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157・開いた茶会にて①
しおりを挟む茶会への参加は結局、最終的に招待した者の内8割ほどの人数となった。
数人が断りの返事を返してきたためである。
特に珍しいことでもない。俺自身も、届いた招待状を全て断っていたことからもわかるように、むしろ招待した者全員が参加することの方が稀だ。
それでもひとまずは来なかったものが、今回の件から免れたのは事実で、俺は不参加と認められた返事を眺め、命拾いしたな、そう目を細めた。
なお、彼の女性辺境伯と彼女から推薦された二人の参加は確定していて、あとは言うならば全て、現状のこの国で必要ないとされたものばかり。
つまりおそらくは俺に対して、何らかの良くない感情を抱いているだろう者達ということだ。
侯爵家の者と、伯爵家の者、子爵家の者と爵位もばらばらで、共通しているのはどの家も厳格で、古い考えを持っているとされていること。加えて、周囲からの評判も、宜しくないことぐらいだった。
派閥のような者が同じものもいれば、そうでない者もいる。
招待客同士も、親しくしてる者もいれば、ほとんど関わりない者もいるとのことだった。
なのに今回、皆、ラルにもラサスにもよろしくないと判断された。
さて、こちら主催のお茶会で、いったいどんなことをしでかすつもりなのか。
ラサスやラルに教えられた通り、行儀よく迎え入れた彼ら彼女らは、見た目からしておかしな者達、というような雰囲気ではなかった。ただ。
値踏みされている。それがわかる。
「公爵夫人。この度はご招待頂きまして、大変に光栄ですわ」
如才なくこちらへと挨拶を交わしてきながら、にしゃと目元が弓なりに曲がっている。
嫌らしい笑い方だ。
宜しくない性質というのはこのような所にまで出るのかと俺は驚いた。
勿論、そのようなものばかりではなく、表面上は非常ににこやかにしている者もいて。
「こちらからの招待にはお断りのお返事でしたのでがっかり致しておりましたが、まさか代わりのようにこのような場にお呼び頂けるなんて」
だが、口から飛び出したのは嫌味だったりした。
俺は微笑む。
それら全てを黙らせられるような、ある意味では完璧な笑みで。
「こちらこそ、ご参加いただけて光栄だ。まだまだ私も至らないことばかりです。今回はいろいろとご教授頂けたらと考えています」
特に貴方方のそのよろしくない心映えをとくとお教えいただきたい。
などと、当然そのような続きまでは口には出さず。
俺の微笑みに、何人かがほぅと感嘆の溜め息を吐いたのがわかった。それは主に女性辺境伯と、彼女推薦の二人で、それ以外の者の中で、ひくり、苦々し気に顔を歪めた者がいたのを、俺は見逃さないように目に止めていた。
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