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第209話 イクサスの話②

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ここからは僕の番だった。だが知りたいことは多すぎるが、サーヤさん達が戦地にすでに行っているという事なので、あまり長居は出来ない。

「長距離テレポートのスクロールは、どうやって手に入れたんですか?」

「かけるが作ってくれたよ?あー、かけるって僕達は呼ぶけど、こっちじゃマーリンって名前の方が浸透してるよね?」

K・マーリン・・・そのKは、かけるのKか・・・

「・・・そのかけるさんに会ってみたかったですね」

「おいおい、それは僕が死んだらよかったって事かい?まったく失礼しちゃうね」

「・・・いえ、そういうつもりじゃ」

かけるさんが死に僕が転移した。僕らは同じ時代に生きることは叶わなかったようだ。

「君を探すためにかけるが作ってくれたスクロールも、もう5,6本しかないんだよね。だからさっさと君も長距離テレポート覚えてスクロール作ってくれないかな?」

「魔法覚えてらスクロール作れるんですか?」

「錬金術のアビリティがいるよ、もってない?」

「ないです」

「アチャー、じゃあ君が輸送係頑張らないとね」

イクサスさんの言葉は、驚いているような言葉を使っているだけで、感情が籠っていない様子に・・・アル達も僕にこんな感じなのかと少し焦る。

「・・・質問を続けます。ゴッドレス信仰ってなんでしょうか」

「あー・・・それもかけるが作ったんだよねー・・・かけるが先にこの世界にディティマールとして転移してね。僕を転移させるためにもう一人のディティマールを探し出すためにやったことなんだってさ」

「・・・もうそれだで何となくやったことが分かりました。正直ぼくは最後にあの白い空間からでたのですが、最後で良かったとほっとしてます」

「そうだね、じゃないとかけるにディティマール狩りされてただろうね」

僕が最後に転移する際に場所によって、危険察知が働いていたのはゴッドレス信仰が少しは残っていた箇所ってことなのかな?

「この魔法国家はイクサスさん達が作ったんですか?」

「僕らというより、かけるだね。ディティマール狩りを終えた後にさ、ディティマール狩りをしている最中に出会った転移者と仲良くなってたらしくてね、転移者同士を交流する場を設けたらドンドン大きくなって行ってさ、やっぱり転移者って魔法すきだよね?そしたらこの世界の元からの魔法使いも集まりだしちゃった感じらしい」

「この監獄も最初からあったんですか?」

「そうだよ、僕が転移してテイムした魔物を置いとけるためにかけるが先に作ってくれてたみたい」

「地下都市もですか?」

「あれは・・・かけるの中二病的な隠れ家ほしいという欲で作ったみたい。あそこみたなら分かると思うけど、建物に対して人少なかっただろ?」

「・・・なぜウィズロッドと繋がっているんですか」

「それは最近かな~、ほら軍隊作ってるからさ、いい人材は確保しなきゃいけないからね。王国の冒険者はオーティマスに泊らずにあの町をよく利用するからね、住民に優遇するから薬を盛ってくれって頼んでるんだよね」

質問をすればするほど、頭を悩ませる答えが返ってくる。だがイクサスは正当な事をしているというスタンスは変わらない為に、おかしいと思ってもつっこめずにいた。

「他に何かあるかい?特段今すぐ必要ってそうな質問じゃないから、戦地で仲間を先に助けた方がいいんじゃないかい?」

「・・・僕らは今後どうやってやりとりするんですか?」

「あー・・・ノエル君が長距離テレポートまだなんだよな~。かけるのスクロールも少ないし、空間魔法使いならどうにか出来ない?」

「・・・トランスワードは覚えてますが、一方通行ですよ」

「トランスワードか、当分それでいいよ。王国に救護要請がある時はそれで知らせてくれないかい、まぁ2,30人ぐらいしか向かわすことはできないけどね」

「・・・そんなんでいいんですか?」

「いいさ、君は長距離テレポートを覚えるためにこれからは必死になる必要があると思うからね。それを覚えたらまたおいでよ、その時はゆっくり話をしようじゃないか」

常に会話の主導権を握られ、僕はこうしなければいけないと遠回しに言われている。だが、彼の言葉は全て合理的でディティマールの先輩として、僕ではまだ敵う相手ではなかった。

