何ヶ所かある。
男性の場合は今私が膝で押しつぶしている睾丸もそのひとつ。
ルディの剣の師匠には力で適わない女が勝つために必要なことを教えてもらった。
的確に急所を攻める。
心臓を狙ったり喉を掻き切ったりすれば死ぬ。
こめかみに鼻の下、耳の裏、顎、喉仏。鳩尾に腎臓のあたりも強打すれば混沌させたり痛めつけることはできる。
「叫んだらどうなるかわかるでしょ」
伯爵がブルブルと震え目で助けてくれと訴えている。
「こ、こここ…ここを出て…み、右…突き当たり…と、とと扉…」
今後のためを思えば伯爵のあそこは役に立たなくなっても構わない。
そう思うと膝に込める力が余計に入った。
「鍵は?」
「う…上着…」
「ありがとう」
ガツン、ガチッ
短剣の柄で伯爵のこめかみを思い切り叩いた。一度では気絶しなかったので二度叩いてやっと白目をむいて伯爵は気絶した。
すえた匂いがして伯爵の上から動くと、ズボンのあそこの辺りが濡れていた。
失禁と射精を同時にしたみたいだ。
ゴソゴソと伯爵の上着を物色して鍵を引っ張り出した。
ここに暫く誰も近づくなと伯爵が命令したお陰で部屋の周囲には誰もいなかった。
けれど伯爵と私の所から何の気配もしなかったらきっとロクサーヌさんが不審に思って戻ってくるかもしれない。
いざというときに相手に突出すつもりで短剣を隠し持ち、私は地下室へと向かった。
あの先にレオポルドがいる。
「さっき、お前がここにいることをロクサーヌがわざわざ言ったのは、奴に聞かせるためさ」
「レ、レオポルド!」
彼の無事を確かめたくて叫んだ。
「おっと、声をかけても無駄だ。奴は口を塞がれて話せないし、鎖で拘束されているから…」
ジャラジャラ、ガンガンと言う音がした。
ジャラジャラというのは多分彼を拘束している鎖の音。ガンガンというのは壁に何かを打ち付けたのかもしれない。
「地団駄を踏むやつの姿が目に浮かぶわ」
伯爵はそれだけですでに興奮しているのか、さっきより息があがっている。
「おもしろいことを教えてやろう」
「や!」
伯爵が耳の側で囁いた。暖炉に意識が向いていて油断した。吐く息が耳にかかり寒気が走った。
「あいつのところに今ごろロクサーヌが向かっている」
「え…ひゃあ!」
距離を取ろうとする私の顎を掴んだ伯爵が耳を舐めた。
「ロクサーヌは私より趣味が悪い。拘束した男が一人で達くのを見て楽しむんだ」
伯爵の言っていることが理解できない。
彼女は一体レオポルドに何をすると言うの。
「大抵の男は目の前にロクサーヌの裸体を見せつけられただけで勃つ。それから道具をつかってとことんイジメ抜くそうだ。私も一度見たが…まあ、私の趣味ではなかった。安心しろ。私はそんなものはなくてもこの手と口とあそこで天国に達かせてやる」
そう言って私の脇腹に硬くなった下半身を押し付けてきた。
悪趣味としか言いようがない。
「レオポルド、さあ、お楽しみの時間よ」
くぐもったロクサーヌさんの声が聞こえ、同時にジャラジャラと鎖を揺り動かす音がする。
「どうやらロクサーヌが着いたようだ」
「狂ってる…」
「ん?」
私は利き手である右手に短剣を握りしめた。
「そう…快楽は…人を狂わせる」
暖炉から更に鎖が激しく擦れる音と、うめき声が聞こえてきた。
「始まったようだ。さあ、我々も楽しもう」
伯爵がもう一度私の肩に手を触れた瞬間、彼に体当たりした。軽く膝立ちになっていた彼はバランスを崩して寝台に倒れ込んだ。
「動かないで」
私は鞘から短剣を抜いて彼の首筋に剣先を押しつけた。
「おま…こんなもの…いつの間に持って…ぎゅえ!」
伯爵の顔が一気に青ざめ踏み潰された蛙のような声を上げた。
仰向けになった伯爵の下半身を私が膝をつかって押しつぶしたからだ。
「い、いた…イ…ムム」
起き上がろうとして剣先が顎下に突き刺さった。突かれた痛みとあそこを押し潰された痛みで伯爵が絶叫しかけたのを手で塞いだ。
「地下室はどこ?教えないと大事なところを潰すから」
剣先が軽く刺さった所から血が滲みでて、伯爵の喉を伝っていく。
人の急所は何ヶ所かある。
男性の場合は今私が膝で押しつぶしている睾丸もそのひとつ。
ルディの剣の師匠には力で適わない女が勝つために必要なことを教えてもらった。
的確に急所を攻める。
心臓を狙ったり喉を掻き切ったりすれば死ぬ。
こめかみに鼻の下、耳の裏、顎、喉仏。鳩尾に腎臓のあたりも強打すれば混沌させたり痛めつけることはできる。
