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第二章 想像しなかったとばっちり
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その後、アレッサンドロとカトリーヌは騎士団に連れられ会場を出ていった。
アレッサンドロは項垂れていたが、カトリーヌは最後まで抵抗していた。
そして残った生徒会役員たちの誘導で、その場はお開きになった。
国王と学園長、騎士団長。そしてシャンティエ嬢とベルテはその場に残った。
「ベルテ、お前、何もここまでしなくても」
残った国王たちは、この断罪劇の首謀者であるベルテに渋い顔をした。
それに対してベルテは、ですが父上、と反論した。
「アレッサンドロ兄上と、ブーレット男爵令嬢の罪は明白です。けれど私もここまでするつもりはありませんでした。兄上が先にこの宴で罪のないシャンティエ嬢に罪をなすりつけて、婚約破棄を迫ったのです。だから私は、それを阻止したまでです」
ただ単に婚約破棄を阻止しても、口のうまいアレッサンドロは、きっとベルテを悪者に仕立てあげ、己を正当化し、言い逃れただろう。
だからベルテは、アレッサンドロをギャフンと言わせるための証拠を集めた。
結果、副学園長の悪事も暴くことにもなった。
そしてその証拠を、学園長にも渡した。
国王が来るかどうかは、予想はしていた。
「シャンティエ嬢か」
国王はシャンティエに注目した。
彼女は最初から最後まで凛とした態度を崩さなかった。令嬢の中の令嬢とも言える。
「陛下、拝謁の栄誉を賜ります」
シャンティエは見事なカーテシーで、国王に挨拶する。
「うむ。シャンティエ嬢、此度は愚息が大変申し訳なかった。これも余の不徳の致すところだ。このとおり詫びを言う」
国王はシャンティエに向かって頭を下げた。
「陛下、そ、そのような」
「そうです、陛下」
これにはシャンティエも、傍に控える騎士団長も慌てふためいた。いくら息子のしでかしたこととは言え、一国の王が人前で貴族令嬢に頭を下げるなど、前代未聞の事態だった。
「しかし、アレッサンドロの親として、余はそなたにまったくもって顔向け出来ぬ」
「ベルクトフ、それにデルペシュ卿、今は陛下と言えど一人の親だ。気の済むようにさせてやってください」
横から学園長が取りなす。彼は国王の祖父と同年代で、小さい頃から国王を知っている。そしてかつての恩師でもある。それゆえ、身分は下でも学園長に対して、国王は頭が上がらない。
「いえ、ところで、ベルテ殿下、色々とありがとうございました」
「お礼はいいです。私も色々兄上と男爵令嬢には迷惑を被っておりましたから。あ、でも決して逆恨みで今回のことを計画したわけではありません」
「わかっております。私や他の生徒たちのため、ですわね」
「ま、まあ…」
「此度のこと、改めてベルクトフ侯爵にも、謝罪申し上げる。婚約破棄はこちらからではなく、シャンティエ嬢からということで、お願いする」
「陛下、そんな」
普通高位、ましてや王族に対して下位の者から破棄を申し出るなど、前列がないことだ。けれど、今回はそれも致し方ないことだろう。
「そなたの今後のことも、どんな相手とも婚約したい相手がいれば、余が取り持とう」
「あ、有難きお言葉、痛み入ります」
シャンティエは、深々と頭を下げた。ひとつひとつの仕草が完璧であり、全員が彼女の一挙手一投足に見惚れた。
「本当に、愚かなやつだ。余がなぜシャンティエ嬢をアレッサンドロよ婚約者にしたのか、わからぬとは。あやつの不足を補って余りあるこのような素晴らしい令嬢より、あんな粗野で愚かな者を好むとは」
つくづく残念だと国王は呟いた。
「悔やんでも無駄なことだな。では、我々はこれで引き上げることにする。デルペシュ」
「は!」
国王は王宮に戻れべく、騎士団長に声を掛けた。
「学園長、学園内の今後のことはあなたに任せる。ベルテ、お前は良くやった、と言いたいところだが、実の兄を糾弾するような王女に、今後良き縁談などないとわかっているな」
国王がそう言うと、ベルテは「本当ですか!」と逆に喜んだ。
アレッサンドロは項垂れていたが、カトリーヌは最後まで抵抗していた。
そして残った生徒会役員たちの誘導で、その場はお開きになった。
国王と学園長、騎士団長。そしてシャンティエ嬢とベルテはその場に残った。
「ベルテ、お前、何もここまでしなくても」
残った国王たちは、この断罪劇の首謀者であるベルテに渋い顔をした。
それに対してベルテは、ですが父上、と反論した。
「アレッサンドロ兄上と、ブーレット男爵令嬢の罪は明白です。けれど私もここまでするつもりはありませんでした。兄上が先にこの宴で罪のないシャンティエ嬢に罪をなすりつけて、婚約破棄を迫ったのです。だから私は、それを阻止したまでです」
ただ単に婚約破棄を阻止しても、口のうまいアレッサンドロは、きっとベルテを悪者に仕立てあげ、己を正当化し、言い逃れただろう。
だからベルテは、アレッサンドロをギャフンと言わせるための証拠を集めた。
結果、副学園長の悪事も暴くことにもなった。
そしてその証拠を、学園長にも渡した。
国王が来るかどうかは、予想はしていた。
「シャンティエ嬢か」
国王はシャンティエに注目した。
彼女は最初から最後まで凛とした態度を崩さなかった。令嬢の中の令嬢とも言える。
「陛下、拝謁の栄誉を賜ります」
シャンティエは見事なカーテシーで、国王に挨拶する。
「うむ。シャンティエ嬢、此度は愚息が大変申し訳なかった。これも余の不徳の致すところだ。このとおり詫びを言う」
国王はシャンティエに向かって頭を下げた。
「陛下、そ、そのような」
「そうです、陛下」
これにはシャンティエも、傍に控える騎士団長も慌てふためいた。いくら息子のしでかしたこととは言え、一国の王が人前で貴族令嬢に頭を下げるなど、前代未聞の事態だった。
「しかし、アレッサンドロの親として、余はそなたにまったくもって顔向け出来ぬ」
「ベルクトフ、それにデルペシュ卿、今は陛下と言えど一人の親だ。気の済むようにさせてやってください」
横から学園長が取りなす。彼は国王の祖父と同年代で、小さい頃から国王を知っている。そしてかつての恩師でもある。それゆえ、身分は下でも学園長に対して、国王は頭が上がらない。
「いえ、ところで、ベルテ殿下、色々とありがとうございました」
「お礼はいいです。私も色々兄上と男爵令嬢には迷惑を被っておりましたから。あ、でも決して逆恨みで今回のことを計画したわけではありません」
「わかっております。私や他の生徒たちのため、ですわね」
「ま、まあ…」
「此度のこと、改めてベルクトフ侯爵にも、謝罪申し上げる。婚約破棄はこちらからではなく、シャンティエ嬢からということで、お願いする」
「陛下、そんな」
普通高位、ましてや王族に対して下位の者から破棄を申し出るなど、前列がないことだ。けれど、今回はそれも致し方ないことだろう。
「そなたの今後のことも、どんな相手とも婚約したい相手がいれば、余が取り持とう」
「あ、有難きお言葉、痛み入ります」
シャンティエは、深々と頭を下げた。ひとつひとつの仕草が完璧であり、全員が彼女の一挙手一投足に見惚れた。
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