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 席次は陛下が一番上座となる、長方形の机の、奥まった短い方の一辺に座り、その両横となる、長辺の一番奥がそれぞれ、お義母様とラティ、ラティの横が俺だ。
 しかし、ラティの都合がつかない場合は、ラティの席が俺の場所となった。
 今日は、ラティは、昼食を共に摂れないらしく、用意されているカトラリーは三人分。
 俺は大きな机を回り込んでいつも通り、お義母様の向かい側へと腰を下ろした。
 にっこりと麗しく微笑むお義母様へと笑い返していると、今度は陛下……お義父様が口を開く。

「すまない、ルニア。わざわざ手間をかけたね。ありがとう、どうも彼女は浮かれているようだ」

 俺が先程、呼び寄せられるまま、お義母様の側近くまでいったん寄らざるを得なかったことを指しているのだろう、お義父様の言葉に、俺はふると控えめに首を横に振った。

「いいえ。俺……いえ、僕の方こそ、ご心配をおかけして……お二人と久しぶりにご一緒出来てとても嬉しいです。ですから、」

 席へと呼び寄せられることぐらい、その後、机を回り込まねばならなかったことぐらい、どうということはない。
 俺の言葉に、お義父様はほっと、安堵したように頷かれた。

「そう言ってもらえるとよいのだけれど……ああ、勿論、君の顔を久しぶりに見れて嬉しいというのは、私も同じ気持ちだよ。顔色も悪くはないね? 安心した」

 柔らかな言葉と雰囲気に、胸がふわっと温かくなる。
 ああ、そうだ、そうだった。
 お二人はこのような方々だった。
 幼い頃から、ラティよりも、いっそ俺の方をこそ大切にして下さっていらしたのだ。
 まるで我が子のように、否、我が子以上に。
 曰く、

『ラティは可愛げも面白みもないの。ルニアの方がずっと愛らしいわ。ラティとの婚約を受けてくれて、とっても感謝しているのよ。本当の親子になるのが今からすごく楽しみね』

 とのこと。
 あくまでもお義母様の言葉だが、お義父様の態度も概ね大きな違いはなかった。
 もちろん、口ではそう言いながらも、ラティのことだって我が子として十二分に愛しく思っていることだろう、だけどともかく、関係が良好であることに違いはなく、それは確かに有り難いことなのだ。
 その後運ばれてきた昼食は食べ慣れた味。
 流石に食堂で陛下と共に摂る食事だけあって、ここ数週間、部屋でラティと二人、あるいは一人で摂ってきた食事より、余程堅苦しいものではあったのだけれど、長年、生まれ育って来てしみついている慣習は伊達ではなく、自分で思っていたよりもマナーだとかそう言ったことに対しては、意識するなどせずとも特に問題にもならず、終始和やかな雰囲気で、昼食を終わらせることが出来たのだった。
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