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第199話 忘れていたころに
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「みんな、そろそろ行くぞ。一応この洞窟を進もうと思ってる」
アルが立ち上がりながら、4人に声を掛ける。その傍らで椅子などをイベントリに入れながら自分もたちあがった
「この先どうなってるのか分かっているのですか?」
洞窟にいる間は休息に時間を当てたため、話し合いなどは一切行わなかった。僕とアルだけで情報共有を行いゆっくりとした時間を過ごしていたからだ
4人も僕に気を使ってか、声を掛けずに黙って休んでいた為に、クリスが質問した
「いや地図には載ってない。だがノエルから聞く限りじゃあ・・・クイーンは相当賢いらしいからな、俺たちが出てくるのをずっと待ってる可能性あるわけだしよ」
「遠回りになるかもしれませんが、やはりみんなを連れて逃げ切る自信がありません」
「なるほど・・・」
クリスは自分の落ち度のせいで、今の状況になっているという事を理解し、言葉には力が籠っていなかった
「あっアル君、いいっすか。私ここがどこに繋がってるか心当たりあるっす」
その時ホルンが、自信がありそうで言いながら自信を無くしているようなあやふやな感じでアルに進言した
「おっホルンばあさん、何だいってみろ」
「・・・地図見せて貰っていいっすか兄貴」
そしてアルの呼び名に一気に元気をなくす
「どうぞ」
机を出して、地図を広げる
そこから、ホルンは現在地を指さし洞窟が向かう先をコンパスで示しながら、恐らくここに行きつくという位置を示した
それは地図では鉱山地帯としめされている場所で、僕らが向かう予定の魔法国家から近すぎず遠すぎずの距離。
ハーピーに襲われなければ、直線で魔法国家にむかっていたが、この洞窟を進んでもさほど変わりはしない鉱山地帯への到着するのだという
「なんだ?そんな都合のいいことあるか?ばばあ俺たちを騙そうとしてねーか?」
「してないっす!ここの鉱山は無数のアリの巣のように張り巡らされた所っス!その中には自然にできた渓谷もあって、まだまだ未知の所っす」
「それがこことたまたま繋がってるってか?」
「そうっす!」
ホルンの言い分にアルは納得できていないようだが・・・僕は地図を見ながらホルンの言い分はありえそうだと思えてしまう
それはセイクリッドストーンのダンジョンを思い出していたからだ。自然にできた地下渓谷、その巨大な空間は山の中を張り巡らされていると安易に想像できた
ともあれ、ここがどこに繋がっていようが進むことには変わりがないため
ライトフローディングの光と松明の明かりを頼りに、薄暗い洞窟を進んでいく
人の手が入っていない為に歩き辛さがあり、ローブがとげとげしい岩にひっかかったりとあるが魔物の気配はアルやホルンさんからは感じないのだとか
広くなったり、かなり狭くなり人一人通るのに詰まる洞窟をすすむ
「行き止まりにはならないですね」
「兄貴、空気が淀んでいないっすから、どこかに繋がってはいるっすよ」
「おぉ、そういうの感じとれるんですね流石です」
「俺だって分かってるぜ、調子にのんなよ」
「う・・うぅ・・・」
アルはホルンに厳しい態度は変わらない様子のまま、洞窟を3時間ほど進んだだろう
悪路の為、すすみは悪いが、そこまで歩くと僕でも分かるぐらい、空気が少し変わったと分かった
「おっ開けてねーか?奥」
「っぽいですね」
奥にはキラキラと輝きが見せている。あれは魔鉱石の光だということが経験上分かる
僕が何個、魔鉱石を一人で採掘したか図りしれないからだ
「この空気・・・間違いないっす、鉱山とつながってるっす」
隣にいるホルンも、予想が確信に変わった様子で、力強いようすで鉱山だという
