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おかわり!
x-14・想い合うということ①
しおりを挟む午後いっぱい思い悩んで、結局何も答えは出ず、とりあえずとさっそく実践することにした。
今夜はサフィルがリシェと、正しく閨を共にするようになって4日目の夜だった。
一応これまで毎日肌を交わしている。
少し寝不足になってしまっているが、こんなものどうということもないことだろう。
だって満たされるのだ。
気持ちいいし、リシェのことがとても好きだと思える。
恥ずかしくて堪らないし、自分は何もかも足りていないと思う。
閨の知識や覚悟だとかそういったものが何も。
子供もまだ望めていない。
でも。
リシェと肌を合わせたくないだなんて、思うことは全くなかった。
少し前まで、あれほど怖いと思っていたのに自分でも不思議だ。
否、自分の意図しないところで過剰に反応して、震え、強張ってしまう体を持て余していたのに、今ではそんなことは全くない。
むしろリシェに触れられると体の力が抜けてしまうほど。
それはなんだかとても、恥ずかしいことのように思えてならなかった。
でも。
どんなに恥ずかしくても、リシェはサフィルを蔑ろにしたりなんてしない。
だから、今日もサフィルに付き合って、サフィルの話を聞いてくれるはずだ。
サフィルと話をしてくれる。
そんな風にリシェを全く疑わず、サフィルはリシェを待っていた。
夜である。
二人の寝室、寝台に腰かけて。
今夜、先に寝支度を整え終わったのはサフィルの方で、サフィルは今、リシェが寝支度を整え、ここに来てくれるのを待っていた。
約束をしているだとかそういうわけではないが、来ないかもしれないなどとは全く疑っていない。
何よりこれまで数度だけ会ったどうしても閨を共にできない日は、きちんと事前に連絡をもらっていた。
今日はそういった連絡は来ていないので、きっともうじきリシェは来るはずだ。
心臓がどきどきする。
それは昨日も一昨日もその前も同じこと。
でもなんとなく、今日は昨日までとは違う気がした。
「…………お互いの反応をよく見て、お互いに気持ちよくなれる所を探す……」
もう何度目だろうか。
気が付けば唱えるように呟いている。
それはつまりお互いを想い合うということだ。
閨の中で。これからサフィルはリシェとお互いを想い合うのである。
心臓のドキドキが煩い。
待ちきれない気持ちになりながら、ただリシェを思った。
と、そんな中、近づいてくる気配に気づく。
間違えるわけがない、リシェだ。
なんとなくそちらを見た。
リシェの私室とつながっている方のドア。
いつもリシェはそこから、この二人の寝室へと入ってくる。
(ああ、でもこんな風にじっと見ていたら、入ってきたリシェ様は気まずく思うかも……)
なんて、どうでもいいようなことに思い至ってなんとなく視線を逸らした。
お互いを、想い合う。
それだけでいい、そんなことを、もう一度心の中で繰り返した。
ガチャ、ドアが開く音がする。
勿論、そこから姿を現したのは、待ちに待ったリシェだった。
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