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第207話 赤いローブの男
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見張り番の交代のタイミングで、通路の中を確認し僕らは扉の向こうへとブリンクした。
交代要員のオーティマスの魔法使いを襲撃し、ローブを奪うと僕は立派なオーティマスの一員へ。アルは・・・こんな屈強な魔法使いいるか?というローブが似合わなさ過ぎて
「ぷっ・・・魔法使いにしてはごつすぎますね」
「そんな事ないだろ、どこからどう見ても魔法使いだ」
僕がこのローブを着ると、ふくらはぎしたまでの長さなのだが、アルが着ると腰当たりになりローブというよりもマントだった。
扉から真っすぐ歩くと左右には部屋っぽい扉。牢屋ではなさそうだ。
僕らが歩いていると、一つの扉が開き、青いローブの男が出てきた。
「おーおつかれー」
「おう、おつかれ」
「おつかれさまです」
僕らとすれ違うと、普通に声をかけられた為に僕らも普通に返しそのまま通り過ぎて行った
「・・・案外ばれねーもんなんだな」
「ですね、明らかにアルはおかしいのに・・・」
そのまま堂々と通路を進むと、レイモンドが見たという監獄へとたどり着いた
「・・・確かにやばい雰囲気だな、ここは」
「ですね・・・この匂いも嫌いです」
僕らは意味もなく歩き回るつもりはなかった。吹き抜けから階層を数え、すぐにサーヤさんがいると思わしき5階へとブリンクで移動した。
ずらっと並んでいるようだったが、ブリンクでとんだ先、目の前の牢屋には524と書かれている。
「アル、ここは524という事はサーヤさんはあっちですね。あっちに行きましょう」
「おう、頼む」
1と2を廊下は3階と6階にしかなさそうな様子だ。だがそんなものブリンクでひと解決
正面の牢屋へ飛び
「アル、ぼくはこっちアルはそっちです」
「おう」
どの順番か知らないが、目の前が514の為にこの左右どちらかが513、515となるはずなので二手に分かれた
僕が隣に進み、牢屋の前へいくとここは513だった為に、アルの方が正解のようだった。この牢屋の中には人がいて倒れているのが見えた。
なにか声を掛けるべきか悩むが、いらぬ騒ぎがおきても困るために僕はアルの方へと向かうが・・・
「いない!ノ、メディア!」
アルが僕を呼ぶ。
僕は走って向かう。
チラリと515の牢屋も視界に入り、515にも人がいるがぐったりと倒れていた。
「くそ・・・いねーぞ」
「・・・先にガナートさん所にも行ってみましょう、この番号が正しいものなのか確かめないと」
「だな・・・」
アルの焦りが伝わってくるが、必死に抑えようとしているのが分かる
「423がガナートさんの番号ですね、ここからだとあそこですか」
アルを掴みブリンク
「・・・いねぇな」
「ですね・・・」
「くそっ!どこだよ・・・」
アルが牢屋の鉄格子を握りしめて、怒りの矛先をその鉄格子にむけ静かに心を落ち着かせようとしていた。
僕はその隣、きになっていた424の牢屋へと歩くと・・・中にはエルフ?だと思われる女性が体育座りで部屋の隅にいた
「ディアナさん?」
「え・・・・」
僕の呼びかけに、俯いていた顔を一瞬あげた為
「ディアナさんですか?」
「・・・」
もう一度、声をかけたがその後は反応しなかった。そのエルフの女性は怪我をしている様子はないが、どこか上の空といった表情をし僕が見えていないようだった。
う~ん・・・ディアナさんなのかな・・・
「アル、もう直接聞きに行きますか?その赤いローブの人とやらに」
「お前・・・それは危険すぎねーかよ」
「危険ですが・・・危なくなればブリンクで逃げれるでしょう。ここまでの道のりを覚えているので、最短距離であのレイモンドさんとあった部屋までノーストップで逃げれると思いますよ」