徐々に開けた場所に近づくにつれて、その鉱山の全容が見え始めていた
「やっぱ綺麗っすねー」
ホルンがそう呟くのと同時に僕も同じ思いを、心でつぶやいていた
そこには満天の星空、いや下にも光輝く魔鉱石がちらばり宇宙空間にいるような感じだ
それに魔鉱石は常に光り輝いているはずだが、なぜかここの鉱石は光のちらつきを見せている
それが余計に星のように見えて、ここの美しさを際立たせているのだろう
「なんで点滅してんだ?」
「ふふ、アル君はわからないっすか~」
先頭にいた僕とアル、ホルンさん。そこでアルも僕と同じようにちらつきが気になるようだ、だがホルンのいいぶりは答えをしっているかのようだった
「ノエル、こいつ落とせよ。で、泣いたら拾ってこいよ」
「!?兄貴!?それだけは勘弁っす!私斥候なのに高所恐怖症になっちゃうっす!」
「いやいやそんな事しませんから・・・ホルンさん、僕も点滅している理由知りたいです」
この不思議な現象に、僕も知りたい為にホルンに尋ねると
「ふっふっふ、いいですよこれは」
「うぉ!?何が飛んでいるんだ!?こんなにも」
後列のグリーンウッドが何か見えたみたいで、驚いた声をホルンと同時にあげると
「飛んでいる?あぁ光ってるんじゃなくて、何かが遮ってるのか」
アルの口に出したタイミングで僕も同じ答えに行きつき
「あぁ~・・・そうっすよ。リバーウイングが沢山飛んでいるっす」
したり顔で答えをいおうとしていたホルンは、先に答えを知られ少しがっかりとテンションを下げて、リバーウイングという、恐らく魔物の存在を教える
蝙蝠のような魔物で全長40cmほどだそうだ。一匹一匹は脅威ではないそうだが、かなりの数がひしめいている
徐々に洞窟の終わり、渓谷に差し掛かるが、断崖絶壁の崖にたどり着く
「ノエル見えるか?」
「う~ん・・・特に何もキラキラしているだけですね」
僕達がたどり着いた場所の渓谷は、セイクリッドストーンの5倍の広さはある空間だ
あっちは崖と崖との間が20~30mほどの亀裂のような場所だったが・・・ここ断崖絶壁のここから、向こう岸が100mは離れているようだ
「ホルンさん、ここがどこか分かります?」
「いや・・・えっと・・・わかんねっす」
「ちっ使えねーやつだな」
アルの言葉にいちいちしょんぼりとするホルン
後ろに続いてきたグリーンウッドたちも追いつき、崖沿いに着くと
「ウッド、何か見えるか?人の手が入ってそうな所とかよ」
「うん・・・どうだ・・・流石に暗すぎるからな」
目を凝らしながら見ているが、流石にこの広さで明かりは遠くに見える魔鉱石のちらつきのみ
アルは僕の方を見るため、恐らく暗月のブローチを貸せないかと目でいっているようだ
「グリーンウッドさん、これつけるとよく見えるので、少し失礼しますね」
「おっ・・・うん」
グリーンウッドも僕がやることに、さほど疑う事がなくなりすんなりと聞き入れて胸元にブローチをつけた
「おっおぉ・・・すごいなこれは。なんだこのアイテムは」
「それは後から教えてやるから、先に状況を把握してくれ」
暗月のブローチの性能に、グリーンウッドは歓喜の声をあげるがアルは詮索よりも探索を促す
「・・・そうだな」
そしてグリーンウッドもアルが話を流した事で、糸をくみ取ると周りを確認しはじめた
しばらく周囲を見渡すグリーンウッド。途中途中でちっと舌打ちをしたり、邪魔だなと呟いているのは跳んでいるリバーウイングが視界に入って邪魔をしているのだろう
「グリーンウッド、何かみえるかい?」
「・・・あぁ人工物らしきものが何か所かみえるが・・・確信はもてないな」
クリスと会話をしながら探る様子に、僕らは休息しながら待つことにする。クリスも特段役にはたてないようだが、失敗を取り返すために何かしようとしているらしい
そんなクリスに空回りだけはするなよと、心の中で思いながらも僕らはグリーンウッドに任せて休息に
