146 / 266
145 王宮医師
しおりを挟む
王宮医師が同行するということは、予め先触れの人物から聞いていたが、ネヴィルさんと共に戻ってきたのが意外にも女性だったことに驚いた。
小柄でほっそりとしたその人は、フワフワの明るい茶色の髪を三つ編みにして、大きな緑の瞳にメガネをかけている。王宮医師団所属の医師であることを象徴する真っ白な上着と長いスカートが印象的だ。
「どうされたのですか?」
書斎に立つ殿下を見て彼女が驚いて訊ねた。
小柄な体から発せられたとは思えないしっかりとした声だった。
「アリアーデ?」
殿下が現れた女性医師の名を呼ぶ。顔見知りのようだった。
「まあ、アリアーデ様………」
マーサさんも彼女を知っている様子で驚いている。
「お久しぶりです。殿下、マーサさん」
アリアーデと呼ばれた女性医師は、カーテシーとまではいかないが、軽く膝を折って会釈する。
「寝室にいらっしゃると思っていましたのに、まさかお仕事ですか?」
机の上にある書類の山が視界に入ったのか、少し咎めるようにアリアーデさんが言うので、私は慌てて説明した。
「あの、これは違います!私とネヴィルさんがやっていたことで、殿下はたまたまこちらへ…………」
ちらりと殿下を見て、そこで言葉が詰まる。
「………こちらへ、どのようなご用件で来られたのですか?」
私に何をしているのか、とか訊ねられたが、殿下がここに来た理由がわからなかった。
「どのような………?」
訊ねたのは私だが、殿下は私の質問をそのまま繰り返し、どのような?どのような、と自分自身に問い質すように繰り返す。
「殿下、落ち着いてください、とにかく寝室へ戻りましょう」
私が手を差し伸べる隙もなくアリアーデ医師がそう言って近づき、小柄ながら殿下を支える。
殿下も抵抗せずに彼女に身を委ねる。
彼女に体を抱き込まれて歩きながら殿下がまた私を見つめる。
その瞳に浮かぶのはどんな感情なのか。祭りの初日に私に気持ちを打ち明けてくれたのは、夢だったのではないかとさえ思える。
「手伝います」
ホーク先生も現れ、マーサさんもチャールズさんも共に書斎を出ていく。両脇からアリアーデさんとホーク先生に寄り添われながら立ち去る殿下の姿を眺めるしかできなった。
ネヴィルさんたちもひとまずその後をついていく。
書斎には私とウィリアムさんとクリスさん、エリックさんだけが残った。
「王都への往復は大変でしたね」
近いとは言え、馬車で半日かかる距離を一日で往復したのである。しかも行きはかなりの強行だったはずだ。
私たちは長椅子に移動してそこに腰を落ち着けた。
「大丈夫だ。これくらい。それより、殿下はいつ目が覚められたんだ?」
「お昼前に……でも少し記憶が抜けているようで、ここ二ヶ月程の記憶がないようです」
私が言うと、ウィリアムさんはピクリと片方の眉を動かし、固く口許を引き締めて難しい顔をした。
「じゃあ、我々のことは……」
「覚えておられない。一人一人はっきり確かめたわけではないが、ホーク先生の見立てではそういうことです」
クリスさんが言うと、ウィリアムさんは小さく何か呟いた。
(大丈夫だとおっしゃられたのに………)
「え?」
皆で聞き返すと、ウィリアムさんは「何でもない」と首を振った。
「ところで、モリーさんのところはどうだった?」
ウィリアムさんが訊ね、私たちはモリーのことやレイさんから聞いた話を伝えた。
「それで、この書類の山か」
私と書類を見比べながらウィリアムさんが納得したように呟いた。
暫くしてネヴィルさんが戻ってきた。
診察が終われば呼ぶから、それまでホーク先生と彼女だけにして欲しいと、追い出されたそうだ。
「まさか女医さんが来られるとは思いませんでした」
前世でも多かったとは言えないが、女医さんは何人も目にしたことがある私は気にならないが、女性で高度な技術と知識を持った人は珍しい。
「殿下とは以前からのお知り合いのようでした」
「国王陛下と同じ歳で、殿下とは幼馴染みだとおっしゃっていた」
ウィリアムさんがアリアーデ医師について教えてくれた。
非常に優秀な方らしい。
「女性でお医者様……女性で護衛のローリィさんと気が合うのではないですか?」
「どうでしょうか……」
私と比べられても向こうも迷惑だろう。向こうは立派な王宮付きのお医者様だ。
「それにしても殿下は何をしにここへ来られたのでしょうか。何かおっしゃっておられましたか」
ネヴィルさんが私に訊ね、私は殿下の様子について語った。
「………ここで何をしているのか、誰の許可でここにいるのか、ネヴィルさんの名前を出すと、ネヴィルさんと何をしていたのかと………まるで尋問のようでした」
「それだけですか?」
「はい、側まできて、いきなりぐらりと倒れられそうになったので…慌てて支え………私のことはメイドのローリィだと思い出されたようですが、なぜ私が領地に来ているのかは思い出せていらっしゃらないみたいです」
虚ろに私を見つめる殿下の瞳を思い出す。
すまないというのは、思い出せないから?
