49 / 68
48
しおりを挟む
街へ出るのは本当に久し振りだった。
ティアナさんは支度に手間取り出発ぎりぎりに降りてきて、ジーン様はそれみたことかとひとつ嫌みを言った。
それでもティアナさんは気にせず、あっけらかんとしているので、ジーン様も諦めたのか、ため息をひとつ吐いた。
三人で少し大きめのビッテルバーク家の馬車に乗り込み、街へ向かった。
レタキスの街はこの辺りでは大きい方で、辺境とは言え物はそれなりに豊かだ。
魔の森、ランギルスを挟んで国境を接するバレンキアの物も流れてくるので、異国の雰囲気も少なからずある。
「ここには小さい頃に来たきりだけど、思った以上に賑わっているわね」
「それでも、魔獣の討伐が終了するまではあまり物が流れなくて、いくつかの品は価格が高騰したり品不足になって大変だったんですよ。でもそれも討伐が行われる度に頻繁に起きるので、それを想定した代々のビッテルバーク家のご当主様が平和な内にと、せっせと蓄えを増やしてくれているので、何とか凌げました」
「そうなの……」
「はい。この街も周囲の村も、皆、ビッテルバーク家に感謝しています」
それは本当だ。ビッテルバーク家の領地でなくても、この辺りに住む者は少なからずその恩恵を受けている。
「ビッテルバーク家の家督を継ぐものは、常に討伐の時を見越して備えることを教えられる。討伐軍を率いることもしかり、セレニアの言ったようにその際に途絶える流通などのことも考える。もちろん、常の飢饉などの災害にもな」
「それはうちもそうよ。でも、ジーンはそういうことも考えないといけないのね。奥さんになる人は大変ね。お飾りではとてもやっていけないわ」
ちらりとティアナさんが私を見る。
「贅沢をしたいだけの女性では勤まらない。思ったほど華やかなものではないからな」
「ここで育った者なら、辺境伯夫人がどういう役割を担っているか、少なからずわかっております」
「そう言う意味では、あなたは適任ね」
ティアナさんが今度は真正面から私を捉えて言った。
悪気はないと思いながら、華やかでないから私が適任だとでも言いたいのだろうかと、歪んだ気持ちで受け止めてしまう。
良い意味で言ってくれたのだと、思わなければいけない。
「お身内の方にそう言ってもらえて認めていただけたようで嬉しいですわ」
「そうね……私にはとても無理だわ」
「ティアナ、私の結婚相手を貧乏くじみたいに言うな」
ジーン様が嗜める。
「あら、ごめんなさい。そんなつもりでは……」
「気になさらないでください……それに、そんな風には思っておりません。とてもやりがいのある地位だと思っております。何よりもジーン様のような素敵な方と夫婦になれるのですから、これはご褒美でしかありませんね」
そこまで言うつもりはなかったが、最後はぽろりと言ってしまった。
「あら……」
ティアナさんが口元に手を当て隣のジーン様を見る。そしてジーン様は顔を背けて外を見ているが、少し耳が赤くなっている。
「その……皆がそう言っています」
慌てて取り繕って一般的な意見だと言ったが、もう遅いような気がした。
そうしている内に馬車が止まり、ジーン様が一番先に降りて、まずティアナさんがジーン様に手を添えてもらって降りる。
考えてみれば、こうやってジーン様と出掛けるのは初めてだと気づいた。こうしてエスコートしてもらうのも。
「初めてだな。こうするのは」
ジーン様も気づいたらしい。
「ありがとう……君が少しでもあんな風に思ってくれているなら嬉しい」
「み、みんなの……意見です……私も反対はしませんけど」
「ナサニエルと仕事の話をするときはあんなに饒舌なのに、こういうことになると、口下手だな」
顔を赤らめて下を向く。そのまま先にティアナさんが入っていった店に行く。
そこはバレンキアの工芸品を扱う店だった。
バレンキアは細かい装飾が定評で、木工品でも金属でもその細工の見事さに感心する。その分値段も張る。
「ようこそ、閣下、ドリフォルトさん」
