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第69話 ぼっちにしないで

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10月の後半になり、周りの街や村最後の作物の収穫時期となっている頃

僕達PT鉱山ではほとんど収穫がなくなってしまい、日帰りや1泊の遠征ではお金を稼げなくなっていた

アルが3度目のPT招集を今夜行う予定となっていた

「みんな集まったな」

いつも通りリビングに集合し、定位置の場所へ座る

「冬の準備の為、ギルドが今年最後だろうと思える調達依頼が沢山でていた。俺たちも最後の稼ぎ時だろうから受けるぞ」

「はい、ノエル君と同じチームで!」

「ティア!抜け駆けはよくありませんわ」

「うちは前回一緒だったので、一番相性がいいです!」

もう女性達は断ることをしなくなって、より環境がいい方を選んでいるようだ

「どんな依頼があったんですか?」

「ギルドの物資の輸送の護衛依頼だな。セイクリッドストーンは食料がとれないが、周りは収穫蔡やっていたりするからな。今回も2PTに分ける、一つは近場で一つは遠征で金になるほうだ。もちろんノエルは遠征組なのは決めている」

アルは前回の依頼でバランスを保つために、何かと一応考えていたようだが

「なぜ僕だけ決まっているのでしょうか!」

「仕方ねーだろ!そうでもしないともめるんだよ!」

・・・アルの気苦労をさとり僕も飲み込むことに

「近場と遠征ってどんな感じの依頼なの?」

「あぁ説明するから聞いてくれよ」

近場は隣町で片道1日で行ける村や町を、2~3個受ける

遠征は片道1週間ほどの距離を行く依頼

「これを聞いてどっちがいいかあるか?」

「それなら私は近場かな」

「わたくしも近場を希望しますわ」

「う~んうちはどっちでもいいかも」

アルの作戦は成功したようで、今回は勝手に綺麗に分かれたようだ

「そうなると、ティアとナタリーはEランクだから、俺とシスレーどっちかが残ることになるか」

「遠征ってどこ行く予定?」

「あぁフレッシュ村か、ポートランドのどっちかの予定だ」

「ポートランドってどんなとこですか?」

「東にある港街だな、セイクリッドストーン付近にある川を渡った先にあるんだぜ」

「おぉ!港町ってことは魚ですか」

「メインはそうだろうが、その周辺には野菜なんかも育てているとこもあるぜ」

「はい!ポートランドいきます!残りは勝手に来てめていてください!僕はこれから3日間ほどダンジョンに潜って資金を稼いできます」

僕は拠点を飛び出して、物資の準備をするのだった

店主の倉庫へ押し入って帰った頃にはメンバーが決まっていたようで、僕とアルの二人のようだった

「あっアルなんですね、てっきりシスレーかと思ってました」

「うちがよかった?」

「そりゃアルなんかより美女のほうが、旅行は楽しいですよ」

「そっか、でも残念。アル君は実績をつみたいようだから」

「はぁ~アルか~」

僕のがっかりするような反応をみながら

「こいつこんな反応してるけど、俺が死にそうになったら必死な顔して助けてくれるんだぜ」

「そりゃそうでしょ!」

「そんな怒んなよ」

「・・・いつ出発する予定ですか?僕は先ほど言った通り資金を稼いでいきたいのですが」

「いやわけわかんねーわ・・・まぁ明日依頼うけてからだな、俺たち以外にも他のPTがいるだろうからな」

「そうですか・・・一応明日から2泊ぐらいでダンジョン潜ってきますので、顔合わせとか打ち合わせ任せていいですか?」

「・・・一人だけずりーぞ、その稼いだ金くれんのか?」

「えっいつもみんなの胃袋に入ってますよね?そんな事いうなら逆に打ち合わせに行ってみんなには何もしてあげませんよ」

心外な事を言われ反論してみたところ

「ちょっとアル!ノエル君にあやまってよ!打ち合わせぐらいリーダーなんだから一人で行ってよ!」

「そうですわ!ノエルさんのお土産を子供達はいつも楽しみにしてよろこんでくれますのに!」

「やっぱうちと行くノエル君?こんな心ない人だと思わなかったよ」

思わぬところから援護がはいってきた

「じょ冗談じゃねーかよ・・・最近ノエルに甘すぎだろお前ら」

「このPTが裕福な暮らしができるのはノエル君にかかってるんだから!」

最後のティアの発言は、なんか釈然としないが一応みんなは資金調達に賛成してくれたみたいだ

「ノエル、俺の部屋で細かな事教えてやるから行こうぜ、ここじゃヤジが多すぎる」

「はい」

「じゃあなそっちのリーダーはシスレーだ。護衛じゃなくて討伐依頼でもいいからな、少なくても2~3件ほどこなすように計画たててくれよ」

「えーうち?ティアちゃんやナタリーちゃんの方がいいんじゃないの?」

