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第138話 嵐のように

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僕らのポートランド旅行はあっという間の出来事だった

楽しい時間は過ぎるのも早いと思っていたが、きずいたら家に到着していた

帰りは陸路だったのだが、岩街へ護衛の依頼が丁度あった為、よそのPTと合同で帰ったため盗賊に襲われることなく安全な道のりだった

よそのPTもミードさんがいれば一気にうちとけ、楽しい道中となった

そんなお気楽の道中から約1っか月ぶりの我が家となった。暑さは8月に入り更にましている季節、5時頃というのに日はまだ高い

アルとサリアは護衛の依頼報告でギルドへ向かい、ナタリーは真っ先に孤児院へ向かった

「ふー・・・楽しかったけど、やっぱり家って落ち着くー」

ティアは帰って早々にソファに寝転び、続いてシスレーもすぐに腰掛けた

「うちもー、でも楽しかったね」

「ですねー」

「私もこんなのんびりしたの久しぶりだー、いい休暇になったなー」

ミードさんも慣れたように椅子に座ると

「こんないい思い出来るのは、私達が一緒だからなんだからね。ミード感謝するべきよ」

「だねー、ノエル君ありがとうございました」

「えっ、いえいえ。僕もミードさんが一緒で道中も楽しく過ごせましたよ」

「なんでノエル君だけにお礼いってるの!」

「今回の旅行で祝福探しの資金源はほぼ全てノエル君だってわかったからね~」

「ティアちゃん仕方ないよ、事実そうなんだから」

「くぅーー、ミードの癖に生意気ー」

旅の帰りはいつもあり合わせの食材や、作り置きの物だ。それらを並べてアル達の帰りを待つ間に子供達へのお土産を配りに

今回自分の自由時間はほぼ無かった・・・アル、ティア、サリア、ナタリー、シスレー全員に買い物を付き合わされれば7泊6日なんてあっというまだ。それにみんなにお小遣いをあげたせいで買い物時間も長かった

みんなに付き合いながらも、自分の欲しい物は少しは物色できていたが少し物足りない気はしていた。それでも、ティアやナタリーが満足そうにしてくれていたので今回はこれでよかったと思える

