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233 逆効果

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 「何だか……ごめんなさいね。ついムキになってしまって」

売り言葉に買い言葉。つい負けず嫌いの性格で私を人身御供のように差し出してしまったことを猛反省して謝ってきた。

「……気持ちはわかります。言ってしまったものは仕方ないですから……」

過去の恨み辛みが後押ししたとは言え、自分の切り盛りする舞屋のことについ熱くなった結果だとわかっているので文句も言えない。

祝賀の舞の審査からこんな風に発展しまったのは予想外だったが、まだ審査すら始まっていない。

「落ち込むのはまだ早いわ。さっきの話が嘘だとわかれば審査どころじゃなくなるから。第一王都で私を知らないなんて言う踊り子は本物なわけない」

私が彼女を知らなかったことに随分こだわっているみたいだ。

その分野で有名でも興味のない者にとってはどうでもいいことだと言ってしまえば火に油だろう。

「嘘じゃないですから」

ぷくうっと顔を膨らませてティータさんが抗議する。

ティータさんがムキになればなるほど逆効果になっている。

「私に考えがあるわ」

レリアナが何か思い付いたらしくラトゥーヤに耳打ちする。

「ふふ、それはいい考えね」

ラトゥーヤはそれを聞いてクスクスと笑う。

「待ってて」

そう言ってレリアナは部屋を出ていった。

「どこにいったの?審査のことといい、あなたたち誰か上の方と繋がっているんじゃ」

ティータさんがラトゥーヤに訊ねる。

「余計な言いがかりはやめて。私の実力が認められたからだって言ってるでしょ」

それなりに彼女も実力があるのだろうが、きっとそれだけではないだろう。

王宮の中で力のある誰かが後ろ楯になっているのかもしれない。

証拠は何もない。あくまでも可能性の話だ。

「まあ、運も実力のうちという言葉がある位だから、私にそれだけの価値があるとも言えるけど」

同じ部屋にいる全員を見渡し、最後に私の方を見る。

祝賀の舞をかけた審査なのだから多少は牽制し合うとは思っていたが、ここまで拗れるとは思っていなかった。

やはり最初にラトゥーヤのプライドを傷つけてしまったのがいけなかっただろうか。

でも今さら謝ったところで事態は収拾しないだろうし、かえって彼女の怒りを煽ることになりそうで、何も言えなかった。

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