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第62話 ごめんね、アルフレッド

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ウェッジコートから帰った翌日、店主のところへ行き盗賊の武器や防具などを買い取ってもらえるか聞きに行くことに

「こんにちはー」

「ったく、朝早いなお前はいつも・・・」

「えぇ、今日は遅く来たじゃないですか」

「それでも8時じゃねーかよ、まぁいい帰って来たってことはDランクになったのか?」

「はいなれました、けど色々ありまして、倒した盗賊の武器や防具が15人分ほどあるんですけどみて貰えます?」

「ふ~ん、おめでとさん、入れよ」

盗賊の武器と防具を並べ、一つ一つ見ていく店主

「まぁまぁいいのもあるが、ほとんどは普通の物だな。これなんていい弓だぜ」

店主がいいといっていたのは僕が殺した盗賊から奪った物だった

「店主のとこで買い取れますか?持ってても仕方ないんですが」

「この弓だけ金貨1枚ってとこだな、他のは銅貨や銀貨だが・・・全部で金貨2枚でどうだ?」

「やった、それでお願いします」

放置されていたものが金貨に変わっただけで十分だった

「ありがとうございます、後グレム酒って知ってます?お土産に買ってきましたどうぞ」

イベントリから瓶のグレム酒を取り出して渡した

「おぉ!しってるぜ、こいつうめーんだよな!なんかわりーな、一瓶でさっきの金貨分はいきそうだな」

「いえ日頃のお礼ですね、じゃあメルさん所にもいくのでそれじゃ!」

「おう!無事帰ってきてくれてよかったぜ、おつかれさん」

次は、この近くのメルさんの所へ手に入れた宝石をみて貰うのと、リコールも待っていると思うからだ

カランカラン

今は人がいないようなのでチャンスかな

「いらっしゃー・・・おかえり!」

「ただいま?であってますかね、お久しぶりです」

「もうノエル君がいないからどうしようかと思ってたわー、Dランクになれたの」

「はい!色々ありましたが依頼達成しました」

「そう良かったわねー」

「ちょっとお土産とついでに手に入れた宝石をみて貰いたいです」

「お土産なんていいのに」

グレム酒の瓶を取り出し先に渡す

「えぇ!これ私大好きなお酒なの!知ってて買ってきてくれたの?」

「いえ、農場の方が贈り物にいいと言っていたので」

「ありがとー、大事に飲むわね。後は宝石だったわね」

「はい、これです」

盗賊の倉庫からくすねた緑の加工されている宝石を取り出した

「へーまた珍しい物を・・・フォレストベールかい、これ装飾品にしたら効果2個つくかもしれないよ」

「えっ!?あっ・・・ちょっと手持ちが少なくて、今回は保留にしておきます」

作ってもらいたかったが、ウェッジコートで散財してしまい、自分のお金は金貨1枚分あるかないかだった

「そう?ノエル君がお金がないって珍しいね・・・いいよ好きなお土産もらったし、店番してくれていたらサービスで作ってあげるよ」

「いいんですか!?」

「ただし!リコールもお願いね」

「もちろんです!」

やったー!これはラッキー・・・だがメルさんも品は効果が2個ついたら金貨50枚の価値がある。と思い酒瓶を追加で2本取り出す

「やっぱりそれだけじゃ悪いので、お好きという事なので物で悪いのですが」

「ううん!やる気出てきたー!よし、誰にあげるのかな?後どこの部位にする?」

そうか、誰様にしようかな~・・・アルが欲しがっていたが、フォレストベールという緑の宝石・・・明らかに似合うのはティアだ・・・

熟考しそうになるが、ほぼ答えは出ていた

ティア用だ!ごめんアル!