「ホルンさん、もし道が見つかればそこからは一本道なんですか?」
椅子と軽食を出しながら、この先の事について話を聞いておく
アルも椅子に座ると、オーク肉をつまみながらホルンの話をそっぽを向いて聞く様子だ
「う~ん・・・さっきもいったっすけどありの巣のようになってるっす・・・通路ごとに一応、1番ルートみたいな感じで名前は着いているっすけど・・・すいません、中の事はそこまで詳しくないっす」
「それは中々厄介な場所ですね~、クラリアさんは何か知ってますか?」
「いえ、私もホルンとほぼ同じ知識ですわ」
「ふんふん・・・」
迷路のようなものを進む感じなのかと、悩んでいただ
「あっでも外の空気は感じ取れるっすから、道さえみつかれば出口へは案内できると思うっす」
「なるほど、それなら安心ですね。それにしても、ホルンさん優秀ですねー。ねえアル」
「えっそうっすか、恐縮っす」
「は?斥候なんだからそれぐらい出来るだろ」
アルのとげとげしさを失くそうと思って、話を振ってみたが・・・またもや失敗
「アル、どうしてホルンさんにそんなに冷たくするんですか?」
僕の質問に、気まずそうな笑顔を浮かべるホルン
「こいつが帝国側だからに決まってるだろ」
そしてアルの返答に肩を落とす
「じゃあクラリアさんは?」
そして次にクラリアの事を聞き、クラリアはぎょっと自分に話を振られたことに驚く顔をし
「・・・帝国側でも悪いやつばかりじゃないだろ」
アルの返答が、ホルンの時と矛盾しているような感じがして僕やクラリアは?マークだったが
「私も!おかしいっすよ!」
「は?クラリアは依頼の事を知らなかったって言ってたけどな、お前は最初から殺意を持って俺たちに近づいてきたんだろーが!」
「そ・・・それは・・・そうっすね」
アルは僕よりも警戒心が強い。その為にクリスの術中にかかっているとはいえ、本当に信用していない様子にホルンも事実の為言い返せず、気まずい中その話は終わった
◇
しばらく待つと、クリスとグリーンウッドが崖沿いからこちらの休憩スペースへと戻ってくる
クリスと喋りながら戻ってくる声色は、何か成果があったようなトーンだ
「おっどうだったウッド。人の手が入ってそうな場所はあったか?」
待てない男、アルがすぐに声を掛ける
「あぁ何カ所かな。ノエル君地図を開いてくれないか」
「はい」
グリーンウッドは一カ所だけでなく、見渡せる範囲で目星をつけてくれていたようだ
地図を出しながら、コンパスを頼りに方角を示す
「ふんふん・・・一応、こっちの北西が一番あたりっぽいか?」
「だと思うが・・・見えたのも木片のようなものだ、正直自信はない」
「木片のような物つっても、そんな物がある時点で結構あたりだろ。足場や柵に違いないだろうな」
「そうっすね、そう思うっす」
アルとグリーンウッド、ホルンが情報を共有しながら進路を決め始める
人工物以外にも、明かりが少し漏れているような箇所などもあったそうだが、外の明かり通路先にある魔鉱石の光なのか判別不可能な為、そのルートは消去された
3人の話を聞き終わり、グリーンウッドが見たという木片の方角を崖沿いへと見に行くことに
「どこですか?ブリンクで届く距離だといいのですが」
全てのMPを使って550mほどの距離しか進めない。この渓谷の中では550mなんてわずかな距離だ
指をさしながら、左斜め下の方へグリーンウッドは指さすが、流石に僕の視力では何も見えない。それに暗月のブローチもグリーンウッドに渡している為一寸先は闇だ
だが、幸運なことにブリンクで届く距離に木片がある道にたどり着けそうなようだった
「これならMPをほぼ使ってブリンクで行けそうです」
「そうか、なら早い事いこうぜ。無駄に時間くってるからな・・・帝国との戦争が今どうなってるか5日ほどの情報が何もないからな」
アルの5日という言葉と同時に、頭の中に知らない男の声が響いた
