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番外編・未来の話
x2-10・アーディの話⑩【完】
しおりを挟む臥せっていたアーディは、俺が黒騎士に魔石を渡したことに気付かず、それどころかやはり、手を握る程度で流せる魔力量だとどうしても復調しきることが出来ず、その後も寝台からまともに起き上がれないまま、子供を生んだ。
取り上げたのは俺だ。
これにもやはりアーディは大変不満そうにしていたのだけれど、黒騎士ではどうにもできなかったから仕方がないことだろうと思う。
また、その後1年の授乳期間に、子供へ流すための魔力を賄ったのも俺で、つまり子供は核こそ黒騎士の魔力だが、それ以外はほとんど俺とアーディで構成された存在となり、黒騎士とアーディの子供というよりは、アーディと俺の子供とでも称した方がいいような状況となってしまったのだが、それもまた、仕方がないことなのだった。
黒騎士は黒騎士で、可能な限り頑張ってはいたし、何より冒険者として長く過ごしてきた身では、一所に留まったままの2年弱など、全く本意ではなかっただろうに、不満をこぼすようなこともなかった。
なお、アーディが臥せっていた間の皇帝業は、溜め息を吐きながらもミスティが引き受けて、その補助も含め、俺とミスティは数年ぶりに随分忙しい日々を送ることとなったのだが、それはともかく。
ちなみに授乳期間も当然引き続き魔力は不足気味だったので、半ばアーディは臥せったままだったし、俺がアーディに半ばかかりっきりになっている状況は勿論、ミスティには不満だったらしく、俺は俺で、日々寝台から起き上がるのが辛い、などというようなこととなってしまったのだが、それもともかく。
アーディは産後1年を過ぎて、子供へ注ぐ魔力もほとんど必要なくなったら、当然ながら復調し、以前と同じように動けるようになった途端、俺の元を去っていった。
また、以前のような、冒険者として過ごす傍ら皇帝業に勤しむような日々に戻るのだとか。
子供はどうするのかと思えば、基本的には連れ歩くのだという。
おかげで半ば俺の子供のようになってしまったアーディと黒騎士の第一子は長じて後も国内になど留まらず、冒険者となってしまったのだが、環境を考えるとある意味当然のことと言えただろう。
俺の元を去ると同時、俺が黒騎士に魔石を渡していたことを知ったアーディは大変悔しそうな顔を見せたが、やがて仕方がないと割り切ったようだった。
そして数年後にまた同じような状況に陥ったアーディに俺はまたしても手を貸すこととなり、いくら魔石に魔力を溜め、補助的にしようとしたところで、ないに等しい黒騎士のそれでは、数年程度ではどうにもならないと痛感したらしく、流石にそれ以上の子供は諦めたようだった。
否、まだ時期じゃないと思っているだけかもしれないけれども。
ともあれそうしてアーディは俺からすると、非常に奔放に好き勝手生きているように見える。
ただ一つの誤算と言えば、おそらくは早くに皇帝位も誰かに譲位してしまいたかっただろうに敵わず、俺が死ぬ間際までの100年近い間、皇帝であり続けたことだろう。
譲位した時に、清々したと言わんばかりの顔をしていたのが印象的だった。
子供が出来た頃辺りには少しばかり俺もアーディに手を貸すこととはなったが、基本的にアーディにはむしろ俺の方が助けられることも多く、俺が、アーディにとっては弟妹となる俺の子供達の面倒もよく見てくれているのは確かだ。
この先も、そうそう長く生きることに堪えられそうもない俺と違って、生きられるだけ生きるつもりだというアーディのおそらくは長く長くなるだろう生が、不幸でなければいいとそう思う。
俺よりよほど長く生きられなさそうだった黒騎士も、だけどアーディとは共に居続けたいと願い、これからも長く寄り添ってくれるつもりであるようなので、それほど心配はしていないのだけれども。
少しでもたくさんの幸いが、アーディの生を彩り続けることを俺はずっと祈っている。
To Be Continued...
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丁寧な感想ありがとうございます!
一応内容に触れておられましたので、ネタバレ含むとさせて頂きました。
主人公が会話もろくにせず、一方的に避けている部分、よく見えない、その通りだと思います。
ただ、言い訳をするなら、おそらく、婚約破棄云々等にならなかった場合、結果的に話し合ったりなどはするつもりはあったのではないかとは思います。
とは言え、それを億劫がって避けていたのは間違いない事実、そういった部分は主人公のよくない所であること、ご指摘も間違っていないです。
主人公は婚約者に対して誠実ではないな、というのは全く同意です。
けれど、それを踏まえた上で、うえだ様のご納得頂けるような展開になっていくかというと、そちらは全く自信がありません。
ですので、この後もし続けて読まれる場合は、「最終的にもやもやしたまま終わる」かもしれないことはご承知おき頂ければと思います。
(今の段階でそう思われていて、最後まで読み終わって読後感いいかというとそんな自信もやはり、全くありません。)
その上で、もし、そのもやもやもぶつけて頂けるのなら、宜しければぜひ、また観想ください。
(こちらの公開が気になるようでしたら、XなどのDMとかでも構いませんので……。)
正直、頂いた感想を読んで、「それはそう」「まったくその通り」「せやな」って思いました。
し、参考になるな、とも思いました。
宜しければ今後お話を書くに当たっての参考にさせて頂きたいと思います。
特に今かんっぺきに止めてる10年後話とかにはもしかしたらちょっと意識するかもしれません。(主人公の悪い部分とか、そういうのを)
もっとも正しく活かせるかは定かではありませんが……。
とても気を使って下さって、それでも感想送って下さって、とても嬉しいです。
耳に痛いお言葉でしたが、ありがたくも思います。
長々と言い訳のような返信となってしまい、申し訳ございません、感想ありがとうございました!
アーディの恋。
ティアリィのお腹の中にいるころから良く知っているコなんで、なんかもぅ近所のおばちゃん気分です。
感想ありがとうございます!
そうですね、生まれる前から書いてるからそうなりますよねw
すみません、ちょっと笑ってしまいました!
アーディのお話は今書いてる番外編とは別に、もう少し長めにも書こうと思ってるので良ければそちらもお待ち頂けるととっても嬉しいです!
完結おめでとうございます!連載が始まっておよそ1ヶ月…長かったような短かったような…笑
ティアリィが魔力を受け付けられなくなった理由には驚きましたが、同時に納得しました。
本当に最後まで楽しませていただきました。殿下のお話も楽しみにしています!
Orange 様
感想ありがとうございます!
完結!させれました、ありがとうございます!
理由、驚きましたか?私的には割とそのままかなぁと思っていたのですが……でも、納得もして頂けたとのこと、よかったです
お楽しみ頂けたようなのもよかった!
最後までお読み下さり、あまつさえ感想も本当にありがとうございました!
殿下視点のお話も頑張りますね!
ゆっくりお付き合い頂けると幸いです♥️