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第148話 思わぬ繋がり②

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「あれが湿地のダンジョンっぽいね」

「ですね、また不思議な・・・」

サイシアール同様のほこらがデンっと湿地帯の中にというか、そこにポンっと置いたような感じにある

すでに日が暮れているため、そのほこら周りには無数の焚火がたかれている事からダンジョンに備えて野宿をしているのか、出てきて休んでいるのか10PTはいるようだ

「どこかいい場所ないかしら」

やはり祠を背にみな野営場所を作っている為、入口近くやほこら周りはすでに埋まっている

それに湿地帯の為、沼や水たまりもある為にいい場所を探すのにも苦労しそうだ

「どうするよ、全然あいてねーぞ」

「もう歩き疲れてんだ、どこでもいいだろ」

「そうもいかないわ、安全確保は一番重要な事項よ」

ダンジョン近くにつきウロウロしていたが、いい場所が開いてないことでデックスさん、アンナさん、サーヤさんは意見を言い出し立ち止まると、ホルドさんは地面にしゃがみこみ、ガナートさんは静かに話が終わるのを待った

「ノエル君、ほらいつもの運でいい場所探してよ」

「そんな適当な・・・僕だって巨石を出せば簡単に解決できますけど、それが出来ないじゃないですか」

周りには何PTもいる為、そんな目立った事もできるはずもなく僕らもサーヤさん達の話が終わるのを待つしかなかった

僕らがサーヤさんの会話を終わるのをたたずんで待っていると

「おっ祝福の魔法使いか?それと短剣の姉ちゃんだな」

「あっこんばんは、奇遇ですね」

「こんばんはー」

以前サイシアールの調査で一緒だった、夜空のロールさんだった

「祝福もダンジョンか?」

「いえ、今回僕とシスレーだけ木漏れ日に臨時で入ってるんですよ」

「そうか、お前さんの魔法は強いからスカウトするのも分かるな。それであのどんくさサーヤと鼻たれデックスは何してんだ?」

「どんくさサーヤ?鼻たれデックス・・・えっと、野営場所が決まらないので話あってるんですよ」

ロールさんがデックスさん達の事を知っている風で気になるが、先に要件を話すと

「ふ~ん、俺たちの場所少し貸してやろうか?」

「えっいいんですか?」

「あぁフェリニカもいるからお前に少しでも恩返しできるとなったら喜んで提供するだろ」

「あっフェリニカさんももう夜空の一員でしたね。ありがとうございます!じゃあすぐにサーヤさんに声かけますよ」

今だ言い合いのような話し合いをしている3人に、ロールさんを引き連れていくと

「よお、どんくさと鼻たれ」

先ほどの形容詞だけでロールさんは挨拶をすると

「えっロールさん!?」

「ロール先輩!?」

2人もすぐにロールさんの言葉に反応し、襟を正すわけではないがデックスさんは背筋を伸ばした

「夜空の野営場所を少し分けてくれるそうですよ」

「おう、俺たちはこの坊主に借りがあるからな。困ってんだろこいよ」

「別に借りというわけではないですが、お言葉に甘えませんか?」

「いいのですか?」

「先輩に借りって、にいちゃん何したんだよ」

「細かいことは気にすんなよ、ほらこいよ。坊主こっちだぜ」

「ありがとうございます、みなさんついて行きましょう」

ホルドさんもやっと休めるのかと、意気揚々に立ち上がり

「ノエル、やっぱお前流石だな」

