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ラファエル編

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初めての夜。

 彼女も初めてだったが、僕も初めてだった。

 僕が生まれてからも、父は何度も母を訪ねてきた。

 そして幼い僕の見ている前で、母を犯した。

 アニエスへの気持ちを自覚する前は、はっきり言って、男女が裸で触れ合い、男がその欲望の高まりを女に押し付ける行為の、何がいいのかわからなかった。

 幼い頃見た父が嫌がる母を手籠にする姿は、醜悪だった。  

 僕の寝台に勝手に上がり込んできた女たちに、無理矢理体を弄られた時は、嫌悪しか感じなかった。

 だから、もしかしたら、自分は一生出来ないかも知れないと思っていた。

 でも彼女が他の誰かのものになるのは、許せなかった。
 
 アニエスが、僕以外の男と、している姿は見たくなかった。

 彼女は僕のもの。
 
 そして僕は彼女のものだ。

  
 騎士服を脱いだ彼女の体は、想像より華奢に見えた。
 騎士団で鍛えているだけあって、彼女の体は適度に引き締まっていたが、筋肉の付き方がやはり男とは違う。

 けっして大きくはない胸が、ツンと上を向いている。
 手の中にすっぽりと収まりそうなのが、彼女を手中にしているようで、大き過ぎるものより、僕を唆った。
 その中心の蕾にふれると、彼女の体が震えた。

 細い腰も、滑らかな肌も、すべて自分だけのものだと思うと、自然と下半身に血が集まり、陰茎が痛いほど張り詰めた。
 
 しかし、男を一度も受け入れたことのない入口は、僕のものを挿れただけで、壊れてしまいそうだった。

 このお腹の奥に、自分のものが入り、彼女に包まれることを想像するだけで、気が変になりそうだった。

「あ…ん…ラファエル…あ」

 僕が触れる度に、恥ずかしさに震えながら僕の名前を口にする。
 そんなアニエスが、愛しくてたまらなかった。

 朱色に染まっていく彼女の肌に、自分の物であると印を付けたくなるのを、ぐっと堪える。

 彼女にとって、夜の夫婦生活は義務なのだ。

 不快な思いはさせたくないし、快楽は味わってほしい。

 でも、あからさまに印を付けて、所有を主張すれば彼女に負担を感じさせてしまう。

 僕にとっても、彼女との結婚はあくまで取り引きだと思っていると思わせなければいけない。
 

 そう言い聞かせるのに、誰も踏み込んだことのなかった、彼女の体の奥深くに己の一部を挿入させると、それだけでいってしまいそうになった。

 初めての彼女のそこはとても狭く、活路を開こうとすると、すぐに押し戻されそうになる。

 絡みつく襞が僕のものを絞り込む。

 初めて味わう悦楽に、溺れる。

 薄い彼女のお腹が、僕のものを呑み込んでいるのが見てわかると、また彼女の中で大きくなった。
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