「分かりました・・・ここに地点登録しておけばいいんですかね?」

「あぁそうしてくれるかい。ノエル君が素直ないい子で助かったよ。もしこれで駄目なら、君を殺して次のディティマールが誕生してまた探し出す所からだったからね」

「・・・物騒な事を、でも僕が最後の転移者ですよ?僕が一番最後に白い空間からでたので、転移者では最後のディティマールです」

「そうなんだ。じゃあ君が死んだら次はナチュラルなディティマールか・・・それともまた新しいステータスをいじった人達が現れるのかな?」

何かイクサスが言っているが、僕はトランスワードの地点を登録した。

「地点登録出来ました。あとは・・・仲間の解放をお願いします。この人とこれとこれと・・・」

僕は名簿を見ながら、イクサスに言う

「これとっちゃ駄目だよ。大事なもんなんだから」

「あっはい」

「まぁいいさ返してもらうね。この人らだね・・・後で解放しておくさ。後は戦地組だよね?ここから離れてるからこのスクロールを使ってくれるかい?これを唱えると、死霊術がとけるからね」

イクサスは僕にそういいながら、5本のスクロールを渡した

「ありがとうございます」

「あと、こっちからも要件がある時は知らせをだしたいから、先にここへトランスワードを10ぐらいだしておいてくれるかい?」

「・・・なるほど、そういう使い方もあるんですね」

「かけるがやってたことさ」

僕は1から10のワードをその部屋へと残す

「これで準備はいいかな?知りたい事はあるかもしれないけどさ、まだここにきて1年とそこらだろ?ネタバレよりも自分で探す方が面白いと思うよ」

「・・・結構なネタバレをされましたが」

「まぁサイロンのリミットまであと8年だからね、それまでにお互いに準備を進めていこうじゃないか」

「・・・はい」

トントンと話を進められ、きずいた時には協力するという形をとられていた。

「この部屋をまっすぐ行った通路が、グレントン研究所っていうこの世界の人達の魔法使いの機関に繋がっているから、階段入口右横にスイッチがあるからそれ押して外に出てね」

「はい・・・でも、そのひとたちは?」

「もちろん死霊術にかかってるよ」

「そうですか」

レイモンドさんは罠にかけられたわけでなく、オートロックなのを知らなかったからそう思い込んようだ。それにナチュラルに術中内だというイクサスとの話はここまでにしておきたい。

「じゃあそこの彼を起こそうかな。彼には君からうまく説明しておいてくれよ、まぁそのまま伝えるのはどうかとおもうけどね」

「・・・」

最後の最後まで彼のテンポだった。

「キュア。これでおっけー、じゃあ僕は君のお仲間を解放しておくからね、またね」

イクサスはこの部屋から出て行った。

色々と解決できたことはあるが、それ以上に疑問が残る内容だった・・・

正直、真偽が不明だ・・・状況証拠のようなものしかない。だが、イクサスの説明は全て辻褄があっている様子なのは間違いない。

う~ん・・・う~ん・・・と一人頭を悩ませる。

イクサスがこの部屋を出て1分ほど経ったあたりで、アルは目を覚ました。

「う・・・くっ・・」

「アル、大丈夫ですか」

「ぐっ・・・やつはどこいった・・・」

「・・・クリスさん達を解放しにいきましたよ」

「・・・なんでだ?」

「僕が交渉しました。この先、長距離テレポートを覚えた時になにかしらの形で協力するという事で手を打ちました」

「・・・」

アルは僕の言葉に少し悲しそうな顔をした

「サーヤさんは今スードリカに向かって言っているようです」

「ノエル・・・」

「まぁ、アルに事情があるように、僕にも事情があるという事です。今は、お互い言えないことはあるかもしれませんが、そのうち時がきたらお互い打ち明けましょう」

「・・・そうか、俺のせいで迷惑かけちまって悪い」

「いやぁ~・・・これはアルのせいではないので気にせずに。まぁそのうちですよ、行きましょうか」

僕は座っているアルへと手を差し伸べると、アルは強く握った。
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