アンナさんは嬉しそうに肩を組んでくるのに対して

「ちょっとアンナさん!近いですよ!」

「別にこのぐらいいいじゃねーか。堅いこと言うなよシスレー」

今日の出来事で二人は仲良くなったかと思ったが、そう簡単には行かない様子のままロールさんについて行く

ロールさんがむかっている場所は、祠に近づいていく様子にいい場所を確保できているんだなと思うと

「おい、みんな少し片づけて場所わけてやってくれねーか。場所がなくてこまってんだとよ」

祠の右隣の場所に、夜空の野営地があったようでかなりいい場所をキープしていた

焚火を囲いテントが2個立っている場所にロールさんは声を掛けると

「あっノエル君!」

「フェリニカさんこんばんは、すいませんお邪魔する形で」

「おっフェリニカ姉、久しぶりだな!」

「なに?アンナも一緒なわけ?」

焚火を囲っている4人のうち、一人のフェリニカさんがすぐに気が付いてくれた。それにフェリニカさんはアンナさんと知り合いのようだ

「困ってるって、祝福探したちってことじゃないの?」

「いや、祝福はノエルの坊主とこっちの嬢ちゃんだけだな。あとは木漏れ日だぜ」

僕が説明する前に、ロールさんが僕らは今臨時で木漏れ日に入っていると伝えてくれ、そこからサーヤさんとが説明する形になり

夜空が建てていたテントを一つ寄せて、木漏れ日のテントを一つ立てさせてもらう事が出来たのだ

「なんでノエルの坊主は今回、木漏れ日にはいってんだ?」

テントも立て終わり食事という事になった時に、特段自己紹介などなくロールさんが

「先ほどお話した通り、サーヤさんからダンジョンに潜る際に魔法使いを探していると依頼されたので。ロールさんはいつからサーヤさん達とお知り合いで?」

「本当に戦力としてスカウトされたのか。あぁあいつらは元夜空だぞ」

「えぇ!?そうなんですか」

「あぁあいつらが冒険者の新人の時に困っていたから、腰抜けスローグ、どんくさサーヤ、鼻たれデックスの3人同じ時期に入って来たんだぜ」

「ちょっとロールさん!」

「ロール先輩!それはもう昔の話じゃないっすか!」

「ほぉ・・・その形容詞が全く想像できませんね・・・」

「おっ気になるか?いいぜ話してやるよ!」

「やめてくださいよ!」

「いいじゃねーかサーヤ、私も聞きたいぜガハハ」

今のサーヤさん達とはかけ離れた、あだなにアンナさんも興味深々のようだが

「何笑ってんだい、アンナ。あんたもチビリアンナって呼ばれてただろ」

「ちょちょっとフェリニカ姉、それはなしだって!」

アンナさんにも昔のことがあるようで、こちらも聞くのが楽しそうだ

「シスレー、みんな昔はああいうあだ名があるんですね。シスレーはなんて呼ばれてました?」

「うち~?特にないかなー・・・しいっていえば、お絵かきシスレーってそのまんま」

「ふふ可愛らしいですね。僕だとなんでしょうか?」

「ノエル君は~、ばけものノエルか冷酷ノエル、あっ無機質ノエルなんかもいいんじゃないかな!」

「・・・シスレーって本当に僕のこと好きなんですか」

少しひどいと思っていたシスレーだが、シスレーでさえこういう風に思うってことはアルやナタリーに聞いたらもっと酷いことを言われそうだなと思ったので、この話を振るのは今後やめようとう決めたのだった

やはりCランクといえど、みな新人や若手の時期があった事は変わらず、僕やシスレーだけでなくホルドさんにも、サーヤさんやデックスさん、アンナさんの昔話は僕達の為になる話だった