”なんだこれは、どうなっ”
独り言か会話の途中なのか知らないが、トランスワードをかき消した時の返事が返ってきた。それは龍の爪を閉じ込めていた場所な為、兵士の交代要員がみつけたのだろう
「おいノエルどうした?」
トランスワードに思慮していたため、アルに話を振られたため、クラリアにも一応捕まったという事を知らせておこう
「いえ、崖の上の詰め所にトランスワードを置いてたのが返信があったのですが、そこが龍の爪を閉じ込めていた場所からでした)
「へー・・・なんて聞こえたんだ?」
「なんだこれはって言ってましたね。トランスワードの魔法を知らなかったようで会話の途中か、かき消して消えた現象に思ったことが届いた感じです」
「そうか、まぁ空間魔法だからな。知らなくて正解だろ」
「はい、なので龍の爪は餓死は無くなったことをクラリアさんに教えようかと」
一応後輩と言っていたが・・・まぁ兵士は殺されていた為、それなりに罰は負うだろうな
「・・・はい」
クラリアは寂しそうに一言だけ返事をする
「一応、もう一つの詰め所のには返事が返ってきていないので、崖の帝国が掘った通路はうまく足止めできていそうですね」
「・・・そう思っても、そろそろ急がねーといけねーよな。攫われたやつらがどうなってるかわからねーからな」
「ですね、戦争に参加させられるなら、入れ違いになりかねませんからね」
グリーンウッドが見つけた通路は、正解の道だった。木材は柵に用いていたもので朽ちてはいたが、それが坑道だと示すものだった
人の手が加えられている通路は歩きやすく、焦る気持ちをそのまま受け止めるように洞窟の通路真っすぐ出口まで伸びていた
アルが立ち上がりながら、4人に声を掛ける。その傍らで椅子などをイベントリに入れながら自分もたちあがった
「この先どうなってるのか分かっているのですか?」
洞窟にいる間は休息に時間を当てたため、話し合いなどは一切行わなかった。僕とアルだけで情報共有を行いゆっくりとした時間を過ごしていたからだ
4人も僕に気を使ってか、声を掛けずに黙って休んでいた為に、クリスが質問した
「いや地図には載ってない。だがノエルから聞く限りじゃあ・・・クイーンは相当賢いらしいからな、俺たちが出てくるのをずっと待ってる可能性あるわけだしよ」
「遠回りになるかもしれませんが、やはりみんなを連れて逃げ切る自信がありません」
「なるほど・・・」
クリスは自分の落ち度のせいで、今の状況になっているという事を理解し、言葉には力が籠っていなかった
「あっアル君、いいっすか。私ここがどこに繋がってるか心当たりあるっす」
その時ホルンが、自信がありそうで言いながら自信を無くしているようなあやふやな感じでアルに進言した
「おっホルンばあさん、何だいってみろ」
「・・・地図見せて貰っていいっすか兄貴」
そしてアルの呼び名に一気に元気をなくす
「どうぞ」
机を出して、地図を広げる
そこから、ホルンは現在地を指さし洞窟が向かう先をコンパスで示しながら、恐らくここに行きつくという位置を示した
それは地図では鉱山地帯としめされている場所で、僕らが向かう予定の魔法国家から近すぎず遠すぎずの距離。
ハーピーに襲われなければ、直線で魔法国家にむかっていたが、この洞窟を進んでもさほど変わりはしない鉱山地帯への到着するのだという
「なんだ?そんな都合のいいことあるか?ばばあ俺たちを騙そうとしてねーか?」
「してないっす!ここの鉱山は無数のアリの巣のように張り巡らされた所っス!その中には自然にできた渓谷もあって、まだまだ未知の所っす」
「それがこことたまたま繋がってるってか?」
「そうっす!」
ホルンの言い分にアルは納得できていないようだが・・・僕は地図を見ながらホルンの言い分はありえそうだと思えてしまう
それはセイクリッドストーンのダンジョンを思い出していたからだ。自然にできた地下渓谷、その巨大な空間は山の中を張り巡らされていると安易に想像できた