「えっと前に僕のPTメンバーとして紹介したエルフのティアに上げようと思います。ティアは見た目もそうですが、戦う時も弓やたまに魔法や剣を使い戦っている時も優雅さを感じさせますね。部位は・・・ネックレスでお願いします」

「あのベッピンさんね、分かったわ。じゃあ奥にこもるから店番よろしくね!」

「はい!よろしくお願いします!」

30分ほどでメルさんは作成できたようだ。その間でリコールで綺麗にし、久しぶりの店番を楽しんだ

「ピカピカ・・・ノエル君がいないと私はお店を綺麗に保てないよ」

「ふふ、魔法ですからね」

「あっいいのが出来たよ。器用+2と射手には一番必要な物だと思うのがね」

そういって見せてくれたネックレスは細いチェーンの先に葉っぱと弓が合わさり、その中心にフォレストベールの緑の宝石がついていた

「おぉ!効果もさることながら、ティアに似合いそうなデザインですね!絶対喜びますよ、ありがとうございます!」

「まぁ今回は私もエルフのお嬢ちゃんをしってるからイメージしやすかったのよ」

長細いケースにいれてもらい、イベントリへ収納した

「今日はもう用事が無いので、このままお店手伝いますよ!」

いいものが貰えてやる気もでてきた

「そう?じゃあ私はもう少し装飾品つくってていいかな?ノエル君いなくなって、作り置きが出来てなかったから」

「はい、何かあったら呼びますね」

仕事に精が出て、その日はメルさんのお店で夕方まで働き、ちょっとした買い物をして家へと帰るのだ

(ティア喜ぶかな~)