「・・・信じるぞ」
「はい、アルがいるので僕も強気です」
僕らは3階へと飛び、レイモンドのいう部屋の前へと移動した。
「いくぞ」
「はい」
アルが両開きの扉を、左右同時に押し開けていく・・・
レイモンドの言った通り、大きな部屋がそこには広がっていた。
奥には赤いローブを着た男が椅子に座っているのが見えた
「おや、また客人かな?そんな所でたってないでこっちにおいでよ」
僕らが部屋に踏み入れるか、少し躊躇した時に赤いローブの男は僕らに声を掛けていた。
「なんだ・・・あいつの余裕そうな言葉は・・・」
「はい、怪しさ満点です」
だが、ここにいても埒があかない為、僕らは部屋へと歩み始めた
ゆっくりと、部屋の状況を頭にいれながら赤いローブの男が座るその机まで・・・慎重に近づいていたのだが
ドサリと僕の少し前をいくアルが、いきなり倒れたのだ
「えっアル!?」
僕はすぐにアルを抱きおこし、すぐにブリンクで逃げ出そうとしようとした時に、僕は赤いローブの男の顔をみて止まってしまった。
「やぁ、まさか君からここにきてくれるとは思わなかったよ。あれ?あぁ・・・君だったのか、馬車で一度あったよね?」
「・・・イクサスさん」
赤いローブを着た男性は、以前ネバースノーにシスレーと行った際に相乗りした人だった。
「そうそう、君はノエル君だね。あのショートカットの女の子も元気かい?」
相手も僕を覚えていた様子だが、少し違和感のある返事だ。
あの時も少しきな臭い人だと思っていたが・・・僕のアビリティとは無関係の物が働き、それが正しかったのだと思えた瞬間だった。
「アルに何をしたんですか?」
アルを抱きかかえたまま、僕は睨みつけて言った。
「いやぁ、君と内密のお話がしたくてね、少し眠ってもらっただけさ。君は王国の冒険者だったね。お仲間を助けにきたのかい?」
目の前にいる男は、僕を警戒する素振りを見せず飄々と質問した。
「・・・そうですが、ここにいなかったのでどこにいるのか直接聞きに来ました」
アルが本当に寝ているような為に、一度アルから手を離すと僕は立ち上がる。
「あー・・・それは帝国に戦争の傭兵として貸出てるのかな?ごめんね、戦争にいってるよ」
「戦争・・・スードリカ平原ですか」
「多分ね、2日前に出て行ったかな?もうすぐ衝突するころかもね」
くそっ!サーヤさんとはどこかで入れ違いになってしまった様だった。
「それで、そっちの聞きたい事教えてあげたからさ。僕の質問にも答えてくれない?」
「いえ、僕はそのスードリカへ急いで向かわなければいけないので、これにて失礼します」
僕はこのまま見逃して貰えないかという気持ちで、体を翻し、アルを掴むとその部屋を出て行こうとするが
「まぁ待ちなよ」
バタンと後ろのドアが勝手に閉まり
「ねえ、君は元はこの世界の住人じゃないだろ?」
ドアなど気にせずに、ブリンクで逃げようと思った時だった。
僕は振り返り、イクサスを見る。
「ふふ、いいよ隠さなくても。僕は見えているからね」
見えている・・・って鑑定の類?何かを喋ってしまうと肯定した事となる為、僕は何もしゃべることが出来ず眉間にしわを寄せたまま黙っていた
「ふふ、そう疑う事はないよ。僕ももと地球人さ」
「地球・・・」
「そう、色々知りたいでしょ?僕も君に色々聞きたいし、協力して欲しい事があるんだ」
僕は初めてこの世界にきて、前世の言葉を他人から聞いた。イクサスの言葉通り、何か知っているのなら聞きたいことは僕もある。だが・・・こいつはこの監獄の監視する立場の住人。
信用にあたいするかといえば・・・出来ない。
「僕は・・・あなたを信用できません」
「いやぁ~、ちょっと場所が悪かったかな?もっと明るいカフェとかだったらよかったんだけどね~。まぁいいや、君には必ず協力してもらわなければいけないからね。近代のディティマール君」
こいつ!?どこまで見えているんだ!?
