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第151話 ホラーハウスの探索

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「ノエルくーん、おまたせー」

シスレー達がルートをまとめあげると、出発の合図となりまた僕は先頭のシスレーの横へと並ぶ

「次はここから見えるあの建物に入るみたいだよ」

「ふんふん、本当に全部調査するつもりなんですね」

「うん、そこが終わったら今日は撤収するらしいから、頑張ろう」

「はい」

階段を下り、大きな教会?議事堂?のような建物の内部に足を踏み入れることになった

両開きのドアをデックスさんとアンナさんが開くと、少しドアからほこりが落ちてきた

中は暗く、窓がないのか入口以外から光が差し込んでいなかった

「ノエル君」

「はい、ライトフローディング」

生活魔法のライトを遠くに飛ばし、停滞させておくことができる光魔法

光の玉が建物内へと進んでいく、そこまで光源が強いわけではないが薄暗いほどにはなり目が慣れると見えるだろう

シスレーは暗月のブローチをつけているため、よく見えているのか四方をキョロキョロとみて観察していた

「サーヤ、たいまつに火頼むぜ」

「ノエル君、ランタンお願い」

光源の準備をし、中に踏み入れる事になったが・・・正直ホラーハウスだ。目が慣れてきて建物内を見渡せるようになったから感じることだった

入口からすぐに大きなホールのような広い空間に天井は吹き抜けになっている、奥には左右から2階へ上がる階段が伸び2階で一つになったのが見える

その階段を昇る前にもドアがあり、その横には奇妙な彫像が不気味にたっていた

それでもこの部屋がホラーハウスだと思わせるのは、階段を昇った先に大きく掲げられている肖像画の絵だった。

誰を描いたのか分からないが、女性が椅子に座り、その隣に寄り添うにたたずむ男性。二人とも顔の目と口がある部分がくりぬかれていた

それを見た瞬間、一瞬声をあげそうになったが我慢できた自分をほめてやりたい

「うぉ!?なんだよあれ!?」

そしてみんなも目が慣れたようで、口々にこの部屋の異様な雰囲気に声をあげた

「なぁサーヤここはいいだろ!なにもねーよ」

「駄目よアンナ、調査が仕事なのだから、ここを探索しないと調査漏れになるわ」

「いや他のやつらが調査するって!ほんとここやめよーぜ!頼む!」

アンナさんはこういうホラー系が苦手なのかな?でもここゴーストでるダンジョンなのに大丈夫なのだろうか

「アンナ、先ほど身勝手な行動でシスレーさんに迷惑かけて、またここでもわがまま言うつもりなのかしら?」

「いや・・・そうじゃねーよ・・・」

サーヤさんにお叱りを受けて、しぶしぶ入口近くで渋っていたアンナさんも足を踏み入れた

「どうしますか」

「そうね・・・まずは1階を調べましょうか。右側の扉から行きましょう」

「はい」

シスレーとサーヤさんはいたって冷静にいるため逆になぜ平気なのかと、不気味に思う

「の、のえる・・・怖いだろ、側にいてやるからこっちこいよ」

「えっ、大丈夫ですよ。隊列は崩さない方がいいと思います」

「そんな事いうなよ・・・大丈夫だって」

意外なギャップもあるもんだと思っていると

「アンナさん、俺一応神官なんでそういう類は人より効き辛いっすよ」

「へ、そ、そうかよ・・・じゃあホルドお前を守ってやるかわりに側にいてやるわ」

アンナさんは最後尾、ホルドさんはその前にいるために訳のわからない理屈でホルドさんの服の裾を掴んでいた

ホルドさんも満更でもなさそうな様子に、僕はホルドさんを応援していたことが馬鹿らしく思い、またデックスさんも面白くなさそうだった

「はぁ・・・シスレーさん行きましょう」

サーヤさんはアンナさんにため息をつくと、探索が始まった

