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表紙絵

ラジン国編

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魔法使いっぽい背景をイメージ。

 鍋の中には、幻覚作用を抑える効能を持つ、ラトックの花が浮かん出いた。白く可憐な花は、甘い芳香を漂わせている。女性が好みそうな、お洒落なお風呂だ。
 そこに気持ち良さそうに浸かっているのは、マンドラゴラたち。
 何かが間違っている。
 いや、彼らの普段の行動を見ているノムルは、彼らが入浴していても受け入れられる程度には、彼らの知能を認めているつもりだ。
 しかし、である。

「確か、マンドラゴラエキスを抽出するって、言ってなかった?」
「ええ。ですからマンドラゴラたちに、お風呂に入ってもらっていますが?」
「わー?」
「わー?」
「わー」

 不思議そうに幹を傾げる雪乃と、根を傾げるマンドラゴラたち。傾げていないのもいるが。
 お湯をパシャパシャ掛け合って、楽しそうである。
 ノムルは頭を抱える。
 彼の記憶にあるマンドラゴラエキスの作り方は、そうじゃなかった気がする。こんな和やかな風景は、展開されないはずだ。


<『種族:樹人』を選んでみたら 「180.それとも鮮度?」より>
 


 入浴マンドラゴラです。魔力回復薬を作成するために、入浴していました。
 色々と間違っている、『種族:樹人』のマンドラゴラたちです。


 ssが思い浮かばなかったので、ちょこっと裏話。

 舞台イメージは国名の通りです。どの辺が? と突っ込まれると痛いところですが、町に出ればそんな雰囲気が少しは……あるのか?
 転移装置があるため、用がなければ外を歩くことはないです。
 
 内容はノムルの過去や彼の立ち位置などを中心に展開しました。
 雪乃と出会ったことで愉快なおっさんになりましたが、色々と背負っていたりします。

 二つ名である『闇の道化師』はアラージ時代に付けられました。
 奴隷から解放されてもその名で呼ばれているに、彼に好意的な人間ばかりが残ったというわけではなかったのでしょうか。

 ラジン編を書き終えた時点では、

「これ以上の親ばかはないだろう」

 と、彼に関してはマンネリ化していくと予想していました。
 私の想像力では、すでにノムルの溺愛は理解不能だったわけですよ。甘かったと反省しています。


 次のコダイ国編は某人物の暴走により、短いです。
 内容的に苦手な方もおられるでしょうから、それで良かったのかもしれません。


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