出戻り王女の恋愛事情 人質ライフは意外と楽しい

 十七歳の時、ジゼルはバレッシオ公国のドミニコの所へ嫁いだが、七年経っても子どもが出来ず離縁されてエレトリカ王国へ出戻ってきた。
 家族は彼女の気持ちをおもんばかって何も言わず温かく迎えてくれたが、出戻った王女に世間の風は冷たい。かつて活発でいたずらをして周りを困らせるくらい元気だったジゼルは、七年の婚姻期間の間にすっかり消極的で俯きがちになっていた。
 そして出戻って六ヶ月後。戦勝祝いと十歳下の弟で世継ぎのジュリアンの誕生日パーティーで事件は起った。
 祝宴ムードの王宮に乱入してきた毛皮を身に纏った大柄の男性。ユリウス・ボルトレフ。
 彼は父の国王に向かってツケを回収しに来たという。彼の一族は王国とは独立しており、かつて王国と彼の一族は契約を交わしていて、戦争の際に力を貸す代わりに、報酬を受け取っていた。
 今回の戦勝にもひと役買っていたが、その報酬が支払われておらず、それを回収しにきたのだと言う。
 彼の要求する額は莫大で、とてもすぐには払えない。そのため国王は支払いの延期を求めた。
 その保証として、ユリウスは条件を出した。半額分の支払いと、人質を差し出すこと。
 ジゼルは自ら願い出て、人質を買って出た。

 
 話の中で、不妊に関して心ない台詞があります。申し訳ございません。
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