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95 引き際
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見れば同じように殿下も赤くなっている。
どうやら同じことを考えているみたいだ。
何て訊かれたんだっけ、あ、着替えにしては遅いと言われたんだっけ。
「………フィリップ……司祭様と……話を……」
視線を反らし一生懸命、先ほどの場面から現実に戻ろうと、やっとそれだけ絞り出す。
「……?……どうした?」
殿下の後ろから階段を降りてきたウィリアムさんが怪訝そうに訊ねる。
殿下の背後にいるため、同じように殿下の顔が赤くなっているのには気づかない。
「熱でもあるのか?」
階段の途中で止まったままの殿下の傍らまで降り、殿下の顔色まで赤くなっているのに気づく。
「………」
ウィリアムさんの視線を感じ、殿下がすっと顔を背けたので、それは一瞬だったが、確実に彼の目に捕らえられた。
何やら察したウィリアムさんは、へえ、ほう、と私と殿下の顔を見比べる。
「早くデリヒ邸へ行くぞ」
一気に階段をかけ降りる。一番下までたどり着きちらりと私の方を見る。
「人を付ける。館に戻っていなさい」
「一人で帰れます。道もわかります」
いくら方向音痴の私でも、ここから領主館までくらい一人で帰れる。
「迷子を心配しているのではない。護衛だ」
言われて私が方向音痴なのを殿下はまだ知らなかったことに気づいた。でも、護衛とは………
「まだ外は明るいですし、護衛に護衛はいりません」
矛盾している。そう指摘する。
「状況がわかっていないのか、あやつはそなたに接触してきたのだぞ、一人で行動するのは危険だ」
「私が?確かに彼が例の人だとして、私に隙がなければ大丈夫です。私を信用してください。この前は相手が誰かわかりませんでしたが、もしまた接触してきたら、ちゃんと対処できます」
私の実力はご存知でしょう?大丈夫です。と自信満々に答える。
「腕に自信があるのはわかる。だが、どんな時でも過信は危険だ。向こうが一対一で来るとは限らないのだぞ」
「殿下のおっしゃるとおりだ、常に最悪の事態を想定しておけ」
ウィリアムさんにも言われたが、危機管理意識は私にもある。だが、深窓の令嬢でもない私に付き添いなど大袈裟すぎる。
「護衛など、かえって悪目立ちしています。殿下の警備を強化するならわかりますが、私には無用です。ウィリアムさんも、心配していただいてありがたいですが、今の私の立場でそれは分不相応です」
恐らく前の襲撃で彼はどこからか私と殿下を見ていたに違いない。人通りがなかったとは言え、隠れて様子を見る場所はいくらでもあった。そして、私たちはあの日も抱き合った。
見られていたという気恥ずかしさはこのさい無視する。
私にわざと接触してきたなら、そういうことだろう。
口にはしないが、殿下も同じことを考えているに違いない。
だからこその護衛という提案。けれど、私も引き下がるわけにはいかない。
殿下も引き下がらない気概があったが、場所と時間が悪かった。
ここはデリヒ氏の商会の事務所。人目もある。事実、階段下での私たちのやり取りに足を止めるまではいかないが、気になってこちらを見る人がかなりいた。受付のお姉さんたちも話は聞こえないまでも、こちらに注目しているのがわかる。
そして、デリヒ邸での会食の時間が迫っており、商会の前にはすでに馬車が待機していて、殿下が乗り込むのを待ち構えている。
主賓である殿下が遅れるわけにはいかない。ましてや欠席などあり得ない。
「皆様お待ちかねです。そろそろ出立なさいませんと」
殿下を送り届ける任を担っている商会の方が遠慮がちに急かす。
大事な会食なのはわかっているので、これ以上遅らせるわけにもいかない。
「本当に頑固者だ」
小さいが聞き取れるくらいの大きさで殿下が呟いた。
「さっきは素直だったのに」
通りすぎる際にそっと耳打ちされた。急に抱き締めたり耳元で囁いたり、不意打ちが好きなんだろうか。
今も囁かれた方の耳を押さえる私の反応を楽しんでいる。
「まあいい。護衛の件は諦める。その代わり寄り道せず真っ直ぐ帰ると約束しなさい」
完全に子ども扱いだが、何でもかんでも逆らうわけでもない。