お土産を配り終えて拠点へ戻ると、アル達も戻り席について食事を始めていた

「おかえりー、ナタリーはこっちこないの?」

「はい、今日は子供達と夕食を一緒にするそうなのであちらにも、食事を広げてきました」

シスレーの横に座り、自分も食事をとりながら談笑していると

「ちょっと食べながら、祝福の歌聞いてくれる?一応ある程度かたまったんだよね」

「おっいいな!」

「あっじゃあナタリーや子供達呼んできますよ!」

ミードさんがなぜ、一緒にいる事を忘れかけていた時に、ちゃんと歌はつくっていたようだ

子供達もミードさんの新曲を披露してくれるということで、ワクワク顔で拠点に集合した

ガヤガヤした雰囲気も、ミードさんがリュートをひとなでするとみんな黙って聞く体制へ

ミードさんは草原の狩人のようなケルト音楽調の曲に、アルが主役の歌を披露

その手汗握る冒険譚にその先を知っていてもワクワクするように聞き入った

パチパチパチ

ミードさんが歌い終わると、僕より先にティアが拍手をしていた。恐らくティアはミードさんの一番のファンだと思う

子供達もアルの冒険譚にアルをすごいすごいとほめたたえ

「・・・わるくねーな」

「ですね!よかったです!」

「私もでているなんて感激ね」

「ですわね、少し恥ずかしいですが」

「ミードのくせによかったよ」

「気に入って貰えてよかったよ、じゃあこれでアルフレッドの許可もらったってことでいい?」

「おう」

「ありがとう。あともう一曲あるんだけど、こっちはシスレーちゃんとノエル君の話なんだよね~」

「うちらですか?」

「へー聞きたーい」

「えっ・・・」

そしてまたミードさんは歌を歌い始めたが・・・曲調がかわりおとぎ話のようなリズミカルな雰囲気に

僕とシスレーの歌というよりも、シスレーが主人公の話だった・・・相手を僕でなく賢者のように話を作りぼやかしているが・・・こっちはリアリティより物語調になっていた

起承転結があり情景も浮かんでくる

めでたしめでたしというのがしっくりくる終わり方をし

ひと際大きく拍手をするサリアと子供達

「こっちも自信作なんだけどどうだった?」

「感動しましたわ!私はミードさんのファンになりますわ!」

「うん、うちが話たままに歌ってくれうれしいです!」

「おとぎ話のようで子供達も喜んでおりますわ」

「ミードそういうのも歌えたんだ」

みんな大絶賛をしている様子に、困惑する僕

面白いと思うが、自分を題材にしているのかと思うとこっぱずかしい。ただ歌われているのを僕だというのも知らない人からしたら何妄想いってんだと馬鹿にされそうなほど、歌の中の自分は活躍していた

「ノエル君はどうだった?君だと分からない様に書いてみたけど」

「そうですね・・・確かに僕とは分かりませんが・・・」

「ノエル!これはいい歌よ!認めなさい!」

「そうだよー折角ミードさんが作ってくれたんだから」

「ククク、俺も歌になってんだ。お前も譲るんだな」

「アルは有名になりたいかもしれませんが・・・僕は別に・・・」

「ミードの歌なんていっぱいあるのにほとんど埋もれてるんだから、流行らないかもしれないよ」

「一応今の歌の題名は、泉の乙女だよ」

「泉の乙女だってうち!ノエル君お願い!」

・・・いいのだろうか・・・これで有名になって転生者狩りに誰かこないか心配だが・・・みんな楽しそうだから水を差したくなく許可をだしてしまった

ミードさんの演奏会が終わり、子供達は帰っていくと

そこから即興でミードさんは冒険譚とは別に、即興で一人一人の特徴を捉えた歌を歌い出した

ポートランドでメモしていたのはこっちかと、納得できる内容でアルがゲイ説を疑っていた内容がかなり僕にはまりこっちを広めるべきだと言うと、サリアに引っ叩かれたのだ

ミードさんのおかげで帰っても楽しいひと時を感じ、旅の疲れもありみんな寝静まった頃にミードさんは起き上がり出ていく準備をし、玄関をでていった

僕も同じように後ろをついていくと

「君は疲れてないんだね」

「そんな事ないですが、見送りはしたかったので」

「そうかい・・・ねぇ君ってヒューマンじゃないの分かってるの?」

「え?」

ミードさんのいきなりの質問にかなり同様してしまう

「それは何に驚いているのか分からないけど、ディティマールって言葉をしらべてみなよ答えが分かるから。それとゴッドレスってのもね」

「それはどういう」

「まぁ君たちとはまた会う気がするからね、アルフレッド達の寿命が尽きる前にまた会おう。それまで歌を広めておくからさ」

聞きたいことが山ほどあるが、後ろからティアも起きてきた様子にミードさんは早口で

「じゃあ私はいくよ、ティアドロップが泣き虫に戻らないうちにね」

そう言い残し嵐のようにミードさんは僕らの前から去っていった

「いっちゃったんだね」

「はい」

ティアはミードさんの事を邪険にしていたが、ずっと二人ポートランドでは一緒に行動していた。隣から聞こえる鼻をすする音も少し風邪を引いたに違いない

「ミードさん、また逢えそうですね。次会った時、僕が長距離テレポート覚えてたらPTに入ってもらいましょうよ」

「スン、えー・・・鬱陶しいだけだよ・・スン」

「でも歌聞けますよ」

「そこだけスン、悪くないかもね」

ミードさんはいつから僕がディティマールだと気づいていたのだろうか。ティアと違い、世界を渡り歩いている為僕以外のディティマールと出会っている可能性は大いにあったが、みんなの前でそれを言う事なくひっそりと僕だけに教えてくれたのはミードさんの優しさだ

それにゴッドレスという言葉は初めて聞いたために、少し気になる。転生者以外にディティマール、いやデミゴッドがこの世界にいるのだろうか・・・不老長寿は何年生きるのだろう・・・マーリンさんはディティマールかハイエルフとほぼ確定だが何年生きたのだろう・・・

今まで気にも留めてなかったことが気になり始め、僕の中でさび付いていた歯車が大きく動き出したように感じた
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