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番外編 その後の二人
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久し振りの外出は気分転換になったが、やはり少し疲れた。
「奥様、お疲れみたいですね」
帰りの馬車の中でギオーヴさんが私の顔を見てそう言った。
「王宮は広かったし人も多くて気疲れされたのですね」
「それでもルイスレーンが行った場所がどういう所かわかったし、ここにいながらでも出来る事をお妃様たちにお話しすることが出来て、出掛けた甲斐はあったわ」
「でも大事なお体ですから無理はなさらないでくださいね。遠くの民も大事ですが、私達には旦那様や奥様の方が大事ですから。それに今はお子様たちのことも」
「彼女の言うとおりです。お優しいのは奥様の美点ですが、遠くの顔も知らない人より私達には奥様をお守りすることが第一です」
「ありがとう、二人とも」
前世でも今回も出産は初めてのことだ。二人の言うようにまずは自分のことをきちんと出来なければ、他の人のことを救うこともできない。
「私は提案を投げかけただけで、実際に全てを私が采配するわけではないもの」
「まあ、そう仰るなら無理に何もするなとは申しませんが、奥様に何かあれば一番辛い思いをするのはルイスレーン様だということを覚えておいてください。奥様だって旦那様を悲しませたくありませんよね」
ギオーヴさんの言葉は正しい。ルイスレーンを悲しませることは一番したくない。
喜んでもらうことを何かしたいと思うが、それでルイスレーンを悲しませては元も子もない。
「お帰りなさいませ」
「ただいま、マリアンナ。留守中変わったことは?」
そんなことはないと思いながら、ルイスレーンから何か便りはなかったと期待しながら訊ねた。
「お客様がお越しでした」
「お客様?」
マリアンナの答えは思っていたものとは違った。
「奥様がお出かけになってすぐにお越しになり、お留守だと申し上げたらまた日を改めて来られるとおっしゃって」
「どなたなの?」
「この前スベン先生たちとお越しになられたカメイラの方です」
「ラジークさんがお一人で?」
「はい」
この前会った時に今日来ると言っていただろうか。
「約束をした記憶はないのだけど…申し訳ないことをしたわ」
「あちらも急に来て悪かったと申しておりましたので、奥様がお忘れになっていたわけではないと思います」
「そう…なら良かったけど…急にどんな用件だったのかしら」
約束をすっぽかしたのではないと安心したが、逆に用件が気になる。
「どうしても重要なことなら伝言を承りますと私も申し上げたのですが、様子を見たかっただけだと仰ったので、気になさらなくてもいいかと思います」
「それなら良かったわ。とても責任感があって熱心な方なのね。そんなに私の体調を気になさるなんて」
私が滅多に外出しないと思って不意に来てくれたのだろう。
「それよりお疲れではございませんか? すぐに湯浴みが出来るよう仕度をしておりますがどうされますか」
「ありがとう。では早速お願いします」
マリアンナたちが有能なのはわかっていたが、準備がよくて助かる。
湯船に浸かり少し浮腫んだ足をマッサージしてもらいながら軽くつまめる軽食を食べていると、恥ずかしながらいつの間にか眠ってしまっていた。
その日は久し振りに夢を見た。
ルイスレーンが帰ってきて、私が笑顔で出迎える。
それからルイスレーンが私のお腹に触れると急にお腹が激しく波打った。
まるで寄せては返す波のようにお腹が激しく揺れ動く。
『ルイスレーン、赤ちゃんたちが動いたわ』
夢の中で叫んで顔を上げた時には、もうルイスレーンはいなかった。
「奥様、お疲れみたいですね」
帰りの馬車の中でギオーヴさんが私の顔を見てそう言った。
「王宮は広かったし人も多くて気疲れされたのですね」
「それでもルイスレーンが行った場所がどういう所かわかったし、ここにいながらでも出来る事をお妃様たちにお話しすることが出来て、出掛けた甲斐はあったわ」
「でも大事なお体ですから無理はなさらないでくださいね。遠くの民も大事ですが、私達には旦那様や奥様の方が大事ですから。それに今はお子様たちのことも」
「彼女の言うとおりです。お優しいのは奥様の美点ですが、遠くの顔も知らない人より私達には奥様をお守りすることが第一です」
「ありがとう、二人とも」
前世でも今回も出産は初めてのことだ。二人の言うようにまずは自分のことをきちんと出来なければ、他の人のことを救うこともできない。
「私は提案を投げかけただけで、実際に全てを私が采配するわけではないもの」
「まあ、そう仰るなら無理に何もするなとは申しませんが、奥様に何かあれば一番辛い思いをするのはルイスレーン様だということを覚えておいてください。奥様だって旦那様を悲しませたくありませんよね」
ギオーヴさんの言葉は正しい。ルイスレーンを悲しませることは一番したくない。
喜んでもらうことを何かしたいと思うが、それでルイスレーンを悲しませては元も子もない。
「お帰りなさいませ」
「ただいま、マリアンナ。留守中変わったことは?」
そんなことはないと思いながら、ルイスレーンから何か便りはなかったと期待しながら訊ねた。
「お客様がお越しでした」
「お客様?」
マリアンナの答えは思っていたものとは違った。
「奥様がお出かけになってすぐにお越しになり、お留守だと申し上げたらまた日を改めて来られるとおっしゃって」
「どなたなの?」
「この前スベン先生たちとお越しになられたカメイラの方です」
「ラジークさんがお一人で?」
「はい」
この前会った時に今日来ると言っていただろうか。
「約束をした記憶はないのだけど…申し訳ないことをしたわ」
「あちらも急に来て悪かったと申しておりましたので、奥様がお忘れになっていたわけではないと思います」
「そう…なら良かったけど…急にどんな用件だったのかしら」
約束をすっぽかしたのではないと安心したが、逆に用件が気になる。
「どうしても重要なことなら伝言を承りますと私も申し上げたのですが、様子を見たかっただけだと仰ったので、気になさらなくてもいいかと思います」
「それなら良かったわ。とても責任感があって熱心な方なのね。そんなに私の体調を気になさるなんて」
私が滅多に外出しないと思って不意に来てくれたのだろう。
「それよりお疲れではございませんか? すぐに湯浴みが出来るよう仕度をしておりますがどうされますか」
「ありがとう。では早速お願いします」
マリアンナたちが有能なのはわかっていたが、準備がよくて助かる。
湯船に浸かり少し浮腫んだ足をマッサージしてもらいながら軽くつまめる軽食を食べていると、恥ずかしながらいつの間にか眠ってしまっていた。
その日は久し振りに夢を見た。
ルイスレーンが帰ってきて、私が笑顔で出迎える。
それからルイスレーンが私のお腹に触れると急にお腹が激しく波打った。
まるで寄せては返す波のようにお腹が激しく揺れ動く。
『ルイスレーン、赤ちゃんたちが動いたわ』
夢の中で叫んで顔を上げた時には、もうルイスレーンはいなかった。
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