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第261話 コロッセオ

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僕はホルンとクラリアに半ば無理矢理な状態で、ウィンターダンジョン南側にあるコロッセオのような遺跡へと到着していた。

その前世でテレビや雑誌でみたようなコロッセオは間違いなく、転生者のかけるさん作だと思わせられる。

その遺跡の前には人がたむろして順番待ちをしているかのようだ。

「ついたっす、気合入れていこうっす」

「思ったよりかは人は少ないですね」

盛り上がっていると聞いていた為にイベントのような、そうあの時のウェールズ湖のマウンテンフロッグ狩りの時の人数を思い浮かべていたがPTとしては5PTほどの15人前後。

その中にギルドの職員が数名取り仕切っていると言った、寂しい様子だった。

「いやこれだけ集まってるなら十分っすよ。だって下手したら死ぬっすから生半可なやつらは参加しないっす」

「言われてみればそうですね、倒せる前提が間違ってました・・・というか死者も出ているんですか?」

「そこまで詳しくは知らないっすけど・・・怪我人は出ている事は確かっす」

まぁギルドの職員がいるぐらいだし、大丈夫なのかなそこは・・・?

コカトリスの時がそうだったように、このボスみたいなイクサスが出した魔物は持ち場を離れない。その為に逃げれば一応助かるのだ。

それをギルドも周知しているのだろう、だから下位ランクのものが上位ランクの魔物討伐に参加できるというものだ。

「じゃあ受付にいくっす」

「はい」

この即席PTのリーダーは以外にもホルン。張りきっているホルンに僕とクラリアは続いた。

「ガーディアンエレメント討伐の依頼を受けたいっす」

ホルンがギルドの職員へ声をかける。

「分かりました、依頼の内容は知ってますか?制限なども」

「もちろんっす、コアへの攻撃を禁止っすよね。コアを傷付けた場合は罰金に金貨50枚」

罰金に金貨50枚!?なにをホルンは平然と答えているんだ?

「ご存じなら大丈夫そうですね、後ろにいる2名も同じ参加者で間違いないですか?」

「そうっす、全員Dランク以下っす。あと使い魔が1匹いるっす」

罰則などが気になるがホルンはドンドンと慣れたように受け答えを進めていく。

スイサンも登録の為か瓶から出てくると、ウンディーネとして登録を終わらせる。ギルドの職員はスイサンを見てもさほど驚く様子はない為にウンディーネはそこまで珍しい魔物では無さそうだ。

