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5・陛下のご意向
しおりを挟むレシア王子の目に余るご様子は、勿論、レシア王子のお父上であられる国王陛下にもご報告されております。
私は王子に教育を受けに王宮へ上がった際、直接謝罪を受けました。
曰く、レシア王子のことはどうか諦めてほしいと。
別に構いませんでした。
今の私の関心が、まったくレシア王子にはなくなっていたからです。
その代わり。
付き添って下さっていらしたライネ王子と視線を交わして微笑み合うと、それだけで国王陛下は何やら察して下さったようでした。そればかりか、
「いやぁ、王子妃教育が無駄にならないようでよかった。勿論、それはお前たちの総意ということで、問題ないのだろう?」
訊ねられた意味にすぐに気付いた私たちは、微笑み合って頷きました。
国王陛下も満足そうにしておられます。
「一時はどうなることかと思っていたが……此処だけの話、レシアは……――」
そればかりか、国王陛下が言うにはレシア王子は……。
私より一つ年上のレシア王子が学園を無事卒業されるまでには、随分と色々なことがございました。
主に私が一方的に、迷惑をこうむっただけの日々とも言えます。
なにせレシア王子の態度は何も変わりません。悪い意味でおかしくなったまま、私とは距離があり、近くにはいつもビュティ様がいらっしゃいました。
お二人とも特有の感性をしていらして、周囲の者が何を言っても、何も耳に入っておられないご様子でした。
ビュティ様はともかく、レシア王子に関しては、よくぞ卒業できたものだと、先生方がお嘆きになるような成績で、何らかの作意が働いていたのではないかと私は考えております。
しかし意図を込めて彼の護衛騎士を見つめますと、彼の方はにこりと微笑まれるばかりでした。
ともあれ、無事に卒業できることとなったのは、間違いようもない事実です。
国王陛下も王妃殿下も、息子の晴れの舞台と会って、卒業式には駆け付けられました。
私たちの誰も、まさかあのような場であのようなことが起こるだなんて、想像だにしていなかったのです。
ですからそれは衝撃となって、私を襲ったのです。
「ネフィ・ルブッソ!俺はお前との婚約を破棄する」
それはまさに青天の霹靂でした。
しかし、それでも私は……――
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