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94 異世界式リハビリテーション

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 胸に触れる彼の指がどんどん強くなっていく。

 次第に力を取り戻しているのがわかる。でも自分が特別何か力を使っているような感じはない。

 膝の上に乗って身を寄せているため、彼の股間が硬く張り詰めてきているのを感じる。

 何度も口づけを交わし、彼の手に胸を押しつける。次はどうしたらいい?

「アドルファス・・もっと私に触れてみる?」

 腰を浮かし、どこに触れさせようとしているのかを示す。

「ユイナ・・でも」

 彼の左手を掴み、胸からお腹、更にその下へと持って行き、下着越しに触れさせた。

 ピクリと指が僅かに動くのを感じる。

「私はこのままでいるから、あなたが指を動かして」

 自分から腰を振ることはせず、動きを止めたままでそう言うと、アドルファスの喉がゴクリと鳴り、熱いため息が漏れた。

「あなたを傷つけてしまうかもしれません」

 彼が躊躇う。枯れ枝の様になった指では私の敏感な部分を傷つけてしまうと恐れている。

「大丈夫ですから、あなたは指を動かすとことに集中してください」

 そう言って彼の頬の傷にもキスを落とす。

「だ、だめです」
「だめ?」
「あなたが、そこまでする必要など…」
「では、命を賭けて私のために魔巣窟へ飛び込んだあなたに、そこまでする必要などないと言えば、あなたは引き下がりますか?」

 もう彼は既に飛び込んだ後なのだから、今更飛び込む必要はないと断っても仕方がない。
 でも、結果がどうなるかわからないのに、行動した人間が、と拒んでも説得力に欠けるというものだ。

「………」
「屁理屈だとわかっています。でもあなたがしてくれたことに比べれば、あなたが心配していることなど、些細なことです」
「私は…」
「馬鹿な方法です。こんなことをして、うまく行くとも限らない。でも今私が思いつくのはこんな程度なの…あなたがどんな姿でも、あなたがアドルファス・レインズフォードという人である限り、私の気持ちは変わらない。いつでもあなたに触れてほしいし、私もあなたに触れたい」
「ユイナ…」
「帰れなくなったから、今更そんなことを言ってきたと現金な女だと思われても仕方がありません」
「そんなこと、思いません。あなたが好きなように生きればいい。誰もあなたの生き方を決めることはできません。あなたが自分で選んだ道なら、それでいいんです。本当に私でいいのですか?」
「アドルファスさん以外の選択肢はありません。あ、でも…」
「でも?」
「もし許されるなら、財前さんと一緒に残りの魔巣窟を浄化出来たら…一人より二人の方が効率がいいですよね。私にどの程度の力があるかわかりませんけど」
「誰も反対などしません」
「じゃあ…そろそろ、続きを」

 話は尽きないけど、アドルファスさんの指が細くなった分、割れ目にすっぽりと嵌ってそれはそれで気持ちいい。

「動かせそうですか?」
「頑張ってみます」

 暫くじっとしていると、ピクリと指先が動いた。

「あ…」

 それが彼女の蜜口を掠め、思わず声が漏れた。
 来ると覚悟はしていたが、実際に動いて当たるとビクリとなってしまう。

「痛かったですか?」

 触れたまま、アドルファスさんが気遣わしげに尋ねる。

「いえ…違う…その、これは私の問題で…」

 さざ波のような快感が体を走ったとは言えない。
 心が通じ合うと体の反応まで違ってくる。
 彼の息遣いや体温、微かにかかる吐息、全てが愛おしく感じる。

「あ、ん……」

 ゆっくりと動くせいでザラザラとした皮膚が余計に摩擦を起こして、腰が揺れる。

「や、あ…はあ、」
「ユイナ、ちゃんと動かせていますか?」
「ん…」

 手の甲で口を抑えながらこくりと頷く。

「それなら、声を我慢せずちゃんと聞かせてください」

 耳元に顔を寄せ、息を吹きかけられると、背中をぞくぞくとしたものが走り抜ける。

「感じているなら、そう言ってくださらないと、わかりません」

 さっきより強い力で、さらに奥へと指が入り込む。
 細くなった分、本数が増えて、一気に三本の指が入れられた。

「だってこれは機能回復を目的にしたリハ…ビリなんですよね。うまく出来たら教えて下さい」
「……あ、」

 首筋に唇が降りてきて、軽く甘噛みしながら指が私の中をゆっくりと動く。

「で、出来て…」
「何ですか?」
「あ、や…あ…」

 細長い指が感じる部分に触れ、お腹の奥から熱いものが流れ出てくる。

「これでいいですか、ユイナ先生」

 アドルファスさんが財前さんの口調を真似て、私を「先生」と呼ぶ。
 彼にそう呼ばれるのはもちろん初めてだった。
「先生」と呼ばれ、いけないことを教え込んでいる気持ちになる。

 ドサリと体を仰向けにされ、背中から寝台に倒され、開いた足の間にアドルファスさんが体を割り込ませた。

「課題はあなたを気持ちよくさせること、でしたね」

 これまで見たことのない、妖艶な微笑みで彼は私を見下ろした。
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