「でもよ、サーヤとデックスが今はもうCランクとはな~・・・時間が経つのははえーな」

「ロール、私も同じこと思ってるさ。このアンナがCランクでそれも有望株の木漏れ日に入ってるなんてね」

「へへ、フェリニカ姉。それは私の実力さ」

「何言ってんだい」

パシンと頭を叩かれるアンナさん。

「ロール先輩、それは先輩の教えがよかったからですぜ」

「ガハハ、そりゃそうだろ。でも今や俺たちを抜かしてBランクに近い存在と言われてんだろ」

アルも初めての依頼で、木漏れ日の事をそんな風にいっているなと思い出す

「・・・それはスローグがいた時だけですね」

「そうか、スローグは・・・わりいな」

スローグさんはブレッド村の護衛の時に盗賊に襲われて殺されてしまっていた。Bランクに近いと言われていた中心人物を木漏れ日は失っていた

「いえ、冒険者なので仕方のないことでした・・・。私もその時命の危険があった時に、ノエル君に助けてもらいました」

サーヤさんは話を変えるように、ブレッド村で僕達が盗賊を倒した時の話をすると

「そうか、俺たちだけでなくサーヤ達も助けて貰ってたとはな!ノエルの坊主、俺からも遅いが礼をさせてくれ」

「いえいえ、僕だけじゃなくてリーダーのアルフレッドもいましたから」

話が僕に振られて恥ずかしくなってしまい、アルの名前を出して逃げようと思ったが

「あっフェリニカ姉!私もノエルに助けて貰ったんだぜ!2度も!」

「なにあんた自慢げにいってるのさ!ごめんねノエル君、私の弟子が迷惑かけたみたいで」

「いっいえいえ、アンナさんもいた時はこちらがご迷惑をおかけしたのと、その時もアルフレッドが一緒にいたからでして」

アンナさんのせいでまた僕に話が向いてそうな事に、必死にアルの名前を強調するが

「ウェッジコート討伐隊の時に、私とデックス、アンナはまとめて助けて貰ってます」

サーヤさんはウェッジコート討伐隊の時のことを話ししだし

「ほー・・・俺たちもそうだよな、あの時祝福の特にノエルの坊主がいなかったらフェリニカなんて危なかっただろ」

「そうね、命の恩人ねノエル君は」

デックスさん達もサイシアールでの僕らの話を木漏れ日のメンバーへ聞かせた

「フェリニカ姉だってノエルに迷惑かけてるじゃんかよ!」

「うるさいアンナ!」

僕が所々でやったことはどれもアルについて行ってやったり、小さな事だったが、まとめて言われたら何か大きな事をしている様に言われ、でも間違っていない事に訂正もできず恥ずかしさにシスレーに助けを求めるようにシスレーの方を向くが・・・

シスレーは自分が褒められているかのように、嬉しそうにみんなの話を聞いていた

一通り、僕の話も落ち着きを見せてロールさんやサーヤさんは昔話に花を咲かせ始めたようだ。僕とシスレー達も別に会話に加わるでもなく、話を聞いていた

「サーヤとデックスはもうくっついたのか?」

「え?」

「こふっロールさんそれはないですわ」

「おっそうなんか?お前らいつかはくっつくだろうと持ってたがな、なぁメイン」

「あぁ」

夜空の射手のメインさん、口数も少なく特段喋っていなかったが、この人もサーヤさんやデックスさんの事を昔から知っている様子だった

「ロールの旦那!サーヤは祝福のアルフレッドとくっついてるぜ」

「ちょっとアンナ」

「おっそうなのか。あいつはいい男だったからな・・・デックス相手が悪かったな」

「いや・・・別に俺はサーヤを狙ったことなんてないっすよ」

「そうよ、デックスはアンナに夢中ですわ」

「あら?いいじゃないアンナ」

「やめてくれよフェリニカ姉。私はノエルみたいなのが好きなの知ってるだろ」

「あんたにノエル君は勿体ないわ」

そんなCランクPT同士の恋愛事情も聴くことになり、こういう話をしているときのデックスさんはなんとも居心地の悪そうな雰囲気に見ていていたたまれない

隣にいるシスレーもアンナさんの言葉だけに反応し、僕の腕をつねるのをやめて欲しい

ある程度食事と昔話なども終わると、休息にはいるのだが、テントが1つしかない為見張りも考慮し2班ごとの休息となる

僕とシスレーは先に見張りにいるが、周りにも冒険者が沢山野営をしている様子から魔物の心配はなさそうだ。あるのは盗賊ぐらいだろうが、この人数だ、ほぼその可能性も少なそうだ