建物内には正面には絨毯のような物が階段へまっすぐと伸びているが、どこか染みのようなものできており不気味さをます

「あっ、とまって!」

シスレーが右手を顔の位置まであげて、止まれの合図をだす

少し詰まりながらも、止まるとシスレーはかがみ、壁の端へと歩いていくと何かゴソゴソと動いた後に

「もう大丈夫です。罠がありましたが解除しました」

「おぉ流石シスレー・・・それなんですか?」

手に何か持ってきているので聞いてみると

「釘爆弾だね、糸が張ってあってその糸に足を引っかけるとこのピンが抜けて爆発する簡単な仕組みのやつがあったの」

「・・・つまりそれはダンジョン製ではなさそう?」

「そういうことだね」

「じゃあここにその仕掛けたやつらがいる可能性も?」

「あるけど、今回はないかな。物音も聞こえないし、入口に人が数日出入りした様子もなかったでしょ?」

確かにドアを開けると埃が落ちてきていた

「なるほど」

「お、おいシスレー、ノエル、罠が解除できたんなら進もうぜ・・・こんなとこで考察も必要ないだろ」

アンナさんから声が掛かり、先ほどよりも少し気を付けながらすすみ右奥側の扉前へとたどり着いた

「・・・罠は無さそうですが、さきほどの釘爆弾がきになるので皆さんは離れていてください」

シスレーがそういうと、みなシスレーの言う通りに4歩ほど下がり

「ノエル君も危ないよ」

「僕はとさっさに動ける自信があるので」

「・・・そっか頼りにしてるよ」

(バリア)

シスレーにバリアを張り、シスレーはドアノブに手をかけた・・・

カチャリと回し、ゆっくりとドアを開きながら

「あっ・・・やっぱりある」

少し開いたぐらいでシスレーはそう呟いた

「罠ですか?」

「うん、さっきのと同じ感じで扉ひらいたら爆発するようになってるよ、う~ん・・・」

シスレーは細い短剣をドアの隙間にいれて、スッと糸を切る動作のあと

「・・・こっちはダミーか」

またそう呟きしゃがみ足元へ先ほどと同じ仕草をした

2重トラップ・・・これ罠の知識なかったら初見だとくらいそうだなと思ってしまう・・・ゲームだと覚えゲーとされているような感じだが・・・実際罠にかかり覚えながら進むなんて事は不可能だ

「解除できました」

そういいながら、シスレーはドアを開けていく

「ライトフローディング」

中は8畳ほどのリビングのような雰囲気の部屋だ。ソファに壁には本棚、机にと窓もなければ出口もない

「特段何もなさそうですね」

「そうね・・・次の部屋へ行きましょう」

特に中を探索することなく外から見るだけにとどまり、別の部屋へ。でも僕は足元の釘爆弾だけはちゃんと回収した

ここも先ほどと同様の罠が設置されており、シスレーは簡単に解除すると右側と同じ作りだった為ここも中から見るだけにとどまった

「へ・・・な、なにもねーな。もういいんじゃねーか?」

「だめよ、まだ2階があるじゃない」

「くっそ・・・おいホルドもっと近くにいろよ!」

「あっうっす!」

2階への階段を昇るが、ギシギシと不気味な音を鳴らす

階段の登った先、肖像画の下に一つの大きな扉だ

扉の前までくると少しひんやりとした感覚がした

その感覚が他の人も感じているものだと思っていたが、感覚の鋭いシスレーが何も言わずにドアを調べて開けようとしていた為

気のせい?と自分を疑い、言葉にしなかった

「鍵掛かってますね・・・」

「開けれそうにないんですか?」

いつも宝箱をすんなりと開けていた為、シスレーはどんな鍵でもあけれると思っていたが

「ちょっと見たことない鍵穴だから時間かかるかも・・・どこかに鍵があると思うから探した方がよさそう」

「そうですか・・・下の部屋に鍵があるかもしれないわね。手分けしてさがしましょう。デックス、ホルド、アンナ、ガナート右側を。私とシスレーさん、ノエル君で左を探すわ」