お祭りは気になるが、今日はもういっぱいいっぱいだったので、素直に従うことにした。
「わかりました。寄り道しないで帰ります」
「……素直過ぎても気持ち悪いが、理解してくれたなら今日のところはこれで我慢するか」
諦めのため息で殿下がそう言うと、ウィリアムさんも仕方がないと同調する。
「帰りは遅くなる」
そう言って殿下はウィリアムさんと共にデリヒ邸へ出掛けていった。
玄関先で殿下たちを見送り、着替えに使わせてもらった部屋に脱いだ衣装を取りに行くために中へ戻った。
今日の商会の営業は終わり、受付のお姉さま方も帰りの仕度を始めていた。お祭りの日でもお仕事はあるのか、大変だなと思う。警察官もそうだった。お祭りなどの時は警備にかりだされたこともある。
「あ、あの……」
軽く会釈して通りすぎようとすると、受付のお姉さま達に呼び止められた。
「はい」
二人は互いに目配せしあい、肘でつつきあっている。
「前にもご領主様といらっしゃった時には男の方の格好をしていたので、今日、お祭りで見かけて驚きました」
「チューベローズの方ですよね。私たちも投票したのよ」
「……ありがとうございます」
好意的な感想を言っていただける人がいて嬉しい。
「男の人たちの投票が多かったけど、かっこよかったわ。ドキドキしてしまった」
「そうそう、くるっと回転したのには驚いたわ」
「女性の方からそんな風に言っていただけて嬉しいです」
「それで、あの人とはどうなってるの?」
「……あの人?」
「ほら、ご領主様の護衛の、今もいたでしょ。あの人、あなたのいい人?」
「あ、ああ」
彼女達は樽から私を降ろしてくれたウィリアムさんとのことを言っているとわかった。
「どうとは、特に今のところは何も………」
あれは仕込みですとも言えず言葉を濁す。
「あの人、ご領主様の、公爵様の護衛騎士みたいだけど、貴族ではないわよね」
「あ、はい。あの人は平民です」
「よかった」
「……よかった?」
ウィリアムさんが平民だと何が良かったのか。
「だって、いくら祭りの趣向とは言え、相手がお貴族様だったら、この先はないでしょう。平民とお貴族様なんて、あなたが苦労するだけじゃないですか」
その言葉はフワフワした私の気持ちに一気に現実に引き戻した。
「貴族と平民だと、やはりそう思いますか?」
彼女達は話に夢中で私の声色が変わったことに気づかない。
「それは、公爵様を見ればわかるでしょう?見目麗しいお方に愛の告白なんてされれば夢心地でしょうけど、ああいう特権階級にいらっしゃる方は何もかも特別待遇で、私たち平民なんて従って当たり前だと思ってらっしゃるのではなくて?」
「そうそう、ここは商会ですからお客様には当然貴族階級の方も大勢いらっしゃるけど、みんなすごく横柄で私たちに色目を使ってくる人もいるし、そんな人にペコペコする旦那様も旦那様だけどね」
一応商売相手なのであまり悪し様なことは言わなかったが、嫌な思いは幾度となくしてきたようだ。
「でも、公爵様……キルヒライル殿下はそんなことありませんよね」
私は彼はそれに当てはまらないだろうと諭す。
「確かに……でも、礼儀正しいとは言え、王様の弟君なんですよ。将来はどこか身分の高い方と結婚されたら、お相手のご令嬢がそうとは限らないですよね」
公爵自身が問題なくても先ではどうなるかわからない。
彼女たちはそう言いたいのだ。
「あの、私……早く館に戻らないと………」
それ以上彼女たちとの会話に耐えきれず、さっさと衣装を取りに戻り、挨拶をしてそこを後にする。
商会の建物を出て館の方向に足を進めるが、どうやって帰ったらいいのかわからない。
殿下はただのキルヒライルとして私に向き合ってくれた。
王様の弟、公爵という肩書きを捨てて、私を求めてくれる。
けれど、世間の意見がそうでないことを改めて認識した。
キルヒライル様はキルヒライル様だ。どこまでも彼が王弟で公爵であることが付いて回る。
今のところは殿下の評判はすこぶるいい方だ。
それはひとえに彼の浮いた噂が皆無だということも要因のひとつ。
でも、もし彼が私との関係について非難されることになるなら、自分の評判は度外視しても、彼の名誉を護るつもりだ。
彼はこの国に取って必要な存在だ。
