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「イーサン皇子…!し、失礼致しました」
そそくさと走り去る公爵令息。
私がいつまでも踊らず、壁に寄りかかっていたから
声をかけてくれたのだろう
「ご機嫌よう、イーサン皇子様」
「随分探したぞ、エラ嬢。
…久しぶりだな」
先程、階段下から見るより一層背の高さを実感した
声変わりもしたようだ
「お久しぶりです。本日はパートナーとして精一杯努めます」
「変わらないな、エラ」
ふっと微笑むイーサン。
その笑顔は昔の彼と同じように見えた
「早速だが、僕と踊ってくれないか?」
右手を差し出すイーサン
「喜んで」
左手を重ねるエラ
「まぁご覧になって…あのお2人とてもお上手ね」
「あれは、クラーク侯爵令嬢かしら?」
「令嬢が家業を継いだと噂で聞いてどんな方かと思っていたけれど…」
「お美しいお2人ね」
会場の中心でワルツを踊るイーサンとエラ。
驚くほど息の合ったダンスを披露する
周りの令息・令嬢達はそんな2人に注目していた
「…皆、イーサン皇子に見惚れておりますね」
「そうだろうか?僕には君に見惚れているように見えるが」
曲が終わり、拍手喝采が起こる会場。
「さて、そろそろ行かなければ」
「ありがとうございました。
…見守っております」
「頼もしいな」
エラの右手に口付け微笑み、背中を向けるイーサン
デビュタント最後に皆に見守られながら、
イーサン皇子の戴冠式が執り行われた
今日から彼がこの国の皇帝だ
ー後日ー
無事戴冠式を終えたイーサンが皇帝となり、
1日目の朝が来た。
勢い良く執務室の扉を開けるエラ
「団長、お願いがございます」
「エラ様…随分お早いですね」
「この日を待ちわびておりましたので早起きしました」
「ははは…専属騎士の件、ですね」
専属騎士。皇帝陛下に仕えるクラーク家代表の騎士
エラが初恋を乗り越えてまでなりたかったものだ。
「その件は、もうとっくに貴女で決まっていましたよ」
「え?」
「本日付けで、皇帝陛下の専属騎士です」
先日訪れた皇城に騎士団の制服を身にまとったエラが門を叩く
皇城の東に位置する彼の部屋
皇室の護衛騎士に案内され、扉の前にやって来たエラ
「失礼致します。皇帝陛下」
「あぁ、入ってくれ」
山積みの書類を処理する彼に深く頭を下げる
「本日より皇帝陛下に仕えます。
クラーク騎士団 副団長エラ・スワン・クラークでございます」
「…エラ」
イーサンは執事や大臣達に退室を願い、広い部屋に2人きりとなった
「まさか、本当に専属騎士としてやって来るなんて」
「貴方の右腕になると、お約束しましたので」
「そうだったな…。なぁエラ…」
「はい?」
いつの間にか椅子から立ち上がり、エラの前まで歩みを進め、
見る見るうちに耳が赤くなるイーサン
恥ずかしそうに、俯きながらエラに問いかける。
「…その、もう…君は僕と…
結婚はしてくれないのだろうか」
「…え??」
そそくさと走り去る公爵令息。
私がいつまでも踊らず、壁に寄りかかっていたから
声をかけてくれたのだろう
「ご機嫌よう、イーサン皇子様」
「随分探したぞ、エラ嬢。
…久しぶりだな」
先程、階段下から見るより一層背の高さを実感した
声変わりもしたようだ
「お久しぶりです。本日はパートナーとして精一杯努めます」
「変わらないな、エラ」
ふっと微笑むイーサン。
その笑顔は昔の彼と同じように見えた
「早速だが、僕と踊ってくれないか?」
右手を差し出すイーサン
「喜んで」
左手を重ねるエラ
「まぁご覧になって…あのお2人とてもお上手ね」
「あれは、クラーク侯爵令嬢かしら?」
「令嬢が家業を継いだと噂で聞いてどんな方かと思っていたけれど…」
「お美しいお2人ね」
会場の中心でワルツを踊るイーサンとエラ。
驚くほど息の合ったダンスを披露する
周りの令息・令嬢達はそんな2人に注目していた
「…皆、イーサン皇子に見惚れておりますね」
「そうだろうか?僕には君に見惚れているように見えるが」
曲が終わり、拍手喝采が起こる会場。
「さて、そろそろ行かなければ」
「ありがとうございました。
…見守っております」
「頼もしいな」
エラの右手に口付け微笑み、背中を向けるイーサン
デビュタント最後に皆に見守られながら、
イーサン皇子の戴冠式が執り行われた
今日から彼がこの国の皇帝だ
ー後日ー
無事戴冠式を終えたイーサンが皇帝となり、
1日目の朝が来た。
勢い良く執務室の扉を開けるエラ
「団長、お願いがございます」
「エラ様…随分お早いですね」
「この日を待ちわびておりましたので早起きしました」
「ははは…専属騎士の件、ですね」
専属騎士。皇帝陛下に仕えるクラーク家代表の騎士
エラが初恋を乗り越えてまでなりたかったものだ。
「その件は、もうとっくに貴女で決まっていましたよ」
「え?」
「本日付けで、皇帝陛下の専属騎士です」
先日訪れた皇城に騎士団の制服を身にまとったエラが門を叩く
皇城の東に位置する彼の部屋
皇室の護衛騎士に案内され、扉の前にやって来たエラ
「失礼致します。皇帝陛下」
「あぁ、入ってくれ」
山積みの書類を処理する彼に深く頭を下げる
「本日より皇帝陛下に仕えます。
クラーク騎士団 副団長エラ・スワン・クラークでございます」
「…エラ」
イーサンは執事や大臣達に退室を願い、広い部屋に2人きりとなった
「まさか、本当に専属騎士としてやって来るなんて」
「貴方の右腕になると、お約束しましたので」
「そうだったな…。なぁエラ…」
「はい?」
いつの間にか椅子から立ち上がり、エラの前まで歩みを進め、
見る見るうちに耳が赤くなるイーサン
恥ずかしそうに、俯きながらエラに問いかける。
「…その、もう…君は僕と…
結婚はしてくれないのだろうか」
「…え??」
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