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193・後始末②
しおりを挟む初めの頃のように毒物を仕込んできたりなどする者が新たには出現しなかったのは、ラルやラサス、オーシュが余程注意深く、公爵邸内の人員を見直したおかげだっただろう。
ほとんど全ての影響は俺には届かず、増えた襲撃者などは外側の話にとどまり、俺はオーシュ達に任せきって全くかかわらないまま。
その間あまりに暇すぎたので、領地が増えたのならそれ関連の仕事に関わらせろとラルに迫り、少しばかりの書類仕事を請け負うことにも成功した。
むしろそうでもしなければラルが忙しくなりすぎる所だったので、ラサスには感謝されたのだが、当然ラルは不満顔。
勿論、俺はラルのそんな不満など適当にいなしそれでいて程よく機嫌を取りつつそのうちに子供を産み落とした。
ラルに似た金髪に、俺に似た青い瞳の男の子。
正しくは俺の目の色は水色で、子供のそれは俺より随分と濃い色味だったのだが、同じ青ではあったので、間違いなく俺の影響だとは思う。
色が濃いのはただ単に、子供の方が俺よりも魔力が少ないからだろう。
とは言え、高位貴族としては充分なほど。顔立ちなどは、俺とラルの様子が程よく混ざっていて、二人の子供であることは、一見見るだけで疑いようがなかった。
かわいい。
そう思った。
俺はこれまで子供のことなんて、可愛いと思ったことがなかった。
否、誰のことであっても、そんな風に思ったことはない。
だけどやはり、自分の子供ともなると別格なのだろう。
ふやふやと頼りない存在は、俺が守らなければいけない対象で。俺はこの時になって、ようやく、自分とラルが本当に伴侶になったのだと実感できたような気がした。
俺からしたら、それも仕方がないことだったと思うのだ。
なにせ、俺とラルは初めて会った時にはすでに婚姻済みで。実感も何もないまま、共に過ごし、子供を成した。
ラルは元々初めから俺の好みの容姿をしていた。
でも言ってしまえばそれだけ。
イケメンだと、かっこいいとは思ったけれど、なら好きなのかと聞かれると、よくわからないとしか答えられない。
勿論、嫌いではなかったし、触れられても嫌悪感はわかなかった。
ラルから惜しみなく与えられる好意は心地よく、俺はそれに浸りきっていたと言っていい。
それは間違いなく、俺が生まれてきてからこれまで。初めて与えられる類のあたたかさで。だから正直、絆された側面があった。
ラルからの好意が、心地よかったのだ。――……少しばかり過保護過ぎるところに関しては、僅かだけ鬱陶しく思うこともあったけれども。
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