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第七章
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ルイスレーン様の言葉は何の損得もなく、私を望んだから妻にしたと言っているように聞こえる。
「旦那様、すいません。王宮の敷地内には入ったのですが、入り口が混雑していて少し時間がかかります」
不意に外から御者のトムが声をかけてきた。
「想定内だ。充分余裕を持って出てきたから遅れることはない」
上着のポケットから懐中時計を取り出して時間を確認して答える。
「今日は王都中の貴族が招待されている。辺境伯や外国の大使も来るそうだ」
とても大きな夜会だと言うことは理解していたが、馬車の窓にかかったカーテンをあげると、右にも左にも馬車が並んでとても混雑している。
「あの、ルイスレーン様…さっきのお話ですが……」
「さっきの……ああ、私の意思であなたを妻にすると決めたという話か。そういうことだ」
「そういうこと………私との結婚に何の取引もなかったという話は理解できましたが、その……それは私を妻にしたかったからだと聞こえるのですが……すいません……勘違いだったら」
「その通りだ。さっきからそう言っている」
しれっと言い切られてしまい、一瞬思考が停止する。
「でも、私とルイスレーン様は会ったことはありませんでしたよね……多分ですが。それとも私が忘れた記憶の中で、お会いしているのでしょうか」
正確には『クリスティアーヌ』とはと言うことだが、そこはややこしいのでこの際無視する。
彼のことも結婚したことも『愛理』は覚えていない。
でも『クリスティアーヌ』に彼は会ったことがあって、たまたま陛下から結婚話が持ちかけられ、決めたのなら筋は通る。
「正式に紹介されて挨拶を交わしたことはなかった」
「やっぱり………え?……それはどういう」
返ってきた言葉に驚いて聞き返した。
「それは」
「お待たせしました」
その時馬車の扉が開いた。
「リンドバルク侯爵様、ようこそお越しくださいました」
扉を開いたのは王宮に仕える侍従だろう。
恭しくお辞儀をし、私たちを出迎える。
「ごくろう」
先に降りたルイスレーン様の手に支えられて馬車を降りると、侯爵家とは比べ物にならない広さの正面玄関に立った。
馬車が三台縦に並んで、同時に皆が降り立つ。
「やあ、リンドバルク卿。此度は戦勝おめでとう」
「リンドバルク卿、お疲れさまでございましたな」
「リンドバルク卿、お元気でなによりです」
同時に降りてきた方たちや先に降りて入り口に向かいかけていた紳士の皆様が彼を取り囲んだ。
「夜会で卿に会うのは随分久しぶりですな」
「さすがに私も今夜は外せません」
「もっともだ。戦争終結の祝いの宴なのだからな。副官のあなたが来なくては」
「おや、リンドバルク卿。お久しぶりです。ご無事で何より」
次から次へと到着してくる方々が彼を取り囲んで行く。
皆さんより頭ひとつ背が高いのでその中心にいるのはわかるが、私はどんどん皆に押されて離れていってしまった。
「あ、申し訳ありません」
背後から誰かにぶつかって謝る。
さっきからよくぶつかっているので、その度に謝る。
「どちらのお嬢様かしら」
私よりは少し年上の華やかな真紅のドレスを着た女性が私を睨む。
「馬車止まりにいつまでも立ったままで、マナーがなっていないですわね」
手にもった扇を口許にあてて苦言を私に向ける。
「あら、あなた……」
「も、申し訳……」
「カレンデュラ侯爵夫人。私の妻が何か失礼を?」
謝ろうとした私の横にルイスレーン様が近付き、私の腰を引き寄せた。
「カレンデュラ侯爵様、ご無沙汰しております」
ルイスレーン様は後ろからやってきた細身の男性に頭を下げる。
「やあ、リンドバルク卿。此度のこと、大義だったな」
「私だけの功績ではございません。今回は運が良かった。あちらでクーデターが起こったことで我が国に取っては良い方に転がった」
「リンドバルク卿……今、妻とおっしゃいましたか?」
侯爵夫人が現れたルイスレーン様の顔を見て、聞いた言葉に目を丸くして私を二度見した。
「はい。半年ほど前に挙式を挙げました。戦時中ゆえ、あまり公にしませんでしたが、妻のクリスティアーヌです。以後お見知りおきを。クリスティアーヌ、こちらは筆頭侯爵家のカレンデュラ侯爵夫妻だ」
「お初にお目にかかります。クリスティアーヌと申します」
カーテシーで挨拶をする。カレンデュラ侯爵と言えば筆頭侯爵五家のお一人だ。
いきなり大物の方々との対面に緊張してしまう。
「驚きましたわ。あなたも遂に身を固められたのですね。ふふふ、これは、今日はかなり楽しくなりそうですわ」
最初の印象とは違い、夫人は楽しそうに笑う。
「マリアーサ、面白がるものではない。確かに喜ばしいことではあるが、卿の結婚を聞いて卒倒するご婦人方が目に浮かぶな」
筆頭侯爵の二人に遠慮して遠巻きに見ていた方々も、ルイスレーン様の結婚話を耳にしてざわめきだす。
男性たちは物珍しげに、女性方はある一定の方は羨望と嫉妬が入り交じった視線で、それ以外は驚きの表情を浮かべている。
「渋滞になりかけている。とりあえず中に入ろう」
