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x-1・すべての始まり

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※ここからは攻め視点答え合わせ編です※








「そもそも僕は、いいところなんて何もない」

(…………この人はいったい、何を言っているのだろう……)

 その言葉を聞いた時、私は本気で、彼の言っている言葉の意味が理解できなかった。
 更に続けられた彼自身を否定する数々のことなど言うに及ばずというものである。



 私はヴァラシエタ・エラフィオ・ミサフィレ。ここ、エラルフィアラ王国、ミサフィレ公爵家の三男として生まれてきた。
 子供としては7番目。上には6人の兄姉がいる。
 両親の仲がいい証なのだろう、私は兄弟が多いのだ。……――彼、ユリィ様と違って。
 私の母は元はこの国の王太子だった。エラフィオ王家の嫡男として生まれてきた存在なのである。
 しかし母は父を見染めて、

『自分は公爵家を継がなければならないから』

 と、母からの求婚を断った父に、

『わかった』

 と頷いたかと思うと、地位も権利もこれまでの実績も何もかも捨てて、半ば強引に父の元へと嫁いできてしまったのだと聞いている。

『王位なら弟がいるのだからいいでしょう?』

 などとそう言って。
 つまりは母は現国王の実兄、言うならば王兄という立場だった。
 今にして思えば、この母の行動が全ての始まりだったのではないか。私はそんな風にも思えてならない。
 母の弟であった叔父、現国王は国王という立場を受け入れる代わりに、とある一つの条件を突きつけたのだそうだ。それがすなわち、これまで幾度となく求婚しては断られていた、叔父最愛の相手、レナディヤ公爵令嬢、つまりはユリィ様のお母君との婚姻だった。
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