殿下に触れられた頬に手を触れる。とっくに触れられた時の熱は消えていた。
この短時間で名前は思い出してもらえたのだから、満足すればいいのに、いつから自分は欲張りになったのか。ほんの少し過去に戻っただけだ。メイドのローリィとして公爵邸で働き出した頃に……。
「まだ薬のせいで混乱されているようですが、アリアーデ先生が来てくれて状況は変わるでしょう」
ネヴィルさんが何とか明るい方向へ話を持っていこうとしてくれる。
「我々は、我々にできることを今はやり遂げましょう」
目の前にある書類を指し示してネヴィルさんが言うと、何かわかったのかとウィリアムさんたちが訊いてきた。
書類仕事から逃げたクリスさんたちも、経過を知りたそうにしている。
「まだ二人できちんと確認はしていないのですが、私が気づいたことを先に申し上げてもよろしいですか?」
ネヴィルさんが私に訊ね私が頷くと、自分が確認した書類からいくつか抜き出して皆にわかるように広げた。
「確証を得るためには、これらの書類を提出したそれぞれの店の帳簿と照らし合わせる必要がありますが、結論から言えば、誰かが収穫祭のために集めたお金を横領している可能性があります」
「横領!?」
ウィリアムさんたちは驚いていたが、私は黙ってネヴィルさんと顔を見合せ頷いた。
「私もそう思います。一見、書類も完璧で収支も合っていますが、一度帳簿どおりのお金が残っているか、確認する必要があると思います。現金はデリヒ商会の金庫にあるんですよね」
「またデリヒ氏か………彼が横領の犯人か?」
クリスさんが言うと、ネヴィルさんが曖昧な返事をする。
「デリヒ氏だけなのか、もしくは一人ではなく、顔役の何人かは関与しているかも」
ネヴィルさんが濁した言葉を私が引き継いで言った。
「ネヴィルさんが領地運営に忙しく、顔役の方々を信用していたところを逆手に取られたとも言えます。ずっとこの六年間一緒に祭りを頑張ってきたネヴィルさんには彼らを疑うのは辛いかもしれませんが………」
「いえ、私がもう少ししっかりしていれば………」
すっかりショックを受けた様子のネヴィルさんを見て、私たちはかける言葉が見つからなかった。彼らを信用していただけに、ショックも大きい。
「もしかしたら、以前の老領主の頃から行われていたのかもいれません。殿下が引き継いだ頃は一旦鳴りを潜め、殿下の不在をいいことに、また手を出したのかも………」
ネヴィルさんがそんなことを漏らした。
小柄でほっそりとしたその人は、フワフワの明るい茶色の髪を三つ編みにして、大きな緑の瞳にメガネをかけている。王宮医師団所属の医師であることを象徴する真っ白な上着と長いスカートが印象的だ。
「どうされたのですか?」
書斎に立つ殿下を見て彼女が驚いて訊ねた。
小柄な体から発せられたとは思えないしっかりとした声だった。
「アリアーデ?」
殿下が現れた女性医師の名を呼ぶ。顔見知りのようだった。
「まあ、アリアーデ様………」
マーサさんも彼女を知っている様子で驚いている。
「お久しぶりです。殿下、マーサさん」
アリアーデと呼ばれた女性医師は、カーテシーとまではいかないが、軽く膝を折って会釈する。
「寝室にいらっしゃると思っていましたのに、まさかお仕事ですか?」
机の上にある書類の山が視界に入ったのか、少し咎めるようにアリアーデさんが言うので、私は慌てて説明した。
「あの、これは違います!私とネヴィルさんがやっていたことで、殿下はたまたまこちらへ…………」
ちらりと殿下を見て、そこで言葉が詰まる。
「………こちらへ、どのようなご用件で来られたのですか?」
私に何をしているのか、とか訊ねられたが、殿下がここに来た理由がわからなかった。
「どのような………?」
訊ねたのは私だが、殿下は私の質問をそのまま繰り返し、どのような?どのような、と自分自身に問い質すように繰り返す。
「殿下、落ち着いてください、とにかく寝室へ戻りましょう」
私が手を差し伸べる隙もなくアリアーデ医師がそう言って近づき、小柄ながら殿下を支える。
殿下も抵抗せずに彼女に身を委ねる。
彼女に体を抱き込まれて歩きながら殿下がまた私を見つめる。
その瞳に浮かぶのはどんな感情なのか。祭りの初日に私に気持ちを打ち明けてくれたのは、夢だったのではないかとさえ思える。
「手伝います」
ホーク先生も現れ、マーサさんもチャールズさんも共に書斎を出ていく。両脇からアリアーデさんとホーク先生に寄り添われながら立ち去る殿下の姿を眺めるしかできなった。
ネヴィルさんたちもひとまずその後をついていく。
書斎には私とウィリアムさんとクリスさん、エリックさんだけが残った。
「王都への往復は大変でしたね」
近いとは言え、馬車で半日かかる距離を一日で往復したのである。しかも行きはかなりの強行だったはずだ。
私たちは長椅子に移動してそこに腰を落ち着けた。
「大丈夫だ。これくらい。それより、殿下はいつ目が覚められたんだ?」
