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第四章

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 何度も体位や角度を変えて、私とルウは繋がった。

「デルフィーヌ、疲れたら言って。オレが治療魔法で回復してあげるから。あ、身体強化もかけるけど、他のはかけないから安心して。だってデルフィーヌの生で感じている感覚は大事にしたいからね。純粋に感じてイくデルフィーヌが見たいもん」

 達した時の脱力時はそのまま放置し、私が体力の限界を覚え始めるとすぐに回復魔法をかけ、ルウの激しい腰振りにも耐えられるように、身体強化魔法をかける。そして汗や精液でぐっしょり汚れれば洗浄魔法の出番だ。
 お陰でシーツも体もいつも清潔に保たれる。でも一回しただけでは洗浄魔法はかけてくれない。
 自分の体液にまみれる私の全身を見て、更に興奮するのだとか。
 
「体中全部オレが触って舐めて、オレに染まっているデルフィーヌ、最高にそそる」

 貴重な魔法を、ただただ私と繋がりセックスするために惜しげも無く使うとか、ほんとに無駄使いとしか言いようがない。
 
 一度の射精が一回と数えるなら、連続二十回はヤッただろうか。
「竜の寝床」に辿り着いたのはお昼過ぎ。いつの間にか夜になり、もう朝になろうとしていた。
 
 それに気がついたのは、暗かった洞窟の中に光が差し込み始めたからだ。
 強化魔法と回復魔法で疲労は感じていないものの、睡魔には勝てなかった。
 何度も達した余韻に、微睡みの中浸りながら、洞窟に空いた小さな穴から差し込む光をぼんやりと眺めながら、隣で眠るルウの寝息を聞いていた。
 
「竜の寝床」はルウたちが倒した暗黒竜の住家だったところ。
 ここにベッドなどを運び込み、ルウが密かに隠れ家にしようとしたのはわかるが、どうしてここだったんだろう。
 ぽっかりと空いた広々とした空間は、竜がどれほど大きかったのかと空想を掻き立てる。
 
「・・・・・」

 ふと、何かが聞こえた気がして、隣で眠るルウを見た。
 すっきり通った鼻筋に長い睫。緩く結ばれた口元に意志の強そうな顎。一晩経ったのかちょっと髭がはけかけている。
 でも、肌つやも良く満足げに眠るルウは、変わらず静かな寝息を立てているだけだ。
 それに、聞こえてきた何かは、ルウからではない。
 
「気のせいかな?」

 光が差し込む隙間から吹き込んできた風の音かも知れない。

 そう思って、まったりとしたこの空気感にもう一度浸りたくで、枕に頭を戻そうとした。

「・・・・て」

 やっぱり何かが聞こえて周囲を見渡す。
 それはずっと洞窟の奥の方から聞こえる。

「ん・・・デルフィーヌ? もう起きたのか」

 起き上がってもう一度耳をすませる。
 私が動いたので、ルウも目が覚めたようで眠たげな声で私の名を呼ぶ。

「まだ時間があるし、もう一回する?」

 起き上がってシーツを捲ると、そこには臨戦態勢のルウのものがあった。
 あれだけして、まだ足りないのか。私の知る限り、ルウは洗浄魔法は自分にも掛けていたようだが、強化魔法も回復魔法も自分自身には掛けていなかった。
 それとも、私が気づかないうちに掛けていたのか。
 
「自分には掛けていないよ」

 私の顔にその疑問が浮かんでいたのか、ルウが教えてくれた。

「二十三回、一日一回としてひと月三十日だから、まだまだ一ヶ月分すら取り戻せていない。一日で一ヶ月分なら後七回か」
「いや、どんな目標立ててるのよ」

 指折り数えているルウにツッコミを入れる。

「・・・て」
「あ、また」
「デルフィーヌ?」
「し、黙って」

 聞こえてくるのは誰かの声。問いかけるルウを制し、そちらに注意を向ける。

「・・けて。誰か・・ここに来て、助けて」
「助けて?」
「デルフィーヌ?」
「ルウ、この奥に誰かいるみたい。助けてって言っているわ」
「え?」

 ベッドから慌てて降りて、散らばった衣服をかき集める。

「デルフィーヌ、何が聞こえるって? オレには何も聞こえない」

 そう言いつつ、ルウもベッドから全身素っ裸で立ち上がった。
 立派な筋肉に包まれた、美神の化身のような裸体が視界に入る。まだ勃ち上がったままの立派なものも目に入って、自分の体もそれを求めて疼いた。

 でも、今はそれどころではない。下着を身につけ、ズボンを履いてチュニックを頭から被る。

「ルウには聞こえないの?」

 ベルトが見当たらなくて、とりあえずブーツだけを探した。ルウも何が何やらわからないまま。「もっとしたかったのに。後五回はやりたいのに」とブツブツ言いながらも、衣服を身につけていく。

「あ、待って。何があるかわからないから、オレも行く」

 ベッドを置いてあった場所から奥へ行くと、人一人がやっと通れるほどの隙間があった。

「・・助けて」

 声はそこから聞こえる。

「デルフィーヌ!」

 普通ならルウの言うように何があるかわからないと、警戒するべきなのに、私はいてもたってもいられずに、何の躊躇も無く奥へと進んでいった。
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