「何を驚いているのかい?名前、種族、レベルは見えているよ。6だろ」
それに祝福と言わず、レベルと表現するこいつはやはり前世の知識を有している・・・転移組か
「なぜ、馬車の時はきずかなかったんです・・・」
「あー、あの時はね鑑定のレベルが上がってなかったからねー、名前までしか見れなかったんだ。つい最近だよあがったのは。おっ僕に興味を持ってくれたってことかい?」
「・・・」
「ふふ、まぁいいさ。君に協力を頼む前に実力を知りたいからね~、君が弱すぎると殺さなきゃいけないから・・・ちょっと魔法勝負といかこうか」
イクサスがそういうと同時に危険察知が働いた。
バリア!
僕の目の前に光の玉が4個飛んでくる。僕がよく使う魔法のマジックミサイルだ
マジックミサイル3個が、バリアによってかき消され。残りのもう一つ・・・
アイスショット!
特段弾速の早くないマジックミサイルなら、アイスショットで撃ち落とすことができた。
マジックミサイルとアイスショットがぶつかり合い、氷の粒子がパラパラパラと宙に舞う
「ふふ、まずは合格。これにはどう対処するかな」
イクサスの足元の周りに炎が渦巻き始めた。その炎は渦巻きながらイクサスの上へと登って行く。
イクサスの顔当たりまでにその渦巻いた細い炎が停滞した時にそれはへびのような顔付をしているのだと分かると同時に
「いけ!」
イクサスがその炎で出来た蛇に命令すると、蛇は勢いよく真っ直ぐに僕へと飛んできた。
アイスピラー!
アイスショットでは相殺できないと思い、中級魔法のアイスピラーで相打ちを狙いにいった。
だが、蛇はするりとアイスピラーを空中で躱し、アイスピラーに巻き付くようにそのまま進んできた。
通り抜け様に巻き付かれたアイスピラーは蒸発するように溶け。蛇はうねりながら僕の方へと迫っていた。
「ほらほら、次はどうするんだい。この魔法は当たるまで消えないよー。他にどんな手札があるのかみせてくれないかな」
炎の蛇は宙をうねりながら進む。その速度はそこまでのスピードはなく、本当に僕がどう対処するのかを見定めているようだった。
・・・くそっあとはレイとアゾールフラッシュぐらいしかないぞ
手札を見せろと言われても、残り僅かしかない。
ゆっくりとすすむ蛇へ、僕は牽制がてらマジックミサイルを放つ!
僕が生み出した、3つの玉はグルグルと回転しながら蛇へと進み
パクっ
生きている蛇が卵を丸のみするかのごとく、炎の蛇はマジックミサイルを飲み込んだ。
「どうだい、生きているみたいだろ?」
嬉しそうにその様子をみて喋るイクサス。
レイ!
蛇がレイの射程距離にはいると同時に魔法を使う
光の線はへびを突き抜け、蛇に細い穴があく
「いい魔法だよねレイは。僕もお気に入りの魔法さ」
僕のレイをみて余裕そうに喋りかけてくるのは、目の前の炎の蛇に空いた穴が徐々に塞がりまた、完全な形へと戻っていくからだ。
レイでも倒せないと・・・どうやって対処する・・・いや、倒せない魔法とかかも・・・
僕は悩みながらも、チラリとイクサスを見た。
イクサスは喋る余裕はあるようだったが、何か手は動かし続け、魔法に集中している様子だった。その手の動きは炎の蛇と連動しているようなタイミング
これは・・・イクサスを狙えば消えるとかか
そう思ったら使う魔法は一択だった。僕の一番の切り札はやっぱりこれだ。
ブリンク!