「お昼前に……でも少し記憶が抜けているようで、ここ二ヶ月程の記憶がないようです」
私が言うと、ウィリアムさんはピクリと片方の眉を動かし、固く口許を引き締めて難しい顔をした。
「じゃあ、我々のことは……」
「覚えておられない。一人一人はっきり確かめたわけではないが、ホーク先生の見立てではそういうことです」
クリスさんが言うと、ウィリアムさんは小さく何か呟いた。
(大丈夫だとおっしゃられたのに………)
「え?」
皆で聞き返すと、ウィリアムさんは「何でもない」と首を振った。
「ところで、モリーさんのところはどうだった?」
ウィリアムさんが訊ね、私たちはモリーのことやレイさんから聞いた話を伝えた。
「それで、この書類の山か」
私と書類を見比べながらウィリアムさんが納得したように呟いた。
暫くしてネヴィルさんが戻ってきた。
診察が終われば呼ぶから、それまでホーク先生と彼女だけにして欲しいと、追い出されたそうだ。
「まさか女医さんが来られるとは思いませんでした」
前世でも多かったとは言えないが、女医さんは何人も目にしたことがある私は気にならないが、女性で高度な技術と知識を持った人は珍しい。
「殿下とは以前からのお知り合いのようでした」
「国王陛下と同じ歳で、殿下とは幼馴染みだとおっしゃっていた」
ウィリアムさんがアリアーデ医師について教えてくれた。
非常に優秀な方らしい。
「女性でお医者様……女性で護衛のローリィさんと気が合うのではないですか?」
「どうでしょうか……」
私と比べられても向こうも迷惑だろう。向こうは立派な王宮付きのお医者様だ。
「それにしても殿下は何をしにここへ来られたのでしょうか。何かおっしゃっておられましたか」
ネヴィルさんが私に訊ね、私は殿下の様子について語った。
「………ここで何をしているのか、誰の許可でここにいるのか、ネヴィルさんの名前を出すと、ネヴィルさんと何をしていたのかと………まるで尋問のようでした」
「それだけですか?」
「はい、側まできて、いきなりぐらりと倒れられそうになったので…慌てて支え………私のことはメイドのローリィだと思い出されたようですが、なぜ私が領地に来ているのかは思い出せていらっしゃらないみたいです」
虚ろに私を見つめる殿下の瞳を思い出す。
すまないというのは、思い出せないから?
殿下に触れられた頬に手を触れる。とっくに触れられた時の熱は消えていた。
この短時間で名前は思い出してもらえたのだから、満足すればいいのに、いつから自分は欲張りになったのか。ほんの少し過去に戻っただけだ。メイドのローリィとして公爵邸で働き出した頃に……。
「まだ薬のせいで混乱されているようですが、アリアーデ先生が来てくれて状況は変わるでしょう」
ネヴィルさんが何とか明るい方向へ話を持っていこうとしてくれる。
「我々は、我々にできることを今はやり遂げましょう」
目の前にある書類を指し示してネヴィルさんが言うと、何かわかったのかとウィリアムさんたちが訊いてきた。
書類仕事から逃げたクリスさんたちも、経過を知りたそうにしている。
「まだ二人できちんと確認はしていないのですが、私が気づいたことを先に申し上げてもよろしいですか?」
ネヴィルさんが私に訊ね私が頷くと、自分が確認した書類からいくつか抜き出して皆にわかるように広げた。
「確証を得るためには、これらの書類を提出したそれぞれの店の帳簿と照らし合わせる必要がありますが、結論から言えば、誰かが収穫祭のために集めたお金を横領している可能性があります」
「横領!?」
ウィリアムさんたちは驚いていたが、私は黙ってネヴィルさんと顔を見合せ頷いた。
「私もそう思います。一見、書類も完璧で収支も合っていますが、一度帳簿どおりのお金が残っているか、確認する必要があると思います。現金はデリヒ商会の金庫にあるんですよね」
「またデリヒ氏か………彼が横領の犯人か?」
クリスさんが言うと、ネヴィルさんが曖昧な返事をする。
「デリヒ氏だけなのか、もしくは一人ではなく、顔役の何人かは関与しているかも」
ネヴィルさんが濁した言葉を私が引き継いで言った。
「ネヴィルさんが領地運営に忙しく、顔役の方々を信用していたところを逆手に取られたとも言えます。ずっとこの六年間一緒に祭りを頑張ってきたネヴィルさんには彼らを疑うのは辛いかもしれませんが………」
「いえ、私がもう少ししっかりしていれば………」
すっかりショックを受けた様子のネヴィルさんを見て、私たちはかける言葉が見つからなかった。彼らを信用していただけに、ショックも大きい。
「もしかしたら、以前の老領主の頃から行われていたのかもいれません。殿下が引き継いだ頃は一旦鳴りを潜め、殿下の不在をいいことに、また手を出したのかも………」
ネヴィルさんがそんなことを漏らした。
2
お気に入りに追加
1,935
あなたにおすすめの小説
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか?