私のことで彼を窮地に立たせることはあってはならない。
彼がこの先、彼の立場か私かの選択を迫られた時、私は自ら身を引く決意をし、館へと向かった。
どうやら同じことを考えているみたいだ。
何て訊かれたんだっけ、あ、着替えにしては遅いと言われたんだっけ。
「………フィリップ……司祭様と……話を……」
視線を反らし一生懸命、先ほどの場面から現実に戻ろうと、やっとそれだけ絞り出す。
「……?……どうした?」
殿下の後ろから階段を降りてきたウィリアムさんが怪訝そうに訊ねる。
殿下の背後にいるため、同じように殿下の顔が赤くなっているのには気づかない。
「熱でもあるのか?」
階段の途中で止まったままの殿下の傍らまで降り、殿下の顔色まで赤くなっているのに気づく。
「………」
ウィリアムさんの視線を感じ、殿下がすっと顔を背けたので、それは一瞬だったが、確実に彼の目に捕らえられた。
何やら察したウィリアムさんは、へえ、ほう、と私と殿下の顔を見比べる。
「早くデリヒ邸へ行くぞ」
一気に階段をかけ降りる。一番下までたどり着きちらりと私の方を見る。
「人を付ける。館に戻っていなさい」
「一人で帰れます。道もわかります」
いくら方向音痴の私でも、ここから領主館までくらい一人で帰れる。
「迷子を心配しているのではない。護衛だ」
言われて私が方向音痴なのを殿下はまだ知らなかったことに気づいた。でも、護衛とは………
「まだ外は明るいですし、護衛に護衛はいりません」
矛盾している。そう指摘する。
「状況がわかっていないのか、あやつはそなたに接触してきたのだぞ、一人で行動するのは危険だ」
「私が?確かに彼が例の人だとして、私に隙がなければ大丈夫です。私を信用してください。この前は相手が誰かわかりませんでしたが、もしまた接触してきたら、ちゃんと対処できます」
私の実力はご存知でしょう?大丈夫です。と自信満々に答える。
「腕に自信があるのはわかる。だが、どんな時でも過信は危険だ。向こうが一対一で来るとは限らないのだぞ」
「殿下のおっしゃるとおりだ、常に最悪の事態を想定しておけ」
ウィリアムさんにも言われたが、危機管理意識は私にもある。だが、深窓の令嬢でもない私に付き添いなど大袈裟すぎる。
「護衛など、かえって悪目立ちしています。殿下の警備を強化するならわかりますが、私には無用です。ウィリアムさんも、心配していただいてありがたいですが、今の私の立場でそれは分不相応です」
恐らく前の襲撃で彼はどこからか私と殿下を見ていたに違いない。人通りがなかったとは言え、隠れて様子を見る場所はいくらでもあった。そして、私たちはあの日も抱き合った。
見られていたという気恥ずかしさはこのさい無視する。
私にわざと接触してきたなら、そういうことだろう。
口にはしないが、殿下も同じことを考えているに違いない。
だからこその護衛という提案。けれど、私も引き下がるわけにはいかない。
殿下も引き下がらない気概があったが、場所と時間が悪かった。
ここはデリヒ氏の商会の事務所。人目もある。事実、階段下での私たちのやり取りに足を止めるまではいかないが、気になってこちらを見る人がかなりいた。受付のお姉さんたちも話は聞こえないまでも、こちらに注目しているのがわかる。
そして、デリヒ邸での会食の時間が迫っており、商会の前にはすでに馬車が待機していて、殿下が乗り込むのを待ち構えている。
主賓である殿下が遅れるわけにはいかない。ましてや欠席などあり得ない。
「皆様お待ちかねです。そろそろ出立なさいませんと」
殿下を送り届ける任を担っている商会の方が遠慮がちに急かす。
大事な会食なのはわかっているので、これ以上遅らせるわけにもいかない。
「本当に頑固者だ」
小さいが聞き取れるくらいの大きさで殿下が呟いた。
「さっきは素直だったのに」
通りすぎる際にそっと耳打ちされた。急に抱き締めたり耳元で囁いたり、不意打ちが好きなんだろうか。
今も囁かれた方の耳を押さえる私の反応を楽しんでいる。
「まあいい。護衛の件は諦める。その代わり寄り道せず真っ直ぐ帰ると約束しなさい」
完全に子ども扱いだが、何でもかんでも逆らうわけでもない。
お祭りは気になるが、今日はもういっぱいいっぱいだったので、素直に従うことにした。
「わかりました。寄り道しないで帰ります」