「いえシスレーでいいと思いますわ」

「うんうん任せるよー」

「では、ポートランドで何か欲しいものがあるならメモしといてくださいね」

3人から離れアルの部屋へ

「はいれよ」

「おじゃましまーす・・・」

引っ越した当初の殺風景の部屋のままだった。あるのはベッドと机といすにタンス。壁には剣と盾と鎧をかけただけの部屋だった

「何もないですね、逆に冒険者の鏡ですね」

「まぁな、いつここを離れるかわからねーからな」

「ヘー、アルはそういう事考えてたんですね」

「サイシアールがああなったんだ、何が起こるかわからねーからな」

アルはやはり貴族を目指しているだけあって、ここに定着するつもりはないようでそれが少し寂しい

「何の打ち合わせするんですか?」

「いや打ち合わせってわけじゃねーが・・・ほら、前シスレーと二人でいっただろ?その時に・・・」

「その時なんです?」

「いや、あれだよ武器かってやっただろ、火のナイフ」

「あぁティアに買ってあげた後に約束してましたからね」

「頼む!俺にもいい武器があればかってくれよ!」

「いいですよ、ポートランドって武器有名なんですか?」

「いいのか!?ポートランドは王国の玄関なんだよ、いろんな国からくる物資なども揃ってる。珍しい武器なんかもあるかもしれねーんだよ」

「ほー、それはスキルブックもってことですか?」

「あぁそうだ!」

「なるほど・・・これはかなり貯めて行かないと損ですね」

中級魔法以上もあれば空間魔法でなくても金貨10枚は自分用にほしい、アルに金貨10枚、お土産用に金貨5枚ほどか・・・なんとななるかな・・・

「よし、護衛の打ち合わせはまかせとけ!頼むぜノエル」

「いつもそんなに優しければいいのに」

打ち合わせも何も頼み事だったのだ、ものの5分で終わり上機嫌で部屋を追い出された

すぐにリビングに戻ると、3人は話し合っているので邪魔にならないように自分の部屋へ行こうかな

「あれもうおわったの?」

「はい、打ち合わせじゃなくて頼み事でした。シスレーとティアが羨ましかったようです」

「ふふそれをばらしたら、アル君の部屋にいった意味ないね」

「ナタリーも欲しいものあったら言ってくださいね」

「いえ、わたくしは教会もいただいて十分満足しておりますわ。ありがとうございます」

「謙虚!?僕としてナタリーに何かしてあげたくなりますよ!お土産きたいしてくださいね!」

やっぱ僕はこういう人に何かしてあげたくなるのだ

次の日から2泊3日で、昼夜問わずいつもより深い場所まで潜り鉱石を採ったのだ

金貨28枚は溜まり、全財産は金貨60枚ほどとなった。今回の旅資金は貯めれたようだ

メルさんに防寒用のローブを作ってもらい、金貨30枚が今回の旅資金と決めて、ルンルンで家に帰ることにしたのだ

「もどりましたー」

「おかえり」

「おかえりー」

リビングにはティアとシスレーだ

なんだかんだでこの二人は仲が良く、たまに一緒に出掛けているのを見かける

「二人とも食事はすみました?」

「ごめんねさっき食べて帰ってきたとこなんだ」

「そうですか、アルはどこか行ってます?」

「部屋だと思うよ」

「分かりました」

アルの部屋の前にいき、コンコンとノックをしながら

「アルー、戻りましたよー」

アルの部屋のドアが開き

「おーう、戻ったか」

「はい、晩御飯たべました?食べてないなら依頼の事とか聞きながらご飯食べたいんですが」

「おう、外にでも食いに行くか」

「久しぶりに馬車馬の集いいきましょうよ」

「いいな!着替えるからまっててくれ」

リビングに戻り、アルを待つことに

「もう打ち合わせおわったのー?」

「いえ、今から馬車馬の集いにご飯食べに行くのでそこで聞きますよ」

「あっうちも結局ポートランドに行くことになったから、行くー」

「そうなんですか?ならティアも行きませんか?」

「いくいくー!」

「じゃあナタリーにも声を掛けてくるので、みんな準備していてください」

ナタリーも行くということで、住み込みのドンダゴさんに留守を頼み久しぶりにPT全員で食事となった

拠点から馬車馬の集いは徒歩15分ほどなので丁度いい距離だ。店に着くとのテーブル席に座り、みんな思い思いのお酒を注文し、僕とアルだけがっつり食事メニューを注文した

「それじゃあ乾杯だな」

「かんぱーい」
「いえーい」
「かんぱい」
「おつかれさまです」

豪快に一気に飲むアル、一口飲んですぐに置くナタリー、様々な飲み方をしている様子に久しぶりさを感じる

「久しぶりだな、全員で食事って」

「だねーいつもノエル君だけいないこと多いんだよね」

「ですわね」

「確かにノエル君と個別はよくあるけど、みんないるときだいたい居ないよね」

それを聞いて僕はのけ者にされているのかと初めて知ったのだ