イクサスの後ろに回り込み、僕はイクサス目掛け殴りつけ集中を切らす。そうするはずだった
だが、僕はブリンク後にお腹を蹴られ転がされていた・・・
「ごふっ・・・」
「あー、ごめんごめん。まさか空間魔法をもってるとは思わなくてビックリして手加減できなかったよ」
イクサスの動きは人間離れしているかのような反応速度。それにこの痛みはゴブリンリーダーにこん棒に殴られるぐらいの衝撃だった。
「いやぁ、ディティマールで空間魔法って”かける”みたいな事するやつ他にもいたのか」
「ぐっ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
イクサスはなにやら和名のような言葉をいうが、痛みでそれどころではなかった
「でも、おっけーおっけー。レベルは低いけど及第点だね。ほら、これのみなよ」
イクサスは痛みで動けない僕へ歩きより、僕の前にコトっと瓶に入った赤い液体を置いた
「飲めない?ファーストエイド。これで少しは動けるかい?」
イクサスにファーストエイドをかけられ、少し痛みが引いたため、自分で自分にもう一度ファーストエイドをかける。
「もういいんですか・・・」
「うん、いいもの持ってるみたいだからねー。ほらそれハイポーションだから飲むといい。僕と君のレベル差だ、ファーストエイドぐらいじゃ辛いだろ」
疑わしいが・・・イクサスの攻撃は本当に僕体に響いていた。僕はゆっくりとした動きで瓶を空け・・・一気に飲み干した。
体がすっと軽くなるのを感じると、ハイポーションというのは本当のようだった。
息が整った僕へイクサスさんは、変わらない調子で話始めた。
「ふふ、どうだった。ちょっとした負けイベントみたいだっただろ?」
「・・・そういう概念があることがイクサスさんが同郷だと思わさせられますね」
「と言うわけで、昔のよしみで協力してくれないかな?」
「・・・その前に色々と教えてください。僕はこの監獄をみるとどうしてもあなたがいい人には思えない」
「あー、まぁそうだよね。でも僕の話を先に聞いてくれたら、ここが何のためにあるのか分かるからね。後で質問してくれる?」
「・・・協力するかは置いておいて、お話は聞きましょう」
「そうか、よかったよ」
イクサスは微笑みながら、話を始めた
交代要員のオーティマスの魔法使いを襲撃し、ローブを奪うと僕は立派なオーティマスの一員へ。アルは・・・こんな屈強な魔法使いいるか?というローブが似合わなさ過ぎて
「ぷっ・・・魔法使いにしてはごつすぎますね」
「そんな事ないだろ、どこからどう見ても魔法使いだ」
僕がこのローブを着ると、ふくらはぎしたまでの長さなのだが、アルが着ると腰当たりになりローブというよりもマントだった。
扉から真っすぐ歩くと左右には部屋っぽい扉。牢屋ではなさそうだ。
僕らが歩いていると、一つの扉が開き、青いローブの男が出てきた。
「おーおつかれー」
「おう、おつかれ」
「おつかれさまです」
僕らとすれ違うと、普通に声をかけられた為に僕らも普通に返しそのまま通り過ぎて行った
「・・・案外ばれねーもんなんだな」
「ですね、明らかにアルはおかしいのに・・・」
そのまま堂々と通路を進むと、レイモンドが見たという監獄へとたどり着いた
「・・・確かにやばい雰囲気だな、ここは」
「ですね・・・この匂いも嫌いです」
僕らは意味もなく歩き回るつもりはなかった。吹き抜けから階層を数え、すぐにサーヤさんがいると思わしき5階へとブリンクで移動した。
ずらっと並んでいるようだったが、ブリンクでとんだ先、目の前の牢屋には524と書かれている。
「アル、ここは524という事はサーヤさんはあっちですね。あっちに行きましょう」
「おう、頼む」