店のオーナーが賓客を出迎えるために出てきて挨拶をする。
これも私には初めてのことだ。
ジーン様が来たことで店の雰囲気が一変する。
既にティアナさんは店員をつかまえて、あれこれと品物について訊ねたりしている。
この地域にいると珍しくはない工芸品だが、他の地域から来た人は土産によく買っていく。
「買い物熱に火が付いたティアナは手がつけられない。覚悟しておいた方がいい」
耳元で囁かれどきりとする。
「いかがですか?ご婚約の記念に。サービスさせていただきますよ。これなどはどうですか」
オーナーがビジネスチャンスとばかりに私達にお勧めを見せる。私達の婚約は既に街中に知れ渡っている。
「きっと私が買った品物の複製を作って手頃な値段で売るのだろう。ビッテルバーク辺境伯が花嫁に送ったものだと言ってな」
オーナーが席を外している間にジーン様が言うので、本当にそうなのだろうと思った。
ジーン様と結婚するということは、こういうこともあるのだ。
ただのドリフォルト家の令嬢では考えられなかったことだ。
ティアナさんは支度に手間取り出発ぎりぎりに降りてきて、ジーン様はそれみたことかとひとつ嫌みを言った。
それでもティアナさんは気にせず、あっけらかんとしているので、ジーン様も諦めたのか、ため息をひとつ吐いた。
三人で少し大きめのビッテルバーク家の馬車に乗り込み、街へ向かった。
レタキスの街はこの辺りでは大きい方で、辺境とは言え物はそれなりに豊かだ。
魔の森、ランギルスを挟んで国境を接するバレンキアの物も流れてくるので、異国の雰囲気も少なからずある。
「ここには小さい頃に来たきりだけど、思った以上に賑わっているわね」
「それでも、魔獣の討伐が終了するまではあまり物が流れなくて、いくつかの品は価格が高騰したり品不足になって大変だったんですよ。でもそれも討伐が行われる度に頻繁に起きるので、それを想定した代々のビッテルバーク家のご当主様が平和な内にと、せっせと蓄えを増やしてくれているので、何とか凌げました」
「そうなの……」
「はい。この街も周囲の村も、皆、ビッテルバーク家に感謝しています」
それは本当だ。ビッテルバーク家の領地でなくても、この辺りに住む者は少なからずその恩恵を受けている。
「ビッテルバーク家の家督を継ぐものは、常に討伐の時を見越して備えることを教えられる。討伐軍を率いることもしかり、セレニアの言ったようにその際に途絶える流通などのことも考える。もちろん、常の飢饉などの災害にもな」
「それはうちもそうよ。でも、ジーンはそういうことも考えないといけないのね。奥さんになる人は大変ね。お飾りではとてもやっていけないわ」
ちらりとティアナさんが私を見る。
「贅沢をしたいだけの女性では勤まらない。思ったほど華やかなものではないからな」
「ここで育った者なら、辺境伯夫人がどういう役割を担っているか、少なからずわかっております」
「そう言う意味では、あなたは適任ね」
ティアナさんが今度は真正面から私を捉えて言った。
悪気はないと思いながら、華やかでないから私が適任だとでも言いたいのだろうかと、歪んだ気持ちで受け止めてしまう。
良い意味で言ってくれたのだと、思わなければいけない。
「お身内の方にそう言ってもらえて認めていただけたようで嬉しいですわ」
「そうね……私にはとても無理だわ」
「ティアナ、私の結婚相手を貧乏くじみたいに言うな」
ジーン様が嗜める。
「あら、ごめんなさい。そんなつもりでは……」
「気になさらないでください……それに、そんな風には思っておりません。とてもやりがいのある地位だと思っております。何よりもジーン様のような素敵な方と夫婦になれるのですから、これはご褒美でしかありませんね」
そこまで言うつもりはなかったが、最後はぽろりと言ってしまった。
「あら……」
ティアナさんが口元に手を当て隣のジーン様を見る。そしてジーン様は顔を背けて外を見ているが、少し耳が赤くなっている。
「その……皆がそう言っています」
