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155・俺の嫁と両親との夕食(リシェ視点)

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 キラキラ輝くサフィルと夕方まで過ごして、夕飯に間に合うように、早めに帰路に着く。
 サフィルは終始楽しそうだったけれども、流石に少し疲れが見えた。
 やはり明日は出かけず、図書館か何かでゆったりと過ごすべきだろう。
 同じ空間にいる、きっとそれだけで楽しいはずだ。
 そんな風に脳内で予定を立てながら離宮に戻り、前日に聞いていた通り、両親と共に食卓を囲んだ。
 聞けば一昨日もこんな風に昼食と夕食を共にしたらしい。
 意外だと思いながら、久しぶりに起き出している所を見た母とサフィルの親しげな様子にも更に驚く。
 特に母の方がサフィルに傾倒しているように見え、父は案の定というべきか、面白くない顔をしていた。
 一昨日も同じように不機嫌になってしまい、それを反省していたのではなかったのだろうか。
 やんわりと咎めるように視線を送ると、父は気まずそうに目を逸らしてきて、どうやら自覚はあるらしいと内心呆れた。
 とは言え俺も、サフィルが俺以外と親しげにしていること自体やはり面白くはないと思うので、きっと父のことは言えないのだろうけれども。
 そこではたと、もしサフィルとの間に子供が出来ると、今度はその子供に、サフィルとの時間を減らされるのだろうかとまで連想してどきりとした。
 もっとも子供の予定なんて、まだしばらくはないのだけれども。
 一応父とは違うので、俺は努めて気分を害したことを顔に出さないように気を付けて夕食を終えた。
 名残惜しそうな母と分かれ、それぞれに入浴を済ませるなどの寝支度を整え部屋に戻る。
 去り際、母が何事がサフィルに告げていたように見えたのでそれを訊ねると、サフィルは隠すことなく、また治癒を頼まれたのだと教えてくれた。
 なんでも、初日に挨拶に伺った際の母の様子があまりにも辛そうで、見兼ねたサフィルは治癒魔術を申し出、実際に翌朝それを実行したそうだ。
 おかげでその日は母も午前中から起き出すことが出来、色々とサフィルとも時間を取って、話をしたりしたのだとか。
 母からはまたそれを頼まれたそうで、しかしサフィルは意外にも消極的な様子を見せ、聞けば父の手前、母に治癒魔術を施していいのかがわからないのだとサフィルは言った。
 父の不機嫌をよくよく感じ取っていたということなのだろう。曰く、

「だってセディ様はあれほどイーニア様をご自身の魔力で染めておられるようですから。……治癒魔術はその特性上、どうしてもイーニア様に僕の魔力が流れます。セディ様のご寵愛が深ければ深いほど、面白くなく思う部分もおありでしょう」

 とのこと、母の状態と父の執着をどうやら随分正確に読み取っているらしい様子に舌を巻いた。
 母には断り切れなかったそうだが、いつとまでは約束していないということなので、父にも確認しておくので待ってほしいと言っておいた。
 侍従を通じてでも何でも後で訊ねようとそう決める。
 そんな風、少しばかり話をしていつも通りともに横になった寝台。
 前日と同じようにサフィルは戸惑う様子を見せ、離れる前よりも緊張が増しているようだったのだけれども、慣れない街歩きに疲れていたのだろう、思うよりも早く寝入ることが出来たようで、そしてそれは俺も同じだった。
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