1と2を廊下は3階と6階にしかなさそうな様子だ。だがそんなものブリンクでひと解決
正面の牢屋へ飛び
「アル、ぼくはこっちアルはそっちです」
「おう」
どの順番か知らないが、目の前が514の為にこの左右どちらかが513、515となるはずなので二手に分かれた
僕が隣に進み、牢屋の前へいくとここは513だった為に、アルの方が正解のようだった。この牢屋の中には人がいて倒れているのが見えた。
なにか声を掛けるべきか悩むが、いらぬ騒ぎがおきても困るために僕はアルの方へと向かうが・・・
「いない!ノ、メディア!」
アルが僕を呼ぶ。
僕は走って向かう。
チラリと515の牢屋も視界に入り、515にも人がいるがぐったりと倒れていた。
「くそ・・・いねーぞ」
「・・・先にガナートさん所にも行ってみましょう、この番号が正しいものなのか確かめないと」
「だな・・・」
アルの焦りが伝わってくるが、必死に抑えようとしているのが分かる
「423がガナートさんの番号ですね、ここからだとあそこですか」
アルを掴みブリンク
「・・・いねぇな」
「ですね・・・」
「くそっ!どこだよ・・・」
アルが牢屋の鉄格子を握りしめて、怒りの矛先をその鉄格子にむけ静かに心を落ち着かせようとしていた。
僕はその隣、きになっていた424の牢屋へと歩くと・・・中にはエルフ?だと思われる女性が体育座りで部屋の隅にいた
「ディアナさん?」
「え・・・・」
僕の呼びかけに、俯いていた顔を一瞬あげた為
「ディアナさんですか?」
「・・・」
もう一度、声をかけたがその後は反応しなかった。そのエルフの女性は怪我をしている様子はないが、どこか上の空といった表情をし僕が見えていないようだった。
う~ん・・・ディアナさんなのかな・・・
「アル、もう直接聞きに行きますか?その赤いローブの人とやらに」
「お前・・・それは危険すぎねーかよ」
「危険ですが・・・危なくなればブリンクで逃げれるでしょう。ここまでの道のりを覚えているので、最短距離であのレイモンドさんとあった部屋までノーストップで逃げれると思いますよ」
「・・・信じるぞ」
「はい、アルがいるので僕も強気です」
僕らは3階へと飛び、レイモンドのいう部屋の前へと移動した。
「いくぞ」
「はい」
アルが両開きの扉を、左右同時に押し開けていく・・・
レイモンドの言った通り、大きな部屋がそこには広がっていた。
奥には赤いローブを着た男が椅子に座っているのが見えた
「おや、また客人かな?そんな所でたってないでこっちにおいでよ」
僕らが部屋に踏み入れるか、少し躊躇した時に赤いローブの男は僕らに声を掛けていた。
「なんだ・・・あいつの余裕そうな言葉は・・・」
「はい、怪しさ満点です」
だが、ここにいても埒があかない為、僕らは部屋へと歩み始めた
ゆっくりと、部屋の状況を頭にいれながら赤いローブの男が座るその机まで・・・慎重に近づいていたのだが
ドサリと僕の少し前をいくアルが、いきなり倒れたのだ
「えっアル!?」
僕はすぐにアルを抱きおこし、すぐにブリンクで逃げ出そうとしようとした時に、僕は赤いローブの男の顔をみて止まってしまった。
「やぁ、まさか君からここにきてくれるとは思わなかったよ。あれ?あぁ・・・君だったのか、馬車で一度あったよね?」
「・・・イクサスさん」
赤いローブを着た男性は、以前ネバースノーにシスレーと行った際に相乗りした人だった。
「そうそう、君はノエル君だね。あのショートカットの女の子も元気かい?」
相手も僕を覚えていた様子だが、少し違和感のある返事だ。
あの時も少しきな臭い人だと思っていたが・・・僕のアビリティとは無関係の物が働き、それが正しかったのだと思えた瞬間だった。
「アルに何をしたんですか?」
