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146・不快な結果と④
しおりを挟むラルに知られるとまた俺をそう言ったことから遠ざけて甘やかそうとするのだから、知られない方がいいのかもしれない。
だが、隠し事もよくない。
否、俺に無知なままでいて欲しいとでも言わんばかりの態度は、甘やかしというよりは囲い込みだろうか?
勿論、俺が全くそういったことを好まないというのが前提としてあるので、甘やかしと言えば甘やかしではあった。
ディーウィは呆れた顔をしてくるし、オーシュは俺と同じで、こういったことに全く興味がない。よって微塵も当てにできなかった。
だからディーウィの反応からだけとはなるけれど、そこから考えても俺は多分学んでいくべきなのだろうなと、そう思う。
何より暇なので暇つぶしにはなりそうだ。
「なぁ、流石のディーウィでもこの国の貴族にまでは詳しくないよなぁ……」
「そうですね……ナウラティスならともかく、流石にこちらの国までは。フィリス様のお持ちになっていらっしゃる知識と大差ないかと」
「そうだよなぁ、じゃあやっぱり、これ、誰かわかんないかぁ……」
受け取った招待状を指して、一応はと確認してみたけれど、ある意味当然とも言える答えが返ってくる。
そもそも、ディーウィとオーシュはナウラティス出身で、元々、このアンセニースに来る予定などなかったものだから当然のようにこの国の知識などない。
それは俺も同じこと。
なにせ国王の顔も名前も知らなかった有様なのだから、その他の貴族など言うに及ばずと言えただろう。むしろ、この国に出入りしている大きな商会の名前の方がわかるかもしれないような有り様だった。例えばフデュク商会などはこの国にも出入りしているはずだ。
ちなみに同じようにコリデュアの知識さえ持っていなかったりする。
元々コリデュアにだって長居するつもりはなく、必要だとは思わなかった所為だった。
なにせナウラティスにいる限り、王妃の手は届かない。
すぐにナウラティスに戻る予定であり、ならば問題ないだろうと考えていたのである。
だが、結局はこうして、俺は王妃の手の届く場所にいた。
この国に結界などない以上、社交は当然いろいろな思惑の絡むものとなり、この間の夜会で絡んできた無能な男のような者とも対峙する必要が出てきている。
加えてこの招待状。送り主の名前を見ても、誰だかわからない以上、結局、最終的にラルを頼ることにはなるのだが、問題があるとすればラルが、ともすれば俺を蚊帳の外に置きがちになることだった。
勿論、必要なことはしっかりと伝えてはくれるのだろうけれども。
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