「それもそうですね。クリスティアーヌ、こちらへ」
カレンデュラ侯爵が声をかけ、その場に固まっていた人達が動き出した。
「旦那様、すいません。王宮の敷地内には入ったのですが、入り口が混雑していて少し時間がかかります」
不意に外から御者のトムが声をかけてきた。
「想定内だ。充分余裕を持って出てきたから遅れることはない」
上着のポケットから懐中時計を取り出して時間を確認して答える。
「今日は王都中の貴族が招待されている。辺境伯や外国の大使も来るそうだ」
とても大きな夜会だと言うことは理解していたが、馬車の窓にかかったカーテンをあげると、右にも左にも馬車が並んでとても混雑している。
「あの、ルイスレーン様…さっきのお話ですが……」
「さっきの……ああ、私の意思であなたを妻にすると決めたという話か。そういうことだ」
「そういうこと………私との結婚に何の取引もなかったという話は理解できましたが、その……それは私を妻にしたかったからだと聞こえるのですが……すいません……勘違いだったら」
「その通りだ。さっきからそう言っている」
しれっと言い切られてしまい、一瞬思考が停止する。
「でも、私とルイスレーン様は会ったことはありませんでしたよね……多分ですが。それとも私が忘れた記憶の中で、お会いしているのでしょうか」
正確には『クリスティアーヌ』とはと言うことだが、そこはややこしいのでこの際無視する。
彼のことも結婚したことも『愛理』は覚えていない。
でも『クリスティアーヌ』に彼は会ったことがあって、たまたま陛下から結婚話が持ちかけられ、決めたのなら筋は通る。
「正式に紹介されて挨拶を交わしたことはなかった」
「やっぱり………え?……それはどういう」
返ってきた言葉に驚いて聞き返した。
「それは」
「お待たせしました」
その時馬車の扉が開いた。
「リンドバルク侯爵様、ようこそお越しくださいました」
扉を開いたのは王宮に仕える侍従だろう。
恭しくお辞儀をし、私たちを出迎える。
「ごくろう」
先に降りたルイスレーン様の手に支えられて馬車を降りると、侯爵家とは比べ物にならない広さの正面玄関に立った。
馬車が三台縦に並んで、同時に皆が降り立つ。
「やあ、リンドバルク卿。此度は戦勝おめでとう」
「リンドバルク卿、お疲れさまでございましたな」
「リンドバルク卿、お元気でなによりです」
同時に降りてきた方たちや先に降りて入り口に向かいかけていた紳士の皆様が彼を取り囲んだ。
「夜会で卿に会うのは随分久しぶりですな」
「さすがに私も今夜は外せません」
「もっともだ。戦争終結の祝いの宴なのだからな。副官のあなたが来なくては」
「おや、リンドバルク卿。お久しぶりです。ご無事で何より」
次から次へと到着してくる方々が彼を取り囲んで行く。
皆さんより頭ひとつ背が高いのでその中心にいるのはわかるが、私はどんどん皆に押されて離れていってしまった。
「あ、申し訳ありません」
背後から誰かにぶつかって謝る。
さっきからよくぶつかっているので、その度に謝る。
「どちらのお嬢様かしら」
私よりは少し年上の華やかな真紅のドレスを着た女性が私を睨む。
「馬車止まりにいつまでも立ったままで、マナーがなっていないですわね」
手にもった扇を口許にあてて苦言を私に向ける。
「あら、あなた……」
「も、申し訳……」
「カレンデュラ侯爵夫人。私の妻が何か失礼を?」
謝ろうとした私の横にルイスレーン様が近付き、私の腰を引き寄せた。
「カレンデュラ侯爵様、ご無沙汰しております」
ルイスレーン様は後ろからやってきた細身の男性に頭を下げる。
「やあ、リンドバルク卿。此度のこと、大義だったな」
「私だけの功績ではございません。今回は運が良かった。あちらでクーデターが起こったことで我が国に取っては良い方に転がった」
「リンドバルク卿……今、妻とおっしゃいましたか?」
侯爵夫人が現れたルイスレーン様の顔を見て、聞いた言葉に目を丸くして私を二度見した。
「はい。半年ほど前に挙式を挙げました。戦時中ゆえ、あまり公にしませんでしたが、妻のクリスティアーヌです。以後お見知りおきを。クリスティアーヌ、こちらは筆頭侯爵家のカレンデュラ侯爵夫妻だ」
「お初にお目にかかります。クリスティアーヌと申します」
カーテシーで挨拶をする。カレンデュラ侯爵と言えば筆頭侯爵五家のお一人だ。
いきなり大物の方々との対面に緊張してしまう。
「驚きましたわ。あなたも遂に身を固められたのですね。ふふふ、これは、今日はかなり楽しくなりそうですわ」
最初の印象とは違い、夫人は楽しそうに笑う。
「マリアーサ、面白がるものではない。確かに喜ばしいことではあるが、卿の結婚を聞いて卒倒するご婦人方が目に浮かぶな」
筆頭侯爵の二人に遠慮して遠巻きに見ていた方々も、ルイスレーン様の結婚話を耳にしてざわめきだす。
男性たちは物珍しげに、女性方はある一定の方は羨望と嫉妬が入り交じった視線で、それ以外は驚きの表情を浮かべている。
「渋滞になりかけている。とりあえず中に入ろう」
「それもそうですね。クリスティアーヌ、こちらへ」
カレンデュラ侯爵が声をかけ、その場に固まっていた人達が動き出した。
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