アルを抱きかかえたまま、僕は睨みつけて言った。
「いやぁ、君と内密のお話がしたくてね、少し眠ってもらっただけさ。君は王国の冒険者だったね。お仲間を助けにきたのかい?」
目の前にいる男は、僕を警戒する素振りを見せず飄々と質問した。
「・・・そうですが、ここにいなかったのでどこにいるのか直接聞きに来ました」
アルが本当に寝ているような為に、一度アルから手を離すと僕は立ち上がる。
「あー・・・それは帝国に戦争の傭兵として貸出てるのかな?ごめんね、戦争にいってるよ」
「戦争・・・スードリカ平原ですか」
「多分ね、2日前に出て行ったかな?もうすぐ衝突するころかもね」
くそっ!サーヤさんとはどこかで入れ違いになってしまった様だった。
「それで、そっちの聞きたい事教えてあげたからさ。僕の質問にも答えてくれない?」
「いえ、僕はそのスードリカへ急いで向かわなければいけないので、これにて失礼します」
僕はこのまま見逃して貰えないかという気持ちで、体を翻し、アルを掴むとその部屋を出て行こうとするが
「まぁ待ちなよ」
バタンと後ろのドアが勝手に閉まり
「ねえ、君は元はこの世界の住人じゃないだろ?」
ドアなど気にせずに、ブリンクで逃げようと思った時だった。
僕は振り返り、イクサスを見る。
「ふふ、いいよ隠さなくても。僕は見えているからね」
見えている・・・って鑑定の類?何かを喋ってしまうと肯定した事となる為、僕は何もしゃべることが出来ず眉間にしわを寄せたまま黙っていた
「ふふ、そう疑う事はないよ。僕ももと地球人さ」
「地球・・・」
「そう、色々知りたいでしょ?僕も君に色々聞きたいし、協力して欲しい事があるんだ」
僕は初めてこの世界にきて、前世の言葉を他人から聞いた。イクサスの言葉通り、何か知っているのなら聞きたいことは僕もある。だが・・・こいつはこの監獄の監視する立場の住人。
信用にあたいするかといえば・・・出来ない。
「僕は・・・あなたを信用できません」
「いやぁ~、ちょっと場所が悪かったかな?もっと明るいカフェとかだったらよかったんだけどね~。まぁいいや、君には必ず協力してもらわなければいけないからね。近代のディティマール君」
こいつ!?どこまで見えているんだ!?
「何を驚いているのかい?名前、種族、レベルは見えているよ。6だろ」
それに祝福と言わず、レベルと表現するこいつはやはり前世の知識を有している・・・転移組か
「なぜ、馬車の時はきずかなかったんです・・・」
「あー、あの時はね鑑定のレベルが上がってなかったからねー、名前までしか見れなかったんだ。つい最近だよあがったのは。おっ僕に興味を持ってくれたってことかい?」
「・・・」
「ふふ、まぁいいさ。君に協力を頼む前に実力を知りたいからね~、君が弱すぎると殺さなきゃいけないから・・・ちょっと魔法勝負といかこうか」
イクサスがそういうと同時に危険察知が働いた。
バリア!
僕の目の前に光の玉が4個飛んでくる。僕がよく使う魔法のマジックミサイルだ
マジックミサイル3個が、バリアによってかき消され。残りのもう一つ・・・
アイスショット!
特段弾速の早くないマジックミサイルなら、アイスショットで撃ち落とすことができた。
マジックミサイルとアイスショットがぶつかり合い、氷の粒子がパラパラパラと宙に舞う
「ふふ、まずは合格。これにはどう対処するかな」
イクサスの足元の周りに炎が渦巻き始めた。その炎は渦巻きながらイクサスの上へと登って行く。
イクサスの顔当たりまでにその渦巻いた細い炎が停滞した時にそれはへびのような顔付をしているのだと分かると同時に
「いけ!」
イクサスがその炎で出来た蛇に命令すると、蛇は勢いよく真っ直ぐに僕へと飛んできた。
アイスピラー!
