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1章

17.ダンジョンといえば宝箱

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「そりぁあ!」
今戦ってるのは60階層の、動く石のような魔物だ。
「くそっ! 剣が弾かれる」
石ってだけあって硬い。
「ここは魔法で! ″斬水″」
ウォーターカッターの勢いで、動く石に命中。効果は抜群のようだ!
だが、まだ足りないらしい。
ずるずるとこちらに近寄ってくる……が。

ガコンッ!

ブローディアが進行を妨げた。
「動きが遅いが、力はあるな」
ブローディアも強くなってる為、引けを取らなくなっている。
「よし! ″業火″」
「″斬水″」
そして、魔法が一緒に当たり熱と冷を一気に受け、石は亀裂が入った。

バギッ……。

「チャンスだ! 盾で叩け!」
「了解した! うりゃあ!」
司令通り盾で叩きつけ、石は木っ端微塵に割れた。

ベギャ!

硬さだけならこのダンジョン、イチかもな。
「さてと、どうだ? ここもそう難しくない気がするが」
「そうですね、思ったよりも強くなってませんね」
「そうだな、今日は61階も見てから帰るか」
ブローディアに点呼され、そうすることにした。



~61階層~

「何だ? 魔物がいなくないか?」
ここに来てからしばらく歩いたが、一匹の魔物にも会えないのだ。
「もしかしたら、中ボスのフロアかもしれません、警戒を……」


…………。
「何もいなかったな」
「「「ですね(だな)」」」
何故かガッカリ気味の四人である。
……がそこに。
「おい! あれ! 宝箱持ってるぞ!」
そう言うと、エリュシオンがもしやと思い何か教えてくれた。
「もしかしたら、ここはレアな魔物だけが出る、特別区かもしれません! 特別区ではレアな魔物が一定周期で一体だけでます」
そんなエリアが!
「急いで追いかけるぞ!」
「「「おぉ!」」」
ハルトに続き走り出した。


走ること8分程。
「はぁ……はぁ……やっと追い詰めたぞ……」
「ゴホッ……魔法で仕留めましょう……」
「油断するな……強いか、も、しれん……」
「そうですね……ゲホッ……油断は大敵で、す……」
皆んな疲れていた。
「″癒しの光″」
打開策として、エリュシオンが治癒魔法を打ってくれた。
「サンキュー! おりゃあ!」
疲労が回復した所で斬りかかった所……案外、一撃で終わってしまった。
その魔物は「きゅ~……」と何とも可愛らしい声で絶命した。
やめろ、背徳感を募らせるな。

「さて、肝心な宝だが……何が」
「ミミックの可能性があります。ご注意を……」
「やめて、開けるの怖くなるから!?」
あらかじめ″透視″を使って見たが、何が入ってるか分からなかった。
無粋な真似して悪かったな、宝箱よ。
「じゃあ、開けるぞ……」

ゴクリ……。

ギギギギ……。
まるで古びたドアのような音がした……中には……。

「指輪だな……」
「指輪ですね」
「指輪……」
「指輪か……」
何とも言えない感じだった。

「何か能力は分からないのか?」
「いや、俺は鑑定士とかの能力は無いからさっぱりだな。今度、武具屋の人に聞いてくるわ」
あのいい店主の店に聞きに行ってみるか。
「そうですね、お願いします」
「指輪は、まぁ多くは魔法使い向けな物が多いいですね。基本的には魔法攻撃力の上昇、効果の上昇が多いいので、それなりに良いものです」
本当、エリュシオンは物知りなんだな。
「そうか、もし分かったらまた後で話すよ。取り敢えず今日は帰るか」
「そうですね、帰りましょう」
そう言い、俺らは洞窟から出た。


~地上~

「まだ思ったよりも時間経ってなかったな」
日の傾き的には3時だろうか。
「そうですね、ハルトは一回鑑定してもらいに街まで来ますか?」
「そうだな、今日は一回街に行くか」
「なら私も行きます!」
ノイルが同行したいと申し出た。
「いや、大丈夫だ。すぐ帰るから、バッグ持って先帰ってて」
そう言いバッグを渡した。
「むぅ~、分かりました。先に帰ってますから、早く帰って来てくださいね」
「はいはい」
「はい、は一回です!」
「はい」
後ろで二人に笑われてしまった。
「では茶番は終わりにして、早く用件を済ませましょうか」
「そうだな、早く帰らないとだしな」



「で、どこに鑑定して欲しいもんがあんだい?」
武具屋の人の前まで来たのだが……。
「バッグの中だ……」
「何してんだか……。軽く指輪の見分け方を説明する。どんな効果があるかは、見分けられるようになるだろ」
そしてジャラジャラ指輪が並べられた。
一つ一つ丁寧に説明をされた。

そして、さり気なく能力を使っていた。
″焼き付ける″ ″集中″ ″効率上昇″ ″鍛治″

一通り説明が終わった。
「……とこんなもんよ、家帰ってどんなもんか判断しな。それから、パーティーの誰に着けるか決めてやんな」
「ありがとな、また来る」
軽く挨拶をし後にした。


冒険者カードのスキル欄を見てみたところ……。

『・鑑定』
鍛治の派生で付いていた。

「よっしゃ! 久しぶりに能力ゲットだぜ」
胸を少し高鳴らせながら、家に戻るのであった。
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