ともあれ、ここがどこに繋がっていようが進むことには変わりがないため
ライトフローディングの光と松明の明かりを頼りに、薄暗い洞窟を進んでいく
人の手が入っていない為に歩き辛さがあり、ローブがとげとげしい岩にひっかかったりとあるが魔物の気配はアルやホルンさんからは感じないのだとか
広くなったり、かなり狭くなり人一人通るのに詰まる洞窟をすすむ
「行き止まりにはならないですね」
「兄貴、空気が淀んでいないっすから、どこかに繋がってはいるっすよ」
「おぉ、そういうの感じとれるんですね流石です」
「俺だって分かってるぜ、調子にのんなよ」
「う・・うぅ・・・」
アルはホルンに厳しい態度は変わらない様子のまま、洞窟を3時間ほど進んだだろう
悪路の為、すすみは悪いが、そこまで歩くと僕でも分かるぐらい、空気が少し変わったと分かった
「おっ開けてねーか?奥」
「っぽいですね」
奥にはキラキラと輝きが見せている。あれは魔鉱石の光だということが経験上分かる
僕が何個、魔鉱石を一人で採掘したか図りしれないからだ
「この空気・・・間違いないっす、鉱山とつながってるっす」
隣にいるホルンも、予想が確信に変わった様子で、力強いようすで鉱山だという
徐々に開けた場所に近づくにつれて、その鉱山の全容が見え始めていた
「やっぱ綺麗っすねー」
ホルンがそう呟くのと同時に僕も同じ思いを、心でつぶやいていた
そこには満天の星空、いや下にも光輝く魔鉱石がちらばり宇宙空間にいるような感じだ
それに魔鉱石は常に光り輝いているはずだが、なぜかここの鉱石は光のちらつきを見せている
それが余計に星のように見えて、ここの美しさを際立たせているのだろう
「なんで点滅してんだ?」
「ふふ、アル君はわからないっすか~」
先頭にいた僕とアル、ホルンさん。そこでアルも僕と同じようにちらつきが気になるようだ、だがホルンのいいぶりは答えをしっているかのようだった
「ノエル、こいつ落とせよ。で、泣いたら拾ってこいよ」
「!?兄貴!?それだけは勘弁っす!私斥候なのに高所恐怖症になっちゃうっす!」
「いやいやそんな事しませんから・・・ホルンさん、僕も点滅している理由知りたいです」
この不思議な現象に、僕も知りたい為にホルンに尋ねると
「ふっふっふ、いいですよこれは」
「うぉ!?何が飛んでいるんだ!?こんなにも」
後列のグリーンウッドが何か見えたみたいで、驚いた声をホルンと同時にあげると
「飛んでいる?あぁ光ってるんじゃなくて、何かが遮ってるのか」
アルの口に出したタイミングで僕も同じ答えに行きつき
「あぁ~・・・そうっすよ。リバーウイングが沢山飛んでいるっす」
したり顔で答えをいおうとしていたホルンは、先に答えを知られ少しがっかりとテンションを下げて、リバーウイングという、恐らく魔物の存在を教える
蝙蝠のような魔物で全長40cmほどだそうだ。一匹一匹は脅威ではないそうだが、かなりの数がひしめいている
徐々に洞窟の終わり、渓谷に差し掛かるが、断崖絶壁の崖にたどり着く
「ノエル見えるか?」
「う~ん・・・特に何もキラキラしているだけですね」
僕達がたどり着いた場所の渓谷は、セイクリッドストーンの5倍の広さはある空間だ
あっちは崖と崖との間が20~30mほどの亀裂のような場所だったが・・・ここ断崖絶壁のここから、向こう岸が100mは離れているようだ
「ホルンさん、ここがどこか分かります?」
「いや・・・えっと・・・わかんねっす」
「ちっ使えねーやつだな」
アルの言葉にいちいちしょんぼりとするホルン
後ろに続いてきたグリーンウッドたちも追いつき、崖沿いに着くと
「ウッド、何か見えるか?人の手が入ってそうな所とかよ」
「うん・・・どうだ・・・流石に暗すぎるからな」
目を凝らしながら見ているが、流石にこの広さで明かりは遠くに見える魔鉱石のちらつきのみ