喜んでくれたらいいなと思いながら、拠点へ到着するといつも通り御隣の孤児院さんでは、子供たちが無邪気に遊んでいた

ノエルーグレムおいしかったぞー
ノエルありがとー
もっとちょうだーい

僕を見つけてお土産の感想を言ってくれている。ジュースを渡すために瓶を買ってきていたので、後で渡しに行こうと思って

「子供達諸君、お土産はまだあるからね。ナタリーの手伝いをしていい子にしていたら、夕食の時に渡しに行きますよ」

うぉーやったー
いそげいそげー

僕の言葉を聞いて子供たちはすぐに孤児院へ入っていってしまった

子供は素直だなと思いながら、家に入ると丁度ティア一人リビングにいた

「ただいまー、ティア一人ですか?」

「うん、アルは寝てるかな?シスレーは画材道具もってたから絵を描きにいったのかも」

「夕食どうします?食べました?」

拠点では毎日一緒に食事をしているわけではないのだ。それぞれのタイミングで好きな物を食べている

一緒になれば僕のイベントリに入れている物や、外に一緒に食べに行くなどをしていた。

「ううん、食べてないよ」

「じゃあ一緒に食べますか?あっ護衛依頼でオーク肉手に入れてたので久しぶりに、外で焼肉します?フレッシュ村の野菜もあるので」

「いいねー!そうしよう!」

BBQの前にジュースを瓶にいれて3個用意した。後で渡しに行くと約束したので先に準備だけでもと思った

ジュースの準備が終わると、グレム酒も2瓶だけ準備した後に一緒に外にでて久しぶりのBBQだ

イベントリから机とイスを出し並べ、ティアが焚火を組んでくれているのでファイアで火をつける

ウェッジコートで手に入れた、野菜やパン、オーク肉を並べて

「やっぱりノエル君いるとなんでも簡単にできちゃうねー」

「外で食べるのも準備にも時間かかりますからね」

この準備はわずか5分で終わっている

「片付けの事も考えなくていいもんねー」

「それもリコールで解決しますね、じゃ焼いて行きますか!」

好きな具材をクシに刺してほどよい距離で焚火で炙っていく

焼ける間にティアにネックレスを渡しておこうと思い、イベントリから取り出す

「ティアにプレゼントがあるのですが、アルの前では渡せなかったので今日ふたりっきりで良かったです」

「なになにー?」

「フォレストベールという宝石を使った装飾品ですね」

ネックレスの箱を空けながらティアに見せる

「えっ!?すごくかわいい!メルさんの作品??」

「はい、メルさんがティアをイメージして作ってくれました」

「・・・シスレーと一緒ってこと!?あれすごく羨ましかったの!!!すっごい嬉しいよ!」

「喜んでもらえて良かったです、効果は器用+2だそうですよ」

「ええー!?+2!?一生大事にするよ!」

そういうティアはいつぞやのエルフの敬礼をしていた

「ノエル君つけてつけて!」

「あっはい」

ネックレスを渡されて、着けてと言われる返事をしてしまったが。なぜか緊張してきた

手が震えるかと思ったが、無事ミッションは達成した

「どう!似合う?」

「はい、とっても!」

「嬉しいなー」

「あっお肉焦げますよ!食べましょう!」

「うん!食べよう!」

ジュースとは別にグレム酒も瓶に詰めていたので、それを取り出してカップに注ぐ

「ティアこれ飲んで見てください、美味しいお酒だそうですよ」

「おっきがきくねー!」

「僕はジュースですが、乾杯!」

「かんぱーい!」

カチーンと音を立て乾杯した

ネックレスは指輪と違い、自分で見るのは苦労しそうだがずっとニコニコしているティアを見て僕も癒される

「このお酒おいしいー!なにこのお酒?」

「グレムの実という果実のお酒ですよ。ウェッジコートの近くにある農場で買ってきました」

「へー、私このお酒すっごい好きー」

「店主やメルさんも好きといってました。ウェッジコートでは有名らしいですが、そんなに流通してないようです」

僕らが食事を始めたころ合いでシスレーが帰ってきて、アルも家から出てきた

「うまそうな匂いさせてんじゃねーよ、腹がへっちまったよ」

「なんで二人だけでたべてるのー?うちも誘ってよ」

2人の椅子も並べてるとアルとシスレーもすんなりと座った

「ティア旨そうなもん飲んでるじゃ・・・おいそれグレム酒か?」

「グレム酒?」

「シスレーもどうぞ」

シスレーにグレム酒を注いだお酒を渡す

「おいしい!すっごい美味しいよこのお酒!」

「いつの間にかってたんだよ!俺にもくれ!」

「えー・・・仕方ないですね」

「だからなんで俺だけいっつも渋々なんだよ」

アルにも注いであげると味わってんのか?と思うほどいっきに飲み干した

「うめーー!おかわり!」

「アルーだめー、これは私のー」

ティアがアルの手をとめるが、ずっと笑顔でニコニコしたままだった

「なんかいつも以上にティアちゃんニコニコして上機嫌だね」

「わかるー?いいことあったの」

「えっなになに?あっそんなネックレスつけてたっけ?」

「ノエル君がくれたのー、私専用なんだよ」

あっ・・・ティア言っちゃ駄目・・・

「えっ・・・ノエル!!」

「いやでも普通の装飾品ですよ・・・」

アルが悟って威圧を放ってくる

「フォレストベールっていう宝石使ってるんだって!器用+2もおまけでついてるの!」

あーあ・・・

「ノエル!次は俺だっていったじゃねーかよ!!」

「すいません・・・明らかにティアに似合う宝石だったので・・・」

「お前っ!結局ティアには甘いんだよな!!くっそー!ティアそれくれよ!」

「絶対だめー!あげませーん」

「俺も欲しいんだよ!」

「つっ次手に入ったらアル用にしますよ」

「・・・そんな事いってナタリーに似合いそうな宝石だったらどうすんだ?」

「それは・・・ナタリーにあげますよ」

「この裏切者が!!」

僕らをよそに女性二人は楽しそうに話しをしているのだ、この戦闘狂を一緒に止めて欲しい

「まぁアルっぽいのが手に入ったら力+2なんて物ができるかもしれませんから・・・ささグレム酒飲んで飲んで」

「俺っぽいのってなんだよ・・・くそっ・・・注いでくれよ・・・」

結局アルを落ち着かせるために追加でもう1瓶のグレム酒を消費してしまったが、次こそはアルに渡そうと決めたのだった
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