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第162話 僕たちとアル達

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ツリーハウスから出ると、その日にはサイシアールへとたどり着き、3日をへてセイクリッドストーンへと帰還した。

長いようだが、一か月にまとまった内容だった

セイクリッドストーンにつき、その足で僕らの達成報告をした。サーヤさん達は王都で報告予定となっているが、地図の情報を提供していた

地図のコピーみたいなものギルドがしているようで、恐らくコピーができるのもアーティファクトか何かなのだろうなと様子をみていた

「ノエル君、シスレーさん、ありがとうございました」

「お疲れ様でした、僕もすごくいい経験ができました」

「うちもです」

「またノエルに依頼だそうぜ!なっサーヤ!」

「私もそうしたいけど、ノエル君達は祝福でも重要な人達って今回で分かったわ・・・そう簡単に依頼が出しちゃ悪いわ」

「そりゃそうだけどよー、楽しかったよな!」

「それはもちろんですよ」

一か月も一緒で、すこし名残惜しいが、ティア達とも早く会いたい

「じゃあ今回はお疲れ様でした。あっサーヤさん達、まだ岩街います?明日にでも僕らの拠点にきませんか?ほらアンナさんと一緒に手に入れた武器とかドロップ品全部、僕が持ってますし、サーヤさんアルに会いたいですよね?」

「おっいくいく!サーヤが行かなくても私はいくぜ!」

「えっ・・・いいのかしら」

「いいですよ、ねえシスレー?」

「う~ん、いいんじゃない?アル君達も依頼にでてないといいけど」

「あっでしたね。明日のお昼ごろにサーヤさん達が泊まる宿に、アルが居てもいなくても行きますね」

「やりー!武器早くみたかったんだけど、お預けだったもんな!」

「なあノエル君、俺もいってもいいのか・・・?」

「もちろんですよ、サリアもいると思いますし。お疲れ様会をしましょう。デックスさんやガナートさんもお疲れでなければ来てくださいね」

「おう、ありがとな」

「うん、遠慮なくいかせてもらうよ」

積もる話もあったが、ダンジョン帰りだった。サイシアールからは馬車移動だったがそれなりにみんなゆっくりしたいはずだったから、僕らはそこで一度解散になり、湿地ダンジョンの依頼を終わらせたのだった