アルは僕の方を見るため、恐らく暗月のブローチを貸せないかと目でいっているようだ
「グリーンウッドさん、これつけるとよく見えるので、少し失礼しますね」
「おっ・・・うん」
グリーンウッドも僕がやることに、さほど疑う事がなくなりすんなりと聞き入れて胸元にブローチをつけた
「おっおぉ・・・すごいなこれは。なんだこのアイテムは」
「それは後から教えてやるから、先に状況を把握してくれ」
暗月のブローチの性能に、グリーンウッドは歓喜の声をあげるがアルは詮索よりも探索を促す
「・・・そうだな」
そしてグリーンウッドもアルが話を流した事で、糸をくみ取ると周りを確認しはじめた
しばらく周囲を見渡すグリーンウッド。途中途中でちっと舌打ちをしたり、邪魔だなと呟いているのは跳んでいるリバーウイングが視界に入って邪魔をしているのだろう
「グリーンウッド、何かみえるかい?」
「・・・あぁ人工物らしきものが何か所かみえるが・・・確信はもてないな」
クリスと会話をしながら探る様子に、僕らは休息しながら待つことにする。クリスも特段役にはたてないようだが、失敗を取り返すために何かしようとしているらしい
そんなクリスに空回りだけはするなよと、心の中で思いながらも僕らはグリーンウッドに任せて休息に
「ホルンさん、もし道が見つかればそこからは一本道なんですか?」
椅子と軽食を出しながら、この先の事について話を聞いておく
アルも椅子に座ると、オーク肉をつまみながらホルンの話をそっぽを向いて聞く様子だ
「う~ん・・・さっきもいったっすけどありの巣のようになってるっす・・・通路ごとに一応、1番ルートみたいな感じで名前は着いているっすけど・・・すいません、中の事はそこまで詳しくないっす」
「それは中々厄介な場所ですね~、クラリアさんは何か知ってますか?」
「いえ、私もホルンとほぼ同じ知識ですわ」
「ふんふん・・・」
迷路のようなものを進む感じなのかと、悩んでいただ
「あっでも外の空気は感じ取れるっすから、道さえみつかれば出口へは案内できると思うっす」
「なるほど、それなら安心ですね。それにしても、ホルンさん優秀ですねー。ねえアル」
「えっそうっすか、恐縮っす」
「は?斥候なんだからそれぐらい出来るだろ」
アルのとげとげしさを失くそうと思って、話を振ってみたが・・・またもや失敗
「アル、どうしてホルンさんにそんなに冷たくするんですか?」
僕の質問に、気まずそうな笑顔を浮かべるホルン
「こいつが帝国側だからに決まってるだろ」
そしてアルの返答に肩を落とす
「じゃあクラリアさんは?」
そして次にクラリアの事を聞き、クラリアはぎょっと自分に話を振られたことに驚く顔をし
「・・・帝国側でも悪いやつばかりじゃないだろ」
アルの返答が、ホルンの時と矛盾しているような感じがして僕やクラリアは?マークだったが
「私も!おかしいっすよ!」
「は?クラリアは依頼の事を知らなかったって言ってたけどな、お前は最初から殺意を持って俺たちに近づいてきたんだろーが!」
「そ・・・それは・・・そうっすね」
アルは僕よりも警戒心が強い。その為にクリスの術中にかかっているとはいえ、本当に信用していない様子にホルンも事実の為言い返せず、気まずい中その話は終わった
◇
しばらく待つと、クリスとグリーンウッドが崖沿いからこちらの休憩スペースへと戻ってくる
クリスと喋りながら戻ってくる声色は、何か成果があったようなトーンだ
「おっどうだったウッド。人の手が入ってそうな場所はあったか?」
待てない男、アルがすぐに声を掛ける
「あぁ何カ所かな。ノエル君地図を開いてくれないか」
「はい」
グリーンウッドは一カ所だけでなく、見渡せる範囲で目星をつけてくれていたようだ
地図を出しながら、コンパスを頼りに方角を示す
「ふんふん・・・一応、こっちの北西が一番あたりっぽいか?」