「ロールさん達はここのダンジョンにずっといるんですか?」

「俺たちか?そうだな・・・今回だともう3日目か?ここまでにくるのにも一苦労だからな、後2.3日はいる予定だぞ」

「ふんふん・・・結構攻略が難しいのでしょうか」

「だな、道も入り組んでるしよ。罠なんて他のPTが無駄に作動してたらよ、その間通れなくて時間食うわ、大変だぞ」

このダンジョンは見つかったばかりだと聞いているために、ダンジョンの中の詳しい地図なんかはまだ出回っていなかった。その為の木漏れ日の依頼でもある。それに今現在で回りにこれだけ人がいるのだ、よそのPTの事情も考慮すると大変だなと思われる

それでも何PTかは宝箱や魔物を倒しアーティファクトなどを手に入れていると聞いているためにこぞってこのダンジョンに人が押し寄せているのだろう

「夜空は攻略目的でこのダンジョンへ?」

「だな。道中の魔物もいい物落とすから、期間内に攻略出来なかったら諦めて帰るつもりだ」

「まだ攻略者はいないんですよね。ダンジョンは何をもって攻略とされているんですか?」

「そうだな、ダンジョン内にあるダンジョンの源のコアを破壊したり、そこの親玉を倒したりとかまちまちだよな」

「ふんふん・・・?」

「えっとね、サイシアールだと恐らくコアがあるよね。ホーク火山だと岩窟龍の討伐、岩街のダンジョンは・・・攻略ってものは無さそうだよね」

僕が悩んでいると、シスレーが僕が知っている物を例にあげて教えてくれる

「だな、姉ちゃんの説明通りだな」

「じゃあここはコアがあるダンジョンってことですかね?」

「そうだろうな、魔物が一定期間に勝手に現れるってことだからな」

「なるほど・・・つまり罠も一定期間に勝手に生成されると」

「おう、物分かりがはえーじゃねーか」

ダンジョンでも種類があるのだと分かり、恐らく僕の認識のダンジョンはサイシアールやここの湿地のダンジョンなのだと思えた

「坊主たち、ここに来る前に湿地にある木の上の野営地に泊まったか?」

「はい、泊まりましたよ」

「なんかおかしな事なかったか?」

少し話が変わり、ロールさんはそんな事を真剣な表情で聞いてくる

「う~ん・・・ぼくらは特に、ですよねシスレー?」

「そうですね、何か気になることでもあったんですか?」

おかしな事と言われ、大きな質問だった為とくに思い浮かばなかったのだが

「そうか・・・いやな、あの野営地を使ったやつらが呪いによくかかってるみたいなんだよ。現にフェリニカとメインがあそこに泊まった翌日呪いにかかっててよ」

ロールさんからのその話に、僕らも思い当たる節があった

「あっそれならデックスさんも呪いにかかってましたよ!」

「やっぱそうかよ、ここにいる周りのPTの連中も何人かあそこに泊まって呪いに掛かっててよ」

「なるほど・・・」

「このダンジョンも呪いをかけてくるゴーストがいてよ、護符が足りてねーやつらが多いんだよな」

「・・・誰かが意図して呪いを撒いて、ダンジョンの攻略を邪魔しようとしてるってことでしょうか」

シスレーがロールさんにそう質問する

「よく分からねーが、そうみんな思うよな。だから坊主たちも気をつけろよ、ここの野営地でも寝ている間に呪いに掛かってるみたいだからな」

「えっ・・・物騒ですね」

「まぁ俺たちのPTは神官がいるから平気だけどな。神官を連れていないPTは護符頼みになっちまうからよ。おっもう交代の時間か、じゃあな坊主たち」

ロールさんは交代でテントに潜って行ってしまい、僕らも休息になった

呪いの流行と、ツリーハウスだけでなくこの野営地でも呪いが広まっているということで、呪術師という人達が僕らのすぐそばにいるのではないかという事が頭によぎったのだった
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