ギルドカードを見せて、依頼報酬のランクアップはホルンが受けるという事を伝えたりで事務的な事はホルンが全て終わらせた。

以外にもホルンがそういう事をサラっとこなす姿はギャップもありカッコいいなと思ってしまう。



依頼の手続きを終わらせ、コロッセオの観客席へ。

流石かけるさんだ、ボロボロになっているようで、座れる場所はしっかりとしている。

「よし私達は今戦っているPTから4番目っす!私達の前のPTが倒さない事を後は祈るだけっす!」

「ホルン、思っても口に出しては今戦っている方達に失礼よ」

クラリアがホルンを注意すると、スイサンも×印を作る。

「あっ、そうっすね。反省しました」

そしてスイサンはホルンの頭を撫でる。こいつ僕よりもコミュニケーションとってるな。

とりあえず僕らは観客席に座り、今戦っている人達の光景を見ながら作戦会議にと入った。

「あの、分かっているとは思いますが一応言っておきますね。僕はこの状況では空間魔法は使わないので実質戦力にならないと思ってくださいね」

「えぇ!?そんな事ありっすか!?兄貴から空間魔法とったら何が残るっすか!?」

こいつ、何を失礼な事を・・・

「ホルン、それは仕方ないわよ」

「えぇ、だって兄貴の空間魔法ありきで考えて居たっすのに・・・私が兄貴のブリンクと一緒にマーシャルアーツで四肢をもぐ簡単な作戦だったっすのに・・・」

ホルンはCランクに上がる事をどう思っているのだろうか・・・帝国では5等級という自信が王国でもそのぐらいの実力を認められて当然とか思っているのかな。

「それは残念ですね。他の作戦を考えてください」

「・・・くぅこうなったら兄貴が役に立たない以上、自分で何とかするしかないっすか」

女じゃなければホルンの事殴ってるだろうなと僕は黙ってホルンを見た。

「何すか?ちょっと今は駄目っスよ?流石に私からの報酬は依頼が達成した時っす!」

何を言ってるんだホルンは、高いところから落とすぞ。

そんなちぐはぐな作戦会議も、目の前で実際戦っている冒険者の姿を見ながら進んでいく。

「結構コアを傷つけないっていう縛りがきつそうですね」

「そうね・・・ガーディアンエレメントの基本的な倒し方はコアを破壊する方法ですからね。それ以外だと、体に埋まった魔石を破壊しかないですね」

今戦っているPTも四肢を砕き、頭の中に埋まる魔石を取り出そうとしているが・・・それをする前に破壊した四肢が復活してまた動き始めてしまったのだ。

ガーディアンエレメントのその体は水晶のような体で作られたゴーレムのような物。体を作る水晶に手足の水晶と頭が引っ付いているその見た目。

コアは胸部あたりにあり紫色に光ってる為にそれが体の水晶に反射し、ガーディアンエレメントの全身は薄く紫色に輝いていた。

むき出しになっているコアは通常ならこれ見よがしの弱点なのだが、今の依頼の間では腫物に触るような扱いをしなければいけないのだ。

それにガーディアンエレメントがCランクという魔物だとされる由縁は、全属性魔法を放ってくる所らしい。

今も目の前で、火属性と土属性の魔法を一人で融合させ小さな爆発を起こしたのだ。

戦っている光景を見ると、ブリンクありでも倒せる気がしないのだが・・・・とCランクの魔物の実力を見ると弱気になってしまう。

「でも結局魔石を砕くしかないっすから、兄貴の空間魔法は諦めたとしてもやることは変わらないっすよね」

「そうね、私が動きを止めるからその隙に2人で四肢を破壊してもらうわ」

すかさずスイサンも、俺もいるぜとサムズアップの姿をやや斜めにしてアピール。

「そう?上手くいきそうと思ってくれているならよかったわ、ありがとうスイサン」

だがそれはクラリア達には伝わらない。グッドとただのサムズアップに思われている様だ。

とりあえず、僕はクラリアとホルンが進める作戦会議を黙ってきくのだった。

「―――――――こんな感じでどうっすか?」

「いいわね、だとするとその時用にMPは残していく必要があるわね」

「っすね、なるべく回復にMPを割かないように立ちまわる必要がありそうっすね」

「だとしたら、ガーディアンの魔法を・・・タイミングで誘発させられるように立ち回れるかしら」

ホルンとクラリアの作戦は僕がいなくても大丈夫なのではないかというぐらいしっかりとした物を話している。

やはり帝国では中堅的なランクなんだと思い知らされた。

「う~ん、私一人では無理っすけど兄貴も一緒なら出来ると思うっす。どう思うっすか兄貴?」

「・・・えっあぁ僕ですか、大丈夫ですよ」

「え?ちゃんと話きいてるっすか?」

「聞いてますよ、でもホルンもクラリアさんもやっぱり僕よりも経験が上なんだなと改めて思わせられて、少し帝国から連れてきたことに罪悪感を感じてました」

4等級と5等級。それは王国ではCランクやBランクに足を突っ込んでいる階級。

彼女たちは戦争なんてなければ帝国で栄光を掴んでいた可能性のある人物たちなんだと、僕やアル、祝福には勿体無いのではないかと思える。ましてやクリスの所にクラリアさんなんて・・・無駄使いだ。うん、帰ったらクラリアさんは木漏れ日に入れて貰えるようにサーヤさんに報告しよう。

「いえ、私はこれも冒険者なのだと受け入れてますわ。それに・・・4等級という位を捨てるとプレッシャーのような物から解放された気分になりましたから」

「私も気にしてないっすよ。それにここで飛び級でCになったらカッコいいっすから。だから兄貴も罪悪感があるならここで真面目に作戦を聞くっす、話がそれたっすよ」

「分かりました、空間魔法を封じた僕でも役に立つ事を証明する為にもここは頑張りましょう」

ホルンに注意されるとは思わなかったがその通りだ。

ここは彼女らの話を冒険者の先輩として真摯に話を聞き、ホルンリーダーの作戦を信じる事にしたのだ。
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