「えぇ!?なんでみんなして僕をのけ者に・・・もしかして4人でよく食事にもでていたんですか?」

「よくじゃねーが週に1回あるかないかだな。のけ者ってお前がいつも家にいねーんじゃねーかよ」

「うんうん声を掛けるけどいないんだよね」

「いつもどこ行ってるの?」

「だよな、朝から出て行って帰ってくるのは夜の寝る時間まで何してんだよ」

「何って基本決まってますよ。メルさんの所手伝ったり、ターナー先生のとこてつだったり、店主と一緒に露店をひらいたり、ナタリーの教会手伝ったり、外で魔法の練習したり、ダンジョンでお金稼いだり、絵をかいてみたり時間はいくらあっても足りないですよ。逆にみんなのオフ日をききたいのですが」

僕は自分でいうのも何だが、この世界にきてすごい働き者だった。でもすごい楽しいのだ、ほとんど責任がない仕事ばかりだからだろう

僕の事を話して、誰も返事がない

「え?なんで無視するんですか?アルはオフ日なにしてます?」

「あぁー・・・」

「え?ティアは?」

「アハハ・・・」

「・・・シスレーは?」

「いやぁ対したことしてないから」

「なんで教えてくれないんですか?ナタリーはどうですか?」

「わたくしは孤児院を・・・」

「え?僕は答えたのに、みんな教えてくれないんですか?」

またのけ者かと思っていたが

「ノエル、オフ日はな休息だからみんな何もしてねーんだよ。それでもお前は働いているっていうから答え辛くなったじゃねーかよ」

「それはアルだけですよね。ティアは恐らく優雅にブランチを楽しんでショッピングしているはずですし、シスレーは絵を描いたりターナー先生に教わっているはずです。ナタリーも他の教会に奉仕活動したりと立派な事をしているはずですよ。ぐうたらなアルとみんなを一緒にしないで下さいよ」

僕が家にいないので、みんなどんな風に休日を過ごしていたのか知らないが、僕なりのイメージがあったのだ。みんな容姿端麗だからかいいイメージしかない

ふふんとぐうたらなのはアルだけだと言い放つとアルが笑い出した

「ブアハハハハ、なんだよそれ!お前この3人の事なにもしらねーじゃねーか!」

「アル黙って!」

「それ以上喋ることを禁じますわ」

「そうだよ、ノエル君が言う通りでいいじゃん」

「え?違ってました?」

「ううん、そんな感じー」

「ですわね」

「うんうん、絵描いてるよ」

ちょっと違う所はあるようだが、誤差だろうと思う

「ククククッ今度こいつらがどうやって休日過ごしてるか教えてやるよ」

「アル帰れー」

「そうだそうだー」

「そんなことどうでもいいじゃありませんの」

「まぁそうですが、次からみんな食事するとき誘ってくださいよ」

「いやそんなのタイミングだろ、今日みたいな感じだからな」

「そっか・・・」

「お前ひとりが好きな様で違うのな、まぁその話はもういいだろ。依頼の内容も話しておきたいからな」

アルは本題に入ると少し真面目に話をしだした

ポートランド行きにしてくれたようで、出発は明後日という事だ

人が増えると金額が上乗せされるとのことだったので、結局シスレーも参加となったようだった

2つの馬車を率いていくため他のPTもいるようで

CランクPTの3人、緑の光
CランクPTの2人、破壊僧
DランクPTの4人、中和の力
DランクPTの3人、祝福探しだ

今回はギルド主催の為、打ち合わせもほとんどリーダーのみ参加だったようだが、ガロ達みたいな輩はいなかったようだ

「とりあえず俺の話はこんな感じだな」

「分かりました。必要な物とかは特にないんですよね?」

「そうだな、食料や物資、宿代はでないそうだからいつも通りだな」

「じゃあ何も準備する必要なさそうですね」

「おう、それでお前はどれぐらい稼いできたんだ?」

アルが質問してきたら、女性達は3人で喋っていたのに話をやめて、こちらを向いた

「金貨20枚ほどですね、僕用に10、アルの武器に5、お土産用に5って感じです」

「おぉすげーな」

「これ私達が欲しいものメモしたものだよ、お願いします」

僕の稼ぎ次第でメモを渡すか悩んでいたのか、言ったタイミングでメモを渡された

「はい・・・名前じゃ分からないので後で詳しく教えてくださいね」

「しかし、よくそんなに稼げるよな」

「今回は恐らく下層と呼ばれるところまで足を延ばしましたからね、でてくる魔物も多くてグールなんて4体ほどがウロウロしてましたよ。でも採れる鉱石もミスリルなどが増えましたね」

目的の話が終わり、その後は飲み会のような感じで談笑になった。全員集まることの方が珍しくなったが、全員集まれば、バカ話でも盛り上がり、僕らは一つの家族のように感じられた
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