「シスレー、一か月ぶりですね」

「だねー・・・なんか長かったね」

「疲れました?」

「少しね、今日はゆっくり寝よっと」

家の前にたどり着いた時には日が暮れていたが、拠点には明かりがついていた

「ただいまー!」

「もどりましたー」

元気よく扉を開けたシスレーに、パタパタと歩いてくるティア

「おかえりー!」

シスレーとティアはハグをして、久しぶりの再会をしている

「おかえり」

その後ろからサリアも顔をのぞかせて、アルもだるそうに歩いてきていた

「アル、戻りましたよ」

「おう、無事でなによりだ」

「木漏れ日もみんな無事です」

「そうか」

そっけない態度だが、顔は少し口角をあげている

ティアに引っ張られるように、リビングに行き、やっと落ち着けるのだ

「明日木漏れ日の人達、呼んで少しお疲れ様会をしますね」

「え!?」

「ふ~ん、サーヤもくるのか?」

サリアの声とアルの言葉が混じるが、アルに返事をする

「きますよ、アルにはお願い事もあるので」

ユベル子爵にお酒を返して貰わないといけないのだ

「お願い事?めんどくせー事たのむなよ?」

「別に僕のお願い事じゃなくて、サーヤさんからなので、嫌なら断ればいいんじゃないですか?」

「ふ~ん、なら明日聞けばいいか。そんな事より、ダンジョンの事教えてくれよ」

「いいですよ、でも僕お風呂とか先に行きたいので後ででしますね」

「あっうちも入りたい!」

「じゃあ先どうぞ、お湯だけ貯めますよ」

「えー、一緒に入ればいいじゃん」

「はい罰金!これ懐かしいよ!」

ティアも嬉しそうにしている

「一か月離れてましたからね~、僕らが居ない間、アル達がどんな風に過ごしてたかも聞きたいですよ」

「私ね、ノエル君かシスレーがいないと暇!」

「そうなんですか?それも後で聞かせてくださいよ。じゃあシスレーお風呂いれるので先どうぞ」

「一緒にいこっ!アル君達も早くダンジョンの話ききたいでしょ?」

「だな!さっさとはいってこいよ!5分な!」

「短っ!?」

「ほらいくよー」

家の中はリコールがなくても綺麗になっていた為、恐らくサリアとティアが綺麗にしてくれているのだろう

お風呂も掃除され、洗濯物も一日分しかなさそうな為、みんなリコールがなくても生活力はありそうだった

「はぁーーー、気持ちいいー!」

「ですねー・・・」

雨に打たれ続け、湿地の水の中を歩き回っていた為、この温かいお風呂が癒される

ゆっくりとお風呂に入ると、サリアが食事を用意してくれていた為にテーブルに料理が広げられていた

ナタリーも孤児院から僕らが帰ってきたことを聞き、拠点に戻ってきていた

「ナタリー戻りました」

「二人ともご無事でなによりですわ」

「久しぶりのサリアさんの食事!」

「ですね!」

お風呂のちょっとの間に、何品も並んでいるのがとても嬉しい

「なに?私が作ったの食べれてないの?」

「ですね!木漏れ日の人達の物資が尽きた後は、一緒に食事してましたからねー」

「ふ~ん・・・Cランクなのに聞いてあきれるわね」

少し棘のある言い方は恐らくサーヤさんに対しての言葉だろう

「食べよ食べよ!」

「はい、いただきます!」

「おい、食いながらダンジョンの事おしえてくれよ」

焼いた肉に手を取り、すぐに咀嚼し飲み込む。はぁ~こういうのも食べれてなかったなー、美味しい

「モグモグ、いいですよ。なにが聞きたいですか」

「そりゃ1から10まで全てだろ!」

「えー、それは長くなりそうだよー。ねえ私も暇だったのきいてー」

「あっ私もサーヤとかいう魔女がどんな風だったのか聞きたいわ」

積もる話は木漏れ日だけでなく、祝福のみんなもあるようだ

「お前ら、ダンジョンの話が先だろ!」

「えー明日、木漏れ日の人達がくるんだったらそっちから聞きなよ~」

「私は今作戦を練っておきたいのですわ」

作戦・・・?サリアは何か対抗しようと考えているのだろうか

「アルにあとでゆっくりとお話しますよ、色々手に入れてますからそれを見せながらの方がわかりやすいですよ」

「だよな!ダンジョン産とかぜったいやばいだろ!」

「それに湿地のダンジョンは、洞窟じゃなくて遺跡っぽい感じでした。軍議室の裏に武器庫なんかもあって丸ごととってきましたよ」

「おいおいおい!はやくみせろ!」

「モグモグ、だからあとでゆっくりと・・・これでも先に読んで待っててくださいよ」

書物を2冊ほどとシスレーがあいた時間にダンジョンの概要の地図ではなく、ダンジョンの様子が分かる絵を渡すと

「まじかよ!?古代遺跡じゃねーか!」

その二つを受け取ると、ソファにどかっと座り絵を眺めていた

「やっとゆっくり食べれますね~、やっぱりサリアの食事は美味しいですね」

「だね!野営の雰囲気もいいけど、やっぱりこれって感じ!」

「そう、ありがとう。ところで明日、木漏れ日の方達がくるって話なのよね?」

「ですね、手に入れた物品は僕が持っているのでそれを分けたり、お疲れ様会もかねてです。でもサーヤというアルの恋人の女性しか空間魔法の事は知らないので、みなさんお願いしますね」

「へー、なんでサーヤさんは知ってるの?」

「レイスと戦った時に、仕方なくでしたね。でも魔法使いで、知的な女性なので信用にたる方です」

「おい!今レイスっていったか!?」

「知的・・・ぐぬぬぬ・・・」

「アル、うるさいですわ。何時からいらっしゃるの?」

「一応、お昼ごろに僕が迎えに行く予定ですよ」

「お昼ね・・・私今から下ごしらえするわ!」

「えっ、サリア大丈夫ですよ。食事はサリアが作ってくれたものがいくつも残っているので」

「ううん!これは女の勝負なの!」

「はぁ・・・そうですか、美味しいもの期待してます」

何かやる気になったサリアだが、まぁ作ってくれるなら文句なんてなく、そっとしておこうと思う

「ティアちゃん達は何か依頼受けたの?」

「ウェールズ湖近くの、メイビスの花の採取とポラット村への護衛したよ」

「・・・それ二つだけ?」

「うん」

ポラット村?どこだっけ?

「全然仕事してないじゃん!ナタリーちゃん!」

「わたくしは教会が忙しくて・・・そっちはアルに任せていましたので・・・」

「ポラット村ってどこでしたっけ?」

「ここから王都に行くまでにある村!片道2日の場所!」

「ウェールズ湖は片道1日ということは・・・えぇ!?全然仕事してないじゃないですか!?」

「ちょっと色々あったのー」

僕らは30日、ほぼフルに働き続けたのに!