「叫んだらどうなるかわかるでしょ」
伯爵がブルブルと震え目で助けてくれと訴えている。
「こ、こここ…ここを出て…み、右…突き当たり…と、とと扉…」
今後のためを思えば伯爵のあそこは役に立たなくなっても構わない。
そう思うと膝に込める力が余計に入った。
「鍵は?」
「う…上着…」
「ありがとう」
ガツン、ガチッ
短剣の柄で伯爵のこめかみを思い切り叩いた。一度では気絶しなかったので二度叩いてやっと白目をむいて伯爵は気絶した。
すえた匂いがして伯爵の上から動くと、ズボンのあそこの辺りが濡れていた。
失禁と射精を同時にしたみたいだ。
ゴソゴソと伯爵の上着を物色して鍵を引っ張り出した。
ここに暫く誰も近づくなと伯爵が命令したお陰で部屋の周囲には誰もいなかった。
けれど伯爵と私の所から何の気配もしなかったらきっとロクサーヌさんが不審に思って戻ってくるかもしれない。
いざというときに相手に突出すつもりで短剣を隠し持ち、私は地下室へと向かった。
21
お気に入りに追加
4,732
あなたにおすすめの小説
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
大嫌いな次期騎士団長に嫁いだら、激しすぎる初夜が待っていました
扇 レンナ
恋愛
旧題:宿敵だと思っていた男に溺愛されて、毎日のように求められているんですが!?
*こちらは【明石 唯加】名義のアカウントで掲載していたものです。書籍化にあたり、こちらに転載しております。また、こちらのアカウントに転載することに関しては担当編集さまから許可をいただいておりますので、問題ありません。
――
ウィテカー王国の西の辺境を守る二つの伯爵家、コナハン家とフォレスター家は長年に渡りいがみ合ってきた。
そんな現状に焦りを抱いた王家は、二つの伯爵家に和解を求め、王命での結婚を命じる。
その結果、フォレスター伯爵家の長女メアリーはコナハン伯爵家に嫁入りすることが決まった。
結婚相手はコナハン家の長男シリル。クールに見える外見と辺境騎士団の次期団長という肩書きから女性人気がとても高い男性。
が、メアリーはそんなシリルが実は大嫌い。
彼はクールなのではなく、大層傲慢なだけ。それを知っているからだ。
しかし、王命には逆らえない。そのため、メアリーは渋々シリルの元に嫁ぐことに。
どうせ愛し愛されるような素敵な関係にはなれるわけがない。
そう考えるメアリーを他所に、シリルは初夜からメアリーを強く求めてくる。
――もしかして、これは嫌がらせ?
メアリーはシリルの態度をそう受け取り、頑なに彼を拒絶しようとするが――……。
「誰がお前に嫌がらせなんかするかよ」
どうやら、彼には全く別の思惑があるらしく……?
*WEB版表紙イラストはみどりのバクさまに有償にて描いていただいたものです。転載等は禁止です。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
つがいの皇帝に溺愛される幼い皇女の至福
ゆきむら さり
恋愛
稚拙な私の作品をHOTランキング(7/1)に入れて頂き、ありがとうございます✨ 読んで下さる皆様のおかげです🧡
〔あらすじ〕📝強大な魔帝国を治める時の皇帝オーブリー。壮年期を迎えても皇后を迎えない彼には、幼少期より憧れを抱く美しい人がいる。その美しい人の産んだ幼な姫が、自身のつがいだと本能的に悟る皇帝オーブリーは、外の世界に憧れを抱くその幼な姫の皇女ベハティを魔帝国へと招待することに……。
完結した【堕ちた御子姫は帝国に囚われる】のスピンオフ。前作の登場人物達の子供達のお話に加えて、前作の登場人物達のその後も書かれておりますので、気になる方は是非ご一読下さい🤗
ゆるふわで甘いお話し。溺愛。ハピエン♥️
※設定などは独自の世界観でご都合主義となります。
過去1ヶ月以内にノーチェの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、ノーチェのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にノーチェの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、ノーチェのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。