「おう、了解だ」

「お・・・おい、おい・・・別れることないだろ・・・一緒に探せばいいじゃねーか」

「アンナ、ほらいくよ。こんなことで時間くってるとかえれなくなるよ」

アンナさんはガナートに引っ張られていくが、右手をホルドさんを掴み、左手をガナートさんが握ってくれているので逆に安心しているように階段をおりていった

「私達も行きましょう」

「はい」

先ほど足をふみいれなかった部屋と逆戻りになり、確認する作業へと

「うちここの本棚をしらべますね」

「私はここの机の引き出しから調べていくわ」

2人とも自分が怪しいと思った場所を調べ始めた様子に

「じゃあ僕は・・・中央のソファを」

そういいながら、真ん中の机とソファを調べることに

ソファは皮で出来ているのか、材質もよくフカフカとしている2人掛けの長さだ

それを4方向から机を囲むように設置されている

全てイベントリにいれてから、イベントリ内で探す方が早いのになと思いながら、ソファの下や、背もたれと腰掛ける部分の隙間を調べ

「おーい、あったぞー」

20分ほど探索し、右側にいたデックスさんの声がした為

「正解はあちらでしたか、私達もいきましょう」

「はい」

サーヤさんが、先に扉を出ていくのを確認し、中にある本棚、ソファ、机をイベントリへ収納を手早くし帰ってゆっくりと明るい所で確認しようと思っての行動だった

「えっ」

シスレーが僕のやった光景をみてしまい、思わず声がもれてしまったが

人差し指を立てて、口元にもっていき、しーっとジェスチャーをすると

「どうかしたのかしら?」

「いえ、大丈夫です」

サーヤさんがシスレーの声にきずいて外から声を掛けられたが、平常にかえすと

僕達も小部屋から出た

その時シスレーに口パクで”なにしてるの”とすごい形相で言われたが・・・アルなら褒めてくれるのに・・・と思う

階段をデックスさん達は右側から登り始めていた為に、僕らも続いてもう一度2階へ。先ほどと同様に2階へ上るとひんやりとした感覚に包まれた

「おそらくこれだよな、シスレーちゃん開けていいのか?」

「はい、罠はなさそうです。鍵がかかっていたので内側にも罠は無いと思います」

デックスさんがカギを持っていた為に、そのまま鍵穴へ鍵を差し込みカチャリと回す

ゆっくりと両開きの片側を押して開けていく

「真っ暗だな」

暗すぎて何も見えない、漆黒の世界だった

「ライトフローディング」

浮遊する光の玉が、中央で停滞すると部屋の様子が徐々にわかり始めた

中央の奥には祭壇のような物があるが、何を祭っているのか分からず、部屋には布が掛けられているマネキンの様な物が何個かと背の低いチェスト、本棚と倉庫のような本来とは違った使われ方をしていそうだなというのが感想だった

「ヒッ・・ここもなにもねーな・・・もういいだろでよーぜ」

「いえ、何か通路になる道などがあったら困るから探索するわ」

「そうですね、鍵がある部屋に誰かしら罠を仕掛けていたので、何かはありそうですね」

「そういうことだアンナ、行くぞ」

「もう少し明るくしますので、行きましょうアンナさん。ライトフローディング」

ライトフローディングは同時に2個まで発動できる為、全ての光をこの部屋に集結させた

「お・・・これなら・・・」

デックスさんの順番で、部屋の中へいき各自調査となった。部屋は入ってみると大きく感じダンスホールのような広さがあった

僕は祭壇が気になるが、サーヤさんやデックスさんも同じように思っている事から僕はシスレーと一緒に本棚周辺の確認に

「ねえ、なんでさっきイベントリでしまったの!」

小声でだが怒られる

「じっくりみたいので・・・ここの物も持って帰りますよ」

「えぇ!?」

「だって、こんな本とか見たことありませんもん」

そういいながら手に取った本をイベントリへ入れていく

「・・・いいのかな、う~ん・・・おかいしいよね絶対・・・」

「シスレー、宝箱や魔物がドロップした物だけが取得品じゃないですよ」

「えっ・・・う~ん・・・」

シスレーが隣で悩んでいる横で次々に本をイベントリへ

「あっシスレーほら」

手に取った一冊をシスレーに見せると

「なに?あっスキルブックだ」

僕が今もっている為、背表紙が光っているおかげで直ぐにスキルブックだと分かる

「これはシスレーだったら持って帰ります?」

「もちろん」

「ほら一緒じゃないですか」

「う~ん・・・そうかぁ・・・」

少し僕の強引な説得にスキルブックの影響もあり、納得しだしている様子だ

本棚の中身を全てイベントリへしまい終わる時に、またひんやりとした感覚が僕を襲った。今回は先ほどと比べてひんやりというよりも、少し寒いと思えるぐらいに感じる

「うん?寒い・・・みなさんゴーストがどこかにいますよ!」

シスレーも寒さを感じた次の瞬間に、ゴーストが接敵していると知らせた

えっ、このひんやりとした感覚ってゴーストだったんだと、魔物が近くにいるということよりも僕はそちらの方が気になっていた

今部屋の位置状況は、左奥の本棚に僕とシスレー。真ん中の奥の祭壇に、デックスさんとサーヤさん。部屋の中央右よりにアンナさん、ホルドさん、ガナートさんが布がかぶせられていたであろう鎧を調べていた