「アル!全然依頼受けてないじゃないですか!」

今だシスレーの絵を真剣に隅から隅まで眺めているアルに問い詰める

「はぁ?お前、ふてくされたティアを2回も依頼に連れて行ったんだ、逆に褒めろよ・・・、俺とサリアで他にもう3件いってんだからよ」

そういうと、また絵に戻る

「えっ」

思っていたこととは別で、アルとサリアは別に働いていたようだ。そう思うと・・・アルごめんよ怒鳴ってしまって

「ティアちゃんどんだけ根にもってるの!?」

「だってずるいもん!」

「ティア・・・今度は一緒にダンジョン行きましょうね。リビングアーマーの射手と戦った時にティアがいてくれたらと思ったので」

「うん!絶対いくよ!」

「こんなぐうたらなエルフに甘くすることないよ!」

「えーん、ノエルくーん、シスレーが厳しい~」

「・・・シスレー、ティアもダンジョン行きたかったので・・・」

「はい?」

シスレーの目はへびの目だった

「・・・ティア、僕らがいなくてももう少し働いた方がいいかと・・・」

「次からそうするよー」

「ノエルさんも大変ですわね・・・」

食事も終わり他愛ない会話をしている横で、トントントンとリズミカルな包丁の音が絶えずなっている

「あっサリア、夜風のホルドさんしってますよね?」

「えっ、懐かしい名前ね」

「今、木漏れ日に入っていまして、一緒にダンジョンに行きましたよ。明日一緒にきますよ」

「えぇ・・・」

嫌な顔を隠そうとしない様子

「その様子だと・・・」

「苦手なのよ・・・」

「だと思ったー」

シスレーが失礼にもそう思っていたようだ

「どんな人なの?」

「普通の人ですよね?シュッとしてて神官の男性です」

「う~ん・・・まぁそんな感じ」

「なんでサリアは苦手なの?」

「なんか過保護というか・・・目つきとか・・・全部にがて・・」

可哀そうだが・・・うん、ホルドさん明日来ない方がいいんじゃないかな

それだけいうとまた、止めていた手を動かし、サリアは料理作りに戻った

「おい、飯くったならそろそろダンジョンの話をしてくれよ。レイスと戦ったんだろ!」

「そうですね、レイスと・・・あっ宝箱まだあけてないですよシスレー!」

「あっそうだったね!うちも仕事中だからずっと我慢してたんだよね!」

レイスの間で手に入れた宝箱、中々チャンスが無く開けることが出来ずにズルズルと後回しにしていた為に忘れていたのだ

「宝箱!?」

イベントリから宝箱を取り出す

薄暗い部屋でみた宝箱とは少し、想像と違い普通の木でできた宝箱だった

「シスレーあけてていいですよ」

「うん!」

サリアもまた手を止めて、宝箱の周りにきていた

軽そうな上蓋をグイっとあげると、中にスキルブックが2冊

「はぁ~・・・本かよ、ノエルのことだからまたアーティファクトかと思ったのによ」

「私も~、これどこで手に入れたの?」

「レイスが居た部屋にありましたよ」

「ナタリーちゃんこれなんのスキルブック?」

シスレーが、ナタリーに本を拾い上げると

「はい・・・クレセントソードとアイスピラーですわ」

クレセントソード?

「あら?シスレーさん底に何かありますわ」

「え?あっほんとうだ」

ナタリーにスキルブックを受け取り、使えるかどうか調べようとした時にシスレーが宝箱から小さなベルを取り出した

「なんだそれは?」

「ベルだよね?」

カランカランとベルを揺らして鳴らしているが、特段いい音色というわけでもない

「店主に何か鑑定してもらいましょう」

「そうだね、はい」

シスレーからベルを受け取り、イベントリへ。スキルブックのクレセントソードは僕には使えないみたいで、シスレーに渡すと背表紙の文字が光っていた

「これ使っていいの?」

「いいですよ、僕使えないですし」

「そっか、ありがとー」

パラパラとめくり始めたシスレー

「はぁー、アーティファクトなら俺が貰う約束だったのによ」

「あぁそんな約束してましたね。ベルだってアーティファクトかもしれませんよ」

「・・・ありえるのか?」

「どうでしょうか、ないとは言い切れませんよ」

「そうか、じゃあ他に手に入れた物もみせてくれよ」

「はい!」

ダンジョンで意味なく拾い集めた物を、シスレーの複写した地図をもとにアル達に説明していくが。シスレーとティア、ナタリーはそうそうに別の話を始め、サリアは料理をつづけた

僕は熱心にきいてくるアルに、細かに説明したり、どんな風に戦ったのかを話していく

「おい、それでどうしたんだ」

「サーヤさんとガナートさんの上級魔法が複合されて、大きなストームが部屋に埋め尽くされてましたよ!」

「流石だなサーヤは!」

「部屋にいたリビングメイル5体はあっという間に氷漬けになって、消滅してましたね」

「やっぱ魔法使いって派手だよな~」

終わることのないダンジョンでの話はアルにはうけていて、こういうところで男と女の熱量の違いが分かれ、祝福の男が僕だけでなくてよかったと思うのだった
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