アイスショットでは相殺できないと思い、中級魔法のアイスピラーで相打ちを狙いにいった。
だが、蛇はするりとアイスピラーを空中で躱し、アイスピラーに巻き付くようにそのまま進んできた。
通り抜け様に巻き付かれたアイスピラーは蒸発するように溶け。蛇はうねりながら僕の方へと迫っていた。
「ほらほら、次はどうするんだい。この魔法は当たるまで消えないよー。他にどんな手札があるのかみせてくれないかな」
炎の蛇は宙をうねりながら進む。その速度はそこまでのスピードはなく、本当に僕がどう対処するのかを見定めているようだった。
・・・くそっあとはレイとアゾールフラッシュぐらいしかないぞ
手札を見せろと言われても、残り僅かしかない。
ゆっくりとすすむ蛇へ、僕は牽制がてらマジックミサイルを放つ!
僕が生み出した、3つの玉はグルグルと回転しながら蛇へと進み
パクっ
生きている蛇が卵を丸のみするかのごとく、炎の蛇はマジックミサイルを飲み込んだ。
「どうだい、生きているみたいだろ?」
嬉しそうにその様子をみて喋るイクサス。
レイ!
蛇がレイの射程距離にはいると同時に魔法を使う
光の線はへびを突き抜け、蛇に細い穴があく
「いい魔法だよねレイは。僕もお気に入りの魔法さ」
僕のレイをみて余裕そうに喋りかけてくるのは、目の前の炎の蛇に空いた穴が徐々に塞がりまた、完全な形へと戻っていくからだ。
レイでも倒せないと・・・どうやって対処する・・・いや、倒せない魔法とかかも・・・
僕は悩みながらも、チラリとイクサスを見た。
イクサスは喋る余裕はあるようだったが、何か手は動かし続け、魔法に集中している様子だった。その手の動きは炎の蛇と連動しているようなタイミング
これは・・・イクサスを狙えば消えるとかか
そう思ったら使う魔法は一択だった。僕の一番の切り札はやっぱりこれだ。
ブリンク!
イクサスの後ろに回り込み、僕はイクサス目掛け殴りつけ集中を切らす。そうするはずだった
だが、僕はブリンク後にお腹を蹴られ転がされていた・・・
「ごふっ・・・」
「あー、ごめんごめん。まさか空間魔法をもってるとは思わなくてビックリして手加減できなかったよ」
イクサスの動きは人間離れしているかのような反応速度。それにこの痛みはゴブリンリーダーにこん棒に殴られるぐらいの衝撃だった。
「いやぁ、ディティマールで空間魔法って”かける”みたいな事するやつ他にもいたのか」
「ぐっ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
イクサスはなにやら和名のような言葉をいうが、痛みでそれどころではなかった
「でも、おっけーおっけー。レベルは低いけど及第点だね。ほら、これのみなよ」
イクサスは痛みで動けない僕へ歩きより、僕の前にコトっと瓶に入った赤い液体を置いた
「飲めない?ファーストエイド。これで少しは動けるかい?」
イクサスにファーストエイドをかけられ、少し痛みが引いたため、自分で自分にもう一度ファーストエイドをかける。
「もういいんですか・・・」
「うん、いいもの持ってるみたいだからねー。ほらそれハイポーションだから飲むといい。僕と君のレベル差だ、ファーストエイドぐらいじゃ辛いだろ」
疑わしいが・・・イクサスの攻撃は本当に僕体に響いていた。僕はゆっくりとした動きで瓶を空け・・・一気に飲み干した。
体がすっと軽くなるのを感じると、ハイポーションというのは本当のようだった。
息が整った僕へイクサスさんは、変わらない調子で話始めた。
「ふふ、どうだった。ちょっとした負けイベントみたいだっただろ?」
「・・・そういう概念があることがイクサスさんが同郷だと思わさせられますね」
「と言うわけで、昔のよしみで協力してくれないかな?」
「・・・その前に色々と教えてください。僕はこの監獄をみるとどうしてもあなたがいい人には思えない」
「あー、まぁそうだよね。でも僕の話を先に聞いてくれたら、ここが何のためにあるのか分かるからね。後で質問してくれる?」
「・・・協力するかは置いておいて、お話は聞きましょう」
「そうか、よかったよ」
イクサスは微笑みながら、話を始めた
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