「……素直過ぎても気持ち悪いが、理解してくれたなら今日のところはこれで我慢するか」
諦めのため息で殿下がそう言うと、ウィリアムさんも仕方がないと同調する。
「帰りは遅くなる」
そう言って殿下はウィリアムさんと共にデリヒ邸へ出掛けていった。
玄関先で殿下たちを見送り、着替えに使わせてもらった部屋に脱いだ衣装を取りに行くために中へ戻った。
今日の商会の営業は終わり、受付のお姉さま方も帰りの仕度を始めていた。お祭りの日でもお仕事はあるのか、大変だなと思う。警察官もそうだった。お祭りなどの時は警備にかりだされたこともある。
「あ、あの……」
軽く会釈して通りすぎようとすると、受付のお姉さま達に呼び止められた。
「はい」
二人は互いに目配せしあい、肘でつつきあっている。
「前にもご領主様といらっしゃった時には男の方の格好をしていたので、今日、お祭りで見かけて驚きました」
「チューベローズの方ですよね。私たちも投票したのよ」
「……ありがとうございます」
好意的な感想を言っていただける人がいて嬉しい。
「男の人たちの投票が多かったけど、かっこよかったわ。ドキドキしてしまった」
「そうそう、くるっと回転したのには驚いたわ」
「女性の方からそんな風に言っていただけて嬉しいです」
「それで、あの人とはどうなってるの?」
「……あの人?」
「ほら、ご領主様の護衛の、今もいたでしょ。あの人、あなたのいい人?」
「あ、ああ」
彼女達は樽から私を降ろしてくれたウィリアムさんとのことを言っているとわかった。
「どうとは、特に今のところは何も………」
あれは仕込みですとも言えず言葉を濁す。
「あの人、ご領主様の、公爵様の護衛騎士みたいだけど、貴族ではないわよね」
「あ、はい。あの人は平民です」
「よかった」
「……よかった?」
ウィリアムさんが平民だと何が良かったのか。
「だって、いくら祭りの趣向とは言え、相手がお貴族様だったら、この先はないでしょう。平民とお貴族様なんて、あなたが苦労するだけじゃないですか」
その言葉はフワフワした私の気持ちに一気に現実に引き戻した。
「貴族と平民だと、やはりそう思いますか?」
彼女達は話に夢中で私の声色が変わったことに気づかない。
「それは、公爵様を見ればわかるでしょう?見目麗しいお方に愛の告白なんてされれば夢心地でしょうけど、ああいう特権階級にいらっしゃる方は何もかも特別待遇で、私たち平民なんて従って当たり前だと思ってらっしゃるのではなくて?」
「そうそう、ここは商会ですからお客様には当然貴族階級の方も大勢いらっしゃるけど、みんなすごく横柄で私たちに色目を使ってくる人もいるし、そんな人にペコペコする旦那様も旦那様だけどね」
一応商売相手なのであまり悪し様なことは言わなかったが、嫌な思いは幾度となくしてきたようだ。
「でも、公爵様……キルヒライル殿下はそんなことありませんよね」
私は彼はそれに当てはまらないだろうと諭す。
「確かに……でも、礼儀正しいとは言え、王様の弟君なんですよ。将来はどこか身分の高い方と結婚されたら、お相手のご令嬢がそうとは限らないですよね」
公爵自身が問題なくても先ではどうなるかわからない。
彼女たちはそう言いたいのだ。
「あの、私……早く館に戻らないと………」
それ以上彼女たちとの会話に耐えきれず、さっさと衣装を取りに戻り、挨拶をしてそこを後にする。
商会の建物を出て館の方向に足を進めるが、どうやって帰ったらいいのかわからない。
殿下はただのキルヒライルとして私に向き合ってくれた。
王様の弟、公爵という肩書きを捨てて、私を求めてくれる。
けれど、世間の意見がそうでないことを改めて認識した。
キルヒライル様はキルヒライル様だ。どこまでも彼が王弟で公爵であることが付いて回る。
今のところは殿下の評判はすこぶるいい方だ。
それはひとえに彼の浮いた噂が皆無だということも要因のひとつ。
でも、もし彼が私との関係について非難されることになるなら、自分の評判は度外視しても、彼の名誉を護るつもりだ。
彼はこの国に取って必要な存在だ。
私のことで彼を窮地に立たせることはあってはならない。
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