シスレーの言葉を聞くと、ガナートさん達がサーヤさんのいる奥の中央へ固まるように集まってくるが

「ちょ・・ちょっとまってく、くれよ」

常にへっぴり腰だったアンナさんは、咄嗟のことに腰を抜かした様子に動けずにいた

「アンナ、早くしろ!上にいるぞ!」

デックスさんの声で僕もアンナさんから視線を外し、上をみると。中央の天井の壁をスッ通り過ぎてくるように現れたゴースト。

赤色の人魂がふわふわと浮き、それを中心に周りを薄いモヤのような物が人の形をかたどっている

無機質、無表情の顔のない雰囲気にホーク火山で出会ったゴーレムを思い出させられ、不気味に思う

「う、うわっ・・・やめ、うぐぐが」

「アンナさん!いかなきゃ!」

「シスレー!」

その人魂はアンナさんの方へすっと降りていき何かの攻撃を仕掛けている様子に、シスレーとホルドさんが同時にアンナさんの方へ助けにいこうと走り出した

僕はシスレーを追い

「ディプルシールド!」

ホルドさんが何かのスキルを使用し、アンナさんの方へもどっていく

「まって!ホルド!」

「サーヤ、私がやるよアイスアロー!」

サーヤさんが走っていくホルドさんに声を掛けると同時に、ガナートさんが先手をうつように、アイスショットよりも格段に速い氷の矢をゴーストへ放った

ゴーストは左手に当たる部分を氷の矢が抜けていくと、雲の中に光が抜けていくかの様に、左手を形どったもやは散り散りになるように消え去ったのが見えた

ゴーストに顔自体がなく表情なんてなかったが、ガナートさんの攻撃で明らかに怒った様子が手に取るようにわかる

ゴーストはアンナさんへ向いていた顔を、ガナートさんや僕らがいるこちらに顔を向けると危険察知が働き

「シスレー!」

シスレーの手を掴み、咄嗟にこちらに引き寄せるとそのまま勢いのまま2人して倒れた

ゴーストはホルドさんや僕らを通り越し一気に飛んで駆け抜ける。その時黒いモヤのようなものがゴーストの通り道に残像の様なものとして残っていた

「狙われているぞ、ガナート!」

僕が倒れた時に聞いたのはデックスさんの言葉だった

黒いモヤに気をとられている間に

「ノエル君!」

「はい!」

シスレーに声をかけられ、後方を確認するとデックスさんとサーヤさんは地面に伏せて、ガナートさんは立ったままの状態で目の前にゴーストがいる状態でとまっていた

「アンナさん!ディスペル!」

ホルドさんが解呪の呪文を唱えているのが聞こえ、自分も何の為に今回呼ばれたのだとゴーストを倒すのだと気合をいれる

「アンナさんはうちらが見るから!ノエル君おねがい!」

「任せてください!」

倒れている状態から起き上がると、ゴーストに向き直る

ガナートさんはその場で立ち尽くしているが、アンナさん同様にピクピクと小刻みに痙攣し口から泡をはいている様子だった

「アゾールフラッシュ!」

中級の光属性魔法。白の光の小さな礫がショットガンのように散らばり飛んでいく対アンデッド用の魔法だ

パララララと煌めきながら飛ぶその礫は、この薄暗い部屋の中での使用は天の川のような見た目に、攻撃の魔法なのかと思うほど綺麗な物だ

光魔法は生者には影響がないものが多く、これも生身の人に対してはノーダメージの為、ガナートさんの正面にいるゴーストに対してフレンドリーファイアを気にせずに使用した

光の礫がゴーストの体を通り抜けていくと、ゴーストに無数の穴が空いて行く

ゴーストは顔のない、もう穴だらけの頭と呼べるものか分からない物をこちらにむけると

キーンっと耳鳴りのような音が聞こえ、頭にガンガンと響いてきた

「うっ」

その感じたことのない頭痛に、膝をついてしまう

「えっ大丈夫!?」

微かに隣にいるシスレーの声が聞こえるが、シスレーの声がかき消されるほどの耳鳴りだ

左手で大丈夫だとジェスチャーし

頭痛に耐えながら、光の礫を出し続けると人型を形成させているであろう、中心の人魂から炎が消えて空中から魔石が落ちるのを確認すると同時に、耳鳴りもゆっくりときえた

「はぁ・・・」

余韻の影響か、耳元ではまだキーンとなっている様に感じ、頭もじんわりと痛いのだが先ほどと比べ物にならないほど楽になっていた

「大丈夫!?どうしたの!」

「えっ耳鳴りと頭痛が・・・シスレーは大丈夫ですか?」

「うん、うちは大丈夫だよ」

隣にいるシスレーには効いてないことから、範囲攻撃ではないのかと思ったが・・・僕らの側にいたホルドさんも倒れている為、シスレーにだけ効いて無さそうだった

「シスレー、これをホルドさんに・・・ちょっと僕はすぐに動け無さそうです」

「うん」

シスレーに護符を1枚渡すと、シスレーは倒れているホルドさんへ護符をあてがっている