「だと思うが・・・見えたのも木片のようなものだ、正直自信はない」
「木片のような物つっても、そんな物がある時点で結構あたりだろ。足場や柵に違いないだろうな」
「そうっすね、そう思うっす」
アルとグリーンウッド、ホルンが情報を共有しながら進路を決め始める
人工物以外にも、明かりが少し漏れているような箇所などもあったそうだが、外の明かり通路先にある魔鉱石の光なのか判別不可能な為、そのルートは消去された
3人の話を聞き終わり、グリーンウッドが見たという木片の方角を崖沿いへと見に行くことに
「どこですか?ブリンクで届く距離だといいのですが」
全てのMPを使って550mほどの距離しか進めない。この渓谷の中では550mなんてわずかな距離だ
指をさしながら、左斜め下の方へグリーンウッドは指さすが、流石に僕の視力では何も見えない。それに暗月のブローチもグリーンウッドに渡している為一寸先は闇だ
だが、幸運なことにブリンクで届く距離に木片がある道にたどり着けそうなようだった
「これならMPをほぼ使ってブリンクで行けそうです」
「そうか、なら早い事いこうぜ。無駄に時間くってるからな・・・帝国との戦争が今どうなってるか5日ほどの情報が何もないからな」
アルの5日という言葉と同時に、頭の中に知らない男の声が響いた
”なんだこれは、どうなっ”
独り言か会話の途中なのか知らないが、トランスワードをかき消した時の返事が返ってきた。それは龍の爪を閉じ込めていた場所な為、兵士の交代要員がみつけたのだろう
「おいノエルどうした?」
トランスワードに思慮していたため、アルに話を振られたため、クラリアにも一応捕まったという事を知らせておこう
「いえ、崖の上の詰め所にトランスワードを置いてたのが返信があったのですが、そこが龍の爪を閉じ込めていた場所からでした)
「へー・・・なんて聞こえたんだ?」
「なんだこれはって言ってましたね。トランスワードの魔法を知らなかったようで会話の途中か、かき消して消えた現象に思ったことが届いた感じです」
「そうか、まぁ空間魔法だからな。知らなくて正解だろ」
「はい、なので龍の爪は餓死は無くなったことをクラリアさんに教えようかと」
一応後輩と言っていたが・・・まぁ兵士は殺されていた為、それなりに罰は負うだろうな
「・・・はい」
クラリアは寂しそうに一言だけ返事をする
「一応、もう一つの詰め所のには返事が返ってきていないので、崖の帝国が掘った通路はうまく足止めできていそうですね」
「・・・そう思っても、そろそろ急がねーといけねーよな。攫われたやつらがどうなってるかわからねーからな」
「ですね、戦争に参加させられるなら、入れ違いになりかねませんからね」
グリーンウッドが見つけた通路は、正解の道だった。木材は柵に用いていたもので朽ちてはいたが、それが坑道だと示すものだった
人の手が加えられている通路は歩きやすく、焦る気持ちをそのまま受け止めるように洞窟の通路真っすぐ出口まで伸びていた
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アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊
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太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。
ユーヤのお気楽異世界転移
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死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
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