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第2章・まるで夢のような日々(リュディ視点)
20・塔の外にて①
しおりを挟むルナス様がいらしてもいらっしゃらなくても魔力が必要なことに変わりはない。
ルナス様がいらっしゃらなくなって4日も経つ頃には、僕は途方に暮れるようになっていた。
たかが4日、されど4日。
これまでそれほどまで来なかったことはなかったし、今はまだ体調に影響はないけれど、あと1日2日と経ってくると、きっと僕はだんだんと頭痛や倦怠感に悩まされるようになり、そのうちきっと起き上がれなくなってしまうと聞いている。
それが一般的な魔力欠乏の症状なのだそうだ。
そして、それが更に進んで、それでもルナス様がいらっしゃらなかったならその時は。子供どころか僕自身さえ、どれぐらい持つのかわからない。そう告げたのはユセアナだった。
「そうなる前にいらして下さればいいんですけど……」
言いながらいつもとは少し違う色の溜め息。
そんな場合、必要なのは魔力で、極論を言うとルナス様の魔力でなくともいいらしい。
でも、そんな話を聞いた僕は嫌だと強く思って、そうやって感じた拒否反応は、好きな相手がいる人間なら、当たり前のものなのだという。何も特別なものなのでなく、嫌だと思って当然なのだと。
そして本当に僕は想像もしたくないぐらい、今の僕自身に、ルナス様の魔力を注がれるのが嫌で。
それだったらいっそ、そのままどうなってもいいと思うぐらいで。
ユセアナもそれはわかっているから、その前にと、そう思ってくれているらしい。
だからユセアナはサネラ様に申し出てくれたのだそうだ。
ルナス様がいらっしゃらないのなら、僕の方からルナス様の元へとお伺いする許可を、と。
僕はちっとも知らなかったんだけれど、元々ユセアナは普段からサネラ様と連絡を取り合っていたようだった。
必要なものなどの要請もサネラ様に直接お伝えしていたのだとか。
それらは皆、サネラ様の方からそうして欲しいと指示されていて、何でも誰が信用できるのかがいまいち判断しきれないからとのことで、それぐらい王宮の中には、僕をよく思っていない人がまだまだいるのだそう。
だったら僕からルナス様になんて、会いにいけないんじゃないかと思ったのだけれど、今回は急を要するということで、なんと許可が出たとのことだった。
てっきり僕はこの塔から出てはいけないのだとばっかり思っていたものだから、僕は本当にびっくりしてしまった。
実はこの塔、内側からならいつでも解錠できる状態になっていたのですって!
外からは特定の人物の魔力に反応して、他を寄せ付けないようになっている守りの堅い建物であるらしい。
流石に子供は連れて行けないから、ユセアナを残してみてもらって、サネラ様が迎えに来て下さって、僕だけで向かうことになることになった。
それが更に2日後のこと。ルナス様とお会いできないまま、すでに6日が経っていた。
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