「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」
「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」
マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
前世軍医だった傷物令嬢は、幸せな花嫁を夢見る
花雨宮琵
恋愛
侯爵令嬢のローズは、10歳のある日、背中に刀傷を負い生死の境をさまよう。
その時に見た夢で、軍医として生き、結婚式の直前に婚約者を亡くした前世が蘇る。
何とか一命を取り留めたものの、ローズの背中には大きな傷が残った。
“傷物令嬢”として揶揄される中、ローズは早々に貴族女性として生きることを諦め、隣国の帝国医学校へ入学する。
背中の傷を理由に六回も婚約を破棄されるも、18歳で隣国の医師資格を取得。自立しようとした矢先に王命による7回目の婚約が結ばれ、帰国を余儀なくされる。
7人目となる婚約者は、弱冠25歳で東の将軍となった、ヴァンドゥール公爵家次男のフェルディナンだった。
長年行方不明の想い人がいるフェルディナンと、義務ではなく愛ある結婚を夢見るローズ。そんな二人は、期間限定の条件付き婚約関係を結ぶことに同意する。
守られるだけの存在でいたくない! と思うローズは、一人の医師として自立し、同時に、今世こそは愛する人と結ばれて幸せな家庭を築きたいと願うのであったが――。
この小説は、人生の理不尽さ・不条理さに傷つき悩みながらも、幸せを求めて奮闘する女性の物語です。
※この作品は2年前に掲載していたものを大幅に改稿したものです。
(C)Elegance 2025 All Rights Reserved.無断転載・無断翻訳を固く禁じます。
交換された花嫁
秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
「お姉さんなんだから我慢なさい」
お姉さんなんだから…お姉さんなんだから…
我儘で自由奔放な妹の所為で昔からそればかり言われ続けてきた。ずっと我慢してきたが。公爵令嬢のヒロインは16歳になり婚約者が妹と共に出来きたが…まさかの展開が。
「お姉様の婚約者頂戴」
妹がヒロインの婚約者を寝取ってしまい、終いには頂戴と言う始末。両親に話すが…。
「お姉さんなのだから、交換して上げなさい」
流石に婚約者を交換するのは…不味いのでは…。
結局ヒロインは妹の要求通りに婚約者を交換した。
そしてヒロインは仕方無しに嫁いで行くが、夫である第2王子にはどうやら想い人がいるらしく…。
新しい人生を貴方と
緑谷めい
恋愛
私は公爵家令嬢ジェンマ・アマート。17歳。
突然、マリウス王太子殿下との婚約が白紙になった。あちらから婚約解消の申し入れをされたのだ。理由は王太子殿下にリリアという想い人ができたこと。
2ヵ月後、父は私に縁談を持って来た。お相手は有能なイケメン財務大臣コルトー侯爵。ただし、私より13歳年上で婚姻歴があり8歳の息子もいるという。
* 主人公は寛容です。王太子殿下に仕返しを考えたりはしません。
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
悪役令嬢に転生したので、やりたい放題やって派手に散るつもりでしたが、なぜか溺愛されています
平山和人
恋愛
伯爵令嬢であるオフィーリアは、ある日、前世の記憶を思い出す、前世の自分は平凡なOLでトラックに轢かれて死んだことを。
自分が転生したのは散財が趣味の悪役令嬢で、王太子と婚約破棄の上、断罪される運命にある。オフィーリアは運命を受け入れ、どうせ断罪されるなら好きに生きようとするが、なぜか周囲から溺愛されてしまう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる