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第一章・リーファ視点

1-31・ポータル②

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 魔力の少ない平民であっても、魔力石等を使用したり、数人で補え合えば可能なぐらいまで、必要魔力を抑えられたのはポータルに使用されている補助魔道具のおかげで、こちらに関しては、非常に高価なものとなっている。否、その補助魔道具を最初に設置し、固定した上で常時稼働可能な状態にまで持っていくためにこそ、膨大な魔力が必要となり、国によっては、有数の魔法士数人が数日をかけて魔力を注ぐ必要があるようなものなのだと聞いた。だから、件の補助魔道具自体の価値というよりかは、それを設置することまで含めた上での価値なのだそうだ。勿論、補助魔道具自体も、他の魔道具よりも随分高価ではあるのだそうだけれども。
 その上、ポータルを設置したら設置したで、今度は防犯という意味において、ポータルを覆うような結界を張る必要があった。そうでもしないと、出入りしやすすぎるんだ。なにせ国境などを超えずとも国家間の空間転移が可能なのだから、悪用しようと思えばいくらでも悪用できてしまう。
 例えばナウラティスは、そもそも国全体に、たとえポータルを使用した場合等のような手段であっても関係なく発揮される守護魔法が張り巡らされていて、つまり、この守護魔法こそを、僕が数年に一度張り直しているんだけれど、そういう意味で、それほど問題とはならない。
 だが、この守護魔法はナウラティス特有のものだ。他の国では当然ながらそうはいかず、結局ポータルの設置と一緒に、ポータルを覆うような結界も張らなければならないのだそうだ。
 そんな理由から、ポータル自体、1つの国に1つあればいい方で、設置されていない国の方が多かったりする。
 反面、ナウラティスでは国内であっても、主要都市にはほぼ必ず設置されているような有り様で実は王都だけでも実に6カ所のポータルが設置されていたりする。王宮のすぐ傍と大聖堂、また王都の一番外側に当たる部分に4カ所だった。当然のように、それぞれに他国との国境付近にも設置されていて、その延長線上としてなのか、それとも管理しやすいようになのか、属国である各公国には、必ず1国に1つ以上、ポータルを設置させて・・・いた。
 当然、視察に向かう際もこのポータルを使用したので、ドゥナラルに辿り着くだけ・・ならば、ほんの一瞬で事足りた。
 旅とさえ言えるようなものではなく、ナウラティスの王宮を出たかと思うと、ほどなくしてドゥナラルの公都の端にいて。
 だが、流石にドゥナラルでは公邸のすぐ傍になどポータルを設置していなかったので、公邸までの公都内での移動は馬車でのものになる。
 義兄上と同じ馬車に乗り込んだ僕は、見慣れない他国の街並みに心を弾ませた。
 とは言え、いくらポータルの設置場所が公都の端で公邸からは距離があるとは言え、所詮は一都市である公都内、数時間も馬車に揺られれば目的地である公邸には容易に辿り着く。
 義兄上は窓に張り付くようにして、外の景色を眺める僕を、なんだかひどく微笑ましいと言いたげな表情でずっとずっと眺めていらした。気付いた時には恥ずかしくて。
 でも、仕方がないと思うんだ。だって僕、ナウラティスの王都にさえ、ほとんど行ったことがなくって。街というだけでも、物珍しかったんだから。
 国外なんて、何度来たって目新しいばかりだもの。
 そうして、ドゥナラルの公邸には程なくして辿り着いたのだった。
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