僕も水筒から、水を飲み、チョコレートを一かけら食べると気分を落ち着かせることに

ゴースト、思ったよりも厄介な敵にサーヤさんが魔法使いのメンバーを増やしたのも納得だった

ゴーストの攻撃が範囲攻撃のようである以上、メンバーは多いに越したことはない。それに攻撃を喰らえばほぼ無力化されてしまう危険なやつだった

シスレーが護符をホルドさんに使うと、アンナさんを順に呪いを解呪していき事なきを得たようで、全員起き上がり体の外傷を確認している

シスレーが僕がゴーストを倒したと説明しているようで、僕も頭痛の余韻もなくなり立ち上がるとゴーストの魔石を拾いサーヤさん達のもとへ

「・・・すみません、俺が勝手な行動を・・・」

「いやホルド、あんたはアンナを助けにいったんだ。原因は私だみんなすまない!私が狙いを外したばっかりに」

戦略としてはゴーストはホルドさんが呪いを防ぎ、魔法で中心の人魂を貫けば倒せる算段だった。思った以上に人魂が小さく、ゆらゆらと動いていた。それにアンナさんが襲われており、狙う暇なく撃った為に確実に仕留めきれなかったようだ

「私もその後に援護できず申し訳ないわ・・・」

木漏れ日全員、みなが役目を全うできなかったという反省をすると僕らに向き直り

「ノエル君シスレーさん、また助けて貰って・・・こんなふがいないCランクでごめんなさい」

「すまねえ坊主!シスレーちゃん!」

「回復役の俺が倒れたらどうしようもないよな・・・悪い」

全員から謝られるのだ。責任感みんな強いなと思うのが僕の感想だった

そこから作戦を再度共有するように、ゴーストにどう対処するかというのを再確認をした。今回は奇襲と不足の事態だった為に起きたことだった

ゴースト自体はDランクの魔物と聞いていたが、木漏れ日も相対するのは初めてといっていた為にこういう事も起こるのだと当たり前だが、きずかされる出来事だった

気を取り直すかのように、サーヤさんがパチンと手を叩き

「探索を続けましょう」

その言葉で探索を再開したが、木漏れ日は5人集まって近場を調査していた

「シスレー、すぐに動くのもいいですが・・・もう少し考えて動いてくださいよ・・・」

「ふふごめんね、でも助けてくれてありがとう」

この笑顔で僕は全てを許してしまうのだろうなと思ってしまう

「もう・・・、それとなんでシスレーだけ呪いが効かなかったのでしょうか」

「う~ん・・・呪いがどんな状態なのか分からないけど、このおかげとか?」

シスレーは、腰のポーチからキャシーさんがくれたかまぼこ板を取り出した

「お守り?効果あるならすごいですね」

「うん・・・でも、そうなら本当にキャシーさんが呪術師で呪い耐性の装備を作れるってことにもなるんだよね」

「あっ・・・そうですね・・・」

僕らはその後は黙って、この部屋の探索を続け特に何も他に続くルートなどを見つけるでもなく、この建物の探索を終えることにしたのだった

去り際に、目立たないように部屋にあるものはイベントリへそっとしまい、階段を降りる時には最後尾をキープしブリンクで右側のデックスさん達がカギを拾った部屋に行くと、左同様にもぬけの殻にしシスレーの後ろへと戻った

薄暗いこの建物のおかげと早くでようと急かすアンナさんのおかげで、サーヤさん達にはバレずに済んだ

シスレーにはバレているため、ジトっとした目で見られるも、僕の満足気の顔をみるとはぁーっとため息をはくだけだった

ホラーハウスから出ると、アンナさんは先ほどと打って変わり、ホルドさんをぱっと放すと伸び伸びとストレッチをはじめ

「みんなわるかった!」

元気よく謝られ、少しホルドさんは名残惜しそうに、デックスさんはほっとしていた

「後でまたアンナに話があるから今は謝罪だけうけとるわ。ここからだと1時間もあればここのセーフティーエリアに着くから、地上ではなく今日はそこを目指しましょう」

「・・・もう謝ったじゃねーかよ」

予定を変更し、シスレーが持っている地図の大きく正方形のように開かれた場所がセーフティーエリアになっているようだ

シスレーとサーヤさんが軽くこの建物の調査内容をメモ書きすると

「ではシスレーさんお願いします」

「はい、いこっか」

「はい」

来た道の階段を引き返すように登っていくようだ

上を見上げながら歩くと、下だけでなく上にも別の場所から階段が伸び、このダンジョンの全容を把握しようと思うと何年かかるのだろうと気が遠くなる話のように感じた

少し登り通路に出ると、そこから真っすぐ歩き、突き当りに大きなドアの前にたどりついた
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