慌てて取り繕って一般的な意見だと言ったが、もう遅いような気がした。
そうしている内に馬車が止まり、ジーン様が一番先に降りて、まずティアナさんがジーン様に手を添えてもらって降りる。
考えてみれば、こうやってジーン様と出掛けるのは初めてだと気づいた。こうしてエスコートしてもらうのも。
「初めてだな。こうするのは」
ジーン様も気づいたらしい。
「ありがとう……君が少しでもあんな風に思ってくれているなら嬉しい」
「み、みんなの……意見です……私も反対はしませんけど」
「ナサニエルと仕事の話をするときはあんなに饒舌なのに、こういうことになると、口下手だな」
顔を赤らめて下を向く。そのまま先にティアナさんが入っていった店に行く。
そこはバレンキアの工芸品を扱う店だった。
バレンキアは細かい装飾が定評で、木工品でも金属でもその細工の見事さに感心する。その分値段も張る。
「ようこそ、閣下、ドリフォルトさん」
店のオーナーが賓客を出迎えるために出てきて挨拶をする。
これも私には初めてのことだ。
ジーン様が来たことで店の雰囲気が一変する。
既にティアナさんは店員をつかまえて、あれこれと品物について訊ねたりしている。
この地域にいると珍しくはない工芸品だが、他の地域から来た人は土産によく買っていく。
「買い物熱に火が付いたティアナは手がつけられない。覚悟しておいた方がいい」
耳元で囁かれどきりとする。
「いかがですか?ご婚約の記念に。サービスさせていただきますよ。これなどはどうですか」
オーナーがビジネスチャンスとばかりに私達にお勧めを見せる。私達の婚約は既に街中に知れ渡っている。
「きっと私が買った品物の複製を作って手頃な値段で売るのだろう。ビッテルバーク辺境伯が花嫁に送ったものだと言ってな」
オーナーが席を外している間にジーン様が言うので、本当にそうなのだろうと思った。
ジーン様と結婚するということは、こういうこともあるのだ。
ただのドリフォルト家の令嬢では考えられなかったことだ。
0
お気に入りに追加
1,099
あなたにおすすめの小説
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪
大嫌いな次期騎士団長に嫁いだら、激しすぎる初夜が待っていました
扇 レンナ
恋愛
旧題:宿敵だと思っていた男に溺愛されて、毎日のように求められているんですが!?
*こちらは【明石 唯加】名義のアカウントで掲載していたものです。書籍化にあたり、こちらに転載しております。また、こちらのアカウントに転載することに関しては担当編集さまから許可をいただいておりますので、問題ありません。
――
ウィテカー王国の西の辺境を守る二つの伯爵家、コナハン家とフォレスター家は長年に渡りいがみ合ってきた。
そんな現状に焦りを抱いた王家は、二つの伯爵家に和解を求め、王命での結婚を命じる。
その結果、フォレスター伯爵家の長女メアリーはコナハン伯爵家に嫁入りすることが決まった。
結婚相手はコナハン家の長男シリル。クールに見える外見と辺境騎士団の次期団長という肩書きから女性人気がとても高い男性。
が、メアリーはそんなシリルが実は大嫌い。
彼はクールなのではなく、大層傲慢なだけ。それを知っているからだ。
しかし、王命には逆らえない。そのため、メアリーは渋々シリルの元に嫁ぐことに。
どうせ愛し愛されるような素敵な関係にはなれるわけがない。
そう考えるメアリーを他所に、シリルは初夜からメアリーを強く求めてくる。
――もしかして、これは嫌がらせ?
メアリーはシリルの態度をそう受け取り、頑なに彼を拒絶しようとするが――……。
「誰がお前に嫌がらせなんかするかよ」
どうやら、彼には全く別の思惑があるらしく……?
*WEB版表紙イラストはみどりのバクさまに有償にて描いていただいたものです。転載等は禁止です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる