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第2章・まるで夢のような日々(リュディ視点)

*36・伝わる気持ち、交わす心④

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 おかしい、そう思う。
 だってルナス様は本当にお優しいのだ。閨だって、初めの頃は僕も慣れていなかったから痛かったり苦しかったりしたけれど、その時から僕にちゃんと優しく触れて下さっていた。

「リュディ、リュディ、可愛い、リュディ……」
「あっ、あっ、やぁっ……! ルナス様ぁ……! ぁあっ!」

 かわいいと、誤魔化さず偽らず伝えて下さるようになったのは、あの塔から出た日以降ではあったけれど、僕の名前をたくさん呼んで下さったりだとかは以前から何も変わらない。
 僕は体のあちこち、隅々にまで大切に触れられて、舐めしゃぶられて、足の指の間も、脇や膝の裏、それに体の中まで! ルナス様の舌が触れていない所がないというぐらい、ルナス様の唾液塗れになって、とろとろになってしまう。
 泣きながら喘ぐ僕をルナス様はそうして時間をかけて蕩かせて、ルナス様を受け入れるお尻の穴だってぐちゃぐちゃになるまで指でかき回され、そうしてほとんどようやく毎夜、僕はルナス様の大きな陽物を受け入れさせてもらえるのだった。
 ルナス様のそれは大きくて。僕はいつもお腹が破れそうだ、そう感じる。
 僕は閨の中でも泣いて、泣いて泣いて。

「やっ、あっ、あっ、ぁあんっ! ふぇっ、ふぐっ、ぅうっ……うぇっ……ひっくっ、あっ!」

 いつももはや泣き声なのか喘ぎ声なのか呻き声なのかわからない有様なのだけれど、そんな僕を組み伏せ、ルナス様は激しく腰を振りたくりながら、

「ああ、かわいい、かわいい、リュディ、リュディ、リュディっ……!」

 と、たくさんたくさん僕を呼んで、僕も、

「ルナス様ぁっ……! ぁあっ!」

 泣きながら必死にルナス様にしがみついた。
 そのうち、お腹の中がルナス様で満ちて、でもルナス様は止まったりなんてしなくて。

「あっ、あっ、あっ、もぉやぁ……! ぁあっ!」

 僕は気持ちよくわけがわからなくてお腹が苦しくて、そのまま意識を飛ばしたりもするんだけど、ルナス様はどうやら僕の意識がなくっても、僕を愛して下さっているらしい。
 ルナス様がようやく僕を放されるのは多分いつも空が白み始める頃。
 そうして適当に洗浄魔法をベッドの上にかけて、ルナス様は僕を抱きしめたまま眠りに落ちるのである。

「ああ、リュディ、かわいい、かわいいよ、リュディ……」

 呟いて涙を舐めすすって。
 僕は大体そんな時には意識がないことが多いのだけれど、たまにぼんやりと何をされているのかぐらいはわかる時があるから知っているんだ。
 そんな話を思い出しては感激して、泣きながらユセアナに伝えたら、ユセアナはやっぱり怖い顔をしていて、やっぱり僕には理由が理解できないまま。それよりも僕はルナス様は果たしてちゃんとお休みを取っておられるのか、そんなことの方が気になったのだけど、実は昼に少し休憩を取っておられるようなので、決して無理はなさっていないと教えてくれたのはサネラ様。
 そこから僕は安心してルナス様にほとんど毎夜のように身を委ねている。
 2人目の子供も順調に育って生まれて、その後も僕はほとんど2年おきぐらいに子供を望んだ。
 だってルナス様が注いで下さる魔力は本当にたくさんあって。せめて子にしなければ、そう思ったんだ。
 それにルナス様の子供なら、何人いたって大切な宝物になる。
 愛しい存在はたくさんいた方がいいでしょう?
 子供達はみんないい子たちで、僕がいつも泣いていたって気にしない。
 と、言うよりは子供たちにとって僕は泣いているのが当たり前なのだ。

「この間、学園で聞いたのですが、他の子のお母様は常に泣いていたりはなさらないそうです」

 別に初めから存在を秘されていたわけでもなく、普通に大きくなったら外の学園にも通うようになった上の子供たちの一人が、特に何も思っていなさそうな声音でそんなことを教えてくれた。
 僕はいつものように泣いて、泣いて、泣くばかりで、気になることがあったのだけれど、ちゃんと話せなくて。そうしたらユセアナが、

「殿下はお母様が常に泣いていらっしゃるのが気になるのですか?」

 と、僕が聞きたかったことを代わりに聞いてくれた。
 僕はユセアナのこういう所が好きだし、とってもとっても助かっている。
 子供は首を横に振った。

「ううん、別に気にならないよ。だって母様がどれだけ泣いていたって、ただそういう人だってだけなのだろうし。ま、父様みたいにかわいいとまでは思わないけどね」

 気にならないようならよかったと僕は安堵した。
 そんな風に、僕はとても幸せだ。
 塔の中、大好きなものに囲われて、ただ、大好きなルナス様と子供たちのことだけを思っていられる。
 ルナス様はどれだけ時間が過ぎていっても、ほとんど毎日僕の元へと訪れては、僕をいつまでも愛して下さった。
 だから。

「りゅ、りゅにゃしゅ様ぁ~……! らいしゅきれしゅぅ~……」

 相変わらず泣きすぎてうまく回らない舌で愛を伝えると、ルナス様は柔らかく微笑んで僕を抱きしめて下さって。

「俺も好きだよ。愛してる。かわいいリュディ」

 そうして愛を返して下さるのだ。
 これ以上の幸せなんてない。
 きっとこんな日々が、これからもずっと続いていく。
 それはまるで夢のよう。
 ……――ただ、幸福で満ちていた。


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